PERSONA5:The・Determination 作:Ganko
これは、今よりほんの数時間だけ未来の話。
正直、今見てきたものに対する理解が、まだ追い付いていない。
眠りについていながら、わたしはようやく永い眠りから目が覚めたような気持ちでいた。
ずっとずっと目を逸らしてきたそれに目を向けて、偽りの呪言を振り払って、本当の自分と…お母さんを、見つけることが出来た。…いや、本当はずっと前から気付いていたはずだった。それなのに、ただわたしが弱いから、色々な人に迷惑をかけてしまった。…惣治郎も、怪盗団だってそうだ。
…。
…怪盗団、か。一緒に居たのはそんなに長い時間じゃなかったと思うけど、なんだかヘンテコなやつらだったな。思ってたよりも普通の人間っていうか…。
あぁでも、驚いたなぁ。秘密を教えてあげると言われてはいたけど、まさか現実に
間違いない。わたしが見た彼女は、“Chara”だった。正真正銘、わたしの知ってるあのゲームの!
はじめは半信半疑だった。でも、あの妻木綺羅とかいう奴を見れば見るほどそうにしか見えなくなっていって、しまいにはあのペルソナ…。一体全体どういう風の吹き回しなんだろうか。…まさか、散々Gルートを遊んだわたしたちへの報復に来たのか…!?なんて邪推もしてみたけど。
根本的にその考えは間違っていることに気付かされた。
妻木綺羅は本気だ。面白半分で怪盗なんてやってない。命を張ってわたしのことを案じてくれた。近くにいたからこそ感じ取れた、彼女のやさしさはきっと本物だった。もしあれがChara本人のものだったとするなら…。
わたしはこれまで、とても大きな勘違いをしてきたことになるのかも…。
かすかにルブランに漂うコーヒーの匂いと同じ香りがいま、わたしの頭の周りを包み込んで。
完全に身も心も委ねた状態で、目を瞑り、夢の世界との境界線をいったりきたり。
そうしているうちにいつの間にか、本当に夢の縁から滑り落ちて…。
…。
お母さん。
わたしは信じてみようと思う。わたしはお母さんのことが大好きだけど、でもきっとその心配は無いと思う。今は大人しそうに見えても、最後の最後で本性を現して…なんてことも、まぁ可能性としてはゼロじゃない。それを踏まえた上で、わたしは綺羅を…信じたいと思った。
わたしも怪盗になりたいって、思った。
怪盗になって、お母さんのことを殺した奴らに、絶対ぜったい報いを受けさせてやる。そのためには、わたし一人じゃ力不足だし…どのみち信じるしかないんだよね。
Charaであり、妻木綺羅である、この人間を。
…うん。純粋に、興味があるってだけなのかもしれない。だって、本当にあのCharaなんだったら、今わたしはCharaと同じベッドの上で寝ているってことになるんだぞ!?
普通に会話できて、もしわたしが怪盗になることを赦されたなら、一緒に肩を並べて戦えるんだよ!?
…ねぇ。
そうでしょ?
お前だってわたしと同じだ。
この道のさきがどうなるかなんてことは、分からない。
でもきっと、この道は…、
未来に、繋がってる気がしてる。
指の先に触れる、冷たい銀色の刃。
そこに写るわたしの顔はぼやけていて、よく見えない。眼鏡が無いから。
でも、こんなマヌケな顔だったっけな。わたしって。