WZ/Ark Commanders Story 作:ノア(マウントベアーの熊の方)
過度なドルフロ要素の欠如が見られますが、生暖かい目で見てやってください。
それでは今回もごゆっくり、見ていってください。
"檻に入った"
数日後、そう発信源不明の無線が入った。
この基地のグリフィンも他の組織も、ただのイタズラとしてこの無線を処理したが、僕だけは違った。
これで、1つ目標を達成できる。
そう興奮する気持ちを抑え、僕はいつも通り、グリフィンでの執務仕事をこなしていた。
「…………40、これお願い」
「はーい」
「………」
「………ねぇ指揮官?前に言ってた"檻に入った"が届いたって、本当?」
「……うん」
「…そっか」
沈黙が続き、辺りにペンを走らせる音だけが響く。
やがて、それに耐えきれなくなったのか、40が僕の執務机の前にやってきた。
「ねぇ指揮官、言いたいことはわかるけど、あたいの前なんだからもっと素直になりなよ!昔からの付き合いでしょ!」
そう言って執務机を叩く40の顔を見て、僕は微笑み返す。
「…だね、もうその暗号について40には知られてるし、隠してもしょうがないか…前にどこまで話してたっけ?」
「指揮官がミクロネーションのトップってことまで」
「ありゃ、40にもそこまでしか話してなかったか」
「そうだよ!毎回話そらせてきて教えてくれなかったじゃん!」
「ごめんて、今日は全部言うからそれで、ね?」
「それは当たり前!」
そう言う40に苦笑いしつつも、伝えれること全てを話すことにした。
「…まず僕がとある国の正規軍で、A-10乗ってたって話はしたっけ?」
「してない、え?指揮官パイロットだったの!?」
「一応ね、今も免許はあるよ。……とまあ、僕は軍のパイロットだった、って訳なんだけど、今僕はPMCの1人の戦術指揮官だ、不思議だろう?」
「うん、でもそのPMCに入ってくれたからあたいとも他の指揮官とも出会えたでしょ?」
「だね、そこは感謝してる」
そこで一呼吸置いて、僕は話を続けた。
「で、なんで僕がそんな軍をやめたかって言うと……無くなったんだ、その国が」
「え?無くなった?なんで?戦争もしてないでしょ?」
「うん、戦争はしてない、直接的にはね」
「直接的には?どういう事?」
「国家お抱えのでっかいテロ組織に潰されたんだ、うちは小国だったからね。もちろん公にはその国が抱えてるなんて公表はされてないよ、バレたらそれこそ国際的に制裁も入るからね」
「だよね、じゃあその指揮官の国の領土は今もそのテロ組織が?」
「いや、テロ組織は公にはそのテロ組織を抱えてる国が潰したってことになったんだ。周りからしたら英雄だよね、小国を潰したテロ組織を潰したんだから」
「でも…その領土を返してくれるってことはなかったんでしょ?」
「そうだね、だって僕のいた国はその時にはもうなかったもん、無い国に領土を返すなんてことはしないよね」
「それはそうだけど……」
「まあ、今の40と同じ人間が少なからずいたんだ、僕含めてね。で、その人達のリーダーを僕がやることになった」
「へぇ、人望があったんだ」
「人望というか…当時のリーダーにしろなんにしろ、先の戦いでほぼ全滅しかけてるんだ、生き残ったのは僕のいた正規軍のパイロット数名と逃げ延びた10数人の陸軍だけ…まあ、ヤツらからしたらそこまでの人数が生き延びられてるのも予想外だったんだろうけどね」
「え?国民の生き残りは……?」
「いないよ?」
そう当たり前のように言った僕に対して、40は驚きの色を隠せていなかった。
僕は続けて、
「ちゃんとした装備がない市民が生き残れる訳ないでしょ、僕らですら最新鋭の装備が配備されてた訳じゃないんだから、防具も身を守る武器も何も無い。あったとしてもあんな空襲とかを生き残れる訳ないしね」
「…あんな空襲とかって?」
「制空権を奪取されてからの無差別爆撃と砲撃、戦闘が終わった頃にはその辺のELIDが歩いてる廃墟より酷かったよ。しかもそれの生き残りを掃討し始めるおまけ付き」
「じゃあ、どうやって指揮官は生き残ったの?」
「整備士たちが必死に機体を稼働させてくれて、それで逃がしてくれたんだ、『お前たちだけでも生き残って、必ず仇を取ってくれ』ってね」
そこまで言うと、40もどう反応したらいいのかわからなくなってしまい、辺りに沈黙が訪れた。
「…さて、話を変えようか、僕の国がなんでミクロネーションなのに国際的に認められてるか、って言うとね、その僕たちの国を潰した国が、領土を返せと言っている僕たちに、『傀儡国となるならば、君たちの国を国際的に復活させてやろう、領土もその時に分け与える』って提案してきてね」
「…その提案に乗った、ってこと?敵なのに?」
「そういう事、もちろん仲間からの批判もあったし、それで離れていって別の国に行った奴もいるさ」
「なんで乗ったの?そんなの、いいように使われちゃうだけじゃん!」
