原作:summer pockets
タグ:クロスオーバー Rewrite サマポケ summer pockets パロディ 万物全ておっぱいに通ずる キャラ崩壊 作者の遅れた思春期が暴走したものだと思っててくれw そもそもネタ元も滅茶苦茶 乙月杯日
要はみんな静久みたいに『おっぱい』言いまくるんだと思ってくださいwいろいろと滅茶苦茶だと自覚はあるのですが、本編の『乙月杯日』も滅茶苦茶なんでどっこいどっこいですwあくまで僕の遅れた思春期が暴走して作り上げたものですが、少しでも面白いと感じていただければ幸いです!感想を送って頂くとなお嬉しいです!
唐突に語ろう‥‥‥。『おっぱい』は我々にとっては至宝であり、ロマンであり、母性の象徴なんでもござれの万能な存在である。あー、ツッコミたいと目の前の君たちが疼いているのは目に見えてわかる。それはそうだ。唐突に『おっぱい』という単語が現れたのだ。困惑するのも無理はない。これからお見せするのは、ツッコミが全然追いつかない何故こんな時間軸が生まれたのか分からない‥‥‥、そんな世界の物語だ‥‥‥。
~乙月杯日~
「ん~。今日もおっぱいな一日だな~」
‥‥‥。あれ?俺なにか変なこと口走ったような?まあ、いっか。窓から照りつける陽光で目を覚ました俺は、せっせと布団を畳み、リビングへと向かった。リビングには既にうみちゃんと鏡子さんが朝食を食べている。朝食はうみちゃん特製のチャーハン。この島に来てまだそこまで日が経ってないが、朝からチャーハンが日課になっている。とはいえ、やはり朝からチャーハンは流石に重い。二人が俺に気づき挨拶をする。
「おはよう、
「おはようございます鷹原さん。今日もいいおっぱいな日ですね」
!!!!??!?
今、この二人から聞きなれぬ単語を聞いたのだが‥‥‥?
「あの~二人とも、さっきの
二人は俺の質問に首を傾げ、
「もう一度って言われても‥‥‥。おはよう、
「もう一度も何も、ただ挨拶しただけですけど・・・・・・。おはようございます鷹原さん。今日もいいおっぱいな日ですね」
「はい!?」
もう一度聞いても、やはり普段の聞きなれない単語が聞こえた。今、いいおっぱいな日って。
「あの~今おっぱいって言いませんでした?」
「うん、言ったわよ?それがどうしたの?」
「いや、どうしたも何も普段そんなワードを口に出さない二人が、急にそんなお、おっぱいなんて言い出すから‥‥‥」
何か俺は変わった悪夢でも見ているのだろうか?この二人はそんなワードからは縁遠い位置だ。そんな二人がいきなり『おっぱい』という言葉を口にしたのだ。びっくりするのも当然だ。それにしれっと鏡子さんが、俺の名前を静久と同じ『パイリ』なんて言い間違えるもんだから余計に‥‥‥。
「いえ?いつも私たち出してますよ?おっぱい‥‥‥」
「はい?だ、出してるって?」
「だから、おっぱいですよ」
うみちゃんもおかしなことを言い出した。おっぱいを出してるって‥‥‥。何気にすごいワードだぞそれ。
「この島ではおっぱいは普段みんな使ってる言葉よ?何がそんなにおかしいの?」
「いや、おかしいですよ!!おっぱいが普段使ってるって。今までみんながそのワードを使ってるところなんて聞いたことないですよ」
「おっぱいはいつだってみんなのところにあるわよ?」
「いや、そういう意味ではなくて、ていうか鏡子さんなんか静久さんみたいになってますよ?」
さっきの『パイリ』呼びとか・・・・・・。
「その俺の名前とか‥‥‥。ぱ、パイリとか言ってるし」
「だって貴方の名前だよ?ちゃんと『
ええええ~!?正気か?この人は?
「いや、俺の名前『
「いえ、貴方の名前は
それはこっちの台詞だ!俺は鏡子さんたちに何か怒らせるようなことしただろうか?今のところ、そんな記憶は頭にない
が。おそるおそる訊ねてみる。
「あの~お二方もしかして何か俺に怒ってらっしゃいます?」
「ううん。そんなことはないけど、本当にどうしちゃったの?
おかしいのは、さらっと口にしたとんでもワードをさも日常茶飯事だと言い切るアンタたちだよ!
