狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い 作:Luly
光が収まった時、そこに巨人の姿はなかった。
「あ……わたし……宝具を、展開できた……んですか……?」
マシュが信じられない、といった表情で呟いた。それに対して、クー・フーリンさんが口笛を吹いた。リューネちゃんは笛から口を離してこっちを見ていた。
「何とか一命だけではとりとめるとは思ったが、まさかマスター共々無傷とはね。喜べ…いや、違うな。ほめてやれ、立香。あんたのサーヴァントになったお嬢ちゃんは間違いなく一線級の英霊だぜ。なぁ、リューネ。」
「……ふむ。僕の奥義は補助特化に近いが、その奥義の効果がかかっているクー・フーリン殿の一撃を止める、か。クー・フーリン殿の強さがどれほどかは知らないが、僕より補助の幅が狭いルーパスの補助だけで受け止めるのは凄いのではないかな?」
「…リューネの奥義って常時継続旋律だからねぇ…」
ルーパスちゃんがそう呟いた。
「先輩…私、今…!」
「…うん。すごかった。」
「っ……!」
「フォウ、フォーーーウ!」
〈……驚いた、こんなに早く宝具を解放できるなんて。マシュのメンタルはここまで強くなかったのに…〉
ドクターが本当に驚いたような声で言った。
「マシュ殿は護る側の人間ではないのか?大きな盾を武器とするならば、攻める側ではなく護る側だと考えるのが最適だ。ただただ堅牢なる護りに、攻める方法を教えて何になる。」
リューネちゃんがそう言った。
「ハンターと編纂者だってそうだ。編纂者になりたい者に狩りの方法を教えて何になる?ハンターになりたいという者に本の編纂の方法を教えて何になる。人は適材適所、自分の持ち味を生かせる場所を探すべきだろう。」
な、なんか同い年くらいなのに凄く説得力があるんだけど……
「…まぁ、ジュリィは編纂者でありながらハンターでもあるけどね。」
「いつの日か相棒と肩を並べて戦いたい、それが私の想いですから!」
そうなんだ…
「…なんか言いたいこと色々言われちまったけどよ。これだけやっても、真名をものにするには至らなかったか。」
「あ…はい。宝具は使えるようになりましたが、まだ宝具の真名も、英霊の真名も分かりません…」
マシュがそう言って少し落ち込んだ。
「……そう。未熟でもいい……仮のサーヴァントでもいい。そう願って宝具を開いたのね、マシュ。」
所長が柔らかく笑ってマシュに話しかけてた。
「あなたは真名を得て、自分が選ばれたものに……英霊そのものになる欲が微塵もなかった。だから宝具もあなたに応えた。…とんだ美談ね、御伽噺もいいところよ。」
「あの、所長…」
「ただの嫌味よ、気にしちゃいけないわ。宝具が使えるようになったのは喜ばしいわ。…でも、真名無しの宝具は使いにくいわね…」
所長はそう呟いて、少し悩んでから顔を上げた。
「…ロード…“ロード・カルデアス”。カルデアというのはあなたにも意味のある名前じゃない?あなたの霊基を起動させるには通りのいい名前だと思うけれど。」
「…は、はい!ありがとうございます、所長!」
〈ロード・カルデアス…うん、それはいい。マシュにぴったりだ!〉
マシュが喜んだみたいでよかった…
〈そうなるとすぐに試したくなるのが人情だよね。クー・フーリン、マシュの相手を……〉
「いや、僕がやろう。」
ドクターの言葉を遮ってリューネちゃんがそう言った。
「宝具というものに、僕の奥義がどこまで通じるか見てみたくなった。」
「……あぁ。そういえばさっきの奥義、
ルーパスちゃんの言葉にマシュが固まった。
「あれで、不完全だったの……?」
「立香。私は言ったはずだよ?“一流の笛師はまさに攻奏一体で狩猟を行う”って。」
「で、でも……それは一流の人の話だよね?」
「うん。言っておくけど───」
そこでルーパスちゃんは小さく笑みを浮かべた。
「───私は“リューネは一流の笛師じゃない”、だなんて
「…さぁ、行こうか。最初から行くぞ!」
リューネちゃんが笛を吹き始めた。奥義の、合図。
「マシュ、気を張りなさい!!相手は貴女よりも戦い慣れしてるのよ!」
リューネちゃんの笛から音楽が流れる。でも、さっきと違う曲…?
「…ルーパスちゃん、この曲聞いたことは…?」
「ない…あれは……」
「旦那さんの“感覚弾き”ですにゃ!!」
感覚…弾き?
