狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い 作:Luly
裁「………」
正弓「うん?どうしました?鍵のルーラーさん。」
裁「え…なんで…気配消してたはずなのに…」
正弓「それくらいでしたら私は察知できますよ。」
───目が、覚める。
「……」
周囲はまだ暗い───もう一度寝ようと試みるけれど、寝付けない。
「……ん…」
仕方なしに身体を起こす。現時刻2:30。暗いのは当然の時間だった。
「……誰も起きてない、かな。」
この場所にいる全員の音と気配を感じ取る。音は───モードレッドさんの大きなイビキ。それから全員分の規則正しい呼吸音。
「……他の皆は熟睡してる、か。」
もう一度寝たいけど───けど。寝る前のあの声が妙に耳に残ってる。
「…“ジャック・ザ・リッパー”…“切り裂きジャック”、か。」
帰ってきたあと、この場所の主であるジキルさんはそう言った。連続殺人鬼
『おかあさんおかあさんおかあさんおかあさん!!』
「……」
あの声が、耳から離れない。一緒に着いていただけの私でもそうなんだから───実際に対峙し、引き付けたミラさんはもっと酷いはず。カルデアで、元気に遊ぶ彼女を知っているから。ナイフも持たず、無邪気に使い魔達と遊んでいた彼女を知っているから。氷で無力化したとはいえ、相当堪えたはず。ミラさんも、キリゼさんも。表情には出さなかったけど。
『起きているのかい、無銘?』
「…フォウさん。」
『呼び捨てでいいと言っているだろう…まぁ、癖はそう簡単に抜けはしないかな。…君が起きたような気配を感じてね。…どうしたんだい?顔色が悪いよ、君。』
「……大丈夫。」
そう答えると、フォウはため息を吐いた。
『大丈夫には見えないけどね。まったく、君は何処か似ているというか似ていないというか…』
「…?」
『いや、なんでもない。忘れてくれ。どうせ君のことだ。大方、昨晩出会った反英雄───“ジャック・ザ・リッパー”のことを気にしているんだろう?』
当たっているから素直に頷く。
『やれやれ…君は優しいね。こんなボクにも優しくしてくれるしさ。あの怨霊にもその優しさを向けるとなると、流石に心配になってくるね。…まぁ、そんな君がボクは気に入っているといってもいいんだけどさ。』
そう言ってフォウは私の手元に少し厚めの袋を置いた。
『君にあげるよ…というか受け取ってもらえないかな?君に合いそうな服を作ってみたんだ。』
作って……?ちょっと疑問が生まれたけれど、フォウが置いた袋の中身を出す───これは……
「シスター服?」
『ちょっと作りが微妙だけどね。それと、君はどちらかというと日本人のような姿だから、もう1つの方が合うかもしれない。』
フォウの言う通り袋の中にはもう一式服が入っていたこれは───確か、巫女服。
『どうしてだろうね。君を見たとき、大体神に仕えるような女性の姿が思い浮かぶんだ。だからそのセレクトにしたわけだけど…気に入ってもらえるかな?』
「……サイズ、合うかな。」
『目測だけれど君のサイズは測ったつもりだよ。ボクの目に狂いがなければそれであってる…と思いたいけれど。』
その言葉を聞いて、私は闇属性の魔法を起動、私の姿を隠す。その中で私はシスター服に着替えてみた。
「……あ。」
『どうかしたかい?』
「……ぴったり。」
私は魔法を解除してフォウの前に姿を現した。
『ふむ。最も標準的な黒いシスター服にしたけども…白でもよかったかな?白に紺、それこそ白に金とかもいいかもしれないな……動きにくいとかはないかい?』
「えっと……そこまでは。」
正直言うと全くキツい、ユルいがない。本当にピッタリ、正確に私の身体に合わせたような設計だった。
『ボクの目測もまだまだ捨てたものじゃないってことかな。次、巫女服の方に着替えてくれるかな?』
私は頷いて闇属性の魔法を起動する。渡されたのは白衣に緋袴───最も標準的な、というか実際の巫女装束……?
「…ええと。」
…なんとなく、わかる。巫女服の着方が。こういうのは正式な着方があるものだけど───その正式な着方が、なぜか。
「……こう、かな。」
着付けを終え、魔法を解除する。
『ん、終わった───』
フォウの言葉がそこで止まった。
「フォウ?」
『───だ。』
「え?」
『可憐だ…綺麗だ、無銘。』
「え、えぇ…?」
言われたことに困惑する。私が、綺麗…?
「そんな冗談通じ───」
『冗談なんかじゃない!』
「ひゃっ…!」
突如飛びかかられて背後にあったベッドに倒れこむ。
『冗談なんかじゃないんだ……!まさか、ここまで合うとは思っていなかった!このボクが断言しよう、君は可愛い女の子だと!』
「えっ、えっ、えっ…///」
『あっ───』
フォ、フォウが溶けた……!?