「鷹原さんがおかしいのは、普段のことだとは思いますけど‥‥‥」
「ひでぇ~」
「でも、確かにそうですね。鷹原さん、もしかして熱があるんじゃ」
「ないです!!」
うみちゃんが、俺のおでこに手を当てようとする寸前で、おもわず俺は玄関へ逃げ出していった。『鷹原さん!朝ごはん食べないんですか?』という言葉を無視して、外へ飛び出していった。
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くそ、今日は朝からいろいろと疲れる日だな。さっきの二人といい、『おっぱい』といい、何か今日は嫌な予感がする。住宅街の道路のあちこちで、島民がいろいろ話し合っている。いつも見る光景ではあるが、俺は何か引っかかっていた。その人たちの会話の横を通りすぎるたび、俺の耳の中には、さっきの鏡子さんたちよろしくあのワードが聞こえてくるのだ‥‥‥。『おっぱい』と‥‥‥。
「おはよう、高橋さん。今日もいいおっぱいな日ね~」
「権田さんもおはようございます。確かにいいおっぱいな日ですね」
「私ね!将来はもっとおっぱいなひとになりたいなって思ってるの」
「お前のおっぱいじゃ、まだまだ先なげぇっての」
「今朝のアニメ見た?なかなかおっぱいだったよね?」
「うん!なかなかのおっぱいで素晴らしかったね」
もう、あらゆる言葉の中に自然と『おっぱい』というワードが入っている。そのせいで会話がどれも不自然すぎて聞くに堪えられない。この島はいつから『おっぱい』に溢れた世界になったのだ?俺も自然と毒されているような‥‥‥。俺は急いで駄菓子屋に向かう。駄菓子屋には蒼たちがいる。あいつらならこの島の異常を少しは知っているかもしれない。
「く~ださ~いな!」
「いらっしゃ~い!って
「うっす!
「鷹原も来たのか。うむ、今日はいいおっぱいな日だな」
全滅じゃね~か!まさかののみきが『おっぱい』というワードを口にする日がこようとは‥‥‥。いや、感心してる場合じゃない。
「首を振ってどうした?
「そうね。アンタこの暑さにやられたとか?」
「そんなことない!ってかお前ら自然と俺を『パイリ』呼びすな!」
何故、今日のみんなは俺のことを『パイリ』呼びするかな?もしかして俺は自分が知らないうちに、島のみんなに嫌われるようなことしたのだろうか?
「なあ?俺、みんなに嫌われるようなことしたかな?なんで俺のこと『パイリ』呼びするんだ?」
そんな俺の質問に対して、三人は首を傾げた。
「いや、そんなことないぞ?」
「そうだな‥‥‥。鷹原を嫌うような覚えは全然ないな」
「むしろ、それがアンタの名前でしょ?」
「違うわ!俺は『ハイリ』。決して『パイリ』でも『バイリ』でもない!」
三人は、何を熱くなってんだ?っというような表情をしていた。あ~なんか頭がクラクラする。この暑さでこんなに叫んでいたら、ぶっ倒れても仕方がない。
「まあいい。悪いけど蒼、かき氷くれないかな?ブルーハワイでもなんでもいいから」
「え?ああ、うん。見たところすごく顔真っ赤だし、休んだ方がいいわよ」
蒼にそう言われて、ベンチへ影が入っているところへ腰かけた。ふと、俺はのみきと良一の方を見る。いつも通りの会話を二人はしているが、そろそろずっと俺が感じていた違和感をしておいたほうがいいだろう。違和感?もちろん島のみんなが『おっぱい』を連呼しているのもそうだが、俺が言っている違和感は別にある。良一がさっきから半裸になっているのに、それに反応しないのみきのことだ。いつもなら即座に背後にかけている水鉄砲を取り出し、良一を粛正しているはずなのだが‥‥‥、今回はその動作をしようとしていない。
「なあ、のみき‥‥‥」
「どうした?鷹原。もしかして気分でも悪くなってきたか?それなら‥‥‥」
「いや、それは問題ない。まあ本当はここの『おっぱい』呼びに対してツッコむのも疲れたし、誰かの胸を借りて休みたいくらいだけ‥‥‥ど?」
瞬間、俺以外の三人の表情が固まった。俺、なにかまずいこと言った?
