此処から少しオリジナル展開入れます。
なんでって? そら……このままだと渋谷事変の花御の配役が空くから。
この小説というより、ボクの創作には代替可能論(ジェイルオルタナティブ)と時間収斂論(バックノズル)を多分に含んでます。
コレが二次創作を編める余地であるからです。
「ハル先輩見つけるのって、ひょっとしなくても滅茶苦茶難しい?」
「たぶんな……」
自販機に寄り掛かってぐーたれた状態で呟いた野薔薇の言葉を恵は拾いあげた。
交流会に向けて放課後、真希の指導を受ける日々が続く中で特訓の〆として行われることが恒例になった隠れ鬼。
毎日やってるのにも関わらず目標のハルを捕獲するどころか、視認することも出来ていない二人はどうしたものかと頭を捻っていた。
「玉犬を使えないのが辛い」
「それを言うなら呪力を練ることすらダメって話になったじゃん」
鼻の利く玉犬を展開した途端に自分達を狩りたてる
隠れ鬼でハルを捉える為にこの限られた狭い森林で術式を用いることは出来ない。
初日の反省を活かした二人は術式を用いずに続く2日目、3日目の隠れ鬼に挑んだ。
しかし、2日間とも視界が悪いこの森の中で小柄なハルを二人の先輩の目を掻い潜りながら見つけることは想像だにしないまでに難しい。
どうにかならないものか。欠片でも良い情報が欲しい。
そんな駄目で元元の後輩からのお願いをハルは無下に断ることは出来ない。
自身を捕獲しようとしている鬼側にヒントを隠すことなく教えているハルの様子を見て呆れたように真希が頭を抱えていたが、苦言が来ないところを見れば許容の範囲内であるのだろう。
そうして恵と野薔薇は隠れ鬼の攻略の足掛かりを得たのである。
「棘、明日から呪言使っていいぞ」
「すじこ?」
ところ変わって、二年生組は連れだって一足早く寮へと帰っていた。
共同の談話スペースに集まった4人は互いに今日の鍛錬の結果を分析し、明日のメニューを相談する。そんな中での真希からの一言に”鬼だ……! ”と真希を除いた三人の心が一致する。
「真希ちゃん、それは……」
「ほんとうはこんな急ピッチに仕上げる必要はないのかもしれないな。けどな、ハル。なんか悪い予感がするんだよ」
今年の交流会は荒れる。
確固たる確信はないものの脳裏の裏で騒めく虫の知らせを真希は無視していいモノとは思えなかった。
宿儺の復活。それに伴った呪霊の活性化。
呪術界上層部による暗躍。殺された後輩。海外に行ったまま帰れていない憂太。
これらを予兆と見るのであれば十分過ぎるほどに出揃っている。
いつ崩れるやも知れぬ平穏。唐突に降りかかって来る災い。
”また大きな争いが起きてしまうのだろうか”
一年前を振り返ってしまった四人の空気が重くなる。
そんな折に沈黙を打ち消すように電子音が鳴り響いた。
「わりぃ……わたしのだ。とりあえず、今日はコレで解散にするか」
「……そうだな」
「しゃけ」
「……」
着信音を鳴らし続けるスマホを片手に退出する真希。
それを見送った三人は、顔を見合わせた後にバラバラに解散した。
”夕食までまだ時間あるしチャコの散歩にでも行こうかな……”
ハルは時間を有意義に使うための予定を立てていく。
寮の側に設置された犬小屋。高専への入学際に連れてきた大事な家族が其処にはいる。
「おっとハル、これから出かけるのか?」
「真希ちゃん、電話はもういいの?」
リードを片手に玄関を抜けると通話を終えた真希が夕焼け空を見上げて黄昏ていた。
眉間に皺が寄っている。
ナニカ良くない報せでも受けたのだろうか。
そんなハルの気遣う様な視線を向けられていることを感じたのか、真希は顔の前で手を振った。
”たいしたことではない。ただ──”
「──ただ、明日の予定がだいぶ変わりそうだ。ハル、百足会から依頼だ。綿津岬に行ってくれ」
”詳細は追って伝える”
寮へ戻る真希が残した言葉と共に強いうねりと共に音を立てた風がハルの頬を撫でた。
”これも予兆なのかな……”
ぼんやりと暗くなる視界。
日の入り。夜の足音はすぐそこまで来ていた。
「海だ……」
「うん、海だね」
海風の香りをふんだんに浴びながら野薔薇はハルと共に綿津岬の海岸線を歩いていた。
海とは程遠い陸地の奥、田舎出身だったこともあり上京と共に都会の空気を嗜んできた彼女も海はそこまで身近なモノではなく、その感触を楽しんでいたのは最初の一時間程であった。
「なんか思ったよりも地味ですね、フィールドワークって」
「そう……かもしれない、かなぁ? ごめんね、付き合わせちゃって……」
「いえ、真希先輩からも盗めるモノもあるから付いて行ってこいって言われたし、先輩が謝ることなんてないっすね」
”逆に何一つ成長せずに帰ったら絞められそうで……”
