フリーズ村で豊穣の王・バドレックスと出会ったサトシ達は、バドレックスに村の人達が本当に忘れてしまったのか確かめてほしいと依頼された。ピオニーはバドレックスの力で宙に浮いた状態でその場にいた。一通り村の人から話を聞いて情報を集めたサトシ達はバドレックスとピオニーがいる所に戻ってきた。
サトシ「どうだった?」
セレナ「皆御伽話だって言ってた。」
ハルカ「バドレックスが本当にいること信じてなかったかも。」
サトシ「そっか。」
ジンダイ「時代の流れというものは残酷じゃな。」
バドレックス「ムゥ・・・やはり余が本当にいることを信じておらんかったか。人間は余との絆をとうに忘れ去ったであるな。」
ヒカリ「バドレックス。」
マオ「可哀想。」
スイレン「うん。」
リーリエ「はい。」
バドレックス「いや、なに嘆いてなどはおらぬ。余は豊穣の王!人間に期待する程浅はかではないのである。余の力を取り戻すためには人間の信仰などにもはや頼ってはおれぬ。」
シンジ「既に過去を乗り越えていたか。」
バドレックス「愛馬が戻ってくればいくらかマシになるであるが・・・。」
マーマネ「愛馬?」
バドレックス「嘗て余が乗りこなしていた四つ足のポケモン!村の像でも余が跨っているである。」
カキ「あれか。」
バドレックス「遥か昔、共に野山を駆け巡った仲ではあるが・・・余の力が弱まり道を違えてからはその行方すら分かっておらぬ。」
ノゾミ「ずっと会ってないの?」
バドレックス「うむ。よしんば愛馬を見つけたとしても、力なき今の余では乗りこなせないやも・・・。」
ラングレー「それじゃお手上げね。」
バドレックス「愛馬についても村に言い伝わってるやもしれぬ。」
ジンダイ「それならワシが使っている母屋にそれに関する本がある。そこに何かヒントがあるかもしれん。」
サトシ「ならもう一度村に行って愛馬のことについて聞かないとな。」
シンジ「確かに情報は多い方がいいだろう。」
バドレックス「では、もし何か分かったら教えてほしいであるぞ。」
バドレックスはそう言い残すとピオニーを解放してどこかに行ってしまった。
ピオニー「・・・ふがっ!?」
サトシ「ピオニーさん。」
セレナ「大丈夫ですか?」
ピオニー「あれ、俺何してたんだ?・・・ややっ、立ったまま寝てたみてぇだな!?」
ピカチュウ「ピーカピカ。『本当はバドレックスの力で意識がなかっただけなんだけどね;』」
ピオニー「むん?な~んか体がみょ~な感じだぜ・・・!すまねぇな、アジトで暖まってくるぜ。」
そう言い残してピオニーは去って行った。
ヒカリ「大丈夫かな?」
ポッチャマ「ポチャ。」
サトシ「まあ、気を取り直して調べようぜ。」
ラングレー「そうね。」
サトシ達はピオニーを心配しつつ改めてバドレックスと愛馬のポケモンについて調べることにした。
ジンダイの母屋に戻ったサトシ達。村の人達への聞き込みはカキ、マオ、スイレン、ノゾミとラングレーが担当しているため別行動である。
ジンダイ「これが豊穣の王に関する御伽話の本だ。」
ジンダイはテーブルに何冊かの本を置いた。
ハルカ「いっぱいある。」
サトシ「この中でバドレックスの愛馬のことが書かれてるとしたら・・・。」
シンジ「こいつだな。」
シンジは本の中から『王の愛馬』と書かれた本を取った。
セレナ「それで間違いなさそう。」
サトシ「リーリエ、頼む。」
リーリエ「分かりました。」
リーリエは早速本の内容を読み始めた。
『王の従順なる足であり、その力を引き出す者。ひとたび二匹が一つとなれば一夜の間に森を生む。もともとは気性が荒く村の作物をむさぼる暴れ坊であったがこれを王が諌め自身の配下にした。その毛並みの色は凍てつく氷のような白という者もあれば、闇夜のゴーストのような黒という者あり、どちらの言い分が正しいかは誰にもわからない。』
リーリエ「だそうです。」
サトシ「白い愛馬と黒い愛馬か。」
