この素晴らしいセシリーさんにも貢物を!   作:ツーと言えばカーな私

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紅魔族とアクシズ教を混ぜると少し溶けるが反発し合う

 冒険者達に担ごうか?と聞かれたがもう身体の痛みにも大分慣れたので、心配ないと伝えた。

 

「にしても、本当に今回のクエストは死人が出なかった事が奇跡だよなぁ」

「あぁ、あんなもんに戦ってたと思うとゾッとすんな」

「それもこれもプリーストの兄ちゃんのお陰だな」

 

 ああ、だな。と周りの冒険者も同意する様頷く。

 どうやら私の評価はこの戦いで大分上に属したらしい。

 このままパーティを組んだりしないだろうか…そろそろ仲間と一緒に冒険してみたいものだが…。

 

「にしても兄ちゃんその歳でもう結婚してんだなぁ?」

「かぁー、強い上にその歳で結婚済みとは…エリス様も平等じゃねぇや」

「なあなあ、する事は済ませてんだろ?どんなもんなんだよ、シスターの穴っつうのはよぉ……」

 

 失礼な事を聞いた金髪冒険者には1発パンチを食らわせ吹っ飛ばす。

 それを冒険者達は『あーあ…あの馬鹿野郎…』と蔑んだ目でそいつを見始めた。

 どうやら大分顔を知られているらしい。

 

「……ッテェな!聖職者がそんな簡単に暴力振るうんじゃねぇよ!」

「私は魔法よりも物理が得意なプリーストでね。それに聞いた君が悪いからね?」

 

 今度言ったら抱くぞ?と脅すと金髪の冒険者も周りの冒険者も顔を青ざめて一歩退いた。というか金髪冒険者は仲間の元へ尻を抑えながら逃げた。一体何を勘違いしたんだろうか、抱きしてめて背骨を折るぞという脅しなんだからただ逃げるだけでいいのに、何故尻を抑えたんだ…。

 

 帰ってる途中、チラチラと視線を向けてくる紅魔の子達が居たが、その時は珍しく私も疲れていたので、申し訳ないと思いながらも、何か反応する事もなく無視してしまっていた。

 

 

 

 ギルドに帰ってからは当たり前のように宴会が開かれた。

 今回の悪魔討伐は上級悪魔だという事が分かっていたので多量の額が用意されており、今回の討伐クエストに参加していた冒険者はそれなりに財布が潤った様だ。

 

 私も初めて宴会に参加して、初めて酔った。

 ビールとは違うんだろうが、あのシュワシュワというものは美味しかった。冒険者の間でも人気が非常に高いらしい。今度セシリーに飲ませてみよう…まあ、私より年上の彼女なら既に飲んでるかもしれないが。

 

 まだ友というわけではないが同業者仲間とこうやって馬鹿みたいに騒ぐのも悪くない…そういえば途中から参戦してきた水色の髪の子は素晴らしい宴会芸を見せてくれた。驚きと楽しさから酔いが更に回ってその女の子と一緒に共同宴会芸なんか披露して楽しかったなぁ…。

 こういうのは前世じゃあんまりなかった事だ。いやまあ、学校の文化祭の時はこんな感じで馬鹿みたいに騒いでいたが、酔いからくる程よい気持ち良さも相まってこっちの方が楽しい気がする。

 

 

 

 教会に帰るとセシリーが出迎えてくれた。まあ、教会に住んでいるのはセシリーと私だけなんだからそうなるのは当然だが。

 因みに地の文ではこんな感じだが実際は凄い酔っている。

 

「おかえりなさ…って酔ってるんですか?」

「えへへ…セシリーおねぇひゃん酔っちゃっだー☆」

「くぅーっ!もう、ズルイですよ!宴会あるなら私も誘ってくれれば良かったのに!私が最近めぐみんさんから預けられた黒猫に火を吹く芸を覚えさせたから見せたかったのにぃ!」

「ごみぇんごみゃん…あ!ほうら!ちゃーんと、あくみゃ、ぶっきょろしちぇきたよぉ〜」

「本当ですか!やったー!!」

 

 自分の事のように喜んでくれたセシリーに連れられ、いつも食事を摂っている来賓室に行くとセシリーがお酒を持ってきた。

 

「さあ、今日は飲み明かしますよ!アクシズ教は宴会が大好きなんです!それなのにカズトさんってば私の事を呼ばないで宴会しちゃうなんて酷いですよ!今日はとことん付き合ってもらいますからね!」

「アハハ!私だってこんなだきぇどまだまだいきぇるよぉ~」

 

 たった2人だけだけど教会の中でどんちゃんした後は、夫婦揃ってデロンデロンに出来上がっていた。

 セシリーが酒に強かったのは意外だった…まあ後で聞いたら普段から飲んでるから慣れたというだけの事だった。

 お酒って慣れるものなのかな…。

 

 

 

 朝になればセシリーと私は半裸で寝ていた…。

 !?

