WZ/Ark Commanders Story   作:ノア(マウントベアーの熊の方)

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少し遅めのクリスマス回です。
これで今年は最後となりますそれでは良いお年を!

では今回もごゆっくり、見ていってください!


第4話

 

某日 1400 グリフィンタージ基地。

僕はいつも通り物資を手配しながら、こっそりと別の手配を進めていた。

世間は赤や白、緑で彩られる時期だが、タージ基地にてその色に彩られているのは戦術指揮官の制服の赤色くらいだ。

まあ強いて言うなら戦術人形たちが着ている迷彩服が行く戦地によっては緑色と言ってもいいだろう。

基本的にはタンカラーの砂漠用迷彩だが。

 

まあそんな事を言ったところで何も変わりはしない。

部隊は1~3まで後方支援に行ってるし、新編した第4小隊は今訓練に励んでいる。

 

唯一問題があるとするならば、隊長にしたMDRが少し調子に乗っていたり、問題行動を起こす程度だ。

電子戦が可能な様にメンバーに入れて隊長にしてみたが、やはり時期尚早だっただろうか。

まあ、その辺はUMP40も入れてあるし、そのうち何とかなっていく…と信じたいものだが。

何とかなりそうにないなら少しわからせる必要もある…けどまあ、僕自身できるだけ酷いことはしたくないし、MDRも流石にそこまで酷くはならないだろう。

 

とりあえず今はこの書類を終わらせて、早く必要なものを揃えなければならない。

"彼ら"は今もこの空を飛んでいるのだ。

とっとと迎える準備をしなければ。

 

「…よし、表向きの仕事は終わった、後は裏の方をしないと」

 

そう言い、僕はとある回線に接続し、暗号回線を使って、事前に仕込んでいたあるものの点検を始めた。

カタカタをキーボードを叩き、点検用の機械を遠隔操作する。

そしてエンターキーを勢いよくッターンと叩き、それらを次の工程に移した。

 

「よし、準備完了…と」

 

ここで時計を見ると、時刻は1644を指し示していた。

作戦の第1段階開始まであと1時間とちょっとと言ったところか。

とりあえずそれまで、自由な時間だ。

さて何をして時間を潰そう。

 

「…そうだ、第4小隊の訓練を見に行こう」

 

そう思いついたまま、僕は訓練所へと向かった。

 

訓練所に着くと、ちょうどうちの第4小隊が突入訓練を始めるところらしく、2階の展望室から、1階の訓練施設を見ることにした。

 

開始を待っていると、唐突にビーッとブザーが鳴り響くと同時に、1つ目の部屋にスタングレネードが投げ込まれ、それが炸裂。

合図と共に完全武装のメンバーが順番にクリアリングしつつ突入して行き、部屋を制圧。

そして次の部屋へと制圧射撃を加えながら、クリアリングしてターゲットを撃破しつつ、次の部屋を制圧して行った。

 

次に長い廊下へと進むと、廊下の反対側にいたターゲットを進んですぐに制圧、いくつかある部屋の中に、2人の監視を外に置いて、3人が突入、制圧して行った。

やがて最後の部屋へと、ドアを蹴破って突入して行くと、最後のターゲットを制圧して、状況は終了となっていた。

 

これだけ聞くと上手くやっている方だろう。

だが、一つだけ致命的な事をやらかしている。

僕は展望室につけられたマイクのスイッチを入れると、訓練を終えて一息つこうとしている皆へと声をかけた。

 

「全部倒したね?お疲れ様、1つ言いたいことがあるからそこで待ってて」

 

そう言ってみんなに待ってもらい、僕は1階へと降り、みんなの待つ部屋へと行く。

全部ドアは開いたままだ。

 

「どうしたの指揮官?何かあった?」

 

そうバラクラバを外したUMP40が聞いてくる。

他のみんな不思議そうだ。

 

「ここに2番目に突入した人は?」

 

