狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い 作:Luly
弓「む、起きたか鍵のルーラー。」
裁「ん……」
弓「起きてすぐですまぬがこれをマスターめに届けてくれぬか?」
裁「……手紙と…絵?」
弓「うむ…何故かは知らぬがこちらに届いたのでな。我は記録で手が離せない故、頼めるか?」
裁「マスターは…」
弓「今この場所にはおらぬ。」
裁「ん、わかった。」
弓「すまぬな。」
───パタン
裁「……」
【挿絵表示】
裁「……気にしすぎ、かな。それにしても……やっぱり広い。マスターはどこにいるんだろ…あ。」
正弓「んーと……」
裁「……こんばんわ、L…じゃない、正のアーチャーさん。」
正弓「うん……?あ、こんばんわ。鍵のルーラーさん。何かお探しですか?」
裁「えっと…マスターってどこにいるか分かる?」
正弓「マスター……あぁ、お母さんですか?お母さんでしたら多分、お母さんの自室にいると思いますよ。」
裁「マスターの自室……ありがとう。」
正弓「いえいえ~…」
召喚の日から3日。召喚システムの調査と並行して特異点の捜索は行われているみたい。
「…はぁっ!」
私は目の前にいたウェアウルフに対して一撃を放つ。それが止めとなったのか、ウェアウルフはポリゴンの欠片となって消滅した。
「はぁ…はぁ…フォータさん、次をお願い。」
〈…いいえ、だめです。出現から撃破までに10分以上かかっています。これ以上の戦闘は…〉
「…分かった。ありがとう。」
私はその場に座り込んでフォータさんが私の近くに浮遊させてくれたペットボトルのふたを開ける。
「……ふぅ。まだまだ先は長い、なぁ…」
〈1VS1とはいえ、ウェアウルフLv.18を10分で倒している人間が何をいいますか。〉
「お兄ちゃんはもっと上でしょ?」
〈マスターは…もう既に人外の領域に達してそうなので。〉
「自分のお父さんに向けて人外って…」
〈根源に到達して第三魔法を会得している時点で既に魔術師ではなく魔法使い、それにただの人間ではありませんからね。マスターはスペックが化け物級ですから。〉
「昔からだからあまり驚かないかな…」
実際驚きはそこまでない。だってお兄ちゃんだし、で全部片付きそう。
〈…リッカさん〉
「うん?」
〈どうして、リッカさんは強くなろうとするんですか?〉
「私が…強くなろうとする理由?」
〈はい。ジャンヌ・オルタさんのように焦っているようでもないですが…気になるんです。どうして、あなた達兄妹は強くなろうとするのか。〉
…強くなろうとする理由、か…
「守りたいと思うものを守るため、かな?」
〈守りたいもの…ですか?〉
「うん。今まで何を守りたいのか分からなかったけど…今は人理を取り戻すために。カルデアのみんなを喪わないために。私の力だけじゃまだまだ弱いけれど…少しだけでも、力になれたら…そう思って、私は強くなりたいって思う。……それと…」
私の脳裏に浮かび上がるあの黒い龍の夢。あのあとミラちゃんに聞いたところ、“この先は完全な御伽噺として伝えられてるんだけど…ミラボレアス種には現存するミラボレアス、ミラバルカン、ミララース、ミラルーツの他に2体のミラボレアス種がいたと言われているの。私のグリモワールにすら記されていない、存在すら怪しいと言われるミラボレアス種。片や総ての女王、総ての礎となり総ての祖となった白き龍。片や最後を告げる者、終焉に立ち上がり終焉に立ち向かう王たる黒き龍。リッカさんが見たのは恐らくこの黒き龍だと思う。”───そう、ミラちゃんは言った。もしかしたら、あれは私の到達するべき点なのかもしれない。到達するべき未来───なら、今の力じゃ絶対に足りない。夢で見ただけの私でも分かった。あの龍は───強い。そして、あの龍に対峙していた私らしき少女も───今の私よりも、強い。
〈…それと、なんですか?〉
「……ううん、なんでもない。」
夢の話はするものでもない気がする。混乱させるのも悪いし。
ピンポンパンポン───
「〈うん?〉」
呼び出しの音?
