狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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ふぁぁ……

弓「眠いのか。」

うん……


第134話 狩人と女神と

しばらくして───カルデア陣営は近くの島へとたどり着いた。

 

「あっちゃぁ……結構手酷くやられたねぇ。」

 

「耐久力には結構自信あったんだけどなぁ…やっぱり加工は私じゃだめだね。まぁ、今はそんなこと言ってても仕方ないか……」

 

「……」

 

「みんな、ぶじで、よかっ、た」

 

「貴女は無茶しすぎよ、アステリオス!どこに泳いで船を運ぶ馬鹿がいるのよ!!」

 

「ここに、いる。」

 

「言ってる場合じゃないわよっ!!」

 

 

スパァン!とリッカから渡されたハリセンがアステリオスの頭をはたく。

 

「…むぅ。」

 

「まったくもう…まぁいいわ、助けられたのは事実ですもの。ね、エスナ。」

 

そうですね…ありがとうございます、アステリオス様。

 

「……ん。」

 

「ほら、金ぴか?私のアステリオスに何か言うことはないの?」

 

「………」

 

ギルガメッシュは答えない。何かを、深く考えているようだ。

 

「ギル…?」

 

「なんだい、船酔いかい?」

 

「……いや」

 

長い沈黙の後、ギルガメッシュが口を開く。

 

「大義であった、アステリオス。そして無銘よ。貴様らの働き、我の称賛に値する。」

 

「うん……うん!」

 

「わ、私は…ほとんどなにも出来なかったんですけど……?」

 

「そんなこと無い、私に召喚の時間くれたの無銘さんだもの。」

 

「…とのことだが。召喚、詠唱というのは無防備になりやすい。故にその一瞬を作るのは大きい助けになると知れ。」

 

「……はい。」

 

「……それにしても、見直したわ。あんな気持ちの悪いサーヴァントと会話するなんて。」

 

エウリュアレがリッカにそう言う。当のリッカは首を傾げたまま口を開く。

 

「だって、先入観なんていうのは損する原因だもの。みんな違ってみんないい。さっきの黒髭さんみたいな人でも、お兄ちゃんみたいな人でも───みんな違う性質を持ってるもの。人は見かけで判断しちゃいけないんだよ。」

 

「先輩───はい、私もそう思います。」

 

〈一般的感性は大事なのね…〉

 

〈そう…ですね。〉

 

ギルガメッシュは考え込むのに戻る。やがて、ドレイクとミラを見て口を開いた。

 

「ドレイク。ミルド。これから船を補修する作業に入るな?」

 

「え?あぁ…獣は何匹か狩って補修の材料と食材の調達とするつもりだけどね。」

 

「その材料と私の手持ちを掛け合わせて船の補修と付与刻印の全消去、再刻印をするから時間はかかるよ。」

 

「そうか。───ならば、我は少し席を外そう。マスターとマシュを任せるぞ。」

 

その言葉に、ミラが訝しげな表情になった。

 

「珍しい。あなたの事だから手伝うといって聞かないと思ったけど。何かあるの?」

 

「なに、野暮用よ。事が終わればすぐに戻る。励めよ、マスター、マシュ。」

 

「は、はい…」

 

「……気をつけて、ギル。」

 

「うむ。……」

 

「う……?」

 

ギルガメッシュはアステリオスを少し見てから、島の中へと歩を進めた。

 

 

 

その、島の中にあった平野。その場所でギルガメッシュは立っていた。

 

「───やれやれ。マスターめが気まぐれに連れ出したかとでも思えば。我の予測を越える活躍を見せるとは。これだから、無垢なる魂というものは侮れぬのだ。───見事よな、アステリオス。そして無銘よ。」

 

そう言って小さくため息をついた。

 

「幼き者達の奮闘には報いねばな。」

 

ギルガメッシュが背後を見つめる。

 

「いるのであろう。結界は張った故、リューネの耳もここの音は聞こえぬ。姿を現すがよい───“ルーパス・フェルト”」

 

「───気づいてたの?」

 

ギルガメッシュの視線の先で、何かを脱いだ少女の姿が現れた。その問いに対し、ギルガメッシュは首を横に振った。

 

「いや、気づいておらぬ。もしやいるかもしれぬ、と思っただけで本当にいたとは思わなんだ。」

 

「そう。…久しぶり───でもないか。みんな、元気はしてる?」

 

その少女こそ、ルーパス・フェルト───船がゾラ・マグダラオスに乗り上げた時に行方不明となったハンターである。

 

