狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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正弓「多分言ってなかったと思うんですけど……35,000UA突破ありがとうございます。」

裁「最近忘れるよね…」

正弓「それ、前にも聞いた気がします。」


第182話 屍套龍が示す先

屍套龍───ヴァルハザクの姿を追ってしばらく。私達はソーホーのあたりまで来ていた。

 

「おい…どこまで行くつもりだ?」

 

「…さぁ。」

 

ちなみにこの場にジキルさんやフランさんはいない。護石をつけていれば問題はそこまでないだろうとはいえ、危険であることには変わりないから。…私?私は…マスターとして一緒にいなきゃだし。

 

「……」

 

不意に、ヴァルハザクが立ち止まった。それに合わせて私達も立ち止まり、私はアルに降ろしてもらう。

 

「……」

 

「…!」

 

ヴァルハザクの見る方向を見たルーパスちゃんが何かに気がついた。……いや。見えにくいけど…あれは……生き物?

 

「……あれは……迅竜“ナルガクルガ”か?」

 

召喚しておいたアスラージさんがそう言う。ナルガクルガというと、数日前に私がイズチと戦ってるときにいたあのモンスター。よく見れば確かにその黒い体はナルガクルガのものに見える。

 

「これは……」

 

「……()()()、だと?」

 

狂竜化───確か、マガラ種の鱗粉の影響を受けた状態のことだっけ。

 

「フォォォ………」

 

「“いつの間にかその状態になっていた。私が気がつかなかったのも悪いが、どうか彼女を救ってくれはしないだろうか”、ね。……あ、ほんとだ。このナルガクルガ、女の子だ。」

 

ミラちゃんがナルガクルガの状態を見ながらそう言った。

 

「狂竜化……まさか、いるのか?」

 

「……現時点で龍気はヴァルハザク以外感じない。あの龍がいるとは考えにくい、かな?」

 

「ふむ……すまない、ミラ殿。君は狂竜化を極限化させずに治せるか?」

 

リューネちゃんがそうミラちゃんに聞く。

 

「……まぁ、状態によっては治せるけど。いいの?」

 

「構わない。特に悪さをしていなければ僕らの狩猟の対象にはならないからね。討伐の対象にはなっても狩猟まではいかないさ。」

 

「……よく分からないけど……分かった。とりあえず色々な状態を見て狂竜症の沈静化をしてみるよ。」

 

そう言ってミラちゃんはヴァルハザクの方を向いた。

 

「ヴァルハザク。言っておくけどこの子の状態によっては治せないからね?」

 

「………ォォォ…」

 

「“問題ない。もしも治せなければ、楽にしてやってほしい”…分かった」

 

ミラちゃんが杖で地面を叩くと、ミラちゃんを中心に魔法陣が展開される。…ミラちゃんの魔法陣ってあまりよく見たことないけど、三重円の一番小さな円の中に八芒星(オクタグラム)、その八芒星の真ん中に2つの飛竜の形…というか恐らくリオレウスとリオレイアのモンスターアイコンと同じもの。それから八芒星の先にそれぞれ何かの形がある。そのもっと外側に何かの記述らしきもの。

 

「…とりあえず、術式構築してる最中だけどここまでの経緯を聞いても?」

 

ミラちゃんがそう聞くと、ヴァルハザクが話し始めた。私達にはヴァルハザクの言葉は分からないからミラちゃんが同時通訳してくれた。

 

 

数日前、私は気分を変えるために谷の上層部に赴いた。

 

何日か弱い人間達が私のところへ押し掛け、倒れ、撤退していくのを見るのが疲れたから、というのもあるが。

 

上層部でも少々の人間達は見かけたが、私の存在には気がつくことなく去っていった。

 

オドガロン、と人間が呼んでいた竜は相変わらず私に絡んできたが、それ以外の竜達は比較的絡んでくるものは少なかった。…爆発する鱗の竜や食欲の具現ともいうような竜はともかくとして、だが。