ヒカリ「どっちが本当かしら?」
ラングレー「ただいま。」
すると聞き込みに行っていたラングレー達が戻ってきた。そこには意外な人物もいた。
サトシ「あれ、ダンデさんにサイトウ!?」
ダンデ「久しぶりだなサトシ。」
サイトウ「暫くですね。」
ヒカリ「どうして2人が?」
ノゾミ「愛馬のことを聞いていたら偶然会ったんだ。」
カキ「そしたらサトシもここにいるって知って同行することになったんだ。」
ジンダイ「お前さんがダンデか。」
ダンデ「貴方がジンダイさんですね。お会いできて光栄です。」
ダンデとジンダイは握手を交わした。
セレナ「あれ?サトシ今サイトウさんのこと呼び捨てにしてなかった?」
サトシ「ああ、実はヨロイ島での修業中に年が近いから呼び捨てでいいって言われたんだ。」
サイトウ「あと、敬語じゃなくてもいいとも言いました。皆さんもそうしてください。」
ハルカ「分かったかも。」
サイトウ「あとハイパークラス進出おめでとうございます。」
サトシ「ありがとう。」
サイトウ「待ってますよ、ハイパークラスで貴方と当たるのを///」
サトシ「?」
サイトウが頬を少し赤く染めて目を逸らすのを見てサトシはどうしたのかと思い首を傾げた。周りは直ぐにそれを理解して苦笑いを浮かべた。
アルセウス「ゴホン!そろそろ本題に戻るぞ。」
サトシ「ああそうだった。」
ケルディオ『どうだった?』
カキ「村の人達に愛馬のことについて聞いてみたんだが・・・。」
マーマネ「愛馬が白い馬と黒い馬に分かれてて・・・。」
マオ「どっちが本当か分からないの。」
スイレン「手詰まり、完全に。」
セレナ「そっか。」
リーリエ「この本にも愛馬が2体いることが載っていましたが、どっちが正しいか分かりませんでした。」
サトシ「・・・流石に2体もいるってことはないかな。」
サトシのその一言に全員の視線がサトシに集まる。
サトシ「え、どうしたの皆?」
一同「「それだ!」」
サトシ「え!?」
シンジ「バドレックスの愛馬は2体存在していた!」
ジンダイ「どちらかが正しいではなく、どちらも正しかったということか。」
ラングレー「それで白い馬と黒い馬で分かれてたのね。」
ケルディオ『サトシの何気ない一言が真実に繋がったね。』
ヒカリ「作物荒らしてたってことは好みでもあったのかしら?」
リーリエ「それならこの本ですね。」
リーリエが持っている本には『雪原の野菜』と書かれていた。
リーリエ「読みますね。」
『カンムリ雪原のニンジンは変わった育ち方をします。雪深い土地の畑では冷たいニンジンが育ち、お墓の近くの畑では黒いニンジンが育ちます。氷タイプのポケモンは冷たいニンジンを好み、ゴーストタイプのポケモンは黒いニンジンを好みます。御伽話に出てくる豊穣の王の愛馬もニンジンが大好きなのですが書かれている本によって白い姿の愛馬が冷たいニンジンを食べていたり、黒い姿の愛馬が黒いニンジンを食べていたり何故か描かれ方が違います。』
マオ「冷たいニンジンと黒いニンジン。」
ハルカ「馬ポケモンだからニンジンが好きなのかも。」
ピカチュウ『1回バドレックスに知らせた方がいいんじゃない?』
サトシ「そうだな。」
ダンデ「俺達も同行していいか?」
サイトウ「その豊穣の王のことが気になりますし。」
アルセウス「良かろう。」
サトシ達は愛馬の情報を伝えるためバドレックスと会った場所に向かった。
外に出たサトシ達はバドレックスと会った場所に着いた。それと同時に真上からバドレックスが降りてきた。
サトシ「バドレックス!」
バドレックス「カム カムクラウ。」
ダンデ「これが豊穣の王、バドレックス。」
サイトウ「本当にいたとは。」
ピオニー「むん!?お前らも来てたか!」
セレナ「ピオニーさん。」
ダンデ「ピオニーさんだって!?」
ピオニー「?ダンデ、お前もいたのか。」
ダンデ「はい、お久しぶりです。」
ピオニー「ローズのことには迷惑を掛けたな。」