「皆は元気よ。───して。聞かせてもらおうか。何故今の今まで姿を現さなかった?」

 

「あぁ…それね。ジュリィと調べ事してたの。」

 

「ほう?」

 

「それと周辺探索ね。はい、これ。」

 

そう言って渡される紙。それは、海図そのものだった。

 

「なるほど。貴様らは、自らで魔力を生成できるという利点から、単独で探索をしていたのか。」

 

「連絡手段なんてないし…翼竜を連絡手段にするにしても、こんな場所じゃ落とされかねないもの。」

 

「確かにそうであるな。しかし、貴様らも移動には翼竜を使っているのであろう?」

 

その問いに、ルーパスは頷き、手に持った外套らしきものを見せる。

 

「これと同じものを翼竜に被せて移動してたの。」

 

「それは…確か、フランスで田舎娘にも使っておったな。なんだ?それは。」

 

「“隠れ身の装衣”───特殊装具、って言われるもの。これを使うと、しばらくの間相手から発見されなくなるの。英雄王が私に気がつかなかったのもそれが理由。」

 

「ふむ…しかしこうして会ったのだ、我らのもとへ戻るがよい。」

 

その言葉にルーパスは首を横に振った。

 

「ごめん、それはできない。」

 

「───なぜだ。」

 

「私達は、今少し調べていることがあるの。」

 

「調べていること、とな?なんだ、それは。」

 

()()()()()()()()()()()()

 

「───なに?」

 

ギルガメッシュの目付きが鋭くなる。

 

「彼は、私達が降りたあと姿を消した。休眠したわけでもなく、絶命したわけでもない。それは、この海に漂う龍気からも明らかなの。なのに、その姿が見当たらない。ナバルデウスも同様で、今現在姿を確認できてない。だから、龍気が強めな場所を確認しにいってるの。勝手だとは思うけど許してもらえるかな。」

 

「……許す。勝手であろうと、明確な理由があるならば構わぬ。して、話を変えよう。」

 

その言葉にルーパスが首を傾げた。

 

「冬木での貴様の活躍、オルガマリーめに頼み、見させてもらった。黒化していたとはいえ、ヘラクレスを撃破したそうだな。」

 

「あぁ…それね。」

 

「故に───1つ、問おう。貴様単体で、ヘラクレスを何度殺せる?」

 

「……何度、か。」

 

「うむ。貴様のことだ、カルデアのヘラクレスには既に挑んでおるだろう?」

 

「まぁね。」

 

「ならば聞かせよ、貴様だけで一体何度ヘラクレスを殺すことが出来る?」

 

その問いにルーパスが考え込む。

 

「……理論上は12回全部殺せるはず。」

 

「───ほう?して、その根拠は?」

 

「私の奥義───“弓が戦いを制する究極の致命射術(アクセル・エクゼキュート・アロー)”は知ってるでしょ?」

 

「うむ。」

 

「あれは本来、()()()()()()()。」

 

「───なに?」

 

訝しげな声を出すギルガメッシュにルーパスが口を開く。

 

「空中にいる時に、私は集中、認識、把握、計算を一瞬で行ってるわけだけど…私が異常だったり天才とかって言われた原因がその“速度”にある。行程としては、集中することで私の思考を加速させる。次に、私の視界に収められる領域にいる敵を認識、全部の位置と弱点を把握する。そして最後に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。例えば、黒化したヘラクレスさんなら“鉄弓I”で25本。古龍の活動停止───討伐と言われる状態なら…まぁ、相手と武器にもよるけど新大陸にいた上位クエストのクシャルダオラに対して“ジャナフアルカウスIII”なんかだと…ん~…150本位かな?やったことないけど。」

 

「───なるほど。確かに、異常だな。」

 

「やっぱり?」

 

「───落下中にそのような処理を高速で行うなど。異常以外の何物でもなかろうが。」

 

その言葉に、ルーパスは肩をすくめた。

 

「まぁよい。この話をした理由だが、恐らく敵にそのヘラクレスがいるだろう。」

 

「……そう。」

 

「その時、貴様達も戻るがよい。期としては最適ではないか?」

 

「……まぁ、そうかもね。それで、私はどうすればいいの?」

 

その問いに、ギルガメッシュが笑う。

 

「なに───ヘラクレスを5回、殺せ。我は6回殺すとしよう。」

 

「11…でも、それじゃ足りないでしょ?」

 

「最後はマスターらに終止符を打たせようと思ってな。加減を間違えるなよ?」

 

「努力はするよ。……あ、そうだ。」

 

「む?」

 

「英雄王ってアーチャーだったよね?」

 

