狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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正弓「ちなみに、前回のタイトルにある“是、戴冠は汝にあり”というのはクエスト名でもあるそうです。」

弓「ふむ?」

正弓「この辺りは話す機会があれば。」


第188話 命玉ってなぁに?

ヴァルハザクとの戦いを終えて。私達はジキルさんのアパルトメントの前に戻ってきていた。

 

「あ、おかえり!ジキル、みんなが戻ったわ!」

 

「ん…あぁ、お帰りなさい。」

 

「おかえり……うん?」

 

ルーナさんがアパルトメントの方から出てきてルーパスちゃんが抱えているもの───“屍套龍の命玉”と呼んでいたそれに目を向けた。

 

「それは───そう。頑張ったね、ルーパス。」

 

「……ん……」

 

「…とりあえず、上がってくれ。かなりの時間外にいたんだ、少し休んでも文句は言われないだろう。」

 

「ありがとうございます、ミスター・ジキル。」

 

ジキルさんに促されて私達はアパルトメントの中に入る。

 

「ほら、シードル。飲むだろう、セイバー。」

 

「お、やりぃ!」

 

「……大丈夫?ルーパス。少し休んでる?」

 

「大丈夫…」

 

「……」

 

ルーナさんが心配そうな顔でルーパスちゃんを見つめていた。それと同時に、ドアが開く音。

 

「なんだ。急に騒がしくなったと思ったら戻ってきていたのか。」

 

「アンデルセンさん……」

 

アンデルセンさんが部屋をぐるりと見渡したかと思うと、ルーパスちゃんを見てぎょっとした。

 

「…なんだ。どうした、そんなに泣き腫らした顔をして。せっかくの美少女が台無しだぞ?」

 

「……あはは」

 

「笑顔、笑い声にも覇気がない。いったい何が……いや、別にいいか。なんであろうと俺には関係ないことか。おい、英雄王ギルガメッシュ。」

 

「む?」

 

「気晴らしついでだ、哨戒にでも連れていけ。」

 

「ふむ…ルーパス、貴様はどうする?」

 

「どうする?ルーパス。」

 

「……行く」

 

「ん、分かった。ここの守りは私に任せておいて。あとそれはちゃんとしまった方がいいよ。」

 

「……ん」

 

ルーパスちゃんが屍套龍の命玉をアイテムボックスにしまい、立ち上がった。

 

「戻ってくるときまでにその辛気臭い表情をどうにかしておけ。その表情のままではこちらにまで伝染しかねん。」

 

「……ありがとう、アンデルセン。」

 

「ふん。分かったらさっさと行け。」

 

「……うん。リッカ、先に外に行ってるね。」

 

そう言われてルーパスちゃんは外に出ていった。そのあとをジュリィさんとスピリスさんがついていく。

 

「ありがとうね、アンデルセンさん。」

 

「別に俺は何もしていない。ただ、あの表情のままでいられるのはこちらも辛いだけだ。」

 

「これをツンデレというのか。」

 

「……そうだ、英雄王。1つ教えておこう。」

 

「む?」

 

「細かく説明するのは面倒なんでな。簡潔に言うぞ。“サーヴァントは霧から出現する”。これがどういうことか分かるな?」

 

そういえば、このロンドンを覆う魔霧は原因とされたジャックさんとヴァルハザクがいなくなったというのに晴れない。薄くはなったけど。そしてアンデルセンさんがいったそれが示すのは───

 

「霧は聖杯が生み出している、か。」

 

「そうだ。」

 

「……にしても、貴様が他人の心配か。どんな毒を喰らった?」

 

「その言葉、そっくりそのままお前に返すぞ。まぁいい、いくら性根の曲がった俺でも気まぐれに他人を心配するということさ。」

 

「……そうか。」

 

「……あぁ、そうだ。ちなみにお前は描写が面倒な部類に入るが、お前以上に描写が面倒臭いやつもいる。上には上がいることを忘れるな。」

 

「覚えておこう。」

 

それを聞いてアンデルセンさんは身体を伸ばした。

 

「……そういえばルーナ。お前はルーパスの持つ塊をしまうように言っていたが、あれはなんだ?」

 

そういえば私もあれがなんなのか聞いてなかった。

 

「あぁ、あれ?あれは“命玉”。数多あるモンスター素材の中でも最も希少な素材と言われるモノ───別名()()()()。」

 

「ほう。幻とな?どのくらい希少なのだ?」

 

「希少すぎて値段をつけることもできず、素材の利用方法も分からないとさえ言われるもの。リッカさんのやってるゲームに例えて言うなら……そうだね、ドロップ率0.0000001%未満?」

 

低っ!?