 何故半裸で寝ているのか気になるが…なんだろう、絶妙に雑に脱いだ嫁の姿がエロ美しい。…見たいところを見せない男を誘う姿に思わず欲情してしまう…いや、落ち着け。まだ、その時じゃない。流石に朝からはキツイ。

 

 ……にしても何でこんな状況に?

 いや……私とセシリーの事だから野球拳でもやって途中で寝てしまったんだろう。

 というか、だいたいそんな感じな気がする。

 

 

 しっかりとその姿を目に焼き付け脳の記憶にこびりつかせている最中に、セシリーの可愛い寝言を聞けたり、微笑んでる顔を見れたり、声を聞けたので更に私のテンションは上がった。

 

 なんとなくほっぺを触りたくなり、体が完全に冷え切るまでずっと嫁の柔らかいほっぺをムニムニしていたのも至福だった。

 やってる途中、流石のセシリーも目覚めてしまったけどなんか互いにほっぺをムニムニするという不思議現象が起こってそこからは完全に気分がHighになっていた。

 

こんな感じに。

 

イ''ャ''ァ''ァ''ァァァァ!!!があいいいいいいいいいいいいいい!!!!とうどぃぃぃいいいいいいい!!!結婚してぇ''え''ぇえええええええええ!!

 

 

 自分でも後から聞いたら引くくらい心の中で騒いでいた。

 でも出来るならあんな事を毎日していたいと思っている。彼女のもちもちとしながらも張りがあり、絶妙に滑らかで肌理細かい肌の感触を感じながら、この世で最も美しい宝石よりも確実に、断然に、煌びやかな碧い双眸を目の前で見つめられるって何その至上天国。

 もし、いつでもセシリーのほっぺをムニムニする権利が買える競りがあったら20億エリス払ってでも手に入れるのに…。

 

 そういえば結婚してから朝みたいな甘々なカップル行動なんてした事なかったことに気づいた。

 大体やってるのって設定ありの性行為だったし……どれだけ特殊な環境にいるんだろう私たち。

 

 

 暫く互いのほっぺをムニムニしていると、セシリーが目を瞑って口を少し前に出してきた。

 私はそれに応じるようにセシリーと唇を重ねる。彼女のぷっくりとした柔らかい唇の感触が伝わり、ほのかに甘い味がした。

 何度かしてきたキスだが、ここまでさっぱりとした気持ちのいいキスは今回が初めてな気がする…。

 セシリーの頭を優しく撫でると彼女は更に嬉しそうな顔をした。

 

 

 流石にずっと半裸では冷えたので服を着て朝食を摂ることにした。

 朝食を作っている最中、朝の私の行動に疑問を思ったのかセシリーが聞いてきた。

 

「そういえばなんで私にあんなことしてたんですか?」

「いやー、だって私たちって結婚してからそういう甘々な行動なんてしたことないじゃない?やってみたいなぁ…って、それにセシリーのほっぺムニムニするのって普通に気持ちいいからさ」

「へー。じゃあ、私のほっぺを触りたかったらセシリーお姉ちゃんって、言ってくれれば触らせてあげてもいいですよ?」

 

 ニヤニヤと聞いてくるセシリーが狂おしいほどに好きだった。

 

「そういうとこ大好きだよ。セシリーお姉ちゃん」

 

 私はなんの躊躇もせずにセシリーのほっぺを触った。また柔らかい感触が手に伝えられる。それだけで顔が緩む。

 自分から言ったのに少しだけ驚いているセシリーに更に意地悪したくなって、ほっぺを触っている途中で耳元に口を持っていき…

 

 かぷっ

 

「ひぇ!?」

 

