狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い 作:Luly
あとタイトルの所で出てくれなかったのでここに正式名書いておきます
第16話
「…アーサー王、クー・フーリンさんともに消滅を確認しました。…私達の勝利、なのでしょうか…」
〈あぁ…よくやってくれた、マシュ、立香ちゃん!所長も喜んで…所長?〉
「
「…オルガマリー、何か気になることでもあるの?」
「え……あぁ、ごめんなさい。少し考え事をしていたわ。不明なことは多いけれど、ここでミッションは終了とします。」
オルガマリーはそう言ったけど、私はそんな気がしない。何故なら、私の直感がまだ警鐘を激しく鳴らし続けているから。なら、まだ何かあると思う。
「オルガマリー。」
「なにかしら?」
「ありがとう、ここまで。ここまでこれたのはオルガマリーのおかげだと思う。私だけじゃ、ここまでこれなかったと思うから。良かったら、これからもよろしく。全部を頼る気はないけど。」
そう言ったら、驚いた顔をしてた。でもすぐに表情を戻した。
「…感謝は後ででも聞くわ。ひとまず、あの水晶体を回収しましょうか。アーサー王が異常を起こしていた理由。冬木の町が特異点になっていた原因はどう見てもあれのようだし。」
「はい、至急回収……!?」
マシュの声が途切れたと同時に、私の直感の警鐘が激しさを増した。流石に頭が痛くなってくる。けど、こんな警鐘は初めて。
「やれやれ、まさか君たちがここまでやるとはね。計画の想定外にして、私の寛容さの許容外だ。」
その、聞こえたその声は。
「48人目のマスター適正者。まったく見込みのない子供だからと、善意で見逃してあげた私の失態だよ。」
その声を、私は知っている。その方向を見ると、確かにその人がいた。
「レフ教授!?」
確か名前はレフ・ライノール。思えば、
「レフ…?レフなの…?」
その人に近づこうとしたオルガマリーを、マシュとルーパスちゃんが止めた。
「オルガマリー、離れて。……あれは、“人”でも、“龍”でもない。」
「ルーパスさんの言う通りです。…あれは、私たちの知るレフ教授じゃありません。」
「え…?」
ふと目をそらしてみると、フォウ君がその人を睨め付けるように見ていた。……そういえば、
〈レフ!?レフ教授だって!?彼がそこにいるのか!?〉
「うん?その声はロマニ君かな?君も残ってしまったのか。全く…」
その言葉の後、その人、ルーパスちゃんの話だと人でも龍でもない何かが歪んだ笑みを浮かべた。
「どいつもこいつも統率の取れていないクズばかりで吐き気が止まらないな。人間っていうのはなぜ定められた運命からズレたがるんだい?」
その言葉に私はゾクッとした感覚に襲われる。
「そんな中でももっと予想外なのは君さ、オルガ。爆弾は君の足元に設置したはずなのになぜ生きてるんだい?」
爆弾。その言葉を聞いたと同時に、ドクターからこの場所に来る前に聞いたことを思い出した。
【ここが爆発の基点だろう。これは事故じゃない、人為的な破壊工作だ───】
なら、この事件の首謀者は。
いま私の視界の中に居る、この男である、ということ。
「どういう、こと?」
「いや、生きているというのは違うな。君の肉体はもう既に死んでいる。トリスメギストスはご丁寧にも、この土地に残留思念となった君を転移させてしまったんだね。」
「…そういうこと。」
ミラちゃんがそう呟いた。
「道理で…変な感じがすると思った。肉体はないが魂のみ在る。一つの存在として成立していない…か」
「オルガ。君は生前、レイシフト適性がなかっただろう?肉体があったままでは転移ができない。わかるかい?君は死んだことで初めて、望んでいた適性を手に入れたんだ。だからカルデアにも戻れない。戻った時点で、君の意識は消滅するんだからね。」
「戻れない…って、嘘でしょ…?私が…消える?」
「そうだとも。だがそれでは君があまりにも哀れだ。特別に見せてあげよう。今のカルデアを。」
その時、空間が歪んだ。歪んだ空間の奥にあるのは、赤くなったカルデアス。