「どうした?なんか変なこと言った?」
すると、のみきが水鉄砲を俺の方へ向けた。
「待て待て待て!なんで銃口をこっちに向ける?向けるべきなのはむしろ良一だろうが」
「なんで俺なんだよ!?」
俺の答えに対して、なぜかツッコんでくる良一。
「いや、お前が半裸だからだろう!普通だったら、いつもそれでのみきに打たれているだろうが!だろ?のみき」
そういって、俺はのみきに視線を送る。だが、のみきが返ってきた答えは‥‥‥。
「いや、良一はいつも通りだぞ。女性のおっぱいは包み隠しておくのが礼儀だが、男のおっぱいは隠そうがさらけだそうが別に構わない」
「そうだそうだ!」
のみきのトンデモ返答に良一が同調する。
「なんだそのルールは!?のみきお前一体――――」
何を言ってるんだ?と言い切る前に、顔面に水弾をぶち込まれた。
「なんで!?なんで俺がこんな目に‥‥‥」
「当たり前だ。鷹原、お前自分が言ったことを思い返してみろ」
「思い返してみろって‥‥‥、本当はここの『おっぱい』呼びに対してツッコむのも疲れたし、誰かの胸ぇ‥‥‥」
『胸』を完全に言い切る前に、もう一発ぶち込まれた。
「だからなんで!?」
「お前がさっき言ったその言葉だ」
「え?さっきの『胸』って言葉で‥‥‥ってうお!?」
再び不意打ちで放った水弾を、今度はギリギリで避けることができた。
「うわぁ~。女の子の前でその言葉を放つとか、恥ずかしくないのかよ
「むしろ女の子に対して『おっぱい』って言うのが恥ずかしいだろ!」
良一にそこまで引かれるほどなのか?『胸』とか『おっぱい』とか限定的な部分では、一緒な意味合いになるけど‥‥‥。
「ななななな、なに言ってるのよ!お、女の子の前でむむ、胸とかよくそんな言葉が言えたわねアンタ」
さっきのやりとりをカウンターで聞いていた蒼が、顔を真っ赤に染め、ぷるぷると振るえながら俺に指さして言う。
「いや、『おっぱい』とか堂々と言っているお前らがよほど恥ずかしいぞ」
「『おっぱい』は私たちの生活でよく使われている言葉だぞ。お前こそなにを言ってるんだ?」
「ヘンタイ!ヘンタイ!ヘンタイ!」
女性陣二人の思わぬ非難。俺はもうただ唖然としていた。のみきが再び俺に銃口を向ける。
「これだけ言われてもまだ反省の色が見えないみたいだな‥‥‥。では、もう一発撃ちこむとするか‥‥‥」
カチャッ!
引き金の音に意識がはっきりしだした俺は即座に駄菓子屋から走り去る。
「あいつ‥‥‥逃がさん!」
バシュッ!バシュン!
後ろから何発もの水弾に追われながら、俺はなんとか逃げ延びた。
「はぁはぁ‥‥‥ひどい目にあった」
それにしても『胸』が下ネタ同等の危険ワードとは‥‥‥。むしろ逆だと思うのだが。かき氷食べ損ねたし、今日は最悪な一日だ。俺はしばらく海岸沿いの道をトボトボと歩いていた。暑さは日に日に増していく。くそ~あの時のみきの水鉄砲の水をワザと浴びとくべきだったか。いや、その時点で俺の意識は飛んでただろうな。
「お~い!
後ろから呼ぶ声に反応して、俺は振り返る。さすがにもう『パイリ』呼びはツッコまない。疲れたし‥‥‥。
「あ~鴎か」
「どうしたの?すごく疲れた顔してるけど‥‥‥」
「ああ、なんか今日のみんなの様子がおかしくてさ‥‥‥」
「ふむふむ‥‥‥おかしいというのは?」
鴎がだんだん俺の顔に近づいてくる。近い。近すぎる‥‥‥。男子校出身の俺にとって、それだけでも恥ずかしいのに。
「ま、まあ~島中のみんながそうなんだけど、『おっぱい』というワードを白昼堂々と言い始めたんだよ」
「なんだ~そんなこと‥‥‥。この島は特にそういうのに有名な島だから、至って普通のことだよ」
「どこが!?」
「それよりさ‥‥‥」
俺のそんなツッコミを気にせず、鴎はスーツケースから何やら取り出した。俺はその取り出したものに思わず目を見開く。
「んな!?鴎‥‥‥お、お前」
鴎が取り出したのは、黒と紫を基調としたブラジャー、そう女性用の下着だ。しかも繊細な刺繍レースが施された上品な大人の女性を感じさせるものだ。思わず目をそらす。
「これ、今日島に来る前に買ったんだけど‥‥‥ってなんで目をそらすの?」
「馬鹿かお前。そそ、そんな下着を男子に見せて恥ずかしいとは思わないのか?」
「何言ってるの?