 甘噛みをした。

 突然のことで可愛い声を出すセシリーを無視しながら時折圧力を変えて耳をハミハミしたり、ほっぺをムニムニしたりした。

 どちらも柔らかくてすべすべしている。耳に関しては甘く感じた気がした。

 

「あっ…♡…んっ…♡…ちょ…か、カズトさん…?み、耳は…っ…や、やめ……あっ…♡…でもこれはこれで…んっ…♡…悪くないかもっ…♡」

 

 少しの間、抵抗したセシリーだったが、何かハマったのか今では放置状態だ。

 耳元からセシリーの喘ぎ声に近い何かがずっと発せられるが、私は遠慮なく行為を続けた。

 いつも場のペースをセシリーに譲ってる分、こうやって自分が優位に立てる時は純粋に楽しいし、セシリーが可愛い反応を見せてくれるのだ。今回はセシリーの弱点は耳だということが分かった。

 

 自分が満足するまでハミハミと甘噛みを続け、終わった頃には料理も完全に冷え切り、セシリーは息が絶え絶えだった。

 少し怒られたが、またいつかお願いします…と言われたので私はご満悦だ。

 女神さまからの要望に応えない訳がない。

 今度は私がからかい気味に『今からでもいいんだよ?』とニヤついて言うとセシリーは顔を赤くして『今はいいんです…!』と少し涙目で言ってきた。彼女は普段から考えられない程に責めになった時は弱い。それがまた、愛おしく感じる。

 

 

 冷え切ってしまった料理を食べ終わった後はいつも通り教会内の清掃を行った。

 セシリーは布教しに行ったが…私が婚姻届を描いた時と同じことをしてるんだろうか…変な男に引っかかってなければいいな…と想いを寄せながら箒を振るう。…今思ったら、私以上に変な奴は中々いないな。

 

 集めたゴミは邪悪なエリス教徒がのさばっているエリス教会にでも撒いておけばいいですよ、とセシリーは言っていたがやはり宗教争い故なんだろうか。セシリーの命令ならば絶対従わなければならないのだが、やはりまだアクシズ教徒になり切れていない私は良心が痛む。

 ……いや、まあやるんだけど。

 

 私は掃除し終えた部屋を後にしてエリス教会まで赴くと、なんの躊躇もしないでエリス教会の窓に向かってゴミ袋を投げ込んだ。

 

 バリンッ!

 

 けたたましく鳴り響くガラスの破片の音と共にゴミ袋が破れ、中に入っていたゴミが溢れ出し、異臭が漂ってくる。

 

 

 ドタドタドタドタッ!!

 

 何やら激しい足音がしてきたので自前の身体能力に物を言わせてその場から逃げる様に走った。

 

「オラァッ!!出てこい!邪教徒ォォ!!もう宗教戦争でもなんでもおっぱじめようじゃないのよぉぉ!!」

 

 

 

 

 …ここで説明しておくが、この街のエリス教会はかなり人目のつく場所に建てられており、アクシズ教団がエリス協会に嫌がらせをしている風景は半ば定期的に行われるちょっとした小さなイベントの様なモノになっている。今回カズトが行われたことについて最初、街の住民は『また新しいアクシズ教徒が来やがった…』くらいの反応しかなかったが、ゴミ袋が強化されたガラスの窓を突き破るとは思っておらず、目を見開いていた。ちなみに、なぜ強化ガラスが貼られているか言えば頻繁にアクシズ教徒が石を投げ込んでくるからである。セシリーもその中の代表格であった。

 

 そして、人目が多いという事は…

 

「何やってんですかあの人…まあ、アクシズ教徒ですからね…やりかねませんか…」

 

 何処かの爆裂魔法が大好きな紅魔族にも見られているかもしれないという事だ。

 

 

 

 

 怒声が聞こえなくなった……上手くに逃げ切ったらしい。

 あのエリス教会の管理人の女性も優しい人なんだがどうもアクシズ教が絡むと短気になる。あと性格が悪魔とか言うとキレる。貧乳野郎とか言っちゃうともっとキレる……あれ?やっぱり優しい人じゃない?