「何よ、あれ……立香、マシュ、あれ……嘘、よね?」
私達は静かに首を振ることしかできなかった。だって、あれは私達が実際に見たものだから。
「最後の慈悲だと思ってくれたまえ。君の宝物に触れるといい。」
「カルデアスに…?な、何を言ってるの?だって、カルデアスよ…?」
ルーパスちゃんとジュリィちゃんが厳しめな顔をしてた。
「カルデアスに触れるなんて……何を言ってるの?高密度の情報体よ?次元が異なる領域…なのよ?」
「あぁ、ブラックホールと何も変わらない。それとも太陽かな。…まぁ、どちらにせよ。人間が触れれば分子レベルで分解される地獄の具現だ。遠慮なく、生きたまま無限の死を味わいたまえ。」
そう平然と言うレフ・ライノールの存在に、私は強い嫌悪感を覚えた。
「ふ…ふざけないで!っ!?」
「所長!?」
オルガマリーの身体が、浮き上がった。まるで、引き寄せられるかのように。
「…相棒」
「…ジュリィの…直感。それはまさかこれを…?」
「いや…いや、いや!!」
「相棒。」
「ジュリィ?」
「だって、やっと褒めてもらえたのに!!やっと認めてもらえたのに!!」
「オルガマリーさんを、引き止めることは可能ですか?」
「え…?」
「こんなところで死にたくない!!せっかく…せっかく友達もできたのに!!」
「…どういう、こと?」
「…少し、少しだけで、いいんです。時間を…稼いでほしいんです。」
ルーパスちゃんが所長の方を見つめた。けど、そのまま首を振った。
「無理だ…あれは私の手に負えるものじゃない。」
「そう、ですか……」
ここで何もできない私が辛い。また私は、友達を失ってしまう…
「…ジュリィさん、って言ったっけ。」
「はい?」
「…なんとか、できるの?」
「…私の勘が正しければ。」
「…分かった。」
「「え…?」」
ミラちゃんが、杖を構えた。
「いい?私が稼げるのはほんの少しだけに近い。そこからは貴女の展開速度での勝負になる。…失敗は、許されないからね。」
「……」
「いいからさっさと準備!!急がないと本当に手遅れになるよ!!あとこれ、持ってて!!」
「は…はい!!」
そう言ってジュリィさんは手帳を受け取ってから目を瞑り、ミラちゃんはオルガマリーを強く見据えた。
side 三人称
「いやぁぁぁぁぁぁ!!!」
「……術式、展開。」
ミラがそう呟くと、その足元に白色の陣が展開された。
「時間がない…─────────」
〈な…ミラちゃんの魔力反応増大!?これは…まさか宝具か!?でもって凄まじい速度の高速詠唱だ!?こんなの、いくら天才だとしても16歳の子供ができていい芸当じゃないだろう!?〉
ロマニのその声が聞こえる。その詠唱に使う言葉は総て竜人語だが、早すぎて聞き取れない。
「──────…あぁもう!!我が心意、我が言霊を用いて詠唱を省略する!!今ここに穿つは喪失の呪文也!!」
詠唱省略。そんなことまで起こし、ミラが杖をオルガマリーに向けた。
「展開せよ!“
〈宝具、来るぞ!!〉
「───
その杖から噴射された魔力は、オルガマリーを直撃した。
「ちょっ、ミラちゃん、なにやっ………て?」
立香が問い詰めようとしたが、途中でその勢いがなくなった。
「先輩?」
「…ねぇ、マシュ。」
「はい」
「…あの人、誰だっけ?」
「へ…?」
立香はオルガマリーのことを示して、再度言った。
「
「先輩!?何言ってるんですか、あの人……は……」
反論しようとしたマシュの言葉も途中から消えていった。
「あの、人は……あれ?」
そう言いつつ、マシュも呟いた。
「…ドクター。
〈君たちボケちゃったのかい!?忘れちゃダメだろう、あの人は我がカルデアの………カルデアの…………〉
別の時間にいるロマニでさえ、こう呟いた。
〈…
ミラが宝具を放ってから声を発した全ての人から、“オルガマリー・アニムスフィア”という
しかし、例外は在った。
「今よっ!!」
「…時間稼ぎ、ありがとうございます!今助けます、待っててください!!」
術者たるミラと、謎の手帳を渡されたジュリィは、その存在を忘れていなかった。
「宝具解放…行きます!“
