狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い 作:Luly
弓「辛いなら無理をするな」
パラケルススさんを倒したあと。見回りを続けてから一度ジキルさんのアパルトメントに戻り、そのあと私達は魔術協会の跡地に来ていた。
「ここが魔術協会の跡地か。…跡形もなく、というように破壊されているな。」
「よほど残したくなかったのであろうな。かなり念入りに破壊し尽くされたように見える。」
ちなみに今回の私達の構成は…私、ミラちゃん、ギル、アル、ルーナさん、アンデルセンさん、シェイクスピアさん、ジキルさんの8人。マシュは残ることを渋ってたけど、明らかに顔に疲れが見えてたから残ってもらった。
「さて、早々に道を拓くとしようか。…地下か。よし、我が先頭に立つ。ミルド、貴様は背後を警戒しておけ。」
「分かった。」
そう言ってギルが崩壊した道を拓いていき、私達は地下へと進む。
「……しかし、良かったのか?」
アンデルセンさんの私に向けた言葉に首をかしげる。
「お前、女子力を鍛えたいんじゃなかったのか。ならばアパルトメントに残り、料理や裁縫でもして向上に努めた方が良かったんじゃないか?」
「……あぁ、なるほど…」
私が来た理由。それは───
「予感がしたから。」
「何?」
「私が行かないといけない───そんな、予感がしたから。」
「……そうか。」
「……ま、なんとかなるだろ。」
私の近くの赤い炎───レンポくんがそう言う。
「基本的に他のサーヴァントの奴らに任せてるが、オレ達だって戦えない訳じゃねぇしな。」
『本当にどうにもならないようなら私達がどうにかできるはず…それに、リッカはウルを探さないといけないのを忘れてはいけない…』
ネアキさんから出た名前。未だ私の元にいない、“雷の精霊”の名前。
「……1つ、“
「あはは…」
私が苦笑いを返すと同時に、レンポくん達が真剣な表情で私達の向かう先を見つめた。
「警告。前方に敵性反応を複数確認。情報照合中………該当なし。十分に警戒することを推奨します。」
そんな預言書の声に、全員の警戒が強まる。
「預言書!数を教えやがれ!」
「12。まもなく視認可能距離に入ります。」
「ふむ…マスター、任せて良いか?」
「うん。…レンポくん」
「あぁっ!タイミングはお前に任せるぜ!」
そうレンポくんが言った直後、それらは姿を現した。
「………ナーちゃん?」
「………ナーサリー?」
「否定。あれはナーサリー・ライム、及びストーリーズ・ライブラリとは全く違う個体です。」
私とギルの呟きに預言書が否定を返す。
「多分、貯蔵されていた書物が魔霧の影響を受けて変質したものだと思う。セイバーが前に来たときにはいなかったって聞いてたけど……」
「時間による侵食だろうさ。お前なら分かるだろう?極東の島国には“付喪神”という伝承があるはずだ。俺自身それを信じているわけでもないが、伝承通りならば時間が経ったことによって物質が意思を持った。そう考えた方が妥当だろう。まぁ、ただの防衛機構かもしれんがな。」
付喪神……なるほど。
「…レンポくん、お願い!」
「よっしゃ!」
私が精霊魔法のアイコンに触れると、周囲の温度が上がる。
「いっけぇ!!───“
レンポくんが枷を叩きつけると同時に、炎が私達をも襲う。だけど、炎は私達を焼くことはなくて、浮遊している本だけを焼いた。
「敵性反応消滅。」
「……っと、相手が悪かったか?」
「紙、だもんね……」
「……作家の前で本を焼くとは。鬼畜かお前。」
あ……
「だが───いい。」
え?
