東方雲狼劇   作:鏡狼 嵐星

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次の日曜には投稿できないので、遅れながらも投稿させていただきます。
夏休みではありますが、宿題と部活でやる暇がありません。なので投稿スピードは上がりません。すいません。
ではまた。


人好きの妖怪、妖怪嫌いの人

平安京は現代のような曲がりくねった道ではなく、碁盤のようにきっちり仕切られている。朱雀大路を中心に広がる街。もちろん中心に位置する家ほど高貴な人物が入居する。一般的な人々や陰陽師は外側にいることが多い。そんな中、軌響と鏡夢がいるのは外側の端にあるぼろ屋である。

 

「近くによく出る鎌鼬(かまいたち)の討伐、ですか……」

 

「はい。今まで様々な人が襲われているそうなんですが、幸いけが人はでていません。ですが、いつ出てもおかしくない状態。出来るだけお早めによろしくお願いします!」

 

小さな居間で初老の男性の話を聞く軌響。なぜ、こんな端の家にまで依頼が来るかと言うと、軌響と鏡夢の依頼成功率が他の陰陽師に比べて極めて高いのである。上の五本の指に入る実力を持ちながら依頼料がとても安いため、人気がある。ただ、一つだけ問題点が存在する。

 

「討伐の依頼は受けてません。僕たちが受けるのはあくまで撃退か、それ以下の依頼のみですので、それでよければ」

 

「……不思議なお人ですね。普通なら陰陽師は喜んで行きますのに」

 

「まぁ、皆さんから見れば僕は不思議な人物でしょうね。でも、僕はこの気持ちを曲げる気はないです」

 

男性はこれ以上何も問うまいと言う顔をした後に、依頼料が入ったきんちゃく袋を置く。

 

「被害が出なくしてもらうのが一番です。それ以上は自由にしていた立っても結構です」

 

「では、お受けいたします。鏡夢、仕事だよ~」

 

男性が立ち上がり軌響の家を出ていこうとし、軌響本人は奥にいる鏡夢に向けて声を放つ。

 

「聞こえています。そんなに大きい声を出さないでください」

 

「あっ……、ごめん」

 

障子の向こうから出てきた鏡夢の一言に沈む軌響。犬耳があったらしょんぼりしてるだろう。

 

「……いつまでそうしているのですか。行きますよ」

 

「! はい!」

 

顔を嬉しそうに帰る少女のような少年に、呆れるアルビノの少女。これから少し厄介なことに巻き込まれることになるとは思っていなっただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今回の依頼は狂骨、鎌鼬、そのほかの雑魚の牽制。鎌鼬は軌響が行きなさい。私は他をやります」

 

「わかった」

 

昼が過ぎて夕方が迫っている時間帯、平安京の外にある深い森で仕事を開始しようとしていた。

 

「えっと、確か平安京へ行くはずれ道によく出るって聞いたけど……」

 

軌響は鏡夢と別れ、鎌鼬が良く出現すると呼ばれている細く暗い道に出た。隠れて出てくるのを待つのではなく、いることを主張し襲われたところを逆に抑え込む作戦である。

 

「…………」

 

霊力を薄く広い範囲に放出し、妖力を見つければそれが鎌鼬である可能性が高い。少し時間がたったころ、そこに反応する妖力が一つ。その妖力が徐々に近づいてくるのを警戒しながら見ていると、ある程度近づくとそれ以上近づいてこなくなった。それを疑問に思ってこちら側から近づいてみると、

 

「お、お~い、そこのお、お嬢さん、す、少しお話いいかな?」

 

腕が鎌の半獣人が木に隠れながら少し顔を出し、いきなりそんなことを言ってきたら誰だって逃げると思った軌響は可笑しくないと思われる。

 

「え、えっと、別にいいよ」

 

「おお!? い、いいのかい?」

 

「うん。あと、僕は男だからね」

 

「うぇええ!?」

 

軌響の返事を聞いて出てきた鎌鼬は驚きと歓喜を織り交ぜたような顔をする。

 

「いや~、こんななりだからまともに話してくれる人間ってあまりいないからありがたいよ。改めてありがとうね。僕は矢武(やむ) 颯也(そうや)。よろしくね」

 

「あの、こんな状況で言うのも何なんだけど、僕、陰陽師だよ?」

 

軌響の言葉に対した驚きもなく、答える。

 

「だろうなぁ。妖怪だって言うのに一切動じないもんね、君。でも普通の陰陽師なら僕を見た瞬間に襲ってきてるけど、君は違うから。そう言えぼ君の名前は?」

 

「僕は北水 軌響。普通と少しずれた変な陰陽師だよ」

 

そのまま鎌鼬と少しの間談笑をする。そのとちゅうで軌響は気になったことを聞く。

 

