狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い 作:Luly
「別に
正弓「ということで、第2部6章アヴァロン・ル・フェで追加された妖精王オベロンさんとは全く関係がありません。」
裁「これ、書いておかないと知らない人には色々言われそうだものね…」
正弓「です…」
「…さて。実に面倒だが自己紹介でもしてやるとしよう。」
溜め息をついて近くの揺り椅子に座り、腕を組んだその少年が口を開く。
「俺はアンデルセン。“ハンス・クリスチャン・アンデルセン”───ただの旅好き、そしていくらか俺の著書が世の中に出回った童話作家だ。何故英霊となっているかは分からんがな。」
「ハンス・クリスチャン・アンデルセン……!すごいです、皆さん!三大童話作家の1人ですよ!」
「「誰それ?」」
「誰だ?」
「「誰ですか?」」
「「誰にゃ?」」
「ウォ?」
……久しぶりに見た気がする。ルーパスちゃん達のこの反応。童話系は未履修だったのかな?
「ふむ。俺のことを知らない人間がいるとは。まぁ、別に構わんが。それよりも猫が喋るとはどういう理屈だ?俺は執筆しすぎて本当に童話の世界にでも、それこそルイス・キャロルのあの童話にでも入り込んだのか?」
「鏡の国のアリス?」
「その前作の方だ、俺が言ったのは。」
なんで私鏡の国のアリスが先に出てきたんだろう…
「…それで?お前のあの典型的な汎用救世主型主人公なマスターは今回は一緒ではないのか?」
「当然であろう。此度の現界ではこの娘がマスターよ。そもそもあやつがこの世界にいるとも限らん。探すのもいいが今は緊急事態。これが終われば自由に動くことも叶おうさ。我にそれを聞くならば我も聞くが、貴様もあのマスターとは共におらぬのか?」
「……ふむ。…やめろ、アイツの話は。聞いた俺が悪かった。」
………??
「しっかし…このチビッこいのが英霊だぁ?作家ってことはペンだろ?ペンで大量殺人でもしやがったのか、こいつ。」
「発想が野蛮人のそれだな、アーサー王伝説に名高い叛逆の騎士モードレッド?ペンでの大量殺人。そんなもので英霊となるならばアサシンのクラスが最適だろうさ。だが、生憎と俺はキャスターだ。アサシンのクラスの適正なんぞ全くない。」
「んだと!?」
「…そういえば、マシュは童話を好んでいたか。ならばこやつと話すは避けた方がいいだろうよ。理想など粉々に砕け散るぞ?」
「え……」
子安さんボイスは色々と幅が広いから…どんな人かっていうのは断定できないんだよね……って言うか声優さんって本当にすごいと思う。性格とか全く違うキャラクターでも基本的に演じきるから。
「それで、どういった理屈だ?猫が喋っているのは。そこのマスター、簡単にでいいから説明しろ。」
「…私?」
「お前以外に誰がいる。見たところこの英雄王の…いや、ここにいるサーヴァント共のマスターはお前だけだろう。」
…私も理解しきれている訳じゃないけど、簡単にルーパスちゃん達の世界のことをアンデルセンさんに説明した。
「……なるほど。異世界、か。ますます童話染みてきたが…まぁいい。異世界の存在ならばいてもおかしくはないだろう。本当にそんなものが存在するのならば、だが。しかしここにいるのは紛れもない事実……そこの猫、少しこちらに来れるか?」
「私のことですにゃ?」
「そうだ。…ふむ。猫耳はいいな。」
「にゃ、にゃぁ……くすぐったいにゃぁ……」
スピリスさんがもふられてる。
「…こちらの世界の猫とさほど触り心地は変わらないな。アイルー、だったか?人に慣れているようでいいじゃないか。一家に一匹欲しいくらいだな。」
「一応、僕らの世界には“オトモ雇用窓口”がある。そこからハンターはオトモアイルーを雇えるし、そもそも基本の生活の助けとなるアイルーならば雇用する方法は普通にあるが?」
「そうか…」
「そ、そろそろ離してくれませんかにゃ?」
「む、すまない。あまり嫌がらないのでしばらく堪能していた。」
そう言ってアンデルセンさんがスピリスさんを解放する。
「…しかし、やはり猫はいいな。」
「…猫、好きなんですか?」
「猫が好きかというのはおいておくとして…俺は猫耳派だ。百歩譲っても犬耳派だ。狐耳の存在意義なんぞ誤字以下だな。」
「童話作家。貴様のその言葉はこの物語の紡ぎ手を含むあらゆる紡ぎ手に刺さるぞ。」
「知るか、そんなもの。菌糸類も含め誤字をする方が悪いだろう。」
正論……なんだろうけど……うん。とりあえずこの人は狐耳派の人を敵に回したと思う。
「ふむ。そういえば貴様はいつぞやの折に言っておったな。作者が自由に妄想を働かせて作者自身が楽しいと思えるものが“書きたいもの”。作者を思想で縛り付け、作者自身が苦しいと思うものが“書くべきもの”、だったか?」