〈あー…スタッフの呼び出しを行う。所長“オルガマリー・アニムスフィア”。英雄王“ギルガメッシュ”。召喚師“ミラ・ルーティア・シュレイド”。編纂者“ジュリィ・セルティアル・ソルドミネ”。万能の人“レオナルド・ダ・ヴィンチ”。コルキスの魔女“メディア”。預言書の主“藤丸リッカ”。至急召喚室に集まれ。繰り返す……〉
召喚室に……?ひとまず、私はフォータさんに一言お礼を言ってから第一シミュレーションルームを後にした。
第一管制室────併設された召喚室。
私達は急に召集されてこの場所に集まっていた。
「うし、全員集まったな。ひとまず、召喚システムの不調に関して分かったことがある。アドミス、調査結果を。」
〈はい。それでは皆さん、こちらをご覧ください。〉
アドミスさんがそう言うのと同時にモニターに透過した建物が映し出された。
「これは…カルデアよね?」
〈オルガマリーさんの言う通り、こちらはフィニス・カルデアの透過3Dモデルになります。カルデアは最下層に存在する“プロメテウスの火”という動力炉より大部分のリソースを発生させています。このリソースの大部分はカルデアの発明───事象記録電脳魔・ラプラス、地球環境モデル・カルデアス、近未来観測レンズ・シバ、守護英霊召喚システム・フェイト、霊子演算装置・トリスメギストスに用いられています。〉
「あの…結構重要そうな話だけどそれ私達に話して良いの?」
「所長である私が話して良いと許可を出したから大丈夫よ、リッカ。」
あ、そうなんだ…
〈話を戻しますね。私はこの三日間の間、管理者としての権限を用いて全システムを徹底的に検査しました。すると…〉
そういうと同時に3Dモデルが拡大され、1つの場所を示した。
〈守護英霊召喚システム・フェイト。サーヴァントとカルデアを繋ぐ楔です。サーヴァント現界の魔力は総てこのフェイトから電力を魔力へと変換して供給されています。しかし───〉
次いで出てくる表。全魔力、???、マシュ・キリエライト、レオナルド・ダ・ヴィンチ、リューネ・メリス───一番下に、残魔力。これは…
「ふむ。所属する霊基とその消費魔力か。」
〈ギルガメッシュさんの言う通りです。全サーヴァントの名前と消費魔力を示した表がこれです。リッカさんがカルデアにいる間は、リッカさんのメインサーヴァントの方々もフェイトから魔力を供給させていただいてます。…ただ。〉
「…残魔力、0.4%…」
〈はい。リッカさんの言う通り、フェイトで使用している魔力がほぼほぼ枯渇状態に陥っています。〉
「そして、その原因───つまり、魔力を多く使っている順に並び替えた表が、これだ。」
お兄ちゃんが言うと同時に表が並び替えられる。一番上は───え?
「現時点で一番大量に魔力を消費しているのは、アルターエゴ───“
「───ふむ。我が見たところ、無銘には今表面に浮き出ている魂とは別に7つの魂がある。恐らくとしか言い様はないが、その7つの魂を───いや、違うか。8つの魂を正常に保つため、無意識に消費しているのかもしれぬ。」
「…そうか。メディア、あんたは何かあるか?」
「彼女の神性とかはどうなっているのかしら?英霊と神霊は違うもの。神霊サーヴァントだった場合は、消費魔力も段違いだと思うのだけれど。」
「神霊、か。その線は調べてなかったな。さすがは神代の魔女。ミラ、あんたは?」
「じゃあ、1つだけ。私達ハンターの霊基を持つサーヴァントは固有スキル“自立魔力”があってマスターの魔力を必要としない。だけど、そのスキルがなかった場合の魔力消費量予測って立てられる?」
「ハンター達の魔力消費量か…一応、特異点での宝具解放時の魔力放出量などから超大雑把な予測はついてる。ただ、如何せん情報が足りねぇからこれが本当だとは思うなよ。」
お兄ちゃんがそう言うと同時にアドミスさんが操作したのか、表の並び順が入れ替わった。
「…まぁ、見ての通りだが。いくらハンター達と言えど現在の無銘の消費量を越えることはなかった。だがさっきも言った通り、これは情報が足りない状況下での予測でしかない。恐らく瞬間的な魔力量とかはハンター達の方が上、維持魔力も上だろう。そして無銘の本来の維持魔力ももっと下だろうな。」
これを見るとルーパスちゃん達が自立魔力スキル持っててよかったって思う。
「他に何かあるか?」
「では…私から。私の本の内容を映し出すことはできますか?」
「アドミス。」
〈データを変換します。少々お待ちを…〉
アドミスさんがそう言った少し後に、別のモニターに色々な情報が映し出された。これは……?