「なぜ、人間としゃべろうと思ったんですか?」

 

「いや~、一言で言うと人間が好きなんだよね。いつ好きになったかも覚えてないんだけど。話してみたいと思うし、どんなふうに暮らしているのかも見てみたい。けど、僕は妖怪だからね。ちょっと厳しいかな」

 

少し諦めたように。でも諦めきれないというような表情をした颯也。

 

「方法がないことはありませんよ?」

 

「え、それ本当!?」

 

「妖焔山って知ってます?」

 

「そりゃ勿論。妖怪の中じゃ有名だよ。でもなんで?」

 

「僕はその山のある人と知り合いなんですが、その人に頼めばどうにかしてくれるかもしれません」

 

普通妖怪の山で人間の知り合いがいるという時点でおかしい。それを理解しているらしく、少し疑問の目を向ける。

 

「う~ん、悪いけど信用できないなぁ。あそこはただでさえ他の妖怪を嫌う天狗がいるのに人間の知り合いがいる妖怪なんているわけ……」

 

「百聞は一見に如かず。これを持ってください」

 

以前に使っていた移転札とは違い、赤い札。彼はきょとんとしたまま札を受け取る。

 

「『話術札 主様』」

 

『……ん? 軌響か、どうした?』

 

「今、隣に人と接したいと言っている妖怪がいます。主様ならどうにかできると思いまして」

 

『それならうってつけの奴がいる。そいつを移転札で送れ』

 

軌響は言われるや否や移転札を颯也に押し付け、状況を理解できていない彼を無理やり送る。

 

『お前か。名前は?』

 

『は、え? あ、矢武 颯也です。ていうかあなたは?』

 

『北川 響。しがない紫死雲外鏡だ』

 

『ほわあぁあああぁ!? さ、最強の妖怪の一角!? いや、小さくないですか?』

 

『ほっとけ。まぁいい。こいつは引きうけた。安心しろ』

 

通話していた赤い札が爆散し、消える。ほぅと息を吐く。毎回毎回こうやって人ならざる者と会話していると中々疲れる。ただ、完全に気は抜けない。なぜならすぐそこに強力な霊力の塊がある。

 

「お前が最近噂になっている妖怪を殺さない陰陽師の北水 軌響か?」

 

木の枝の上に立つ一人の陰陽師。霊力の濃さは飛んでもなく強く、只者ではないことは容易に察せる。黒い烏帽子に少し大きめの陰陽服。陰陽師の正装を纏う黒髪の少年。

 

「うん、そうだよ。残念ながら僕は君の名前は知らない。名は?」

 

「平安京最強の陰陽師、安倍 晴明。お前に問いに来た。妖怪はお前にとってなんだ?」

 

「そうだね。良い人間がいれば悪い人間がいるように、悪い妖怪もいればいい妖怪もいる。だから良い妖怪や人間には救いを。だが、悪い妖怪や悪い人間には救いがないとは言わない。手を差し伸べる。僕はだれも見捨てないつもりだ。それが僕を育ててくれた人への恩返しだ」

 

一切詰まることなく。戸惑いもなく。言い放った。みづからが持つ強い意志を。

 

「……それがお前か。ならばお前は俺の対極だ。反対だ。妖怪を殲滅せんとするものとして、俺はお前を殺す」

 

「それは困る。この目的を達成するまでは死んでも死にきれない」

 

それぞれが札を構える。しかし、それはただの攻撃用の札ではない。呼び出す札である。

 

「『式神 出雲』」

 

「『式神 火水(ひすい)』」

 

晴明の肩の上に白い狐が。軌響の上にはオレンジの髪と水色の髪をもつ小人が宙に浮くように現れる。

 

「あいあい、お呼びですか、ご主人サマ~?」

 

「いくよ。『力借(ちからがり) がしゃどくろ』」

 

軌響の周りから放出されている霊力の半分が妖力に変化し、それが骨となり軌響にまとわりついていく。まるで一回り大きな人の骸がくっついているようだ。

 

「『火水模倣 正雨(まささめ)』」

 

さらに火水と呼ばれた式神がぐにゃぐにゃと形を変え、薄く鈍い光を放つ妖刀へと変わる。

 

「それがお前の力か」

 

「そう。僕の能力『力を借りる程度の能力』。とくとご覧あれ」

 

人の骨を纏い、強力な妖刀を持った軌響はまっすぐに晴明へと走りゆく。

 

「いくぞ、出雲! 『霊爆夢封術』!」

 

晴明はあらかじめ手にしていた札、さらに懐から取り出した札を軌響に投げつけていく。そして、その中心に向けて出雲と呼ばれた式神の狐は霊力の砲撃を放つ。周りの札に引火し、巨大な霊力の爆発が起こる。

