狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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正弓「ちょっとだけカルデアにいる人たちに視点を向けたいみたいです。」

弓「ふむ。」


第164話 休息中の王の一幕

……

 

………

 

…………あ。どうも皆さんお久しぶり。まったく気づかなかった。

 

観測者です。本気で久しぶりに呼ばれた気がしたんだけど……まぁいいか。

 

で、今私が見てるのは───

 

 

ピピピピ───

 

 

〈時間切れです。〉

 

「…だ、そうだ。貴様の一撃、我に届くことはなかったようだな───天草四郎時貞。」

 

「……まったく、手加減、されて、なお、一撃すら、与え、られない、なんて……」

 

「1つ間違いを正せば、先の我の出力は弓の我と比べれば十分手加減していない部類に入るが。そも、存在しなかったクラス故か出力が不安定であるのだ。…だが。その不安定な出力さえ対処できぬようでは、貴様の望みなど叶わぬであろうよ。」

 

あ、英雄王がため息をついた。

 

「やれやれ───廊下にて対面し、即座に“貴方の所有する聖杯をいただきたい”等とのたまう故、少しは腕に覚えがあるのだろうと思い、時間を作ってやったというものの。これではただの時間の無駄ではないか。」

 

あ、ちなみにここはカルデアの第五シミュレーションルーム───通称“決闘場(デュエル・アリーナ)”。他のシミュレーションルームみたいにエネミーの湧出機構とかがあるんじゃなくて、サーヴァント対サーヴァント、サーヴァント対人間、人間対人間なんかの…まぁ、“デュエル”ができる場所。

 

「だが、我を標的に据えて正面から狙ったのは評価してやろう。中々肝の据わった男よな。」

 

「……あなたには、暗躍も策も無意味だと悟りましたので。せめて自らの総てをかけて、とは思っていたのですが…」

 

「不穏分子の対処も我の仕事よ。……そら」

 

金色の波紋が展開して大量の聖杯が落ちる…うわぁ。

 

「“貴様の所望する品”はこのように掃いて捨てるほどある。貴様が我を下せば、すぐにでも手に入ろうよ。」

 

「……意地の悪いお方だ。それができれば苦労はしないと言うのに。」

 

「反逆の自由くらいはくれてやる。貴様に価値ありと認めたならば、この程度の容器の1つや2つ、くれてやろう。」

 

「……」

 

「あぁ、オルガマリーやミルドなどのカルデアの者達に手を出すことは許さぬ。アレらは全て我の財故な。貴様の手垢などつけさせぬわ。」

 

観測してる私でも驚いたんだよねぇ…英雄王が部屋の外に出た瞬間英雄王の目の前にいて、“貴方の所有する聖杯をいただきたい”って言い放ったんだもの…結果は、これだけど。

 

「…なるほど。貴方を倒せば総てが手に入り、逆に倒さねば何も手に入ることはない…と。分かりました。我が悲願の成就には、貴方に挑むこととします。…しつこいですよ、私は。」

 

「よい、許す───許すついでに1つ答えよ。」

 

「?」

 

「召喚の折───貴様はオルガマリーだけでなくミルドにも目を向けたな。」

 

そういえば、天草四郎時貞はオルガマリー・アニムスフィアとミラ・ルーティア・シュレイドを交互に見つめてたっけ。

 

「オルガマリーはジュリィめが聖杯を与え、本体が聖杯となっている故に貴様が目を向けるのもわかる。しかし、ミルドは聖杯ではないはずだ。答えよ。なぜ貴様はミルドにも目を向けた?」

 

あ……そう言われてみれば。

 

「その事ですか…いえ、彼女から聖杯と似たような雰囲気を感じましたので。」

 

「ふむ…そうか。」

 

「なにか気になることでも?」

 

「……あやつは頑なに自らのことを話そうとせぬのでな。いくつかの情報から答えを導くしかないのだ。ルーラーの真名看破もそこまで効いておらんであろうからな。」

 

「それは流石に……」

 

「無い、とは言いきれぬぞ。あやつの中には名乗った名以外の名があるのかもしれぬ。ハンター共は規格外故、真名看破や神明裁決を無効化してもおかしくあるまい。マスターの令呪を無効化できるサーヴァントいることであるしな。」

 

「……サーヴァントの域を越えていませんか、それは。」

 

「魔力不要という時点で既にサーヴァントの域は越えているであろうよ。」

 

あー……ん?誰か来る。

 

「失礼します。麻婆はいりませんか?」

 

「……ゑ?」

 

「…ジャンヌか。麻婆の出前など頼んではおらんが。そしてそちらの黄色い方を寄越せ。」

 

英雄王がそう言い、麻婆豆腐の黄色い方をジャンヌ・ダルクから受けとる。もう一方は───赤い。超赤い。見てるだけで目が痛い。

 

「これは───」

 

「?新商品です!」

 

「その外道麻婆のようなもの、どこで作った。」

 

「キッチンですが…英雄王に今渡したのは従来のもので、こちらはオルタとの共同開発です!なんでも、私達を焼いた炎を再現するとか……天草さん、温めますか?」

 

「いえ、結構です…」

 