この島といい、俺の周りの世界は、なぜここまでトチ狂った世界に変わり果てたのだろうか。そんな俺の気も知らず、鴎はさらに俺の距離を詰める。
「ねえ?本当にどうしたの?さっきから顔が赤いよ?」
「だから、そんなに近づいたら‥‥‥む、むぅ、む、ごっほごほ」
『胸』という言葉を言い切る前に、あの駄菓子屋の出来事を思い出して、思わず咳込むふりをする。危ない危ない。危うく同じ轍を二度も踏みそうになった。現在この島にとって『胸』は放送禁止用語同然なのだから。あれ?なぜ鴎さんは頬を膨らませているの?
「出た!謎の発作むごっほ!もうまたそうやって何か誤魔化そうとする~!」
なんだろう?さっきの下着のことちゃんと評価してほしかったんだろうか?無理言うなし。ただ女子に対する免疫がないに等しいのに、そんなまともな評価ができるものか。
「誤魔化そうとはしてない。単に喉に変なものが入っただけだ。それよりお前が買ってきたという下着‥‥‥」
「ん?下着がどうかした?」
「その、お前にあってると思うぞ‥‥‥うん」
「う、うんありがとう‥‥‥じゃなくて!」
突然叫びだす鴎。
「なんだ?下着のことを評価してほしかったんじゃなかったのか?」
「それもそうだけど‥‥‥。も、もう~
「え?」
鴎は不機嫌そうに、再び頬を膨らませる。痺れを切らした鴎は、俺と正面に向き合ってこう言い始めた。
「
「いや、ごめん。本当によく分からないんだ」
「ふ~ん」
鴎は意味深気味に目を細めて、まるで俺に見てみてと自分の胸元に左右の人差し指を使ってアピールし始めた。
「さっきからしきりにここ見てたくせに‥‥‥。そんなに私に言わせたいの?」
「だから何!?」
俺も必死に動揺を隠すも、まるでそんなのお見通しとでもいうような表情で、俺の耳元に近づく。そしてあのワードを彼女は甘く囁く‥‥‥。
「おっぱい‥‥‥」
っと‥‥‥。
「‥‥‥」
彼女が囁いた一言で、俺の思考は一時停止し、そして‥‥‥、
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
何かが爆発したかのように雄叫びをあげて、全力疾走した。それだけ彼女の発した言葉が、鷹原羽依里にとって凄まじい破壊力だったのだ。先ほどの他の人間達が湯水のように言い放った『おっぱい』よりもだいぶ‥‥‥。
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どれだけ全力疾走しただろうか‥‥‥。気づけば灯台のところまで来ていた。喉が渇いてたくせに全力で走ったせいで喉がさらに乾燥して、ちょっとだけ痛くなってきた。くそぅ‥‥‥。アイツがあんなことをい、いやらしく囁くから‥‥‥。本当にやめてほしい。あれ?なんか灯台のほうが騒がしいな。何かあったのだろうか?俺は喉を抑えながら、灯台の方へ行く。
「徳田‥‥‥。今日という今日はケリをつけさせてもらおうか」
「ふん!!所詮無駄な贅肉を好む、哀れな『巨乳派』の分際で我ら誇り高き『貧乳派』にかなうものか」
争っているのは『巨乳派』と思われる天善と『貧乳派』と名乗った徳田という男二人。徳田の後ろには紬もいた。その二人の後ろには、島の大人達や小さな子供達大勢が集まって、『いいぞ!』『もっとやったれ!』とか様々な野次がとんでいた。
「なあ?お前らなにしてんだ?」
「決まっているだろ鷹原。今からこの愚かな『貧乳派』と雌雄を決する戦いを始めているところだ!」
「見てわからないか?よそ者。今からこの忌々しき『巨乳派』と決着をつけようとしているところだ!」
両者とも目からバチバチと火花を散らしていた。どうやら本気のぶつかり合いが始まるようだ。すごく近寄りがたい。
「むぎぎぎぎぎぎぎぎぃ~」
徳田の左後ろで紬が独特の威嚇をしている。徳田と同じ『貧乳派』に属するのだろう。ナニで判断したのかは言わないでおく。