編纂者たるジュリィは、その本を開いてその宝具の名を告げる。
「───
その瞬間、オルガマリーの身体が光に包まれ、どこからか巻き起こった風と共に身体ごと本に吸い込まれた。
“
編纂とは、多くの文献をあつめ、それに基づいて、新しく記述した書物に関して用いる用語であり、著作者の年譜や著作目録の作成などに用いる言葉である。それを行う編纂者は、まさに情報統括のエキスパートになり、その“記録する”という概念が宝具と化した。
その効果はいたって単純。
“
扱いを間違えれば、生き地獄にもなる宝具である。しかし、本の中に存在するは永久の時間。本の中に吸い込まれた存在は、休眠状態で過ごすことになる。
そして、ミラの宝具。“
こちらもいたって単純だ。
“
この宝具で今回ミラがやったことは三つ。
一つ、カルデアスの“次元が異なる領域”という概念の抹消。
二つ、“引力に引かれる存在は肉体がない”という現在の状態の抹消。
三つ、“オルガマリー・アニムスフィアという名の存在がいた”という認識を抹消。
読者の皆さんなら知っている人はいるだろう。“ロストワード異変”を。
ミラが使う呪文の一つ。“喪失の呪文”は、このロストワード異変を彼女の意思で引き起こすもの。
しかし、これには問題がある。
一つ。カルデアスの概念を抹消したために次の観測がうまくいかなくなる。
二つ。死んでいるが肉体が生きていることにされているという異常。
三つ。オルガマリー・アニムスフィアを“オルガマリー・アニムスフィア”だと認識できない。
彼女はこれを分かったうえでこの宝具を起動した。
しかしこれはロストワードを生み出す呪文であってロストワード異変そのものではない。
ただしこのロストワードは性質的には異変と同じだ。
そして、こちらのロストワードは作成されてから全部の力を発揮するまで、少しだけ時間がかかる。
ロストワードの影響を受けないもの。それは、ロストワード異変に関わったなら知っている人は多いはずだ。
「…ミラさん、大丈夫です!!」
「了解…ロストワードを解除するよ!“
ミラの手元から手帳が浮かび、それが強い光を放った。
「まぶっ……あれ?」
「先輩…!?あれ、所長はどこへ!?」
「っ!?ていうか…私達…いま…オルガマリーのこと忘れてた……!?」
ミラがしたのは単純だ。ロストワードの答え合わせ。“
そもそもロストワードの扱いについてはミラはよく知っている。世界の常識に対してのロストワードは長く維持していれば維持しているだけ、危険なものと化すものだ。ミラが発動前に言った“ほんの少し”。それは、ロストワードを成立させてから世界全体に被害が出ないと確信した最低レベルのラインを示している。
ロストワードが封印する宝具ならば、インデックスは解放する宝具。一対の対概念宝具である。
ジュリィがロストワードの影響に巻き込まれなかったのは、ミラが渡していた手帳が対ロストワードの守りの作用を働いたのだ。
そして、ジュリィは直感のみで宝具を起動し“オルガマリー・アニムスフィアという名前だった存在”を標的として記録の宝具を放った。
side 立香
「───!?そこのサーヴァント、何をした───!?」
レフ・ライノールの声が聞こえる。私もミラちゃんとジュリィさんの方を呆然と見つめてた。
「…何って…一人の人間を、救っただけ。まだ生きていたいと願った一人の人間を、救っただけ。」
「はい。それが、私の宝具のようですから。」
「何を寝ぼけたことを…そのまま連れ帰ったとしても、その女は既に死んでいる外に出した途端───」
「いいえ!」
ジュリィさんが力強く否定した。
「…いいえ、死にません。死なせませんし消させません!!」
「……ふん。好きにするがいい。」
レフ・ライノールは興味が失せたというようにジュリィさんから視線を外した。
オルガマリーは、ジュリィさんに救ってもらえたのかな。私にできるのは、またオルガマリーと話せるようにと願うことだけだった。
流石にここまでの文字量を書いたのは初めてじゃないですかね…
あとは帰還して…それから召喚書かないとです。