胸中に一人ごちた野薔薇の心情を汲み取り切れなかったハルは野薔薇の様子に首を傾げる。
百足会の案内人との合流よりだいぶ早くの現地入り。
その土地の感触を掴んでおきたいというハルの意志に従って、連れだって歩いている野薔薇だったが、フィールドワークしてるハルが何を掴み取っているのかてんで分らなかった。
「ハル先輩ってこういうこと、頻繁にしてるんですよね……」
「うん。窓が下調べ困難な地域だったり、今日みたいに百足会からの依頼だったりとかで」
「私にはちっとも分らないですけど……此処ってなにか異常なんですか?」
「異常だよ」
野薔薇の疑問を間髪を入れる間もなくハルは言い切った。
目を丸くした野薔薇を脇目に眉間に皺を寄せながらハルは考え込む。
「薄っすらとした膜のようなナニカがこの町を覆っている。ソレ自体は、うーん……比較的珍しいモノではあるんだけどコレがこの地の人たちにどういった影響を及ぼしているのか……悪いモノだったら排除しないといけないし、管理が行き届いてなくて不安定なバランスの上に成り立っているなら百足会に報告して、指導して貰った方がいいかなぁ」
”ハル先輩って術師階級っていくつなんですか? ”
”特級だよ……ただ、訳あってな。無差別に辺りを破壊する爆弾になりかねないからハルは大手を振って術式を起動出来ない。だから野薔薇、お前の役割は露払いだ。術式が機能していないハルは見た目通りの貧弱な戦闘能力しか有してない。ただ……万が一にもハルが術式を起動するようなら、全力で戦線を離脱しろ”
足を止めたハルの傍らで野薔薇は真希から貰った忠告を思い返す。
同じ状況にある筈なのに分からない違和感。
術式を用いずとも、呪力を練らずともソレを彼女は感知しているのだ。
コレが特級術師。
訳の分からなさは担任である五条と同等だ。
無論、そんなことを口に出したらハルは全力で否定をするであろうが。
「そういうのって私も分かるようになるんですか」
「勿論! あの隠れ鬼で五感を研ぎ澄ませたら誰でも分かるようになるよ!」
ほんとかよ。
ハルの言葉は流石に語弊があるのではないかと思う野薔薇であった。
百足環境保全会──縮めて百足会。
数年前より台頭してきた此方の界隈でも新参者の組織である。
その組織の特徴は構成員の殆どが非術者であること。
術式を持たずされど、身に降りかかる災いを察知出来てしまった弱者の寄り合い。
その発端はハルの幼馴染であるコトモであり、組織の発起人はコトモの姉、トモコではある。
表向きは塩の販売と寺社仏閣祭事に関する環境保全を。
裏向きでは呪術界とは別の窓口で災厄への対応を行っている。
信仰をないがしろにされ、廃れ、反転し、堕ちてしまった荒神への調査、そして対応だ。
母親を廃神社の神の手で亡くしてしまった彼女達と同じ境遇を持つ人達が一人でも少なくなることを願っての活動である。
その慈善活動に呪術界の権力闘争に巻き込まれ席を追われた者。そもそも呪術界に席を置きたくないはぐれものが食い扶持を求めて門を叩くことは少なくない。
彼女もそんな術師の端くれであった。
「やぁ、ハルちゃん。おひさ~」
「ユズさん!?」
野薔薇と同じパンツスタイルでありながら、光沢が光る黒のジャケット。
妙齢の女性がひらひらと手を振りながらハル達へ挨拶する。
「どうもどうも、わたしは鈴杜ユズ。今回の調査の案内役を務めることになりました。よろしくね野薔薇ちゃん」
「……よろしくお願いします」
何故自分の名前を。
名乗ってもいない。会ったこともない赤の他人。
そんな彼女の不気味さに不信感を募らせた野薔薇の視線にユズは不敵な笑みを浮かべる。
”うんうん……『今回』は野薔薇ちゃんが来てくれたんだね”
「? ……ユズさんなにか言いました?」
「なんでもないよ! じゃあ、案内するから付いてきてね」
「……あの人、大丈夫なんすか、先輩」
「食えないところはあるけど……ヒトを踏み台にしたり、裏切ったり、謀殺する為に策を講じるような人ではないから大丈夫だよ」
「そんな人いるんすね……」
「野薔薇ちゃんも身の振り方を覚えておいた方がいいよ。呪術界は別にクリーンな組織ではないからね」
特級故に組織の暗部を見ているハルはまだ何も知らない後輩に教えを説いた。
誰かに使われるままでは何れ思いも知らない落とし穴に落とされているだろう。
死んでしまった顔も知らない後輩が上層部の意向で殺されてしまったように、だ。
「うっす……」
神妙な顔つきで頷いた野薔薇に微笑んで、ハルは先導するユズの後ろに続く。
”それは私も同じなんだけど……”
特級■■
上層部の矛先が向けられている事を彼女自身はしっかりと自覚している。
今もこうして学生としての席を置けるのは、夜蛾学長と五条悟のお陰なのだから。
