狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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正弓「…はぁ。」

裁「正のアーチャーさん?」

正弓「…いえ、遅れてるので。何かと思えば執筆速度だそうで。」

裁「あ、そう…」


第154話 絆

「あ、いた。……周りの海凍らせるにはやりすぎたかなぁ。」

 

「座礁っていうかあれは……星の船みたいに陸に打ち上げられた感じじゃない?」

 

擱座(かくざ)って言ったかな。船舶が荒天時や減速時に風圧や波浪の影響を受け、船体がほぼ完全に岩礁や砂州の上に押し上げられることを言うんだけど……」

 

「……まぁ、溶かしておこうか。このままじゃ黄金の鹿号(ゴールデン・ハインド)も動かないし……」

 

「……ごめん」

 

「いいんだけどね───ナリア、“ヘルフレア”お願いできる?」

 

ミラちゃんの言葉にナリアさん───炎妃龍“ナナ・テスカトリ”が頷いて、青い炎を放つ。熱気はミラちゃんが保護術式かけてくれてるから大丈夫。

 

「流石は冰龍の力が宿った武器、か……周囲一帯凍らせるって。」

 

「うーん……前までこんな感じじゃなかった気がするんだけど。」

 

「…ふーん?…認めてるみたい、ルーパスさんのこと。」

 

「え?」

 

「弓の素材となった古龍───冰龍“イヴェルカーナ”があなたを認めてるみたい。」

 

「…いつの間に」

 

「さぁ…」

 

そう言っているうちに、周囲の氷が溶けきって黄金の鹿号が動けるようになった。

 

「さぁ、出航と行こうか!」

 

船長の一声で、私達は船に乗って島を出た。

 

「おーい、イアソン!待たせたね!!」

 

「───馬鹿な!!ヘラクレス!ヘラクレスはどうした…!!」

 

「どうした、ってアタシたちに聞くのかい?」

 

「言うてやるなドレイク。現実を直視できぬ者の基本だ。」

 

「まぁそうだけどねぇ。いいや。現実を突きつけてやるよ。アタシたちが生きているってことはアイツは死んだ。わかりやすい理屈だろう?」

 

「死ぬはずがないだろう!ヘラクレスだぞ!不死身の英雄だぞ!英雄たちが憧れ、挑み続けた頂点だぞ!?それが、お前たちのような寄せ集めのゴミ共に倒されてたまるか!!」

 

頂点…か。

 

「ふぅん…あんたにも一角の友情はあったってことか。ひどく、歪んでいるけどさ。」

 

「…そこまで会いたいのならば。逢わせてやってはどうだ、マスター。」

 

「…いいの?」

 

〈私からもお願いするよ。〉

 

キルケーさん…?

 

〈あの姪であり妹弟子ある魔女とその夫の不始末、叔母として、姉弟子として…そしてアルゴー号の呪いを解いたものとして。後始末はしなきゃダメだろう?〉

 

〈私も出るわ。…あまり、見られたくはないものだけれど。これも運命なのかしら。〉

 

〈師匠…?〉

 

「…わかったよ。」

 

私は右手を掲げた。

 

Έλα(来て),“Ηρακλής(ヘラクレス)”,“Μήδεια(メディア)”,“Κίρκη(キルケー)”」

 

その言葉に応じ、召喚が行われる。

 

「───え?」

 

「久しぶりね、イアソン。…随分と楽しそうにはしゃいでいたようだけれど。」

 

「やれやれ…はしゃぐにしても限度があるだろう。」

 

「…わが友よ。お前の苦悩、お前の間違い───終わらせに来た。」

 

裏切りの魔女、鷹の魔女───そして、大英雄。彼らがこの地に再び顕現し、彼らと相対する。

 

「…ご機嫌よう、夢ばかりを見ていた過去の私。」

 

「えぇ、ごきげんよう。叔母さまも、お元気そうで。」

 

「まぁ、元気さ。…本当に、君は愚かだ。女神ヘカテの薬術を疎かにしたことが君を不憫な運命に導いたと思うと、さ…」

 

自分自身と同じ女神に師事したものの相対───

 

「……………」

 

「どうした。何か一言でも言ってはどうだ?」

 

「───のか」

 

うん?