そう40が怒りを露わにして来たのを手で制し、僕は続けた。
「もちろん、僕にも考えがあったんだ、僕のいた国は小国中の小国だった、でも他国と友好な関係を築けていたんだ。そんな国が仲の良くない国に吸収された、その事を反発してくれてた人もいてね、傀儡国として動く傍ら、その国々にその国の内部情報を極秘裏に流し続けたんだ」
「内部情報?…ってどういう?」
「まず始めに、僕たちの国を滅ぼしたテロ組織のこと、あとはこれまでやってきた悪事だね、ちょっとスパイを送るだけで面白いほどに出てきたよ」
「へぇ……で、どうしたの?情報流してただけじゃないんでしょ?」
「もちろん。流石に漏れてくる情報をついには世界の政府が無視できるレベルの問題じゃなくなってね、ついにその国に政治的な制裁が入ったんだ…で、それでもう吹っ切れたのか、僕らの領土を実力行使でぶんどりに来た」
「……で、どうなったの?相手はそこそこ大きいんでしょ?」
「うん、でも僕らには極秘裏に結んでいた周辺国との同盟関係があったんだ」
「それって、どういう同盟関係だったの?」
「シンプルになんの捻りもなく、その国が攻めてきた時に助けてもらうってだけだよ」
そう言うと、40は思っていたよりも普通すぎたのか、少し驚いていた。
そして、40はこんなことを言ってきた。
「でもそれだと、特殊なミクロネーションなだけの小国を助けてくれるの?ただ情報をくれてるだけで何もしてないなら、助けるメリットはないでしょ?」
「そうだね、だから助けてもらうための条件をつけてた」
「条件?」
「うん、『助ける代わりに取られていた領土は全てそこを奪還した同盟国に譲る』って言うね。そこに自分たちも作戦中は兵力として加わるって言うと快諾してくれたよ、そりゃそうだよね、領土が増える上にその戦闘における捨て駒を入手できるんだもん」
そう言うと、驚いた表情のまま、40は絶句していた。
そして、40は、
「本当に、それで良かったの?…だって、結局領土は無くなっちゃうし、場合によったら自分たちが死んじゃうんだよ?」
「うん、死ぬ気はなかったし、敵国を上手く騙して一定の軍備は整っていたからね、簡単に滅ぼせたよ」
「……え?滅ぼせた……って?」
「え?なんかおかしいこと言った?攻めてくる、そしてその領土を奪い取ってくるって事は、逆にそれをされてもいいって覚悟があるってことでしょ?だから跡形もなく滅ぼしてあげた」
「跡形もなく…って?まさか皆殺しとかしてないよね?」
「市民は放置したけど政治家や軍に関連した人は全員消したよ、表向きには自殺って事になってるけどね」
「……指揮官って、たまに当然のことみたいに怖いこと言うよね」
「そうかな?普通だと思うけど」
「……で、話は戻るけど、それが終わったあと、指揮官はどうしたの?」
「国として正式に認められたミクロネーションとしては存在が残ってるから、とりあえず資金を入手できるようにPMCを作ったんだ、で、僕はグリフィンに来た」
「それはなんで?わざわざグリフィンに来なくてもよくない?」
「自分たちのPMCを傘下に入れてもらって潰れないように、っていうのと、ここの社長がバックにいると色々と誤魔化せていいんだよ」
「…じゃあ、もしクルーガーさんがいなくなっちゃったら?」
「その時にはもう僕らの国はなくなってるかな、今回のことでもう全部終わらせる予定だし」
「……"檻に入った"ってやつ?」
「……そうだね、やっと終わるんだ、僕らの弔い合戦が」
「…そうなんだ」
そうどこかしんみりとした空気の中、僕は立ち上がり、窓の外を眺め始めた。
窓の外はいつも通りの中東の景色だ。
今日も当然のように出撃を繰り返すヘリや車両が行き来している。
「……そうだ40、この作戦が終わったらみんなで海にでも行こうか」
「え!?いいの!?やったぁ!約束だよ!」
「うん、約束だ」
そう言って、僕と40は指切りをした。
明日には作戦が始まる。
だが、まだ40を含めた新入りの第4小隊のみんなにはこの事に関わらせるには早すぎるだろう。
ここからは、僕がここに来てからついてきてくれた3つの小隊のみんな、そして僕のPMCのみんなだけの問題だ。
ロゼちゃんやタンクマンを巻き込む訳にも行かない。
救援要請もできない、公に悟られる訳にもいかない…が、まあなるようになるだろう。
誰にも知られずに全滅してこの世からいなくなるなんてもってのほかだ。
必ず生きて帰る。
そう決意を抱き、僕は隣で嬉しそうに微笑んでこちらを見てきているいる40へと笑顔を返した。
ドルフロ要素どこ……ここ……?(40を撫でつつ)
あと、次回で第1シーズンが終わる予定です。
そこが終わると第2シーズンになると思います。
第2シーズンを公開しないとか言い出してるロゼちゃんやタンクマンにも第2シーズンを公開してもらうぞという固い決意を胸に最終回を書こうと思います。
ではまた次回、お会いしましょう!