「先輩、こんなところで時間潰してていいんですか?」
「あ? 戦前に腹ごなしは大事だろ。もっと食え、恵」
ところ代わって、都内のハンバーガーショップ。
真希と恵はかれこれ一時間ほどテーブル一席を占領している。
野薔薇はハルと共に別件の任務に就き、放課後の鍛錬は一人でやるものだとばっかりと考えていた恵の不意を突くような形で高専の外へ連れ出された。
不機嫌な様子を隠さない後輩に奢りだと称してハンバーガーを振る舞った真希の意図がこれだけではないと確信しての質問は、的を得ている。
”ろくでもないことに付き合わされてる……”
そんな表情を読み取ってか。なんだ焼き肉の方が良かったか? なんて人を食ったようなふてぶてしい表情を浮かべた真希はようやく調整を終えたのか、手の内で弄り回していたガシェットをテーブルの上に置いた。
「これは?」
「遠隔操作可能なカメラ。あたしのスマホに連動してオンオフ出来る。恵、脱兎一匹出せ」
「先輩、影法術の内容把握してるんですか」
「割と有名だからな。資料漁れば出てきた。それより早く出せよ」
急かす真希に言われるがままに恵は十種影法術で脱兎を呼び出した。
テーブルの上真希の正面に座る兎が一匹。それをしげしげと眺めた後、真希はカメラを取り出した首輪と連結させ、ウサギに付けた。
「……なにやってんですか?」
「は、見てわかんねぇのか。頭使えって常日頃から言ってんだろ。うっし、実験は成功か。理論上は出来たが実際はどうだか分かんねーからよ」
呪力産物と非呪力の物質。ソレを掛け合わせた場合の非呪術的視点の認識。
ソレを真希は確認したかったのだ。
結果として眼鏡を外した真希の目にはウサギの首に付けたカメラは映っていなかった。
ソレを説明された恵は首を傾げた。
”これが一体なんだって言うのか”
当たり前だがこの発想を持って恵は犯罪に加担するつもりはない。
網の荒い笊で水を掬おうとするように呪物に由来しないカメラが呪霊を映すことは精度に欠けるどころの話ではなかった。
だからこそ、恵は真希の意図が一ミリとも分からなかったのだ。
「ああ、確かに恵お前が言ったことは百も承知だぜ。だがな、恵……
「っ!?」
「アップデートしろよ、恵。時代に合わせれなかったらせっかくの影法術も宝の持ち腐れだぜ」
ようやく理解が及んだ恵の表情を見て、真希は用意していた複数のカメラを取り出しテーブルに並べた。
一つ、真希が指示した地点に脱兎を放ち探索を開始する。
二つ、対象を確認次第無線で真希へ連絡。
三つ、この技術はまだ公にしないこと。
「呪詛師は私が殺す。恵は交流会の予行練習だと思って、肩の力でも抜いてな」
「……これ、呪術界の依頼じゃないですよね。真希さんはどこからこんな依頼を──」
「呪術界にとって都合の良いクソ野郎はあえて見逃されて生かされている。恵、身の振り方を覚えて置いた方がいいぞ」
”
別の場所でハルが野薔薇にそう立ち振る舞ったように真希も後輩へ教えを説いた。
黙ってしまった後輩を慮ってか、真希は投げかけられた質問を拾う。
別に明かさなくても良い情報、だがこの後輩にとっては今後の光明になり得る可能性もあったからだ。
「依頼だが……百足の伝手だ。恵、もっと広い視点を持て。──」
”──お前が自身の姉貴を、いや、誰かを救いたいならな”
”あとは任せた”
そう言い残して真希はハンバーガー屋を去っていった。
テーブルに置かれた一万円札を恵は暗澹として表情で眺める。
「分かりました……先輩」
この視点があれば虎杖は死なずに済んだのかもしれない。
終わってしまったことを振り返り悔やみ切れない言葉だけが口から洩れた。
多機能フォームでの編集が飛んでいたの再編。
さて、本作において
著 蒼月海里 先生
怪談喫茶ニライカナイのオマージュを展開として盛り込みます。
新キャラクターとして構想に練り込めたからですね。
>>ユズ登場
狗巻を入れる予定だったのに、何故か生えた。
実は海……水産物系の怪異に対して優位を取れる体質持ち。
忌子やだいだらぼっち、ヒトデなど三って水にまつわる怪異多いよねって。
カメラはお化け程度なら優位だけど、呪霊は無理。だけど、ヒトデの加護は割と強い。この子も実は本編だと深夜と同じで神に好かれた説あるよね。
>>MAKIさんによる呪祖師狩り
学長に話は行っておらず、五条が二つ返事でGOサイン出した。
そういうとこやぞ、おまえ。
>>脱兎@科学のオプション付き
唐突に沸いてきた科学武装脱兎。
これによってMAKIさんのKIRITSUGU化が止まらない。ひでぇや。
まぁジョウゴのキセルとか、お前呪物じゃないけど絶対非術者に見えてないよねってメタ的な話をするとそうなる。