 

「また奪うのか、俺から!裏切りの魔女!!」

 

怒り…?

 

「俺の栄光を!俺の未来を!俺の幸福を───そして俺の人生を奪うだけでは飽き足らず!俺の親友まで奪うのか、お前は!!」

 

「イアソン…」

 

「おぞましい声で呼ぶな、薄汚いクソ女が!俺の、俺のヘラクレスを奪ったのもお前だな!やっと手にした幸せを!お前が残らず灰にした!!」

 

実際そうなんだっけ?コリントス王クレオーンに気に入られたイアーソーンは王から娘グラウケーを与えられた。そこでイアーソーンはメーデイアと離婚してグラウケーと結婚したが、激怒したメーデイアは結婚の誓約を立てた神々にイアーソーンの忘恩をなじり、グラウケーに毒を浸したペプロス(あるいは魔法の薬で作った黄金の冠)を贈り、それを着たグラウケーは炎に包まれ、助けようとしたクレオーン王とともに王宮もろとも焼け死んだ───だっけ。記憶できてないところはwikipediaで補完してたけど。

 

「何故だ───何故お前がそこにいる!俺の声には応えなかったというのに!」

 

「…イアソン」

 

「何度も声をかけた!もう一度アルゴノーツを結成しようと!俺の傍に来いと!!だがお前は拒絶した!俺の声には応えなかった!お前なら来てくれると思っていたのに───お前にだけは傍にいて欲しかったのに!!」

 

「───」

 

「だから───だから理性を奪った!たとえ理性のないケダモノだったとしても、お前ならそれでもよかったんだ!!それなのに───それなのに何故、お前はゴミ共にその姿で使われているんだ!!」

 

「…ふむ。」

 

「俺は、アーチャーのお前で来て欲しかった!バーサーカーなんぞじゃなく!いいや、アーチャーじゃなくてもいい!せめて楽しく会話ができるお前で来て欲しかったんだ!それを、それを───!!」

 

イアソンさんはメディアさんに指をさした。

 

「裏切りの魔女め!お前など、生まれてこなければよかったんだ!!」

 

「───」

 

「…あー、すまない。アーチャーだと思っているところ悪いが、今の私はアーチャーではないのだ。」

 

「謎のレアクラスである故な。…聞こえてなかろう。」

 

「私も謎だと思うレアクラスだ。他の者から見れば疑問しか出ないだろう。」

 

〈…師匠〉

 

「いいわ。嫌われるのは慣れているもの。」

 

そういってメディアさんがフードを被る。

 

「では、どうするのかしら?貴方の親友を奪ったこの魔女に、かつての貴方の妻に───あなたはどんな報復をするのかしら。」

 

演技…というかスイッチが変わったような感じがする。

 

「決まっている───聖杯よ!!」

 

イアソンさんが聖杯を掲げた。

 

「奴らを殺せ!!そして───ヘラクレスを奪え!!」

 

「魔力反応増大───いいえ、増殖!!これは…!」

 

〈シャドウサーヴァント───それだけじゃない!海賊船───!?囲まれているぞ!!〉

 

「ふん、底を見せたか。そのようなものに頼るなど、底を見せたも同然よな。」

 

「姐御!どうしやす、技術顧問の嬢ちゃんのおかげで足りなくはないでしょうが数が数でっせ!!」

 

「泣き言言ってんじゃないバカ!お宝が目の前なんだ、こんなとこで諦めてられるわけないじゃないか!?」

 

「しかし───」

 

「…私に任せてもらえる?」

「…僕に任せてもらえるか?」

 

ルーパスちゃん…?リューネちゃん…?

 

「…何する気だい?」

 

「いや、なに。あれをとりあえず一掃してくるよ。」

 

「…ほんと、考えることは一緒なんだから。ミラ?」

 

「何?」

 

「耐火属性の結界とかある?できれば、かなり強めの。」

 

「…ある、けど。」

 

「船にかけておいて?」

 

耐火属性…?