 

 だが、まあまともな聖職者をやってるからには優しい気質なんだろう。

 私たちアクシズ教徒がそれを完全にぶち壊しているが…。

 

 アクシズ教会に戻るとまだセシリーは戻っていなかった。

 あらかた掃除も終わってしまったので正直暇だ。

 今から適当なクエストをしに行って時間を潰してもいいが、今日はセシリーに『おかえり』といいたい気分である。

 いつもいつも『おかえり』を言われるのは私だからだろうか、セシリーに『おかえり』と言いたい欲求がある。訳の分からない思考だが本当にそう思ってしまっているから仕方ない。

 

 夕食を作るにしてもセシリーがいつ帰ってくるか分からないし、そもそも作るの早すぎるし…あぁ、暇だなぁ……。

 

 と、考えていた時に不意に扉が開いた。

 

ギィィ…

 

「おかえ……」

「すいません。カズトというプリーストの方を探しているんですが…」

 

 危うく知らない誰かに『おかえり』と言おうとしてしまったがなんとか踏みとどまった。

 扉の方に目を向ければ、昨日の悪魔討伐の時に悪魔と共に私の腕を吹き飛ばした紅魔の子1だった。

 取り敢えず何か私に用があるようなので話を聞いてみることに。

 

「やあやあ、昨日の悪魔討伐はお疲れだったね。昨日は大活躍だったじゃない。流石は紅魔族だね!…それで、どうしたの?こんな時間に…って訳でもないけど」

「どうも、昨日ぶりです。実は昨日の事を謝りに来たんです。…治ったとはいえ私は貴方の腕を消し飛ばしてしまったのは事実ですし…」

「別に気にしなくていいですよ?確かに痛かったですけど生きてますし、今でも妻と一緒に過ごせてますし、面白いもの見せてもらいましたし…こっちの方から礼を言いたいぐらいですね」

 

 そう伝えると少女は少し困惑した。

 

「え、いや、そんな軽く?もっとこう…神妙とした感じで言うことじゃないんですか!?」

「別に腕の一本くらい大したことじゃないよ。ウチの妻のためだと思えば私は心臓をドブに捨てられますからね。まあそれ以外だったら普通に嫌ですけど」

「その貴方の妻にだって会えなくなるかもしれなかったんですよ!?」

「私の判断でしたからね。それに絶対生き残るって自分を信じてましたし。終わりよければ全て良しってヤツですよ」

「……なんだか謝ってる私が馬鹿みたいじゃないですか…」

 

 そう言って紅魔の子は少しだけ項垂れた。

 まあ、この年頃の子の出来事としては割と大きなものだったんだろう。それをあっさりと流された形で終わらせてしまった私はこの子から多少恨まれてもしょうがない。

 

「一応…貴方の妻の方にも謝罪をさせてください…貴方はよく思っていても貴方の妻はよしとしないかもしれないので」

「別にいいよ。けど彼女もそこまで気にしてないんじゃないかな(ていうか言ってないし)…というか逆に君の方が気をつけてね」

「?」

 

 私の言葉の意味が分からずに紅魔の子は首をかしげる。

 私としては彼女がセシリーに出会った瞬間に抱きつかれて困った表情を浮かべる情景が容易に浮かぶのだが、彼女に分かる術はない。

 

 そういえばおかしな言動が多いとされる紅魔族だが今のところ特に目立った言動はない。

 アクシズ教といい勝負だと揶揄されるくらいのはずだったから気になってたんだけど…まぁ、いいか。

 あ、でもそういえばこの子の名前をまだ聞いてなかったな。

 この際聞いてしまおう。

 

「そういえば、君の名前を聞いてなかったね。君の名前ってなんて言うんだい?」

 

 極々自然に聞いたつもりだが、紅魔族の子は私の言葉を認識すると多少気分が上がったようで紅い瞳が輝いた。

 眼球って光るものだったっけ?

