狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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遅れました…申し訳ないです。

弓「ふむ…」


第92話 不可視の迅竜

その咆哮が終わると、そのルナルガと呼ばれていたモンスターは姿を消した。

 

「え……どこに」

 

そう私が呟くと同時に、ルーパスちゃんが後ろに跳ぶ。そのまま矢を放つと、ドスッと何かに当たった音がした。それと同時にルナルガが姿を現した。

 

「え……嘘、視界から消えてるルナルガにあんなに正確に当てられるものなの…?」

 

「……ミラちゃん、ルナルガって?」

 

「月迅竜“ナルガクルガ希少種”───またの名を“ルナルガ”。飛竜種の一体で、原種や亜種にない特徴としては、完全に姿を見えなくする能力を持つの。」

 

姿を見えなくする……

 

「それと、基本的にフォンロンの塔、それも霧の濃い夜にしか現れないから本気で出会うのは稀なの。…私使役してるけど。」

 

使役してるんだ……

 

「特徴はさっき言った通り姿を消す力。擬似的にではあるけど…体毛を使って周囲の光を屈折させることで相手の視界の中から姿を消してる。もっとも、ナルガ科の獣魔の特徴として、怒ったときは目元や耳の模様が充血して赤く染まるんだけど。でも、ナルガ科の獣魔の速度でそれを追えるかって言われると……」

 

「……難しい、でしょうね。ナルガクルガ原種との速度の差は知りませんが、ナルガクルガ希少種の狩猟クエストである“不可視の迅竜”をハンターがクエストを受注するのに必要なのはハンターランク40。“イベントクエスト”と呼ばれる特殊なクエストですとハンターランク8でした。参加のみでしたらどちらもハンターランク8からできましたが…それでも高い難易度を誇ります。…そういえば相棒はかなりサクッとマスターランクのナルガクルガ原種を倒してましたね…」

 

あ、ジュリィさんがなんか遠い目……なんか聞いても分からない気がして私はルーパスちゃん達の方に目を向ける。

 

「…ふんっ!」

 

リューネちゃんが自分の後ろに狩猟笛を振るう。ゴシャッていう音がしたあとに更に踊るように攻撃を振るう。

 

「手応えなし───」

 

するとすぐにはなれた場所にルナルガが現れ、尻尾を振る。

 

 

───シュルルルルル────シュッ!

 

 

そんな感じの音と共に棘が逆立つ。それと同時にルーパスちゃんがルナルガの頭に飛び付く。

 

「せいぁっ!」

 

そのまま矢を使って二撃、そのあと飛び上がると同時に一撃と一射。何かが落ちたのを見てそれを拾う。

 

「鉄蟲糸技、“共鳴音珠”───設置完了。」

 

リューネちゃんはその場に青く光る珠を設置し、笛を吹く。同時にリューネちゃんとルーパスちゃんが微かに発光、もう一度ルーパスちゃんが頭に飛び付く。

 

「これで───肉質軟化!」

 

そう言って飛び上がった時、ルナルガの頭に傷みたいなのがついた。着地したあと後ろに跳んだルーパスちゃんと入れ替わるようにリューネちゃんが翔蟲を使って滑りながらルナルガに接近する。確か名前は───

 

「糸が奏でるは、気迫の旋律───“スライド───ビート”!!」

 

滑走中の振り回しの後、突き出してからの演奏。

 

「追加だ!“気炎”発動!」

 

その後笛を突き立てて回す。その途端、ルーパスちゃん達に揺らめく炎のような透明な光が現れた。

 

「───バギャァァァァ!!

 

怒りが収まっていたルナルガが再度怒る。それによって目の前でリューネちゃんが耳を塞いだ。

 

「あっ、危ない!」

 

そのリューネちゃんに襲いかかるルナルガの尾。スキルを準備してなかったから間に合わない───

 

「───え?」

 

───と、思ったのに。リューネちゃんは、そのルナルガの尾に自ら前転で突っ込んだ。そして、それでいて全く被弾した様子がない。

 

〈なんだ……?今、何が起こったんだ!?〉

 

「ドクター、どうなってる?」

 

〈今、さっきの映像を巻き戻して見てるんだ。確かにリューネちゃんは被弾している。……はずなんだけど。〉

 

はずなんだけど?