「む?まぁ、本来であればそうなるな。」

 

「だったら…」

 

ルーパスはアイテムボックスを開き、1張の弓と矢筒を取り出した。色は───紺碧。その色をベースとして氷のような装飾。

 

「はい。」

 

ドスン

 

「うっ…っと。なんだ?」

 

「私愛用の1張、イヴェルカーナの素材を使って作られた“氷妖イヴェリア”───あなたに貸しておくね。黒髭…だっけ。それとの対峙に使えるんじゃないかな?」

 

「……ふむ。よいのか?」

 

「いいよ。ちなみにマスターランクの武器だから今まで私達が主に使ってたのよりも強いよ。古龍武器なのもあるけど。」

 

「古龍、とな。」

 

「……昔から…私達がハンターになるよりもずっと前から、私達の世界にはとある言い伝えがあるの。“モンスターの素材を使って作り上げられし武具は、素材となったモンスターの力と意思を秘める。モンスターが持ち主を認めたとき、その武具は真の力を発揮する。”……もしかしたら、万物を凍てつかせる古龍といわれるイヴェルカーナが力を貸してくれるんじゃないかな。」

 

「ふむ…貴様は、認められているのか?」

 

「さぁ?私もよく分からない。ただ…お父さんがよく言ってたよ。“モンスターの声を聞きなさい。人間にも教官はいるけれど、一番の教官となるのはモンスターだ。”ってね。」

 

「モンスターの声……か。ともかく、借り受けよう。」

 

そう言ってギルガメッシュは波紋の中に氷妖イヴェリアをしまった。

 

「……さて、私はそろそろ調査を再開しなくちゃ。またね、英雄王。」

 

「…うむ。死ぬなよ。貴様が死ねば悲しむものがいるということを忘れるな。」

 

「分かってるよ。じゃあ、また。」

 

そう言ってルーパスが隠れ身の装衣を被ると、ギルガメッシュの視界ではルーパスの姿が見えなくなった。

 

「───真、あやつらは解らぬ者よ。さて、修繕も終わっている頃であろう。戻るとするか。」

 

そう言ってギルガメッシュは結界を解除し、移動を開始───

 

「……メドゥーサ。見ているのだろう。」

 

「……」

 

する前に声をかけると、森の中からフードを被った少女が現れた。

 

「カルデアの───ではないな。怪物と化す前のメドゥーサか。」

 

その少女がコクリと頷く。

 

「大方、姉が───エウリュアレが心配なのであろう?」

 

再度頷く。

 

「で、あるが近寄れぬと。ならば───」

 

ギルガメッシュが手招きする。それに首を傾げながら近寄る少女。

 

「───少し手荒になるが、我慢せよ。」

 

それに頷いたのを見て、ギルガメッシュが作業を始めた。

 

「………どうだ」

 

そこにいたのはリッカに似たような服装をした空色の髪の少女。

 

「……!?」

 

「少しではあるが変装の類いよ。髪に関しては水に浸ければ色は戻る。霊基そのものは変化していないゆえ、戦闘は出来るであろう。」

 

「………よいのですか?」

 

「構わぬ。そら、ゆくぞ。名は……そうさな。クリア、とでも名乗っておくがよい。」

 

「クリア……分かりました。」

 

ギルガメッシュは小さく笑ってからクリアと共に黄金の鹿号へと戻った。

 

 

「あ、おかえりなさい…」

 

「うむ、戻ったぞ───」

 

「あ、あなたがAUO?はじめまして、アルテミスでーす!ダーリン含めてよろしくね!」

 

「……ほんとすんません。あ、俺はオリオンです。こいつと一緒じゃないと何もできないヒモです……」

 

「…………仲間にするとしても限度があろう。」

 

ギルガメッシュが頭を抱えた。

 

「ぷっ、ざまぁ見なさい。……あら?そこの彼女は?」

 

エウリュアレの言葉にクリアがギルガメッシュの背後に隠れようとする。

 

「……名くらい名乗るがよい。」

 

「……クリアです。」

 

「……そう。」

 

「……ドレイク。もう一度席をはずしても───」

 

「何言ってんだい!ほら行くよ!あの糞髭にぶちかます!!」

 

その言葉にギルガメッシュはため息をついて従った。




ちょっと長くなったなぁ……

裁「観測状況どんな感じ?」

微妙。

裁「そう…」

オケアノス終了後に召喚するサーヴァントのクラスは?

  • 騎兵、槍兵、弓兵
  • 弓兵、弓兵、弓兵
  • 暗殺者、裁定者、剣士
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