狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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時間かかる……

裁「お疲れ様…?」


第101話 愚者

「いやいや………ロムルスを下すとは。」

 

聴こえてきたその声。その方を向くと、見覚えのある人がいた。

 

「……レフ・ライノール」

 

「ようやく現れたか。宮廷魔術師を名乗る分際で王の危急を見過ごすとは、全くもって使えぬ駒よな。そうは思わぬか、ミルドよ。」

 

「えぇ、そうね。私はともかくお父様なら仕えさせないと思う。」

 

「黙れただの使い魔どもが。マスターがいなければまともな現界すら叶わぬ存在の分際で。」

 

「ふん、器はどうあれ、我がここにいることに変わりはない。」

 

「お生憎様、私を含めた狩人の霊基を持つサーヴァントはマスターの魔力を必要としないの。そもそも別世界から呼ばれた生きた人間だし、私達。」

 

色々規格外すぎて忘れるけどミラちゃん達って人間なんだよね。……それはそれとして。

 

「……聖杯を渡して、レフ・ライノール。」

 

「…ふん、一丁前な口を効くようになったものだ、カスマスター風情が。高々英雄王や魔力を必要としないサーヴァントなんていう玩具を手に入れたくらいで調子に乗るなよ。」

 

「そのカスと玩具にフランスでの目論見を潰されたのは貴様であろう?その尻拭いとしてこの場にいるのであろう、貴様は。…そして、もうひとつ。」

 

ギルはレフ・ライノールを指差した。

 

「此度貴様がここにいるのは、この時代で世界を狂わせる存在がいなかったが故。かのロムルスは人類の滅びを望まなかったのであろう。故に貴様自らの手で直接干渉しなければいけなかった。」

 

〈ははっ!皮肉だねレフ教授!この時代、君のような人類の裏切り者は一人もいなかったわけだ!〉

 

「ほざけ、カスども!人間なぞ、貴様らなぞに微塵も期待などしていない!」

 

「その人間に潰されたのがあなただよね?私達が英霊と同じような力を持っていることはもう分かった事だけど、私達も確かに人間なんだよ?」

 

「そもそも、あなたも使い魔よね。それも、私の子達みたいな契約召喚術式型じゃなくて、術式構成稼働型。マスターがいなければなにも出来ない、それはあなたじゃないの?」

 

「───ッッ!貴様ッ!!」

 

「怒るってことは図星なんでしょ。マスターが、術式の発動者がいなければあなたは術式のまま。いくら意志を持つ術式だとしても、発動されなければ意味がない。発動されなければ動けない───違う?」

 

レフ・ライノールが術式───?ていうか、ミラちゃんそれ見抜いたの!?

 

「ふんっ!ならば見せてやろう、我が姿、我が王の寵愛を!!結末が確定している貴様らへのせめてもの餞別だ!」

 

〈───レフ〉

 

その時、その場に響く声。マリーの声。

 

「───あぁ。いたのか、オルガ。」

 

〈───ギル。ジュリィさん。〉

 

「許す。告げるが良い」

 

「私からも許可します…って私からの許可なんていりますか?」

 

凄く不思議そうな顔してたけど、ジュリィさんの言葉を聞いてマリーがレフ・ライノールの方を向いた。

 

〈…あなたは、人類を裏切っていた。それは───いったい、いつから?〉

 

「いつから、か。さて、いつからだろうね。ざっと2000年は前じゃないか?」

 

〈そう───なら。〉

 

マリーが、確かめるかのように言葉を紡ぐ。

 

〈どうして、私を助けてくれたの?様々な重圧に押し潰されそうでいて、狼狽えるしかできなかった私を。〉

 

「───は、はははははは!なにかと思えばなぜ助けたかだって!?決まっているだろう、君が実に愚かで見世物に最適だったからさ!」

 

〈───〉

 

「レフ、レフと私を頼る様は実に滑稽だったさ!プライドとコンプレックスの中で潰れる君の姿は最高の見世物だった!その君の結末を見たいがために、君を気にかけてやってたのさ!本当なら爆弾で死んでたはずなんだが、特異点Fで精神のみ生きていると知ってカルデアスに放り込んでやろうと思ったのさ!」

 

「───所長」

 

「またすがってみるかい?───レフ、助けて!いつもあなたは助けてくれたわよね!?───ってさ!いいさ、助けてやろうとも!もっとも、今度は確実に殺してやるがね!はははははは!」

 

───なんというか、うん。とりあえず…

 

「「「「「声真似下手だなぁ……」」」」」

 

あ、アルとルーパスちゃん、リューネちゃん、ミラちゃんも思ったみたい。

 

〈……そう。ごめんなさい、レフ。〉

 

「………何?」

 