「ほう。今回はお前に驚かされてばかりのような気がするが。まさか、俺の言った言葉を覚えているとはな。まぁ、実らぬプロポーズの言葉を覚える手間に比べれば造作もないか?」
「先にも言ったであろうが。貴様の本質を見抜く力は我よりも上回るのであろう、とな。我は貴様のその能力に関しては高く買っている。そして1つ言っておこう、此度の我はアルトリアにさほど興味はない。」
「……光栄だが、本当に大丈夫かお前。頭でも打った…いや、フグやイチョウでも食らったか?流石の俺でもお前がそんな調子では心配になるぞ。サーヴァントとしても英雄としても論外としか言いようがない英雄王?」
「…同じことをアルトリアや贋作者、狗などにも言われたがな。あやつらは明確に“毒”と言ってきたがな。」
「既出だったか。しかしそれだけ今ここにいるお前が予想外の存在ということだ。覚えておけ。」
…ギル、色々罵倒されてるはずなのにそれを涼しい顔で受け流してる…
「あぁ、ちなみに俺の著作の中でも人魚姫は書きたかったものだな。」
「ほう?」
「異種族だというのに頭の湯だった恋心に取り憑かれ、一方通行の暴走をした挙げ句、唯一の利点であった美しい声までも台無しにするお姫様!蕁麻疹が止まらなかったが、書いててたまらなく面白かったさ!リア充爆発しろ、と叫びたいのを堪えながらな!」
「そ、そんな……」
あ、マシュの目が死んだ……私と同じらしいけど。
「……しまった、つい口が滑ったな。本来愛読者に聞かせるものでもない企業秘密を喋ってしまった。…まぁ、その…なんだ。今言ったのが事実とはいえ、確かに人魚姫はやりすぎたと思っている。あのときはついカッとなって書いた。反省している。」
「…だって、ナーちゃん。」
〈…そうなのね。〉
「……む?その声は……どこかで聞いた覚えがあるな。はて、誰だったか。まぁいい。…しかし、今ので愛読者が1人減ってしまったか。恨むぞ、英雄王…!作者が1人愛読者を作るのにどれだけの思考と精神を絞らなければならないと思っている!」
「我は特になにもしておらんはずだが…まぁいい、マスターの表情を曇らせた代償とでも考えよ。」
「くっ…たかが一時の対話で我が身を削る損害を被るとはな…浮遊城の鼠よりも遥かに凶悪だな、お前は……!」
浮遊城の鼠……アルゴさんかな……?“鼠のアルゴ”。曰く、“鼠と話すときは気を付けろ、5分雑談していると100コル分の情報を抜かれている”…だっけ?
「そして対話して感じたことを突きつけてやろう。お前は作者にとって最大クラスのタブーだ!!」
「ほう?良い、述べてみよ。貴様の観察眼が読み取ったものには興味がある。理由はなんだ?」
「決まっているだろう───“どんなことでも出来る”からだ!そんな万能キャラクターなど、敵にするにも味方にするにも扱いにくいに決まっている!敵にすれば設定や描写に差違があると指摘され、味方に回せばお前の力を理解し、戦闘や日常に組み込むだけでも加減やリミッターを考えなければ“チート乙”と言われるのが目に見えている!いくら御都合主義や主人公補正に定評のある作者といえどお前が最大クラスの悩みの種であることに変わりはない!」
「フッフハハハハハ!言うではないか!」
「そしてもう1つ、お前の話し方は少し面倒だ!偉そうな話し方を全くといっていいほど使わない作者がお前の台詞を考えるのにどれだけのパターンを組み上げないといけないと思っている!特にお前のような設定が既に出来上がっているキャラクターはそのキャラクターの根幹を崩さないようにするだけでも一苦労なのだぞ、ギルガメッシュ!お前から慢心を奪い、成長性を与え、傲慢を弱らせ、新たな霊基に書き換えてなおこのザマだ!期限が存在する作家にとって限界を超えてまで描写を要求される厄に近いのがお前だ!!お前一人のために短い時間をかなり割くことになるのだ!時間ギリギリまで書き起こす作者の身にもなってみろ!」
「フハハハハハ!だが、我は今もこうしてマスターのメインサーヴァントとしてここに立っているぞ?これは物語の主要人物として認められているということであろう?ん?」
「…あぁ、そうだろうな。お前は“物語の主要人物”であってもあくまで“主役”ではないのだろう。物語の主役はあくまでお前とは違う、別の誰かだ。もしも、お前が主役を張れている物語があったのだとしたら…」
「だとしたら?」
「……そうだな。もしあるのだとしたら、作者の手腕が余程高いか…それか、お前が主役の物語を愛し、望み、期待し…楽しみに待つ純粋なる読者がいるのだろうよ。」
「……ほう。」
「とはいえ、これは俺のただの予測にすぎん。この世にそんなものがあればだがな。…だが。」
アンデルセンさんは深く溜め息をついて自分の手を見つめた。
