狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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正弓「タイトルが“爆走”と似てますね……」

裁「実際は爆走どころじゃない非常事態だけど……」

弓「では本編へGO、であるな。」


第197話 暴走

{戦闘BGM:鏖殺の暴君}

 

先輩の姿が視認できたと同時に音楽が流れ始め、同時に先輩はすさまじい速度でヘルタースケルターに接近、()()()()()()()()しました。それにより周囲のヘルタースケルターも先輩を敵と認識したのか、先輩に襲いかかります。

 

「あ、リッ───」

 

ルーパスさんが音に気がつき、先輩の方を向いて───

 

「───ッ!?」

 

先輩を見て、()()()()()()()()()()()()()()私の方まで飛び退りました。近くにいたリューネさんも()()()()()()をし、私のもとへ。お二人とも、小さくですが身体が震えています。

 

「───なに、あれ」

 

先輩の方を見ながら絞り出すような声でルーパスさんが呟きました。

 

「何って……先輩ですよね?」

 

「……マシュさん。あれを見て、同じことが言えますか」

 

リューネさんが高音でそう呟く。高音になるのは確か余裕がないとき。それを不思議に思って先輩の方を見る───

 

「………せん………ぱい?」

 

あれは───()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()し、それを何度も繰り返し。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()あの人は。本当に───本当に、先輩なのだろうか。いや、そもそも───本当に、人間であるのか。それすらも、怪しくなってくる程の戦闘。

 

「すまぬ、遅く───」

 

 

「■■■■■────!!!!!」

 

 

「「「「「っ……!?」」」」」

〈〈〈〈〈ぎゃぁぁぁっ!?耳が、鼓膜がぁぁぁっ!?〉〉〉〉〉

〈〈〈〈〈っ……!?〉〉〉〉〉

 

耳栓スキルLv.5を貫通するほどの咆哮。それが、先輩から放たれました。他の人達はともかく、ドクターは耳栓Lv.5を常時発動させてましたから間違いありません。久しぶりに鼓膜の部位破壊を達成したようです。それも複数……あれ?

 

「咆…哮?」

 

咆哮。別名“バインドボイス”。ルーパスさん達の世界におけるモンスター達、ミラさん達の世界における獣魔達が使う拘束手段───それを、人間である先輩が……?

 

「……あれは、なんだ?」

 

英雄王の二輪車に開いた空間の穴から出てきたミスター・アンデルセンがそう呟きました。

 

「人……いや、あれは、あれでは人というのも怪しいですな。まさに、現実は小説より奇なり、とでも言いましょうか。」

 

「当然だ。分かりきったことを言うな、シェイクスピア。だが───これは一体()、だ?アレが人間か?ただのマスターか?いいや、アレではまるで───バーサーカーのサーヴァント、もしくは獣とも言うべきナニカでだろうが!!!」

 

「「「「───“狂暴走状態”に、似てる…?」」」」

 

ルーパスさん、リューネさん、ミラさん、ルーナさんが同時に呟きました。

 

「狂暴走状態……とは?」

 

「二つ名“鏖魔”───“鏖魔ディアブロス”の形態変化。結構強いんだけど……どことなく、今のリッカと似てる気がする。」

 

「音楽も同じ“鏖殺の暴君”だし…」

 

そう言ったとき、通信の方から物音がした。

 

〈……なんだよ、今の騒音……せっかく仕事一段落して休んでたってのに叩き起こされただろうが……〉

 

〈あ、六花!ちょうどいいところに!〉

 

〈あ?〉

 

〈リッカちゃんの様子がおかしいんだ!君から見てどう映るか聞かせてほしい!!〉

 

〈あぁ?…ったく、そこ替われ。〉

 

既に先輩は周囲のヘルタースケルターを破壊しつくし、リモコンの個体だと判断されたヘルタースケルターと対峙しています。

 

〈───これ、は。〉

 

〈どうだい!?何か分かったかい!?〉

 

〈───ロマン。ログ。〉

 

〈え?〉

 

〈ログを寄越せ!!今の現状に至るまでの動体ログを、全部!!早くしろ!!〉

 

〈わ、わかった…!〉

 

六花さんの剣幕に通信の向こう側で音がする。そんな音の続いている間に、先輩はリモコンの個体を破壊し終えていました。

 

「なんだ、これで終わりか。リッカが来てから呆気なく終わったな。」

 

モードレッドさんがそう言います。リモコンの個体を破壊し終えた先輩が振り向きました。

 

「……」

 

その、顔を見て───異常を、直に感じました。あれは、先輩であって先輩ではない。先輩の姿をしたナニカ、のような。いつもの先輩の目にはハイライトがない───つまり目に光を映しません。黒髭さんと話しているときや、好きなことをしているときは光があるようにも見えるのです、が……今回のあれは違うと断言できます。あれは───例えるならば、そう。猛禽類の獲物を狙うときの目、とでも言いましょうか。

 

「リッカお疲───ッ!?」

 

モードレッドさんが手を上げたとき、先輩がモードレッドさんに襲いかかりました。間一髪で防いだモードレッドさんですが、そのまま吹き飛ばされます。

 

「───ってぇな!!何しやがる、リッカ!!」

 

「……」

 

モードレッドさんの言葉に答えず、先輩は鎌を両手で振り上げてモードレッドさんに襲いかかります。

 

「答えねぇってか……ッ!?なんだ、これ、()()()()!!?」

 

「「「「「!?」」」」」

 

重い。その言葉に、私達は驚愕しました。モードレッドさんの筋力ステータスはB+。そのモードレッドさんで重い───それを、人間である先輩が上回った…もしくは、互角…?

