みほがエリカに勇気を出して告白する話。
誰もいない戦車格納庫に私はいました。ある人に思いを伝えるために彼女が来るのを待っています。その間に格納庫の中をうろうろと歩き回りながら、頭の中でずっとシミュレーションしていました。でも全然自信がありません。何回やってもうまくいく様子が思い浮かびません。だんだん弱気な心が大きくなってきて、逃げだしたい気持ちが強くなってきた時でした。あの人がやってきました。
「呼び出したのはあなたかしら、西住さん」
逸見エリカさん。普段はクールで物静かな人ですけど、戦車に乗っている時はとても苛烈であり、決断的な判断力をもっています。また、周りに流されず言うべきことははっきりと言うことができる強い意志の持ち主です。なによりとても優しい人です。これまでも困っているところを何度も助けてもらったことがあります。そんなエリカさんにいままでひそかに思いをはせてきたのですが、ついに勇気を振り絞って思いを打ち明ける時が来ました。
「はっはい、ごめんなさい。お休みの日にわざわざ来てもらって」
「それは別に構わないけど。それで要件はなにかしら?」
「あ…あの、えっと…」
ダメです。いざ本番になると緊張して全然言葉が出てきません。シミュレーションしているときでもうまくいかなかったのですから当たり前なのかもしれません。それでもなんとか言葉を紡ごうとしてみます。
「用がないなら帰ってもいいかしら。」
「あっ…まっ…」
何の用で呼び出したかは知らないけど西住さんには少しがっかりしたわ。普段からおどおどとしててはっきりとしゃべる方ではなかったけど、ここまでとはね。無駄な時間を過ごしてしまったけれど、気持ちを切り替えていかないといけないわね。まだ今日の自主練のノルマが残ってるし、さっさと帰るとしましょう。そうして、踵を返して歩き始めた時だった。
「まっ、前からずっと好きでした、私と付き合ってください!」
「えっ…」
ついに私はあこがれの人に告白をしました。
それからの時間はとても長く感じるものでした。実際には1分にも満たない時間だったかもしれませんが、私には
永遠のように感じられました。その間エリカさんの表情を見るのが怖くて、勢いよく下げた顔を上げられずにいました。そうやってずっと顔を上げずにいた私にエリカさんは冷たい声で言いました。
「顔を上げてちょうだい」
おそるおそる顔を上げると冷たい表情のエリカさんがいました。
「気持ちは嬉しいけど、今はあなたの気持ちに応えることはできないわ」
「…そうですよね。わざわざすみませんでした…」
こうなることはわかっていました。成功するはずがないと。もともとダメもとでの告白のはずでした。でも、もしかしたらうまくいくかもしれないと心のどこかで思っている自分がいました。
沈み続ける気持ちのままでなんとか体を動かして立ち去ろうとしていたら、エリカさんは肩をつかんで呼び止めてきました。
「ちょっと待ちなさいよ。まったく、話を最後まで聞きなさい。」
「え…でもダメ、なんですよね…」
「あなたのこと何にも知らないんだから、当たり前でしょ。だから、今は気持ちに応えることはできないって言ったのよ。」
「もっとあなたのことを教えてほしいの。正直驚いているわ、だってこんな積極的に来るなんて思ってもみなかったもの。」
「え、じゃあ…」
「まずは友達から始めましょう。そして、いつか私を好きにさせてね。みほ。」
「はっはい。頑張ります! エ、エリカさん。」
こうして私の告白は終わりました。これが失敗なのか成功なのかはわかりません。ですが、必ずエリカさんに好きになってもらいます。そして、いつかこの告白を成功だったと思えるようにしてみせます!