〈私の依存が、貴方を困らせていた。私の自分勝手な期待が、貴方を困らせていた───ごめんなさい、レフ・ライノール。でも───ありがとう。〉

 

「───何が、言いたい」

 

〈貴方に嫌がられていたかもしれないけれど、貴方は見世物として楽しんでいたのだとしても───私はこれまで、貴方に助けられた。だから───ありがとう。貴方は私の恩師であることに変わりはありません。例え貴方が、どのような存在だったとしても───それは、変わらない。〉

 

「───なんだ?」

 

レフ・ライノールが後退る。

 

「なんだ、それは───なんだそれは、なんだそれは!誰だ貴様は、貴様は私の知るオルガマリーではない!一体貴様は誰だ!!」

 

「ふん、貴様が知るオルガマリーがここにいるわけなかろうが。ここにいるのは我が認めた仲間、我が認めた財達よ。」

 

〈「ギル……」〉

 

「黙れ!!良いだろう、ならば貴様らを我が地からでねじ伏せよう……!」

 

「………聖杯が起動する」

 

あれ?なんかアルの様子、というか雰囲気が変わった気がする。

 

〈これは───神とも幻獣とも違う、悪魔の反応か!?〉

 

悪魔?

 

「は、ハハハハハハハ!」

 

現れたのは───巨大な、黒い塊。

 

〈キメェッ!!〉

「「〈醜いぞ、貴様!!この世の物とは思えぬ!!〉」」

 

うわぁ……大批判。あ、私もあれ気持ち悪いと思うよ?

 

「それはそうだろう!この醜さが貴様らを滅ぼすのだ!改めて名乗ろう───我が名はフラウロス!レフ・ライノール・フラウロス!!七十二柱の魔神が一柱!魔神フラウロス───これが、我が王の寵愛そのものだ!!」

 

「〈七十二柱の、魔神───〉」

 

それは、確か───

 

〈まさか、そんなはずは───〉

 

「フォウフォーウ!」

 

「…オルガマリー。もう良いのか?」

 

〈えぇ…言いたいことは言えましたから。〉

 

「無駄な足掻きをするな!そのまま焼け死ぬが良い!」

 

「───お断り」

 

ミラちゃんがそう呟き、物凄い早さで何かを唱えたかと思うと、ミラちゃんの周囲に波紋が展開され、無数の鎖が射出された。

 

「ぐっ!?なんだ───この鎖は!」

 

「借りたよ、英雄王。」

 

「ふ、魔神と聞いて神性が強い者を縛る“天の鎖”か。…しかし、この醜い奴に使うのは嫌悪感が湧くな。」

 

「全くもって同感。だから射出直前に龍属性の壁を張った。龍封力全開にしてるけど結構封じられてるみたいね。」

 

「なん、だと……」

 

確かに弱ってる感じする。

 

「こんな……鎖、ごときで……」

 

「ふ、時間稼ぎには最適であったな。オルガマリー、六花!」

 

〈疑似投射完了───固有結界投影。展開───完了。〉

 

〈行きます───“果てから見つめる天文台(アニマ・フィニス・カルデアス)”───〉

 

その瞬間、私達を閃光が襲った。

 

「───!」

 

視界が回復すると同時にそこにあったのは、まっさらな空間。まっさら───つまり、真っ白。どこまで続いてるのか───私が今どこにいるのかすら分からなくなるような、純白の世界。

 

「これが…マリーの?」

 

〈正確に言えば、マリーが展開した基礎結界だ。固有結界を除く全ての結界は、この基礎結界の上にさらに別の結界が乗っかる形で成り立つ。基礎結界そのものは内部になにも存在しないからそう言う風になるんだ。〉

 

「基礎…この結界に脅威はない、の?」

 

違う、と思うけど。

 

〈良い質問だな。この結界も脅威となることはある。お前、今どんな状態だ?〉

 

どんなって…

 

「普通に立ってるけど…」

 

〈……まぁ、そりゃそうなんだが。いいか、この結界で脅威となりうるのは、拡張性があるってことだ。〉

 

拡張性?