ダンデ「いえ、あれはローズ社長を止められなかった俺にも責任があります。」
ピオニー「そうか。」
シンジ「それで、何でアンタがここに?」
ピオニー「ああ、誰かに呼ばれた気がしたが・・・・。」
バドレックス「カムゥ。」
ピオニー「てょわわわぁ~ん。」
バドレックス「人の子達よ、愛馬について何か分かったであるか?」
サイトウ「え!?」
ダンデ「ピオニーさん!?」
ノゾミ「大丈夫です。」
ラングレー「バドレックスがピオニーさんの口を借りて喋ってるだけです。」
ダンデ「何だそうだったのか。」
セレナ「貴方の愛馬の好物が分かったの。」
ヒカリ「手掛かりが見つかってよかったわ。」
バドレックス「そうか!共にいたのが遥か昔で余は忘れてしまっていた・・・愛馬の好物があればあ奴を誘き寄せられるやも!その好物とやらはなんであるか?」
ジンダイ「ニンジンが好物らしい。」
バドレックス「ほう!ニンジンであるか!確かにあ奴は何らかの作物を前にすると飛びついて抑えるのに骨を折ったである。今思えばそれがニンジンだったであるな!人の子達よ、流石である!」
カキ「これで愛馬に一歩近づいたな!」
サトシ「なあバドレックス。」
バドレックス「何だ?」
サトシ「フリーズ村でお前の愛馬は白い姿と黒い姿があってどっちが本当か分からないでいるけど、お前の愛馬って2体いるのか?」
バドレックス「如何にも、余の愛馬は2体存在している。」
セレナ「やっぱり。」
バドレックス「後はニンジンさえあれば行方知れずの愛馬を誘き寄せることかないし。村の人間はニンジンを育てているであろうか?種の一粒でもあれば余が育むことも可能ではあるが・・・。」
ピカチュウ『ニンジンの種か・・・。』
サトシ「流石に簡単に手に入るわけ・・・。」
マオ「あたし持ってるよ。」
一同「「え?」」
マオはポケットからニンジンの種が入った袋を取り出した。
リーリエ「マオ!?それを何処で!」
マオ「さっき村の人達に愛馬のことを聞いてる途中で売られてるのを見つけたの。バトルコロシアムにも栽培ルームがあったから育ててみようかなって思って。」
ダンデ「そういえば・・・。」
サイトウ「さっき何か買ってましたね。」
サトシ「でかしたぞマオ!」
マオ「えへへ///」
バドレックス「なんと!?その奇怪な袋がニンジンの種であると・・・?」
バドレックスはニンジンの種を見て目を見開いて驚愕した。
バドレックス「人間の力も常に進化しているであるな。余は感服するばかり。」
ジンダイ「うむ、人間は時に過ちも犯すこともあるが、それを糧に成長するのだ。」
バドレックス「しかし、フムムム・・・村の畑ではニンジンを育てるのに不十分であるな。」
カキ「そうなのか?」
ダンデ「この村の作物は育ちにくいとは聞いている。」
バドレックス「豊かな土壌があれば余の力で作物を育むことも可能ではあるが!我が雪原で作物を育てるのに適した土地は・・・。」
バドレックスは意識を集中して畑を探した。
バドレックス「一つは冷たく清らかな雪深い土地の畑、一つは死者を弔いし墓標の
サイトウ「バドレックスが言った雪原の畑は雪中渓谷ですね。」
ダンデ「死者を弔いし墓標の傍らにある畑は
ジンダイ「ここは二手に分かれて向かった方がいいな。」
バドレックス「では、頼むぞ。」
バドレックスはピオニーを解放しまた何処かに行ってしまった。
ピオニー「・・・ふがっ!?」
ダンデ「ピオニーさん!?」
サイトウ「大丈夫ですか?」
ピオニー「ありゃ?最近すぐ外で寝ちまうぜ!」
シンジ(やはり記憶にないか。)
ピオニー「まあ俺も色々と大変だからよ!お前らもあんま頑張り過ぎんなよ!」
ピオニーはまた何事もなかったように去って行った。
サトシ「・・・兎に角、畑に向かうか。」
ピカチュウ『そうだね。』
サトシ達は改めてニンジンを手に入れるために雪中渓谷と古の墓地に向かうのだった。