 

上層部に出るのはこれが初めてではないが、その日は酷く珍しい来客がいた。

 

それが彼女───人間が“ナルガクルガ”と呼ぶ竜だ。

 

最初こそ彼女も古龍たる私を警戒していたが、私が何もしないと悟ると谷の各地を見に行った。

 

少しして───あぁ、人間達にとっては3時間程、といったところか?まぁ、私達に人間達の感覚はよく分からないが───彼女が戻ってきたとき、彼女は随分とボロボロだった。傷からしてオドガロンと縄張り争いをしたあとなのだろうが…それでも私の目の前でフラりと倒れ、意識を失ったのには焦った。

 

知っての通り、私の───いや、谷に蔓延する瘴気は私以外にとって毒となる。上層部は瘴気が薄く、かつ私自身も瘴気をそこまで纏っていなかったために無傷ならば大きな問題はないだろう。だが、傷だらけの状態で私の目の前にいるのはどう考えても危険だ。

 

幸運なことに、近くに人間達が私と戦うときに使っていた緑色の粉が入った袋が落ちていて、それを使わせてもらうことにした。確か、その粉は人間達の傷を癒していたからだ。

 

……まぁ、袋を開くのが難しかったりはしたが。当然だ、人間が使うために作られたものを私が使うなど考えてもいないのだから。それでもなんとか開き、彼女にかけた。思った通り傷は癒え、日が傾きかけた頃に彼女は目を覚ました。

 

それを確認した私は下層部に帰ったのだが、彼女はその下層部までついてきた。

 

流石の私も驚いた。長い年月を生きた私でもそのようなことは初めてだったからだ。…どうやら、私は彼女に懐かれたらしい。

 

オドガロンに襲われるのも面倒なことだし、彼女の気が済むまでいればいいと放置していたのだが…

 

私の寝床に突如として現れた空間の歪みに、私達は巻き込まれた。

 

少しの間意識を失ってはいたが…気がついたときには彼女共々この地にいた。

 

自衛も含めて瘴気を放ったが…それがいけなかった。

 

私の瘴気は体内に入ると毒と化す。恐らくはそのせいだろう。日に日に彼女は弱っていった。

 

同時に、この…建物、といったか。その中に人間達がいることにも気がついた。私の瘴気は人間達にとっても毒となる。

 

私はまず彼女を癒す方法を求めてこの地を彷徨った。

 

最初のうちは彼女も共に行動していたが、今となっては動くことすらできない状態になっている。

 

そして…何度も話している通り私の放つ瘴気は私以外にとって毒となる。

 

私がいる限り、この地に漂う瘴気は晴れないだろう。

 

故に私が求めたのは主に2つ。

 

1つ。彼女を救うことができる何者か。

 

2つ。私の命を終わらせてくれる何者か。

 

…谷に帰る方法がないのは彷徨っていてわかってしまったのでね。

 

元より私に人間達を害するつもりはない。私に襲いかかってくる人間達に関してはほとんどは反撃しているだけだ。

 

長い話にはなったが、経緯としてはこのあたりだ。

 

…あぁ、さっきの白い男は私以外に瘴気を放っている存在の近くにいただけだ。

 

白い男の示す方向に…つまりは君達の場所へと連れていきはしたが私は白い男と何も関係はない。

 

 

そこまで話してヴァルハザクが口を閉じた。

 

「……なるほどね。まず1つ、勘違いを正しておくよ?」

 

「……?」

 

「このナルガクルガを蝕んでいるのはヴァルハザクの瘴気じゃない。」

 

「…!」

 

「これは“狂竜物質侵蝕状態”───狂竜症と呼ばれる状態。あなたが使う瘴気が引き起こすのは“瘴気侵蝕状態”。狂竜症は瘴気じゃなくて狂竜物質───ヴァルハザクじゃなくてシャガルマガラやゴア・マガラが主な原因となって引き起こされる症状だよ。」

 

「……ォォォ」

 

「身体の自由が効かなくなるってことは結構重症化してるけど───運が良かったね。これならまだ治せる。───複合型魔法陣展開!」

 

ミラちゃんの言葉と共にミラちゃんの足元の魔法陣を中心に8枚の魔法陣が展開される。それぞれ中心の模様は一本線、十字、三角形、正方形、五芒星、六芒星、七芒星───それからあれは───竜?