「私だよ、なんかあんの?もし変な事言うようなら…グリフィンタレコミ掲示板に言われたこと載せるからね?」

 

そう自信満々のMDRがからかい気味に言ってくる。

僕はそれを笑って返しながら、こちらの部屋に開ききっているドアを閉めた。

 

「みんな全部倒した…って訓練終わったけど、こいつは倒した?」

 

そう開いていたドアの後ろにいたターゲットを見せる。

気づいていなかったから当たり前だがみんな驚いている。

 

「倒してないよね?MDR、今回2番目に突入したなら君の仕事だ、ちゃんと確認するように」

 

「ええっ!?なんで私なの!?他のみんなが確認してくれればいいじゃん!」

 

「この部屋は真ん中にドアがある、順番に部屋に入っていくとMDR、君がこの開いたドアの目の前に来るんだ、君が入ってきてすぐに後ろから味方がクリアリングしてくる、十分に確認する余裕はあるはずだ……もしないって言うなら、余裕ができるようになるまで訓練を続けさせるけど?」

 

そう僕が言うと、MDRは悔しそうにしながらも、僕を睨みつけてきた。

 

「僕を憎む?別にいいさ、死ぬのは君と、君のミスで巻き添えを食らう仲間たちだ。僕には関係がないことだからね。でも幸いにも君たちはバックアップがある…でもどうだろう?その時に制圧する場所が自分たちの基地で、自分たちのバックアップを取っている場所もめちゃくちゃで今までの自分の記憶が全てパー、死んだらそこで自分という個体はこの世から完全に消えてなくなるという場合は?MDR、君は死に関してどう思っているか僕はまだ知らない。もしかしたら撮れ高なんて発想をしているのかもしれない。でもどうだ?それは仲間もみんなそう思っているか?自分という存在が好きで、この世から消えてなくなりたくないというヤツがチームだったらどうする?」

 

「指揮官、いくら何でも言い過ぎだよ!気がつかなかったあたいたちにも非があるのに…!」

 

そう40が必死にMDRを庇おうと反論してくる。

仲間を気遣えるとてもいい子だ。

だがそれとこれとは別だ。

 

「確かに気づかなかったみんなにも非はある、それはそうだ、チームなんだからな。それに突入する順番なんて実戦では決まっていてもその通りに突入できるとは限らない。これはみんなの問題でもあるのは40の言う通りだ」

 

「じゃあ…!そんなにMDRを責めなくても…!」

 

そう言う40を手で制し、僕は続けた。

 

「別にこの件だけでMDRを責めたい訳じゃない、今回の件はこれからしっかりとしていってくれれば俺もそれでいい。だがどうだ?MDR、君は訓練中、片手に何を持っていた?そして、なにを訓練中にしていたんだ?」

 

「そりゃあ配信に決まってんじゃん、掲示板のみんなが見たがってるんだもん」

 

「配信だと?調子に乗るな!」

 

そう僕は声を荒らげて責め立てる。

 

「その配信を敵が見ていたらどうする?『今自分たちはここにいてこんな事をしています、そして次はこうします』そんな事を周りに教えるという事は『どうぞ対策をしてください』って言っているのと何ら変わらない、死ぬのがお前だけならいいだろう、だがどうだ?お前の周りには誰がいる?仲間だろう?お前を信頼してくれている仲間なんじゃないのか?」

 

辺りがしんと静まり返る。

だが僕はそんな事もお構い無しに続ける。

 

「お前が周りにも誰一人、自分しかしか居ない自殺希望者なら止めはしないさ、だがここはどこだ?ここはグリフィン、そのタージ基地、そして俺の部隊だ。そしてお前はそのメンバーなんだ!確かに君ら戦術人形は死んでもその苦しみは忘れているだろう、だが俺は人間だ、そして君たちを指揮する指揮官だ、君たち戦術人形の死んでいく様を、苦しんで死んでいく様を嫌でも記憶させられる立場なんだ!……それをわかっていてくれ」