「感覚弾きって何よ?」
「感覚弾きっていうのは…頭に思い浮かんだ旋律をそのまま弾くこと。」
「つまり?」
「新しい音楽を作り出す、っていえば分かる?感覚弾きができる人は大体絶対音感を持ってる。」
絶対…音感
「リューネは絶対音感持ちで…そして音楽に対しての完全記憶能力を持ってる。以前に演奏団への勧誘とかあったくらいだからね…絶対音感持ちの完全記憶能力持ちなんて凄く珍しいから。しかもそれが音楽に特化してるなんていったら、演奏団に入れたくなるよね。」
でも、とルーパスちゃんは言った。
「リューネは演奏団に入ることはしなかった。そのまま、ハンターであることを選んだんだよ。…これが、私達が9歳の頃の話。思えば、リューネの奥義の欠片はここから目覚めてたのかもしれない。」
「奥義の…欠片?」
「先程、奥義については説明しましたよね?奥義を編み出す前に、そのきっかけとなるような出来事が存在することがあるんです。それを、奥義の欠片ということがあるのですよ。…ちなみに相棒の奥義の欠片は何だったのです?」
「剛射と大タル爆弾。つまり空中からの攻撃と広範囲への爆発、だね。」
「…なるほど」
私はその話を聞いて別に爆発した様子なかったけど、って思った。
「……ちなみに、あれ多分
「「……えっ!?」」
私達がリューネちゃんとマシュの方を見ると、そこにはリューネちゃんに圧されているマシュの姿があった。
「あれで手加減してるというの!?」
「十分してるよ。奥義を使ってるとはいえ、息継ぎのタイミングが早い。息継ぎっていうのは音が途切れるタイミングだけど、リューネはそれを限りなく少なくすることができる。それとあれ、そこまで集中してない。ね、ルル。」
「にゃ。旦那さん、
「何よ…それ!?舐めてかかってるというの!?」
所長の言葉にルーパスちゃんが首を振った。
「それは違う。確かにリューネは戦闘にほとんど集中してない。リューネは今、手加減に集中させてる。」
「手加…減…?」
「私達の相手は古龍。古龍っていうのは自然災害。そんな
「……!」
ということは、リューネちゃんは。
「マシュを、万が一でも殺さないように?」
「ん~…ちょっと違う。」
「え?」
「確実に勝てるように手加減してるわけじゃにゃい。手加減したうえで、自身を乗り越える壁として立ちはだかる。そういうことですにゃ。旦那さんはそういう人なのですにゃ。」
「乗り越える、壁…」
「───終わりにしよう!」
その声が聞こえて、私はマシュの方に集中した。
「行くぞ…!───狩猟笛固有狩技、参ノ壱…“音撃震I”ッ!!」
「あぐっ!?」
マシュが笛の先から放たれた音波?で吹き飛ばされた。
「逃がさん!!狩猟笛固有鉄蟲糸技、“震打”!!」
光る糸を伝った音波がマシュを襲った。
「くっ…!」
「最後だ、持って行け!狩猟笛固有鉄蟲糸技───」
〈なんてこった、
光る糸がマシュの盾とリューネちゃんを繋ぎ、私の直感も次の一撃が来ることを察知する。
「っ、宝具、展開します……!」
「───“スライドビート”ッ!!」
「“仮想宝具
リューネちゃんの技とマシュの宝具が激突する。
「…ねぇ、ルル。」
「なんですにゃ?」
「あの技は…?」
「“
「…そっか。」
そんな会話が聞こえてきたと思うと、何かを弾いたような音と共にマシュとリューネちゃんが離れた。
「…はぁ……やれやれ。」
そう呟いたかと思うと、リューネちゃんは狩猟笛を背中に背負った。
「まさか、それなりに手加減していたとはいえ、スライドビートを完全に受け切られるとはね。」
「……」
「全く、宝具というのは凄いな。…いや、それだけじゃない。真の力を発揮できないままでも護るという意志が強い君もすごいのか。」
「ぁ…」
「その何かを護るという意志。忘れるな、マシュ殿。その意志はハンターにも通じる。…これで僕が言いたいことは終わりだ。」
「…ありがとうございます、リューネさん!」
認められたみたい。良かったね、マシュ。
うん…使いたかったんです、“運命~GRAND BATLLE~”。
ちなみにリューネの奥義は簡単に言えば“戦いながら常に笛を吹き続ける”というものです。
冬木修正後に召喚するサーヴァントのクラスは?
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狂戦士、魔術師、槍兵
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魔術師、裁定者、暗殺者
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槍兵、騎兵、弓兵
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弓兵、魔術師、魔術師
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狂戦士、騎兵、槍兵