 

「まぁ、例えだから。噂では“全てのモンスターに命玉は存在するが、普通にハンターをしているだけでは手に入れることができない”とか、“長く生きたモンスターの玉石が長い年月をかけて変化したもの”とか…」

 

「玉石って…宝玉のこと?」

 

「うん。有名どころだと宝玉、竜玉、紅玉に鳥竜玉…この辺りかな。命玉も玉石の一部、って考える人も多いんだけど、実際のところ詳しい関係性は分かってないの。」

 

一応これが竜玉ね、とルーナさんが竜玉を出して見せてくれる。

 

「ただ、この謎に包まれている命玉も確定している情報は1つあって、“完全に絶命したモンスターの身体からしか命玉を取ることができない”。命玉を持っているっていうことは、それは何かしらのモンスターが絶命したことを表す。そして…これは完全に噂なんだけど。“命玉はモンスターが命玉を与える者を選ぶ”っていうのがあるの。」

 

「与える者を、選ぶ……?」

 

「ん。命玉が剥ぎ取れた例は、全て統一して何かしらのモンスターとの…なんていったらいいかな?愛情?みたいなのが芽生えているペアに限られているの。私も持ってるんだけど……」

 

そう言ってルーナさんが取り出したのは金色のハート型の塊。

 

「これは“金火竜の命玉”。……かつて、私と一緒にいた金火竜“リオレイア希少種”から剥ぎ取ったもの。」

 

え……

 

「あの時のことは……ちょっと、思い出したくないから。あまり深く聞かないでくれると嬉しい。命玉が剥ぎ取れた例はいくつかあっても、初対面の相手で剥ぎ取れた例は一回もなかった。……この辺は、もしかしたらミラさんの方が詳しいんじゃないかな。私達の世界と違ってミラさんの世界はモンスターと共存する世界。私達よりも情報は多いんじゃないかな。」

 

そう言ってルーナさんは口を閉じた。

 

「ほら、行ってきたら。私が知ってる情報はこれで全部だから。」

 

「……ここの守護、お願いします。」

 

「任されました。」

 

「……しかし、その若さでよくやるものだ。守護だけではなくルーパスを落ち着かせるのもお手の物というのは。容姿も整っているし成長すれば男は放っておかないだろう?」

 

「……うーん?守護はともかく、ルーパスを落ち着かせるのは実際慣れてるからかな?私の娘だし。」

 

「…………は?娘?」

 

「うん?」

 

ルーナさんが首を傾げる。

 

「……すまない。女性に聞くのは失礼だと分かっている。だが…聞かせてくれ。貴女の年齢はどれ程だ?」

 

「私?42歳。」

 

「よんっ……!……お前、合法ロリか。」

 

「合法ロリ???」

 

ルーナさんが首を傾げる。…まぁ。ルーナさんってほんと言われないと大人だって思えないよね。ちなみにちゃんと身長を測ってもらったら144.8cmでした。小学5年生2ヶ月の平均身長です、えぇ。

 

「……行こっか、ギル。」

 

「うむ。待たせている故な。」

 

変な雰囲気になったから離脱。私達はアパルトメントから外に出た。

 

 

 

「命玉について詳しく教えてほしい?」

 

哨戒中。私は回復したミラちゃんに命玉について聞いていた。

 

「……それはいいけど…大丈夫?」

 

その“大丈夫”、はルーパスちゃんに向けられたもの。

 

「…大丈夫。さっきよりは落ち着いたから。」

 

「…そっか。分かった。まず聞くけど、命玉がどんなものかは知ってる?」

 

その問いにルーパスちゃんが今さっき私がルーナさんに説明されたことを話す。

 

「……なるほどね。命玉は獣魔との何かがある者に与えられる、か。うん。考える方向性はいいね。」

 

「それじゃあ…これは本当なの?」

 

「んと……まぁ、答え合わせとして命玉について話そうか。…最初から。命玉とは、そもそもなんなのか。」

 

そこまで言ってからミラちゃんはアイテムボックスから宝玉を取り出した。

 

「命玉。数多ある獣魔の素材の中でも最も希少な素材と言われる、別名“幻の素材”。素材分類上は玉石の一種だけど、玉石ではなくて“想玉(そうぎょく)”という分類で呼ばれることが多い。」

 

「想玉?」

 

命玉(めいぎょく)心玉(しんぎょく)幻玉(げんぎょく)───それと、逆玉(さかぎょく)の4種類をまとめてそう言うの。命玉は想玉の中でも最高級の素材。だから入手するのもすごく難しい。」

 

そうなんだ……

 

「想玉はあらゆる獣魔に存在し、1匹の獣魔に対し1個の想玉しか入手できない。そして、その入手も完全に絶命した獣魔からしか入手することができない。」

 

「あらゆる獣魔……」

 

「大型も小型も関係なく、全獣魔が想玉を持つ。それから……結構重要なことなんだけど、想玉は()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

与える者を選ぶ……?