「はっきり言おう!気持ち良かった!最高の気分だ!」
「本を灼く!それは有り得ざる行いに他なりません!嗚呼、嘆かわしい…しかし、そこには一縷の甘美あり!決して行ってはならない悪行、赦されざる蛮行!そこには哀しみしかないはずであるのに───あぁ、なんということか!吾輩はこの瞬間にわずかに一縷、背徳の甘美を感じざるを得ません!」
「俺以外の著者の作品など存在せずとも構わん。ああいや、もっと言えば俺の著作さえも灼き尽くしたい!本が世界になければ!数多の名著を生涯で読みきれないと嘆くこともない!本が世界になければ!なんだこのゴミはいい加減にしろと憤ることもない!本が世界になければ!ついぞ俺が〆切に追われることも無いんだからな!!」
「なんと、なんと正直な御方か!嗚呼、しかし…しかし、その言葉は吾輩の胸を打つ!」
「フォーウ……」
フォウくんが困惑気味に鳴いた。そういえばフォウくんは最近アルやミラちゃんと一緒にいることが多い気がする……
「…作家というのにも色々あるのであろうよ。この世界を紡ぐ者にも例外なく、な。さて、先に進むとするか。」
アルが一度気絶させてから気付けで叩き起こすとかっていう謎な作業で2人を落ち着かせてから、私達は奥へと進んだ。
「……しかし、暗いな。」
「瓦礫で塞がっておらぬ通路が続いているからではあるがな。」
───ピリッ
「……?」
「……む?どうした、マスター。」
急に立ち止まった私に気づいたギルがそう言う。
「……今、何か……気のせい?」
「…?ミルド、無銘、貴様らは何か感じたか?」
「……いえ、何も…」
「私はなんか違和感があったけど……特に問題なさそうだったよ?」
「……ふむ。まぁ、気を付けておくことにしよう……そら、見えたぞ。」
ギルが示す先にあったのは、他の場所とは違う2つの扉。片方は魔力を感じるから───多分、ここが目的地。
「よし、俺とシェイクスピアは本を探そう。他は───」
「警告。周囲に敵性反応を多数確認。情報照合中………確認完了。“スペルブック”12体、“ヘルタースケルター”8体、“オートマタ”6体、“ホムンクルス”7体、該当なし5体。十分な警戒を推奨します。」
預言書からの警告。
「───ち。言ったそばからか。」
「貴様らは調べておくがいい。こちらは我らに任せよ。」
「なるべく短時間で終わらせるように努めよう。」
そう言ってアンデルセンさんとシェイクスピアさんは部屋に入っていった。私は預言書を開いたまま魔術礼装を起動できるように意識を回す。
「……」
ふと。魔力を感じない扉の方が気になった。黒曜石のような輝きを反射する簡素な黒い扉。…これまでの傾向からして、相手はここに何も残さないように、探られないように破壊し尽くしていたはず。なのに───どうして、ここの2つの扉だけ
「マスター?」
ギルの声を背に、私は足元の小石を拾う。
「……っ!」
アイテムポーチから取り出した小型のスリングショットを通し、無音の気合いと共に放たれたそれは、黒い扉に当たる。その、結果は───
「何してるんだい!?」
「……無傷」
「そんなわけ───え。」
───無傷、だった。例え小石だったとしても、陥没させるまでの威力はないとしても。……擦り傷くらいは、与えられるはずなのに。その
「……ひとまず、疑問は後だマスター!今はこちらに集中せよ!」
ギルの言葉で私は迫ってくるオートマタ達の方を向く。確かに、今はこっちが優先。
「───ちっ。おい、外の!」
「何があった!」
「書物があったことは確認した!だが、防護の魔術があってここから持ち出せん!故に───俺が読み終えるまで持ちこたえろ!!」
「了解した!マスター!」
「うん───」
パリッ
「───っ」
魔力を通した途端、極々小さな痛み。魔術回路を開く時のそれじゃない、警告の激痛のそれでもない。だけどそれを確認している余裕は今なくて。
「ミエリちゃんっ!」
「“
精霊魔法を発動し、敵達を吹き飛ばした。
正弓「……ご本人の意識が落ちてましたか……」
裁「…?」
正弓「……こちらの話です」
ロンドン修正後に召喚するサーヴァントは?
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魔術師、弓兵、暗殺者
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魔術師、魔術師、魔術師
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剣士、弓兵、狂戦士