 

〈拡張性───伸縮・軟硬自在。お前が閉じ込められた迷路みたいにオブジェクトを配置することは出来ないが、結界内を広げる、結界の壁を硬くすることは出来るんだ。術者の魔力が続く限り、な。壁も見えない、術者の魔力が続く限りどこまでも広がる純白の世界で当てもなく歩き回ったら、どうなると思う?〉

 

「───」

 

それ、は───

 

「感覚が麻痺する───ううん、精神が壊れる───?」

 

〈果てには衰弱死するだろうな。果ての見えない永遠の牢獄───だから俺は基礎結界を“基礎でありながら最凶の結界”と呼ぶのさ。分かったか、マリー。〉

 

〈そういうことだったのね……〉

 

「ふ───フハハハハ!!なんだ、これは!これが貴様の心情だと!?なにもない、なにもないではないか!」

 

〈普通心情に何もないはあり得ねぇだろが…まぁ、性質は固有結界だからしゃあねぇか。〉

 

「どういうこと?」

 

さっきからお兄ちゃんは私にだけ声が聴こえるように話してくれてる。だから聞かれないんだけど …

 

〈これはマリーの固有結界の上に基礎結界が展開されてるんだ。この基礎結界の外には固有結界がある。固有結界の上に覆うする形で基礎結界を展開するのを1つの固有結界展開術式に組み込んでるから実質これも固有結界みたいなもんなんだよ。〉

 

へ、へぇ…?

 

「問うてみるとしようか、そこのサーヴァント!オルガマリーを救った意味は本当にあったのか!?聖杯という奇跡を、そこのゴミを救うために使う必要はあったのか!?英雄王も英雄王だ、そこのサーヴァントがそこのゴミを救うために使うということは理解していただろうに聖杯を与えるなど全くもって無駄───」

 

その言葉を言いきる前に、槍と大剣がレフ・ライノールに突き刺さる。

 

「ぐぉぉぉぉ!?」

 

「───む、すまぬ。手が滑ったようだ。」

「ごめんなさい、私も手が滑ったみたいです。」

 

そう言うのは明らかに投擲した後の体勢をしているギルとジュリィさん。…明らかに槍と大剣、投擲したよね?

 

「我にとって何に価値があるかを決めるのは貴様ではない。この我そのものよ。」

 

「ギルガメッシュさんに同じく。貴方にとって価値がないものでも、貴方にとってゴミだと思うものでも───私にとっては価値があるもの。マリーさんは───オルガマリー・アースミレイト・アニムスフィアは、私にはもったいないくらいの、最高の従者です。」

 

〈ギル───ジュリィさん───〉

 

〈……てか、今の大剣で基礎結界壊れたぞ。…来るぜ〉

 

え……と言う前にそれは現れた。暗い空に覆われ、砂に埋もれた大地。砂嵐が吹き荒れる。生きられるのかもわからない、不毛の大地───

 

「ほう。さっきよりはましになったか。」

 

「───ふ。時間をかけすぎたか。」

 

そう言ってギルはいつの間にか手に持っていた剣を掲げた。確か───乖離剣。

 

「唸るがいい、エアよ!今こそ1人の娘の心に応える時だ!」

 

凄い音がする。そして同時に、空間がみて分かるほどに歪む。

 

「裁きの時だ。世界を裂くは我が乖離剣───醜い節穴め、その身をもって地獄を知れ!!」

 

そして、その剣が振り下ろされる。

 

「“天地乖離す(エヌマ)───開闢の星(エリシュ)”!!」

「───起動せよ、アルコル。その災いの鏡を───」

 

吹き荒れる暴風、空間の圧───それを、いつの間にか宝具を展開したアルが防ぎきってくれてる。

 

「グギャァァァァァ!?」

 

「解放」

 

「─────!!」

 

空間の圧が収まったと思ったらその圧がレフ・ライノールに襲いかかっていた。鏡───もしかして、反射?そんなことを考えていると、周囲の景色が様変わりしていたことに気がついた。

 

「わぁ───!」

 

あたり一面、花畑。空は雲1つ無い青空で、大地には様々な色の花が咲き乱れてる。

 

「ほう、良い景色ではないか。由来はあるのか?」

 

〈───夢を、見るんです。虹の架かる、綺麗な花が咲き乱れた花畑。その花畑で、羽のある少女達や綺麗だったりかわいい服を着た少女達が踊る夢を。カルデアは、その地形上からずっと吹雪いていますが───いつか、こんな場所に友達と行けたら、って。〉

 

マリー…

 

「悪くない心情よな。しかし夢を固有結界にするとは、固有結界と通常の結界術の合わせ技であるが故になせる技か?」

 

〈さーな。〉

 

〈…これは、いつか皆と一緒に───実際にみたい景色です。叶うなら、カルデアで見たかったですが───立地の関係上。〉

 

…そっか。

 

「この世のどこかにあるかもしれぬぞ、こんな景色がな。」

 

〈……はい。〉




とりあえず龍封力は神性持ちだったり人類の脅威持ちとかに効く設定にしました。

裁「古龍=神ってこと?」

そ。

セプテム修正後に召喚するサーヴァントは?

  • 剣士、剣士、魔術師
  • 魔術師、騎兵、剣士
  • 槍兵、狂戦士、弓兵
  • 暗殺者、剣士、剣士
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