 

「この雰囲気に流されててっきり名前を名乗れないのかと思ったのですがいい機会です!貴方に教えて差し上げましょう!我が名はめぐみん!アークウィザードを生業として爆裂魔法を操る者!!」

 

 あぁ~おかしな言動ってこういう事ねぇ…。

 ポーズを決めながら盛大に自己紹介をしためぐみんに(それをした度胸も含めて)賞賛の意を示して拍手を送る。

 

「なんだか素直に受け止められるのは新鮮ですね……今までコレをやると外の人たちは苦笑いか失笑か、顔を顰めるかの三択でしたから」

 

 紅魔族というものが少しだけ理解できた気がする。

 

 話し相手も出来たのでセシリーが帰ってくるまで2人で時間を潰していようかと考えて無難に言葉を選んでいたところ、めぐみんの方から話しかけてきた。

 

「そういえば、カズトさんは昨日ギルドで『冒険者になってからという意味でもアクシズ教徒になってからという意味でも日が短い半端者』とかなんとか言ってませんでしたか?」

「あぁ、言ってたね」

「実際のところ、冒険者を始めてどれくらい経ってるんですか?」

「ん~……大体2週間くらいかなぁ」

「2週間ですか……え?2週間?」

「そうだよ?因みに王都に行ったのが2日目あたりかな」

「いやいやいやいや、おかしいでしょう!?」

 

 めぐみんは『何言ってんだコイツ』という表情でカズトを見る。

 

「あ、それとアクシズ教徒になったのが1日目ね」

 

 それを無視して発言したカズトの言葉から、少しだけ納得した反応を示した後に可哀想な人を見る目に変わった。

 なんでそんな視線を向けるのかカズトは分からないが…取り敢えず耳を傾けた。

 

「道理で……アクシズ教徒になってしまったからこの人は……というかアクシズ教徒達はこの人のような方が?……だからデストロイヤーが通っても……成る程…」

 

 何か一人で色々と納得しているめぐみんに声をかける。

 というかデストロイヤーっていう物騒な響き何?ゴジラでもいるの?

 

「めぐみんさんは冒険者になってどれくらい経ってるの?」

「え?あぁ…そうですね、冒険者カード自体は紅魔の里で幼い時に登録していたのでそれを含めると長い期間になりますが…冒険者の活動を本格的に始めたのは大体1ヶ月くらい前です」

「じゃあ、私からすれば君は冒険者としての先輩な訳だ」

「む。今『先輩』と呼びましたか?」

「うん。呼んだけど…気に入らなかったかい?」

「いえ全然!むしろ私の事を今後『先輩』と呼んでくれても構いませんよ!」

「そう?じゃあ。先輩、これから宜しくね」

「ええ!任せなさい!なんなら今からでも適当なクエストに行って我が爆裂魔法を素晴らしさを教えてあげましょうか!!」

 

 何か琴線に触れたのか先輩が興奮している。

 さっきまで自分から私の妻に謝ると言っていたのに…というか目が紅く光るのはなんなんだろう?猫か?

 いや、多分違うんだろうな。

 

「落ち着いて下さいよ先輩。私の嫁に会って謝るんでしょう?」

「ハッ!?そうでしたそうでした…私としたことが…つい……」

「つい、って言うほど軽くない気がするんだけどな…客観的に見たら…まあ、その爆裂魔法の素晴らしさはこの身で実際に体感してますからよく分かってるつもりです」

「あぅ…すみません。謝りに来たというのに…こんなはしゃいでしまって」

「いや、感情の起伏激しいですね先輩」

 

 そのまま明らかに歳下のめぐみんを先輩呼びをする事が確定したカズトは、感情の起伏がやたらと激しいめぐみんを多少揶揄いながらセシリーの帰りを待っていた。

 何気にこの世界でまともに話したのはスズさんとセシリー、王都でお世話になったセナさんくらいしかいない彼にとって地味に楽しい事であった。

 そして、楽しい時間というのは意外に早く流れるものである。

 

「♪~♪~」

 

 どこか聞き覚えある鼻歌を聞こえて来てカズトは表情を緩ませる。

 その反応からめぐみんはこの人の妻が帰ってきた事を認識した。

 

「たっだいま~!」

「おかえり。セシリー」

「すみません…お邪魔して……え?…セシ…?」

 

「キャ~~~!!めぐみんさんじゃないですか!なんでアクシズ教会に?…そうだわ!これはきっと朝から夕方まで布教を行った私へのアクア様がくれたご褒美ね!きっとそうよ!感謝します!アクア様!!可愛いロリっ子に出会えるなんて…私、幸せです!!」

 

 固まった先輩に問答無用で抱きついたセシリーに笑みを浮かべる。

 想像通りの光景すぎて笑うのは仕方ないと思うんだ。

 