「ふん。どうせお前たちには勝ち目のない戦いだと火を見るより明らかだと思うが?」
「浅はかだな『巨乳派』。おっぱいはデカさがすべてなぞ、そんな時代はとうに終わった!」
「ほーう‥‥‥。ならば聞かせてもらおうか?貧乳の良さとはなんたるかをなぁ?」
すると徳田は、自分の眼鏡を勢いよくとり、後ろへ投げ捨てた。
「ああ!ならば聞くがいい童貞ども!真の『貧乳』の良さをなあ!!」
くだらない‥‥‥。でもまあ、聞いてみるとしますか。
「貧乳は確かに色気としては、巨乳には負けているかもしれん」
「む、むぎゅ‥‥‥」
『色気がない』っという言葉に紬がショックを受けていたが、徳田はそのまま言葉を続ける。
「だがな!飾らない美しさが『巨乳』にはあるのか?そう貧乳は、体のラインからくる美しさを最大限見せることができるのだ!!」
「そ、そーだったんですね。勉強になります」
今まで知らんかったんかい!ならなぜ紬は『貧乳派』に入ったんだよ!そんな俺の心の中のツッコミに気づくことなく、紬さんは嬉しそうな笑顔を見せる。しかし、対する天善は『やれやれ』っと首を横に振る。
「ふん。それは負け犬の遠吠えというものだ。何度も言ったが、巨乳は女性の魅力を大いに引き出す!それにな巨乳は、その柔らかな弾力でどんなものも優しく包み込む包容力というものがある!『貧乳』にはそんな能力は持ち合わせていないだろう?」
「ぐっ‥‥‥」
歯ぎしりして悔しさを見せる徳田に、勝ち誇った笑みを浮かべる天善。端から聞けばこのやりとり、どうあがいてもセクハラ案件だからな。
「あの、聞いてて思うんだけどさ‥‥‥」
「なんだ?鷹原。お前は巨乳の素晴らしさを理解してくれたか?」
「何を云う。こいつは貧乳の良さに心が震えたに決まっている!」
「別に震えてなんていないし、別に俺はどっちだろうがどうでもいい」
「「なっ!?」」
俺の発言に、両者とも膝を屈する。しかし、拳を震わせ両者は同時に立ち上がっていく。そして、二人は俺に殺気立った視線を向けた。
「な、なんだよ?二人とも」
「鷹原‥‥‥。貴様、今どうでもいいと言ったか?」
「我らの戦いを、下らぬと吐き捨てたのか?」
「あ、ああそうだよ!そもそも一体全体お前らどうしたんだよ?他のやつらもそうだが、いきなり『おっぱい』なんて単語をさも日常茶飯事に何度も連呼してさ。頭おかしいんじゃねぇのか?」
暑さと喉の渇きとそれに伴う疲労で苛立っていた俺は、ついにその胸を内を吐き出す。しかしそれが新たな波乱の幕開けだった。まわりの人達がなにやらざわざわしだした。
「おい、こいつ今『おっぱい』って呼ぶの頭おかしいって言わなかったか?」
「『おっぱい』なんて日常茶飯事に使う言葉だぞ。あいつの方がおかしいんじゃないか?」
「これだから都会の男は‥‥‥」
口々に俺に対して、悪口を言い出す。徳田と天善は囲むように俺の近くに回り込む。
「鷹原。『おっぱい』の良さを分からぬ愚か者め!ならば俺がきっちり『巨乳』の良さを一から体で叩き込んでくれる!!」
「うおっ!?」
天善の突然の咆哮に、俺は後ずさる。しかし、後ろには徳田がいることを忘れていたため、徳田にがっちり捕まってしまった。
「そこのシティーボーイ!悪いことは言わん!お前も『貧乳派』に入るのだ。入信すればお前もいつか真の美しさを知ることができる!」
「さあ!鷹原『巨乳派』に入れ!」
「いや、『貧乳派』に入るのだ!」
「え?あっあの~」
ずいずいと俺に近づいてくる二人。その後ろからも『貧乳派』、『巨乳派』の派閥の人間がじりじりと近寄ってくる。これは逃げられないか‥‥‥。
「そこまでよ」
「え?」
その声は集団より遠く離れたところから聞こえてきた。
「し、静久?」
声の正体は静久だった。その横にはしろはもいた。なんか珍しい組み合わせだ。お互い相性が悪い関係だったはずなのに‥‥‥。
「‥‥‥」
「お‥‥‥」