「人間の可能性は無限ともいえる。もしかしたら既に存在するのかもしれんし、この先に産まれるかもしれん。そして、その純粋な読者こそ俺達作家が求めてやまない最高の“愛読者”だ。子供のように新たな活躍を追い求める、大人に近づけば近づくほど薄れていきやすい
ヒーローへの……渇望。
「もしも作者が俺ならばその愛読者を得られたキャラクターがいるならば大成功の太鼓判を押す。素人の1つの作品に1人いれば素人にしては大成功クラスの作品といっていいだろうさ。それだけ貴重なものだ、大事にするんだな、ヴァカメ!」
この人は……すごい。
「…ふん。二次創作を読む者にそのような者がいればの話だがな。大抵は一次創作を見てから二次創作、三次創作の領域に飛び込む者達だ。…まぁ、覚えておくとしよう。」
「そうだ。このような二次創作には普通いない愛読者だ。…それと。」
アンデルセンさんはアルをチラリと見た。
「英雄王。お前に言うべきことなのかは悩むが、1つ忠告しておこう。」
「ほう?」
「子供、というのは無垢なもの───純粋なものだ。そして、無垢とは真っ白な状態を指す。故に、その白に“色”を落とすとどうなるか。分かるな?」
「……」
「もしもお前がこの白い娘を守るというのなら…覚えておけ。“無垢”は簡単に染まる。精々、悪い色に染まるようなヘマはしないように気を付けることだ。」
「……覚えておくとしよう。だが、最終的に全てを決めるのは我ではなくその者自身だ。その者が決めたのならば我は口出しはせぬ。それで良いな、童話作家?」
「それでいい。…長く話しすぎたな。」
今のは……警告?未だ“無銘”という名のままであるアルに対しての。
「そこの小娘。さっさと元凶を倒しにいくがいい。俺も同行するがな。」
「え…っと。ここにいるんですか?」
「2階だ。この古書店の2階、その書斎で力なく浮いている。」
浮いて……
「…行くか、マスター。ルル、貴様が来い。あとは待機だ。」
「はいにゃ。」
私は頷いてギルとアンデルセンさんにについていった。…あ、そういえば。
「アンデルセンさん。私を物語にしたらどうなるの?」
「なんだ。売れ残り家政婦の悲哀でもお望みか。」
「か、家政婦……そうじゃなくて、恋愛系で何か…」
「ないな。お前の物語はどう考えても英雄譚か熱血バトルもの……いや、アイドルものも一応含められるか?だがお前にはバトルものが向いているのは紛れもない事実だ。自らの武器や身に付けた技術を思い出せ。それがあって何故恋愛系だけに直結する?1極歩譲って異常の起こらない学園ものが出来るかどうかじゃないか?」
「ひ、酷くないです…?」
1極歩ってどれだけ譲っているんだろう……
「お前ならばその技術を誰かに教えるとかも出来るだろうさ。」
「私もまだ練習中なんだけど……」
「……まぁ、それは置いておくとして。」
「…?」
「お前の辿ってきた道はあまりにも闇黒に包まれすぎている。今に至るまでどれだけの苦難があったのかここからでも見えるさ。下手すれば一目見ただけで発狂する可能性もある禁書、TRPGで言えばSAN値直葬確定アイテムの呪本だろうさ。だが、それはいかんとお前の道を正した愛すべき最高の編集担当達がいたのだろうよ。」
「───!」
「正された道の先にある光、それを掻き消さないように気を付けることだな。無闇に道を外れないように気を付け───ちょっと待て。何故泣く!?俺はそこまでの酷評を下した覚えは───」
「大、丈夫、です。うれ、しかっ、た、から…」
「……そう、か。ええい、面倒くさいな。これでも使って涙を拭け。」
私はアンデルセンさんから貸してもらったハンカチで涙を拭いながら、首からかけているニキの作ってくれたペンダントに手を添えた。
正弓「そういえばご本人は聖杯転輪を現在行っているようで。」
裁「最初は誰なの?」
正弓「“オケアノスのキャスター”さんらしいですよ。」
裁「……えっ。」
正弓「えっ、って……あの人が最初に最終再臨させたのって“オケアノスのキャスター”さんですよ?オケアノスのキャスターさん1騎出すのに那咤さんが3騎出たそうですが。」
裁「……わぁ。」
正弓「……そういえば。運命の選択は上の方の選択項目が必ずしも正しいとは限りませんよ。選択する際はご注意ください。」
ロンドン修正後に召喚するサーヴァントは?
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魔術師、弓兵、暗殺者
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魔術師、魔術師、魔術師
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剣士、弓兵、狂戦士