 

「そもそも、想玉が何故“想玉”と呼ばれているのか。これは、獣魔の感情が関係しているからなの。」

 

「感情?」

 

「そう。…結論を言うね。想玉とは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

「絆の…証」

 

「特に、命玉を与えられたっていうことはそれは獣魔に深く、そして強く想われていたことになる。だから、ルーパスさんが入手したそれは……」

 

「……ヴァルハザクに私が想われていた、ってこと……だよね。」

 

「そしてそれは……ルーパスの母も同じ、か。相手は違うが。」

 

「……命玉を入手するのが辛いのは誰でも一緒。……自らを想ってくれている存在を、自らをそこまで想ってくれるまでに絆を結んだ存在を。……()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだから。…私は泣いちゃダメなんて言わない。泣いても構わない。喪った悲しみを、少しでも軽くできるのならいくらでも泣けばいい。…だけど、いくら泣いたところでその事実と悲しみはいつまでも残り続けるの。」

 

「───!」

 

そこまで聞いて───ようやく分かった気がする。命玉が一体どういうものなのか。何故“命の玉”と書くのか。あれは───“形見”だ。死んだ人が生きている人に遺す品物。…たった1つの、想い人に遺す本当に最後の贈り物。その命があったという証。転生なんかの奇跡が起きなければ、もう二度と会うことができないということの証明。それが、命玉。

 

「想玉は元々形を持たない。最初の頃はもちろん、時間をかけてなお、形を持たない。…想玉は、末期……命を落とすその瞬間に結晶化し、想玉として形を成す。ただ、結晶化するのも確定じゃなくて、想いが弱ければ結晶化はされない。想玉は想いの強さに比例してより高純度に。最も高純度の想玉が、命玉と呼ばれる幻の素材。…説明としてはこの辺りかな。」

 

「……そっか。ありがと、ミラ。」

 

そう言うルーパスちゃんの表情には元気がない。

 

「……ところで。話は変わるけど、ルーパスさん達の世界では命玉ってどうしてるの?」

 

「え?」

 

「こういうのもちょっとアレなんだけど、命玉がいくら希少で入手方法が限られているといっても、素材であることには変わりない。その辺りどうしてるの?」

 

「……えっ…と。家や拠点で飾ってるか、アイテムボックスに仕舞い込んでるかのどちらかだよ。素材として扱うにしても、そもそもが希少すぎて使用方法が分からないし、売却するにしても値段がつけられない、って話だし……」

 

「……あ~……なるほど」

 

ミラちゃんが少し悩んでから口を開いた。

 

「まず、命玉…というか、命玉に限らず“想玉”と呼ばれるものは、一応加工できるの。」

 

「そうなの!?」

 

「うん。ルーパスさん達の世界では技術がないのか伝わっていないのかは分からないけど……ともかく、私達の世界ではそう。…どうする?」

 

「どうする、って…」

 

「いくつか選択肢はあるよ。1つめは武器の強化素材にすること。2つめは防具の強化素材にすること。3つめは装飾品……スキルを得られるのじゃなくて、普通に…えっと、首飾りとか髪飾り、指輪なんかにすること。4つめはそのまま持っておく方法。…どうする?」

 

「……」

 

「……急かさないからゆっくり考えて。幸い、想玉の加工は私もできるから。」

 

「…うん。」

 

「……最後に1つだけ。どんな加工をしたとしても、想玉に込められた想いは喪われない。それだけは確かだよ。」

 

そう言ってミラちゃんは息を吐いた。




正弓「形見……か。」

裁「命玉の意味……結構重いよね。」

正弓「…まぁ。想いが結晶化したものですから…」

ロンドン修正後に召喚するサーヴァントは?

  • 魔術師、弓兵、暗殺者
  • 魔術師、魔術師、魔術師
  • 剣士、弓兵、狂戦士
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