「これは私が纏めたサーヴァントの皆さんについての情報です。先程の表と照らし合わせると、宝具の数が多いほど維持魔力も多くなるのだと考えられます。」
「ほう…」
「特に相棒やリューネさん、ミラさんの場合は5つ以上の宝具を持つ関係上、他のサーヴァントの皆さんとの差は歴然。さらに付け加えますと、その宝具の種類───対人、対軍、対城、対界といったものによって魔力量は大きく左右されるようです。」
「…へぇ。流石は英雄の座に刻まれた者ってことか。ジュリィ…あんた、肉弾戦よりも情報戦に長けてるんじゃないか?」
「私は…元々、編纂者ですから。事象を調査し、分かりやすく纏める…それが私の役割なんです。こういったものを纏めるのは結構得意な部類なので。」
「ふーん…まぁ、なるほどな。ジュリィの情報のお陰で宝具の数が魔力量に影響している可能性が高くなった。次、ダ・ヴィンチ。何か意見はあるか?」
「特に何も?無銘に関しては本当に何も分からないとしか言えないからね。いつの時代の英霊なのか、中に潜む人格達が一体何なのか。調べても調べても出てこないのさ。一切情報がないから調べようがないというか。」
「そうか。とりあえず、俺とマリー以外は出揃ったか。リッカはマスターとして今の現状を知っておいてほしいという理由で呼んだだけだからな。」
あ、そうなんだ…
「ひとまず、これを見てほしい。これは、フォータに頼んで無銘にぶつけた試練みたいなものの映像だ。」
そう言うと同時に別のモニターに映像が映し出された。その映像に映っているアルとフォータさんの姿。アドミスさんとフォータさんは現実世界に出れるんだって。
〈それでは無銘さん、いきますよ。〉
〈は、はい!よろしくお願いします!〉
〈…その前に何か音楽セットしますか。んーと……これにしましょう。〉
何か操作したあと、フォータさんが1枚のカードを掲げた。
〈───起動!〉
その瞬間透明な玉みたいなのが2つ現れ、フォータさんを中心に回り始めた。それと同時に流れ始める音楽───うん。
「…ねぇ、お兄ちゃん」
「あん?」
「これってさ…紫様のラストワード───“深弾幕結界─夢幻泡影─”だよね?」
「あぁ。」
「───なんで、BGMが“Help me,ERINNNNNN!!”なのっ!?」
「突っ込む所そこか…まぁ、確かにゆかりんのテーマ曲は“ネクロファンタジア”や“夜が降りてくる ~ Evening Star”だもんな…」
「…そう言えばお兄ちゃんって紫様のこと“ゆかりん”って呼ぶよね。」
「慣れだな。まぁよく声優さんとごっちゃになるが。あとこれに関してはフォータの選曲だな。あいつ静かに見えてこういうテンポ早めの曲好きなんだわ。」
そうなの!?
「アドミスは静かな方が好みだったか。まぁ好みなだけで嫌いってわけじゃねぇしな…ちなみに魔術協会に
「え…」
「“
うわぁ…
「魔法使いの一人で使用する魔法はゼル爺と同じ“並行世界の運営”。得意な魔術は結界魔術と多重弾幕。東方好きで中でも好きなのがゆかりんのラストワード、“深弾幕結界─夢幻泡影─”。つーかこの疑似スペルはその紫姉が再現したもんだ。」
そうなの!?…って。
「
「あー……慣れだ。」
「慣れなんだ…」
「…まぁ、紫姉のことはどうでもいい。問題は、この無銘の動きだ。」
動き……え?
「お兄ちゃん…もしかして」
「…あぁ。
「
ミラちゃんの言葉にお兄ちゃんが頷いた。
「記憶喪失だというのにここまで避けられる謎───無銘には確実に何かがあると思われる。事実、スペルブレイクまで耐えやがったしな。」
あのスペルのスペルブレイクって120秒くらいだっけ?確か最長耐久スペルだよね?