 

〈……これは一体、どういうことだ?尻尾がリューネちゃんを貫通して何事もなかったかのように……?〉

 

リューネちゃんを、貫通……?

 

「これでもプロハンターだ!緊急時はフレーム回避でどうにかなる!」

 

「あぁ……相棒同様プロハンターだったんですね。しかもフレーム回避習得済みって上級プロハンターじゃないですか…」

 

ジュリィさんが諦めたかのように呟いた。

 

「プロハンター…?それと、フレーム回避って?」

 

「私達の回避───前転、ステップ、緊急回避等々───それには“透け時間”というものがありまして。秒よりももっと短い事が多い透け時間で相手の攻撃をすり抜けることを“フレーム回避”と言います。透け時間はその名の通りで、一瞬だけ身体が透けるんです。速すぎて目視はできないんですけどね…一説ではギルドカードがその透け時間を発生させているのだとか。“プロハンター”というの狩猟技術を極めた人の事です。特に狩猟に関する専門的技術を有し、第三者が認める手段でそれを実践している人はそう呼ばれ、その練度によって下級中級上級と分かれます。フレーム回避を完全に会得しているのならば上級ですね。」

 

そうなんだ…

 

 

ガシャッ…グシャッ

 

 

…?

 

「───尻尾切断完了!」

 

「ナイスだ、ルーパス!」

 

あ、今の尻尾切断した音なの?

 

「旦にゃさん!獲物に弱りが見えるにゃ!」

 

「……!ルーパス!」

 

「スピリス!」

 

「はいにゃ!」

 

スピリスさんはルーパスちゃんの声に応えた後、何かを設置した。

 

「しびれ虫かご、設置完了にゃ!」

 

「───!?」

 

その虫かごの場所にルナルガが引っ掛かる。

 

「詠唱省略、宝具全開!“我、ここに告ぐ(新大陸の)───」

「詠唱省略、宝具展開!“我、ここに告ぐ(現大陸の)───」

 

ルーパスちゃんとリューネちゃんの宝具が起動する。

 

「───之は龍を追いし白き風の一撃。(白き追い風)”───!!!」

「───之は龍を滅す精神力の強撃。(守護強者)”───!!!」

 

以前も見た技が、ルナルガ一体に叩き込まれていった。

 

「───ァァァァ…」

 

技が終わると、そこには断末魔を上げて倒れるルナルガの姿があった。

 

「───ふぅ。狩猟完了っと。ミラ、解除していいよ。」

 

その言葉にミラちゃんが杖を振ると、膜が消えた。……警鐘は、発動していない。

 

「…英雄王、ルナルガの運搬お願いできる?」

 

「うむ。……あの女神めに、問いたださなくてはな。」

 

そう言ってギルが金色の波紋の中にルナルガ本体と切断された尻尾、そしてキマイラを放り込んだ。

 

 

 

Side 三人称

 

 

 

「…消えたか。」

 

連合首都。そこにいる宮廷魔術師───レフ・ライノールはそう吐き捨てた。

 

「あの意味の分からないサーヴァントと同じ世界の存在だというから使役したというのに、使えないやつめ。まぁいい、他にも駒はある。そうは思わないかね、皇帝よ。」

 

「…」

 

「…ふん。それにしても…サーヴァントよりも魔力は使わず、その力はサーヴァントにも劣らない。もしかするとサーヴァントよりも使えるかもしれないな。」

 

この世界に突如現れた月迅竜“ナルガクルガ希少種”…それの、影。何故現れたのか。それは、この男が召喚したからに他ならない。

 

交差した運命は、着実に影響を与え始めていた。




さてと…次回はステンノさんのところに戻りますね。

裁「…これ、ステンノさんさ…完全にとばっちり受けてるよね。」

……うん。それは私も思った。

セプテム修正後に召喚するサーヴァントは?

  • 剣士、剣士、魔術師
  • 魔術師、騎兵、剣士
  • 槍兵、狂戦士、弓兵
  • 暗殺者、剣士、剣士
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