 

「ルル、ドラを頼む。」

 

「お任せですにゃ」

 

そう言ってルルさんが銅鑼を鳴らした。

 

「…じゃあ、行こうか。」

 

「ん。」

 

「「宝具、稼働───」」

 

ルーパスちゃんとリューネちゃんが、そう呟く。それと同時にあふれる魔力───あれ?この魔力───

 

〈なんだ…?人じゃない魔力───?〉

 

「解放。それはつがいの古龍。妃と呼ばれる青き龍。」

「解放。それはつがいの古龍。王と呼ばれる赤き龍。」

 

あれ…あの、姿は───

 

「地獄の名を持つ蒼炎」

「星の名を持つ爆炎」

 

「「番よ」」

 

〈まさか───連携できる宝具なのか?〉

 

お兄ちゃんがそう言っている間にルーパスちゃんとリューネちゃんは空高く上がっていく。

 

「青き妃は蒼炎を散らし」

「赤き王は爆炎を放ち」

 

「蒼炎は点火し爆炎を放つ」

「爆炎は凝縮し判決を下す」

 

「蒼炎」

「爆炎」

 

「番は爆炎」

「番は蒼炎」

 

「「出逢いし時、その絆今こそ合わせん───」」

 

そこまで言ってルーパスちゃんが───ううん、ナナ・テスカトリが青い炎を、リューネちゃんが───ううん、テオ・テスカトルが赤い炎を放ち始めた。

 

『今こそ放とう───“灼けよ、此処に降りるは妃の憤怒なり(ヘルフレア)”』

『今こそ放とう───“炎王龍、その炎この地を焼き尽くさんが如く(スーパーノヴァ)”』

 

「…っ!危ない、伏せて!!」

 

ミラちゃんの言葉に私たちが思わず伏せると同時に、船を爆炎が襲った。

 

「わっわわ!?壊れないよねぇ!?」

 

「大丈夫…!!」

 

爆炎が収まって、私達が立ち上がると、既にアルゴー号と黄金の鹿号以外の海賊船は消えていた。それと───空中から落下するルーパスちゃんとリューネちゃんの姿。

 

「相棒!」

 

ジュリィさんが声を上げるけど、ルーパスちゃんは頷いて上空を向いて手を口に近づけた。視線の先───穴?

 

 

ピィィィィィィ…

 

 

「指笛?」

 

「指笛を吹いて……?何か、来る」

 

ミラちゃんがそう言って穴を見た。

 

「レア───!!」

「レスティ───!!」

 

リューネちゃんとルーパスちゃんが叫んだ。その声に応えたのか穴から現れる、それは───

 

「リオレウスとリオレイア!?」

 

赤い飛竜と緑の飛竜。自然の物ではない、背中にある鞍にルーパスちゃんとリューネちゃんが乗った。

 

「レアとレスティですにゃ!!」

 

「えと…だれ?」

 

「旦那さん達のオトモンですにゃ!レアはリューネさんのオトモン、レスティは旦那さんのオトモンなんですにゃ!」

 

オトモン…?

 

「よいしょっと。ただいま」

 

「あ、ルーパスちゃん…」

 

〈“モンスターライダー”…初めて見たぞ。隠してたのか?ルーパス。〉

 

「ん?別に違うよ?新大陸じゃ呼べなかっただけ。遠すぎてね。」

 

〈なるほどな。しかし、ルーパスのオトモンがリオレウスか。〉

 

「何か変?」

 

〈まぁな…お前さん、噂になってる夫婦だと妻の方だろうが。さっきの宝具もナナ・テスカトリになったしな。〉

 

「あ~…それは知らない。好かれたのがリオレウスだっただけだし。私なぜかリオレウスによく好かれるんだよね。」

 

「僕はリオレイアか…というか最初のオトモンが僕はリオレイア、ルーパスはリオレウスだっただけだがね。」

 

〈そうか…〉

 

…よくわからなかった。




正弓「詠唱は適当だそうな。」

裁「あ、そう…」

正弓「正直詠唱とかその場のノリで考えてるらしいですよ、あの人。」

弓「ふむ…」

オケアノス終了後に召喚するサーヴァントのクラスは?

  • 騎兵、槍兵、弓兵
  • 弓兵、弓兵、弓兵
  • 暗殺者、裁定者、剣士
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