すると天善と徳田が静久を見るなり動きを止めた。それだけじゃない。他の人達もみんな静久に視線を向けている。天善はわなわなと口を震わせ、突然跪いた。
「おっぱい
「へぇ!?」
お、おっぱい
「なあ?静久‥‥‥。みんなが『おっぱい』を言い出したのは静久の仕業なのか?」
俺が静久にそう質問を投げかけると、
「貴様ァ!!おっぱい
「がはぁ!!」
後ろから、天善に後頭部をラケットの側面でどつかれた。
「それに、気安くファーストネームで呼ぶとは!貴様、無礼にもほどがあろう」
徳田からも、俺にファーストネームで呼んだことを糾弾しだした。いや、なんで?元より俺と静久は恋人だし。それにお前らだって恋人関係認めてくれたじゃないか。
「いや、そりゃ俺と彼女とは恋人だからな」
「恋人!?今、貴様は恋人だと言ったか?」
「ああ!お前らも知ってるだろう?」
天善達は俺の発言を、さも信じられないような表情で睨みつけそして再び叫び始めた。
「貴様なに世迷言を抜かしている!!おそれ多くもこのおっぱい
「そうだとも!この恥知らずめ!ほら、早くあの御方に土下座しろ!詫びろー!!」
「ちょっ!?やめ、やめろって」
そういって二人は俺の頭を掴んで、土下座を強要する。するとしろはが静久の前へ出て、
「‥‥‥すぅ」
息を吸い込み、
「どすこい!」
「ぐはっ!!」
「うわぁああ!!」
彼女の『どすこい』で俺を抑え込んでいた二人を吹き飛ばした。なぜ吹き飛んだのかは分からないが、とにかく助かった。
「別に、貴方を助けたわけじゃないから‥‥‥それだけは勘違いしないで」
俺が考えていたことに気づいたのか、しろはは俺にそう告げた。
「それでは、あとはよろしくお願いしますおっぱい
「しろは!?」
しろはからは言わないであろう
「うふっ、ありがとう
「やはり、その言い方はやめてほしい」
そういって、しろはは去っていった。静久はしばらくその様子をみたあと、俺たちの方向に再び向き直る。
「さて、様子を見させてもらったけど‥‥‥」
「はっ!おっぱい
「何を云う貴様!身の程をわきまえていないのは貴様ら『巨乳派』だろう!」
「何だと負け犬の分際で!!」
「おのれ~!!」
再び、筆頭二人の喧騒が始まる。こいつら自分に無礼なりなんなり好き勝手に言ってたくせに、お前らの方がよっぽど無礼だろう。
「はいはい。そこまでにしなさい」
そんな二人の様子を、静久は諫める。彼女の言葉を聞いた二人は即座に取っ組み合いを止め、その場で正座をしだした。
「いい?おっぱいは大なり小なりおっぱいよ。それを大きいほうが至高だとか、小さいほうが美しいとか個人の価値観を他人に押しつけてはダメよ」
「よく分からん」
俺は呆れてそう口からこぼした。それを聞いた天善と徳田はこちらを睨みつけるが、静久が『はいはい』と手を叩いて落ち着かせた。
「貴方達が『おっぱい』に対して、大なり小なり大きさにこだわるのは仕方ないわ。少なくとも私も大きいほうがいいと思ってた」
「そうですよね?やはり大きいほうが至高ですよね?」
静久のそんな一言に、天善は興奮気味にその言葉に同調する。
「でもね‥‥‥。紬と出会ってその考えは変わった。大でも小でもその人の
「おっぱい
紬までもシズクではなく『おっぱい
「それに例え今は小さくても、もしかしたら今後はもっと成長するかもしれないし‥‥‥」
ああ、伸びしろがあるかもしれないってことか‥‥‥。
「言われてみれば確かにです。でも、私は」
「大丈夫よ紬。私はあなたのおっぱいはとても可愛らしくて大好きよ。いいえ、どんなあなたも私は好きよ」
「シズク~!!」
あっ、シズクに戻った。いい話をしているんだろうけど、今の俺は全然頭に入っていない。
「~~~!!お、俺たちが愚かでした~!!」
「お、俺は、例え『貧乳』だろうが『巨乳』だろうがお互いのおっぱいを尊重し続けます!!」
彼女の説得が届いたのか、天善と徳田は涙を流しながらそう答えた。