「ふ。それではジャンヌ、我は他の用事があるゆえ、これで失礼するぞ。」

 

そう言って英雄王は第五シミュレーションルームを退室する。

 

 

「─────!!!」

 

 

声無き悲鳴が上がったのはそれからすぐのことだった。

 

「くっくっく……まさかアレの最初の餌食になるのが我ではないとは。酒が旨いというものよ。ふはははは!」

 

高笑いしながら歩いていって───着いた先は整備室。

 

「すまぬ、遅くなった。」

 

「……」

 

「む?六花?」

 

「んあ?あぁ、すまねぇ。気づかんかった。」

 

整備室の中にいたのは藤丸六花。大型の二輪車を前に、パソコンを弄っていた。

 

「よい。それだけ熱中していたのであろう。」

 

「ん~…それなりに難しいんだよな……人理修復終わったらリッカに大型取らせるか…」

 

「しかし大型二輪免許を取れるのは18歳からであろう。」

 

「日本じゃな。側車に人を乗せる時、側車に乗る人に免許必要だったかはちと忘れたが…」

 

「ふむ……ここにおいておくぞ。」

 

「ん?おお。」

 

英雄王は波紋を展開して二輪車を置いた。

 

「どれくらいかかるのだ?」

 

「そうだな…ま、大体1ヶ月位あればなんとかなる可能性はある。あくまでも“可能性”だがな。流石に初作業じゃどれくらいかかるか予測つかん。」

 

「ふむ…第4の特異点は既に観測されていたな?」

 

「あぁ、決行予定は3日後だが…それがどうかしたか。」

 

「……いや。無理はするなよ、とな。」

 

「大丈夫だ。休息込みで改造作業してるからな。」

 

「そうか。」

 

それは大丈夫だと言えるのかな……

 

「……エンジンは大本のでいいんだが。初期段階は約129km/h出ればいいからな。問題は加速───加速性能か。それと人体の防護機構───これは結界でなんとかなる。」

 

「そも、129km/hは法律違反であろう。」

 

「それは日本だ。外国だと130km/hが制限とかってあるんでな。ん~………魔力取り込ませてブースターとするか……?」

 

藤丸六花が色々と弄っているうちに、整備室に入ってくる人影があった。

 

「お父さん、すこし休んではどうですか?もうお昼ですよ?」

 

白髪の黒ワンピ…確か、アドミニストレータ。

 

「ん?もうそんな時間か。」

 

「どうぞ、ギルガメッシュさんも。」

 

「む、すまぬな。……む?カルデアで見たことの無い料理だ。一体…?」

 

「…アドミスの手料理か。」

 

「はい。」

 

「……いただきます」

 

手料理…AIが手料理!?

 

「料理用でもないAIが料理を作れるものなのか?いただこう。」

 

「まぁ、たまに教えてるからな。それに肉体があるんだ、作れないわけねぇだろ。」

 

「……ふむ。思ったが、どうやって肉体を生成しているのだ?」

 

「魔力とコアデータ、イメージを触媒に肉体を構成しているんです。サーヴァントの皆さんとほとんど似たようなものですよ。」

 

「今となってはほとんど人間と一緒だけどな。イメージが強固になれば強固になるほど人間に近づく。それでもAIとしての能力は失わず、その中に残る…って感じか。」

 

「ふむ…兵器に人の心を持たせるのはあまり良いことではないのだろうが……アドミニストレータ。貴様は、AIであるが人として産み出されたのか。兵器としてではなく、六花の娘の1人として。」

 

その問いに、アドミニストレータはすこし首をかしげてから頷いた。

 

「そうですね。特に私と妹はお父さんと強い関わりを持ってますから、直系の娘と言っても過言ではなさそうです。」

 

「魂の分割、か。男1人の魂から2人の娘が生まれるなど。貴様の魂の本質は女だったのではないか?六花。」

 

「ほっとけ。…ん、腕を上げたな。」

 

「本当ですか!?」

 

「この程度で嘘なんかつかねぇって。」

 

なんというか…

 

「そうしてみると本当の人間の父娘のようよな。」

 

「そうか?正直まだ未成年なんだがな。結婚可能だが。」

 

「私達も生まれてそんなに経ってませんからね…」

 

「…そういや、アドミス達の名前も決めないとな…」

 

不意にそんなことを呟いた。アドミニストレータが不思議そうな顔をしてる。

 

「名前…ですか?私はいつも皆さんからアドミスと呼ばれていますし、それでいいのでは……」

 

「あぁ、そうじゃなくてな…人間として生活するにあたっての名前だ。“藤丸 アドミス”とかは流石に呼びにくいだろ。」

 

「あぁ…なるほど……私はお父さんの娘ですからそうなりますよね…」

 

「英語名ならまだいいかもしれないが、日本名だとな……」

 

「……考えてみます。」

 

「ん。…ごちそうさん。」

 

「うむ。それなりに美味であった。」

 

「そうですか…それでは失礼しますね。」

 

そう言ってアドミニストレータは退室していった。

 

で、この後はずっとここで作業してたからここで終わり。じゃあね~




正弓「調子が戻ってきたみたいですね。」

裁「そうなの?」

正弓「そうみたいです。」
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