「フォウ───!」
『照れた顔だとなお可愛い───我が生涯に一片の悔いなし───』
死んじゃダメ……!
『……死んだ。君のキスで生き返った。そしてまた死んだ。なんでボクはこのごく短時間で君に2回殺されてるんだ?』
「知らないよ…?」
『それもこれも君が可愛いから悪いんだ!くそう、覚えてろっ!!今度はもっと可愛くしてやるからなぁぁぁ!これがボクの限界だと思うなよっ!!』
そう言い捨ててフォウは私のいた部屋を去っていった。…私、何か悪いことしちゃったかな?それにしても…
「……シスター服と巫女服、か。」
確かどちらも祈りを捧げるのに最適な服装。今私が着ているのは巫女服で、動きに支障がないほどピッタリ。
「……」
そして───祈り方も何故か、分かる。最近はこういうことが多い気がする。知らないはずなのに知っている───私に記憶はないのに身体が覚えている。私は、その場に正座して胸の前で手を合わせて言葉を紡ぐ。
「───告げよ。告げよ───死せし霊魂が還るは星の大海。天上に存在せし1つの死の国。全ては転輪し浄化され、転生し、時を流れ、死してまた1つの輪廻へと立ち返る。しかしてまた1つ、死せし霊魂が還るは地の大窯。地中に存在せしもう1つの死の国。全ては判決し断罪され、懺悔し、時を経て、赦されまた1つの輪廻へと立ち返る。」
頭の中に浮かぶ言葉をそのまま紡ぐ。
「
祈祷…なのかどうかは分からない。けれど…
「産まれず死した子供の怨霊。かの魂に安寧を。かの魂に平穏を。今度こそ、彼女に幸せを───かの魂達に、祝福を。かの魂達に、救済を。今度こそ、彼女達に安らぎを───迷える魂に安息を。星の鐘よ、我が願い聞き届け給え───」
……どのくらいの時間、手を合わせていただろう。既に部屋には光が射し、夜明けを感じさせていた。
「…今日は…確か」
ヘンリー・ジキルさんの協力者───ヴィクター・フランケンシュタインさんの保護に向かう、と言っていたはず。
「……そうだ」
既に時間は4:10を回っている。全員そろそろ目覚めるだろうし…私にできるのは───料理くらい。巫女服を脱いで畳み、ベッドの上に置いておく。
「台所は……あった。お借りします。」
聞こえていないだろうけどそう言ってから、台所に立って指を振る。
───リリリ
振った場所にホロウインドウが開く───これは私の能力みたいなんだけど、よく分かってない。夢の中で誰かに教えられた、私の能力の1つ。名前は知らないけど…ハンターさん達のアイテムボックスと同じような機能を持っているのは分かる。手紙が一通入ってたから読んでみたら、この中にあるのは全部私のものみたい。だから自由に使っていいみたいだけど…何故か食材ばかりだから料理にしか使ってない。
「……うん。」
簡単なものだけど───少しでも力になれば。
リッカ side
目が覚める───時計に目を向けると6:20を指している。
「ふぁぁ…」
「あ、先輩!おはようございます!」
「おはよ……うん?」
これは……甘い香り?
「起きたか、遅ぇぞリッカ!メシだ、メシ!」
「えっと……?」
モードレッドさんの前のテーブルに置かれたアップルパイとステーキ、それから小盛りのコーンにほうれん草の和え物…きちんと炊かれた白米も添えてある。
「これは…?」
「いつのまにか作られていたんです…!どうやら無銘さんが作ったようで……」
「アルが作ったの!?」
この量を1人で…!?
「……って、あれ…アルは?」
「“武器とかの整備をするので食べていてほしい”とのことだったよ。一口食べてみたけどかなりの腕前だ。」
「オレもさっきつまみ食いしちゃったんだけどよ!もううまいのなんのって!あ、父上には内緒にしてくれな?知られたら面倒そうだ。」
「え、うん…」
「さぁ、早く食おうぜ!席につけよ!ジキル、シードル出してくれ!」
「腹が減ってはなんとやら、ですからね!」
「モードレッド、そこは僕のお気に入りベッドなんだけど…あぁ、シードルだったね。冷えてるけど…まぁ、程々にしなよ?」
ジキルさんがそう言いながら冷蔵庫からお酒を取り出す。
「んじゃ、」
「「「「「いただきます」」」」」
しばらく食べ続けたけど…すごく美味しかった。火もよく通ってたし、お米の柔らかさも丁度いい。…私ももう少し上達しないとかなぁ。
正弓「そういえば無銘さんの姿って見せてませんよね?ええと……」
裁「あるの?」
正弓「元々Vカツモデルで何人かのキャラクターは作ってたらしいので。あ、あった」
【挿絵表示】
正弓「そういえば、あの言葉…」
裁「?」
正弓「…いえ、気にしないでください」
ロンドン修正後に召喚するサーヴァントは?
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魔術師、弓兵、暗殺者
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魔術師、魔術師、魔術師
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剣士、弓兵、狂戦士