「今思えば徳田。お前のおっぱいもなかなかに悪くないぞ」
「ふっ、そ、そう言われるとなかなかに照れるものだな‥‥‥」
何を言ってるんだお前らは‥‥‥。今度は男の『おっぱい』を褒め始めた。
「そういうお前も、なかなかにいいおっぱいじゃないか‥‥‥。それこそ白い卓球玉のようにな‥‥‥」
「徳田‥‥‥。それは俺にとって最大の賛辞じゃないか」
賛辞、ではなく惨事の間違いじゃないか。
「我ながら、らしくない誉め言葉を口にしたものだ」
「徳田‥‥‥。和解の握手だ」
「ああ、これからは何事も相手の価値観をせず、おっぱいを称えあおう」
「ああ、もちろんだ‥‥‥」
そういって、なんだかんだで二人は和解した。
「そうよ。
「渾身最大の迷言じゃねえか」
「おお!素晴らしい」
「どこが!?」
天善は彼女の名(迷)言に感動の涙を流していた。徳田や他の面々もそれに同調する。
「よし!みんな、我らが讃えるおっぱい
徳田の一言で、全員がおっぱい
「「「「「おっぱい
「うふふっみんなありがとう」
みんなの歓声が俺の頭に響き渡る。やばい‥‥‥。さっきから水分を摂ってないせいで頭がクラクラする。全然頭に入ってなかったのもそのせいだ。
「ううっ‥‥‥」
やがて、俺は崩れるようにして倒れ、俺の意識はそこで途絶えた。
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「んっ‥‥‥」
目を覚ますと、俺は自分の部屋にいた。
「あれ?あれは夢だったのか‥‥‥」
でなきゃ、あんな世界が現実なんてあって困る。あったら俺は即刻荷物をまとめて本土に帰っているところだ。まわりはもう夜が明け始めたばかりだった。
「~~~」
ふと、俺の横から布団がこすれる音が聞こえた。俺は慌てて横を見る。そこには大きいウシの着ぐるみらしきものが‥‥‥。
「し、静久!?」
「あ、パイリくんおはよう‥‥‥」
大きなウシの着ぐるみの正体は静久だった。それでそのウシは着ぐるみではなく静久の寝間着だ。俺の声で目が覚めた静久は、即座に布団から起き上ってう~んと大きく背伸びをし始めた。背中が微かにポキポキっとなる音が聞こえた。
「あ、そうか俺たち台風が来るから、寝泊まりしてたんだったっけ?」
「そうよ?どうしたの?」
ふと俺の顔を覗き込む静久。昨夜は台風に見舞われて帰る船が全面欠航になってるし、灯台にいるとどうなるかも分からなかったから、加藤家で静久と紬を泊めてるんだった。ちなみに紬は、俺たちのいる部屋から隣の部屋だ。
「ああ、ごめん。ボーっとしてただけだから」
「そう?ひどい汗だけど‥‥‥?なんか悪い夢でも見てた?」
「ああ‥‥‥」
俺はみんながしきりに『おっぱい』を連呼する夢を見たなんて言えない。言ったらまあ静久は嬉しそうに『なら、それはいい夢ね』とか言いそうだが‥‥‥。俺としてはいろいろと疲れる夢だった。
「なんでもないよ?」
「パイリくん」
「はい」
「嘘は?」
「禁止です‥‥‥」
そうだ。嘘は禁止‥‥‥。この夏休みで紬と静久俺の三人で交わした約束だ。俺は仕方ないとため息を吐きながら、今回の夢の話を洗いざらいに打ち明けた。
「そう‥‥‥。ふふっ、それはいい夢ね」
「言うと思ったよ‥‥‥」
「でもいきなり他のみんなが私と同じになったら、さすがの私もちょっと混乱するわね」
「意外な答えだな‥‥‥」
確かにいつも『おっぱい』を日常茶飯事に使ってる静久でも、みんながそれを言い出したらそりゃ反応に困るもんな。
「さて‥‥‥。風も収まってきたし、紬を起こして海の家の様子を見に行きましょう」
「おっとそうだな。それじゃ、起こしに行きますか」
「うん」
俺たちは紬を起こすために布団から立ち上がる。部屋を出る直前、ふと俺の横を光る何かが通ったような気がしたが、俺は別に気にしなかった。それからはもう、あの奇妙な夢を見ることも、その時の記憶も一切忘れていた。