「も~~!なんでカズトさんは知らせてくれなかったんですか?めぐみんさんがアクシズ教会に来てるって言われたらすぐ様帰って抱きつきに行くのに!もー、意地悪ですね!」

「いやー、ごめんごめん。後でところてんスライム食べさせてあげるから許してよ」

「私、食べ物で釣られる程軽い女じゃないですよ?」

「最初に顔で求婚して来た可愛い女はどこの誰だったっけね?」

「…さぁさぁ!めぐみんさん!アクシズ教会に来たって事はアクシズ教徒になりたいのよね?そうよね?お姉ちゃん否定なんて絶対しないわ。むしろ喜んで貴方をアクシズ教に迎え入れてあげるからね!」

 

 私の言葉を聞き流した可愛い嫁が早速勧誘へと移った。

 彼女の胆力の強さというか強引さはアクシズ教じゃ誰もが持ってるんだろうか。

 まだセシリーと元アクセル支部の管理長に結婚式で食べ物目的で来た連中以外にアクシズ教徒に会っていないから分からないが、アクシズ教徒が一体どんな人種で構成されているのか非常に気になる。

 いずれセシリーが前に住んでいたアルカンレティアという街に行ってみるのもいいかもしれない。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!」

「あら?どうしたのめぐみんさん?」

「え、カズトさん!?まさか貴方の妻とはこの人の事ですか!?」

「酷いわめぐみんさん!私たちあんな事やあんな事をした仲じゃない!気軽にセシリーお姉ちゃんって言っていた貴方はどこに行ったの?」

「そんな事一度たりとも言ってませんよ!?それに、お姉さんと特に何かした覚えはないのですが!」

「えぇ!そんな!」

「そんな…!じゃありませんよ!」

「ぷっ…アハハハハ!」

 

 二人のやり取りが面白い物だから遂に吹き出してしまった。

 前世でこんな面白いやり取りが他にあったかな?

 というか二人は普通に美少女の部類に入るからなぁ、普段見ない光景からくる笑いかも知れない。

 

「わっ、カズトさんが笑ってるわ珍しい」

「え?この人そんなに笑わないんですか?」

「結婚してからだと一度も笑った事ないですね。微笑むっていうのなら何度でもあるんですけど」

「アレ?そうだったかな?私って結構笑ってると思うんだけど」

 

 戦闘中とか特に。夜枷や枕を共にした時なんかも結構笑って…あぁ、そっちが微笑んでる方か。

 というかセシリーが何かと面白い行動する度にもいつも笑顔で見守ってたり、普通に笑い転げたりして結構笑ってると思うんだけどなぁ。

 どうやらセシリー目線では私は表情筋を動かさないタイプの人間認定されていた様だ。

 

 

 

 そして、そんな会話を経て本題を話し始めためぐみんはセシリーに昨日の悪魔の一件で私が本当は片腕を失っていた事、最悪命を落としていた事、そしてそれをやったのは自分だと説明し謝罪した。

 めぐみんから真面目な顔つきでそんな事を言われたセシリーに関してだが……。

 

「なんだ。そんな事だったのね。珍しくめぐみんさんが真面目な顔で言うから世界でも終わるのかと思ったわ。…確かに私の大切な夫の片方の腕が消し飛んじゃったっていうのは驚いたけど、生きていれば問題ないわ!だって、そんな彼を愛せばいいだから!めぐみんさんは心配し過ぎよ?でも、貴方くらいの年齢なら仕方ないのかも知れないわね……そんな時はお姉ちゃんの胸で泣いたりしてくれてもいいのよ?どう?お姉ちゃーんって言いながら私の胸に飛び込んでみない?」

 

 途中まで大人のお姉さん…または聖職者として正しい言動をしていたセシリーだが、やはり根はブレなかった。

 途中で自分の願望を混ぜ込んでしまって真面目な話が真面目な話じゃなくなってしまった。

 

「途中まではプリーストぽかったのに…でもありがとうございますお姉さん…お陰で気分が楽になれました」

「お姉ちゃんって呼んでもいいのよ?」

「……カズトさんもありがとうございました」

「いいよ、本当に気にしなくて。あ、でもたまには懺悔とかしに来てもいいんだよ?ぶっちゃけエリス教会の方に人が流れちゃってアクシズ教会は常に暇だからさ」

「……たまに顔を見せます」

 