 

「はぁっ!!」

 

軌響はその爆発を霊力を凝縮した盾を作り上げ、しのぐ。さらに妖刀に妖力を詰めて斬撃として放つ。

 

「『安倍滅妖術 〝瞬散〟』」

 

晴明の手に中心に星が描かれた術式を浮かびあがらせ、そこから色とりどりの大小様々の霊力の玉が大量に放出される。その上とてつもなく速く、的確に軌響を狙う。途中で軌響の放った斬撃すら跳ね飛ばす。

 

「てやぁっ!!」

 

剣をただ振るうのではなく、体をひねり、霊力弾の中心を狙い切り捨てる。この技が自慢だったのか、晴明は少し表情を歪める。

 

「『安倍滅妖術 〝針華〟』っ!」

 

札をばらまくように空中に放り投げると、それぞれが自らを巻き上げ、針と化す。全ての針先が軌響ヘト向けられる。

 

「『正雨貫霊妖斬』!」

 

刀を真上に振り上げそれぞれが相反する力である妖力と霊力が刀身で膨れ上がり、懺悔気と言っていいのか怪しいほどの巨大な一撃が晴明を狙う。

 

「かかったな、『針華弐式 封滅』!!」

 

針が軌響に向かう途中で、地上に突き刺さり、白い閃光を放ちながら爆発する。巨大な煙が巻きあがり、視界が悪くなる。

 

「……やったか?」

 

窺うように出雲ににおいをかがせ、様子を見る。しかし、霊妖力ともに出さず、骨が砕けて元に戻った軌響が晴明に跳びかかる。木の上に立っていた晴明はバランスを崩し、地上に落ちる。

 

「くそっ、離せっ!!」

 

「君は気付いてないの? ここは地盤が緩いんだ。地下水が流れているからね(・・・・・・・・・・・・)

 

先ほどの爆発のせいで、地面にひびが入り、崩れる。もちろん森があるここは平地だ。崩れれば下に落ちる。ただし、それほど深く崩れるわけではない。

 

「『力借 河童』!」

 

軌響の服装がわずかに青く変わる。さらに空中で体制を崩している晴明に向け、巨大な水の玉を至近距離でぶつける。

 

「ぐあっ!?」

 

崩れた位置から斜め上へ。その先にある河童に有利な領域へと飛ばす。そう、川だ。

 

「ごばっ!?」

 

背中から深く、皿に水流の強い部分に落とされたことに思考がわずかに遅れ、追いつく。急いで水面に急ぐが、それをさせる軌響ではない。

 

「『水流霊砲撃』!」

 

水中にあらわれた軌響は水の砲弾をいくつも晴明に向けて投げる。もともと強い水流のおかげで晴明は水面へ向かえない。

 

(くそっ、息が……)

 

そのまま晴明の意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

川の下流。気を失った晴明を背負い、軌響は近くにある洞窟の中で火を焚こうとしていた。

 

「ふぅ。さすがに濡れたままじゃ風邪ひいちゃうよね」

 

自分は服の水を絞り、火を起こす。水にぬれている服を着ていれば風邪をひいてしまうと判断した軌響は晴明の服をはがしていく。しかし、そこで違和感に気付く。

 

(あれ? なんでさらしを巻いてるんだろ?)

 

その違和感がある結論へと至る。が、その結論があり得ないものだと思い直し、うんうん唸っていると晴明がいきなり跳び起きた。服を脱がせ、その服を持っている軌響を見ればこう言うだろう。

 

「な/// お、お前、なにを///」

 

「あ、いや、これは違うからぁ!! 水に濡れたら風邪をひいちゃうと思ってっ!? え、ええっと、ごめんなさい!!」

 

男子にしては細く、丸い柔らかそうな体。そして、自分の体を隠す様子は乙女そのもの。そう、安倍晴明は、

 

「あ、あの、君って女の子?」

 

「…………ああ」

 

女子だったらしい。




作「今回は布都氏と屠自古氏に来ていただきました」
布「よろしく頼むぞ!」
屠「太子様は来られないのか?」
亮「おう、お前ら二人だけ」
布「なぜか会うのが久しぶりな気がするのは我だけか?」
亮「そんなことないと思う。けどなんでかわからない」
響「……疲れた」
屠「なんか響、隈が出来てるぞ? 大丈夫か?」
作「なんでだろうね」
亮「犯人ここにいるし。ボケてるし」
布「して、我らが呼ばれた理由は?」
作「特にございません」
布「なぬ!?」
亮「ただ呼ばれただけらしいぞ」
屠「なんだその骨折り損は」
作「まぁ、そう言いなさんな。雑談終わりで申し訳ないが、ここでしゅうりょー。次回は神子予定です。こうご期待」
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