 

そう言い、僕は40の肩に手をポンと置いてから、部屋を出て行った。

後からは泣いているMDRの声が聞こえてくる。

……少し言い過ぎただろうか。

 

そう罪悪感に駆られながらも、僕は次の目的地へと向かった。

 

 

車を走らせること数十分。タージ基地郊外の難民キャンプの近くへとやって来た。

 

「この辺でいいか、行っておいで、"妖精"たち」

 

そう言いながらボタンを押すと、車の荷台から、黒い三角柱の物体が射出される。

それは空中でドローンになり、妖精のホログラムが現れると、楽しそうに飛んで行った。

 

飛んで行ったのを確認し、僕は基地へ帰り、タブレットで妖精たちが配置に着いたのを確認する。

そして基地まで帰ってくるだけのバッテリー残量が確実にあることを確認し、僕はみんなが帰ってくるのを待った。

やがて第1小隊から順に帰ってくると、クリスマスパーティーが始まった。

 

みんなでワイワイと美味しいご飯を食べ、プレゼント交換会をしていると、やがて12時を回った。

みんな明日も仕事や訓練があるので、各々自室へと戻って眠りについたのを確認する。

 

さあ、ここからが僕…いや、彼らの出番だ。

 

1人執務室のPCこの前に座り、無線を待つ。

しばらくすると、"彼ら"のサポートをするヤツらから、無線が入った。

 

『ノア指揮官、現在少々準備が遅れております、恐らく0110辺りに出発できるかと』

 

「了解、なら"彼ら"は0120辺りに?」

 

『はい、その辺になるかと』

 

「了解、なら完全にみんな寝静まった頃だね」

 

『そうなりますね、では私はこれで、彼らを迎え入れる準備もありますので』

 

そう言って電話が切れ、辺りに静寂が訪れる。

 

「さて…みんな喜んでくれるといいけど」

 

そう言いながら、僕は窓の外の月を眺めていた。

 

 

12/25 0120。

"彼ら"は、空を飛び、妖精たちから送られる座標へと向かっていた。

 

「ハッチオープン、さあ、プレゼントのお届けだ」

 

そう赤いユニフォームに身を包んだ男が言うと、後部のハッチが開けられた。

彼ら…コールサイン『Santa』の男たちは、手際よく"プレゼント"に取り付けられたパラシュートを機外へと投げ出す。

 

「Merry X'mas !」

 

その掛け声とともに、プレゼントは勢いよく、機外へと飛び出して行った。

プレゼントはメインパラシュートを開くと、妖精が送る座標へと降下し、静かに大地に降り立った。

それを数件分繰り返し、最後にタージ基地の上空を飛行すると、彼らの仲間である妖精たちが、ハッチからプレゼントを持って、タージ基地へと降下して行った。

 

妖精たちは部屋のキーをこっそりと解除し、それぞれ指揮官や戦術人形たちの部屋へと入り込むと、プレゼントをこっそりと置き、証拠を残さずに去っていった。

 

 

 

次の日、僕たちが目覚めると、基地は大騒ぎとなっていた。

それも仕方ないだろう。

朝起きると、部屋にプレゼントが置いてあったのだから。

地元のニュースも、朝起きると何者かに、難民キャンプ向けのプレゼントが投下されていたと大盛り上がりだ。

 

一体、誰がやったのか。

それは本物のサンタかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

少なくとも、プレゼントを受けとった人々は、サンタが来たと思うことだろう。

 

一部のもの好きたちが共謀となってプレゼントを面白半分で配ったとも知らずに。

 

ここはグリフィンタージ基地。

本日も慌ただしいが、僕らは今日も生きている。




恐らくコマンダーズ最長…ですかねぇ…
思いつきで書いたけどまあいいやって

ではまた次回、お会いしましょう!
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