 なんだかどちらも歯切れが悪い返事だが、別に気にはしない。

 紅魔族だろうとアクシズ教徒を相手にするのは疲れるんだろう。私的にはどちらの相手も楽しいのでいつまでも続けられる自信があるが、先輩には酷な様だ。

 

 先輩がそろそろ自分が泊まっている宿に帰ると言うと、セシリーが一緒に寝泊まりしたいと言い出した。

 しかし先輩からの返事はNO、罪の償いとして最低限の願いは叶えるつもりらしいのだが、二人分の宿代は払えるかどうか怪しいらしい。

 なら私が出せば?とセシリーが容赦なく言ってくると、私は喜んで出すことにした。

 先輩は戸惑ったが、私としては嫁にいい思いをしてもらいたいのが本望なので、払うことが決定し、どうせだからと私もその宿で泊まることになった。

 

 

 

 

「ひゃほう!めぐみんさんの温もりだわ!」

 

 宿のオーナーに金を渡してめぐみんの部屋に入ってみれば早速セシリーが動き出した。

 やはりロリには目がないんだろう。確かショタよりもロリ派と前に自分で公言していた。でもどちらも同じくらい好き、とちょっとよくわからない好意の基準をしていたが……まあ、それほどテンションが上がっているということだ。

 即座にめぐみんが寝ていたであろうベッドにダイブしシーツなどの匂いを全力で嗅いでいる姿は子供らしくて可愛らしいとも思うし、見た目からの多少のギャップで更に可愛く見える。

 

「子供ですか!?というか気色わるいのでやめてくださいよ!?」

「可愛い」

「ちょ、これを可愛いと言いますか貴方は!?」

「言うよ?逆にこれを可愛いと言わないでなんて言うの?」

 

 私の発言にドン引きした様な表情を見せる先輩を気にせず今日の寝床について話した。

 

「今日私は床かそこのソファーで寝るよ。二人はそのベッドで一緒に寝てていいよ」

「え?今その話するんですか?…まあ、いいですけど。……一応、客人なんですし今日は私がベッド以外で寝ますよ。どうぞ二人で仲睦まじくベッドの方で寝てください」

「それも魅力的な話だけど、妻が先輩と寝る方が幸せそうなので私はそこのソファーで寝るよ」

「さっすがカズトさん!話が分かるわね!」

「そうですか?……本音を言えばこのお姉さんとあんまり一緒に寝たくないんですが……」

「一緒に寝ましょうよー!めぐみんさん!それと私の事はお姉ちゃんって上目遣いで言ってきてくれないかな?」

「そういえば、夜を食べてませんでしたね」

「そういえばそうだね」

 

 さらっとセシリーの発言を無視した先輩に苦笑いしつつも夕食の事を考える。

 夜は教会の方で食べようと思っていたけど、流石にこの状況で教会に帰るのはめんどくさいよなぁ……。

 

「あ、この宿屋で食事のサービスとかないの?」

「あ!ありましたありました!全く利用してないので忘れてました」

「え、利用してないの?」

「はい、泊まるだけの料金も結構ギリギリで…食事なんて出来なかったものですから」

 

 チラチラとこっちを見てくる理由が手に取るように分かるのは先輩の本質を理解したからだろうか、それともただ単に先輩が分かりやすいからだろうか。

 

 まあ、特に気にもしないで金払って飯食って、その後に普通に寝ちゃったけどね。

 

 因みにソファーで寝ていたはずなんだけど…何故かベッドの上で寝ていた。

 お陰でめぐみんに朝起きた瞬間に爆裂魔法の詠唱を始められるという恐怖体験が起こった。必死に止めた。

 ……一応言うけど普通に痛いの嫌だからね。

 

 

 

 

 




Qなんか遅くない?(投稿)(2回目)
A.…いやそのほら、私って1ヶ月に一本投稿するペースだからさ……。気分乗ったら1週間に一本とか2日に一本とかあり得るけど……ね?(許して)

Q.ぶっちゃけカズトさんの総資産いくらよ?
A.今のところ400万エリスちょい下くらい。その気になれば普通に億越えする。

Q.誰がカズトさん(寝ている間に)動かしたの?
A.夜中に起きたセシリーが寝惚けていて本能の部分が更に強まっていたので、夫もロリも一緒に添い寝しようという欲張りセットを決行したから。ちなみに記憶はない。


え?なんか今回のQ&A少ない?
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