「俺からは以上。最後にマリー、お前の見解を聞かせてほしい。」
「…そこまで言うことはないわ。というかあなた、紫さんとも知り合いだったのね…」
「ゼル爺も紫姉も第二魔法“並行世界の運営”の使い手だからな…実際蒼崎姉妹とも知り合いだしな。姉妹喧嘩五月蝿すぎるが。」
ただ知り合いの中でもあの姉妹は正直苦手だ、とお兄ちゃんが言ったのを聞いてマリーが苦笑いしたのが見えた。
「じゃあ…電力不足・魔力不足の解消方法で何か案はあるか?無銘の契約解除以外で。」
「え…」
「俺の勘が言っている───今は無銘を喪うときではないと。多少魔力が多かろうが契約を維持するべきだと。リッカよりも勘の精度が悪い俺だが、そんな俺でも分かるほどだ。迷惑をかけるだろうが───どうか、頼む。」
そう言ってお兄ちゃんは頭を下げた。
「……だ、そうだが。マスターはどうする。」
「私は…アルを喪いたくない。」
「決まりよな。我は無銘を残すことに賛成よ。他の者共はどうする?」
「「「「異議なし」」」」
「ならば足りぬリソースを補充する1手を考えなくてはな。…ふむ。心当たりがないでもないが…ミルド、貴様は何かあるか。」
ミラちゃんはその問いに少し考えてから口を開いた。
「全く加工してない電気としてなら一応いくつか。といっても電気、というか雷の部類だけど…まず1つ、真っ先に思い付くものとして雷狼竜“ジンオウガ”と共生関係にある“超電雷光虫”が挙がる。ジンオウガの力に関してはもう知っての通りだと思うけど、通常のジンオウガよりも強い特殊個体、“金雷公ジンオウガ”。さらにとある龍の暴風を生き延びたといわれる“ヌシ・ジンオウガ”がいる。亜種である獄狼竜“ジンオウガ亜種”───またの名を“ゴクオウガ”は龍属性だから除外。」
ジンオウガっていうと…ランさんだっけ。
「他には?」
「説明長くなるから名前だけ言うけど…電竜“ライゼクス”とその特殊個体“青電主ライゼクス”、幻獣“キリン”、奇怪竜“フルフル”、飛雷竜“トビカガチ”、雷顎竜“アンジャナフ亜種”───またの名を“ジャナール”。そして、雷神龍“ナルハタタヒメ”。雷属性を持つ獣魔達はこれだけじゃないよ。」
「わかったわかった、そのあたりは色々考えることにしよう。」
その会議はしばらく続いて、ギルの持ってた船を解体してその動力をメインのリソース生成の要とし、そこにトビカガチとジンオウガが電力供給の補助をし、さらに結構広めの異空間を作って内部の床にあたる部分を感圧電力生成マットにすることで少なくても電力を生成させるような構造にしたみたい。ちなみに異空間の中はミラちゃんの獣魔達の遊び場になるらしい……
裁「マスターの自室は……ここだ。」
───コンコンッ
裁「マスター?」
───
裁「……マスター?」
───
裁「いない…?いや違う、マスターの反応は確かにこの部屋の中にある。」
───ガチャ
裁「…!鍵が…かかってない。入って大丈夫、かな?」
───キィ…
裁「…失礼します…えっと、マスターは……いた。」
すぅ……
裁「また寝てる……うん?珍しい、ウインドウじゃなくてパソコンが点い…て………」
裁「───ッ!?」
───ガタンッ
ほえっ!?
裁「……ぁ。マス、ター…」
あう……?ルーラー?来てたの?
裁「う、うん……」
そっか…ごめんね、気がつかなくて。
裁「それは…いいんだけ、ど……マスター……それ…パソコンに映ってるそれは?」
……これ?これは……本編中に出てくるキャラクターに向けられた呪詛の一部だよ。
裁「呪詛……」
そう。呪詛、嫉妬、憎悪……それの塊。ルーラーは…私の創り出すキャラクター達の傾向は知ってるよね?
裁「基本的に善の側面……作中の誰からも拒絶されたりしない女の子…だよね?」
うん。より正確にいえば、誰からも拒絶されたりしない…そして、自身も誰も拒絶…というか、恨んだり妬んだりしないような人間、かな?基本的には善の側面しか見せないような子が多いかもしれない。だけど…
裁「…この呪詛は、全く真逆……」
そう。ごく稀に、真逆のキャラクターが生まれることがある。憎悪、憤怒、嫉妬、呪詛……そう言った悪の側面を強く持つ子達。“亡霊のお話”に出てくる亡霊がいい例かな。この呪詛を受けたキャラクターその数少ない例に該当した。私のパソコンに呪詛の塊が現れるのは、それの封印を私がやっているから。まぁ、今回に関しては呪詛が強すぎて封印しきれてないんだけど。
裁「……」
嫌なものを見せちゃったね。ごめん、ルーラー。
裁「ううん、勝手に入ってきたのは私だし…」
…ところで、何か用だった?いつも観測所にいるのに私の部屋まで来るなんて。
裁「あ…えっと。これ…」
…?手紙?私宛に?
裁「うん…あと、この絵……」
【挿絵表示】
……あー、なるほどね。これは藤丸六花さんだね。
裁「やっぱり…」
チル姐さんが描いてくれたファンアート……本当に、ありがとうございます。
裁「…ところで、UA22,000越えてるけど…」
あー……それも言うの忘れてたね。とりあえず、チル姐さん、ファンアートの方ありがとうございました!ファンアートとして描いてくれたのは藤丸六花さんです!
裁「あとかなり投稿時間遅いけど…」
うー……執筆凄く時間かかったんだよ……