 

「───ミラボレアスの彫り絵?」

 

ルーパスちゃんがそう呟く。ミラボレアス、というとミラちゃんがたまに変身するあの龍だけど……なるほど、確かに似てる。

 

「龍陣開門。第一陣煉黒龍。狂竜物質焼却開始。狂竜物質活動停止。狂竜物質浄化開始───狂竜物質支配開始。」

 

支配───?

 

「稼働。狂竜物質具現化」

 

「───バギュァァァァァッッ!?」

 

「「「……!?」」」

 

ミラちゃんが言葉を終えた途端、ナルガクルガが苦しみ始め、身体からどす黒い粘液みたいなものが溢れ、なにかを形作っていく。

 

「ルーパスさん!リューネさん!」

 

「「!?」」

 

「絆石!浄化を!!」

 

「え!?で、でも…絆石で狂竜化は治せないよ!?」

 

「そうだぞ!?実際僕ら試したことあるからな!?」

 

「あんのかよ。」

 

あるんだ……

 

「これ、狂竜化だけじゃない!黒の凶気も何故か混ざってる!」

 

「黒の、凶気───」

 

「ちょっと面倒だから浄化手伝って!絆石掲げるだけでいいから!」

 

「え、えと……」

 

「こう、か…?」

 

ルーパスちゃんとリューネちゃんが言われた通りに掲げると、絆石から発せられた強い光がナルガクルガから出てきた粘液のようなものを包み込んだ。

 

「え、えと……これでいいの!?」

 

「それでいい───八陣全開!呪式具現魔───出でよ、“破邪八頭蛇(はじゃのやがしらのへび)”!!」

 

そう叫んだとき、ミラちゃんのいる八芒星の魔法陣から8つの影が飛び出した。その8つの影は粘液のようなものに食らいつく───

 

「喰らい……尽くせ!」

 

ナルガクルガには目もくれず、粘液のようなものを喰らっていく。その光景がしばらく続いたあと、ついに粘液のようなものは喰らい尽くされた。それと同時にその8つの影も光を放って消滅する。

 

「……これで、終わり。」

 

そう呟いたミラちゃんは魔法陣を消してナルガクルガに近づいた。

 

「……ん。生きてるよ。」

 

「……ォォォ」

 

「…ァァ」

 

あ、ナルガクルガが目覚めた。

 

「ォォォ…!」

 

「えぇ……」

 

しばらくヴァルハザクとナルガクルガ、ミラちゃんが話していたと思ったら、ミラちゃんがため息をついて私達の方を向いた。

 

「連れてってほしいって。ナルガクルガを。」

 

「……え」

 

「ナルガクルガに関しては任せるからちょっと休ませて……呪式具現魔は疲れるから……」

 

そう言ってミラちゃんは壁に寄りかかった。しばらくお兄ちゃん達と話して、一緒に連れていくことに決まった。

 

「……終わった?」

 

ミラちゃんの問いに頷く。ナルガクルガは例の疑似モンスターボールに入れてカルデアのハクリーシャさんのところに送っておいたし、問題はない…はず。あとは───

 

「……さて。」

 

私達はヴァルハザクの方を向いた。……ここからが、大きな問題なんだ。




正弓「“呪式具現魔”っていうのは術式と魔力で組み上げた使い魔のことだそうな。」

裁「あ…そうなんだ」

正弓「らしいです。」

ロンドン修正後に召喚するサーヴァントは?

  • 魔術師、弓兵、暗殺者
  • 魔術師、魔術師、魔術師
  • 剣士、弓兵、狂戦士
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