 

〈マシュ!聞こえるか!!〉

 

「六花さん?はい、聞こえていますが…」

 

〈聞こえるならよし!単刀直入に言うぞ───リッカを止めろ、マシュ!!!〉

 

───え……?

 

〈どういうことだい!?〉

 

〈詳しく説明してちょうだい、六花!〉

 

〈ああもう、時間がねぇっつうのに……!1度しか話さねぇからよく聞けよ!リッカは今、()()()()()()んだ!!〉

 

「暴、走……?」

 

〈ああ!俺自身も完全に理解できている訳じゃないが、リッカ自身が定義した“護りたい者”、“大切な者”が傷つけられた時、もしくは傷つけられそうになった時、あいつは暴走を引き起こす!そしてこの暴走はかなり危険だ!あいつが敵と認識した存在を全て潰すかあいつが死ぬまで自発的には終わらねぇ!〉

 

〈どういうことよ!〉

 

〈あいつの意思で終わらせることができねぇんだよ!以前にも何度か暴走したことはあった!それが友人が拐われたときの話だ!拐った奴らは全て男、それも全部大人だ!それをあいつは───()()()()()()()()()()()()!!〉

 

「「〈〈なっ…!〉〉」」

 

〈全身打撲、複数骨折、意識喪失、臓器不全、感覚障害───それが素手のリッカが相手に引き起こした症状の数々だ!その度に師匠が相手の記憶は消してくれたが……それでもそれだけの被害を出したのは間違いねぇ!そして今、あいつは鎌を持っている!モードレッドが殺されんぞ!!〉

 

〈ちょ…ちょっと待ちなさいよ!リッカはサーヴァントにはまだ敵わないはずでしょう!?〉

 

確かに、ロンドンにレイシフトする前にそう言っていました。

 

〈あくまでそれは通常状態ならの話だ!だが、今は暴走状態!今のあいつは、肉体のリミッターが、脳のリミッターが完全に外れてやがる!!加えてハンター達の武器を扱えるまでに鍛えていたなら───俺の推測が正しければ、()()A()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!〉

 

「「「「「〈〈〈〈〈────〉〉〉〉〉」」」」」

 

絶句。その場にいたモードレッドさんを除く全員、通信先の全員も言葉を失いました。

 

〈もっと最悪なのが魔術回路だ!今までの暴走では魔術回路は起動されず、素の身体能力のみで動いていた!それがカルデアに来て起動されたことにより、魔術回路まで全開になってやがる!このままだと魔術回路まで暴走し、最悪リッカが死ぬぞ!!〉

 

「め───滅茶苦茶危険じゃないですか!?」

 

〈そうよ、危険じゃないの!どうしてそんなものを残しているのよ!?〉

 

〈だから時間がねぇって言ってんだろが!つーか俺が知ってて何もしてねぇと思ったか!?暴走を消すことはできなかったが策は打ってある、いや、打ってあったんだよ!!〉

 

〈じゃあ今の状態はなんなのよ!!〉

 

〈暴走封印術式の許容範囲を越えてんだよ!!師匠直々の封印術式を破るなんて普通考えるか!〉

 

〈魔導元帥の術式を───破った…!?〉

 

魔導元帥───キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。六花さんの師匠はその人だと聞きました。私でも、どれだけすごい人なのかは理解しているつもりです。その人の魔術を破った───?

 

〈どれだけ不味いのかは理解しました。ですが六花、教えてくれませんか。何故、彼女はモードレッドを襲っているのです?何故、味方であるモードレッドを敵と認識しているのですか?〉

 

アルトリアさんの言葉でハッとする。確かにモードレッドさんは私達の味方です。敵を全て潰すとするならば、味方を潰そうとするのはおかしいです。

 

〈マシュだ!〉

 

「私…ですか?」

 

〈正確にはスイッチとなった“護りたい者”、もしくは“大切な者”だ!あいつは間接的、直接的関係なく、大切な者を物理的に傷つける原因となった存在を自動的に敵と認識する!ヘルタースケルターがマシュを傷つける直接的な原因とすれば、その()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだ!!〉

 

〈───。〉

 

〈幸い、リッカの魔力は多い!魔力枯渇になるまでまだ時間はある!それまでにマシュ、お前がリッカの暴走を再封印するんだ!!〉

 

「再封印……?いや、そもそもです!暴走の危険があった、大切な者を傷つけられたときに暴走するというのなら、あの大海の時の黒髭さんはどうなるんですか!?」

 

あの時、先輩は泣きました。それは、黒髭さんが大切な者と定義されていたのだと思いますが───

 

〈その時暴走しなかったのもマシュが理由だろう!マシュの内にいる英霊の守護の力がリッカに働き、暴走を抑えていたんだろうと俺は推測する!〉

 

そんな。それでは───

 

「私が、先輩から離れたから……?」

 

〈馬鹿!お前のせいじゃねぇ───ああ、もう!時間がねぇ、ロマン!リッカへの魔力供給を途絶えさせるな!!俺は一度部屋に戻る!〉

 

〈ちょっ、何言ってるんだいこんなときに!?〉

 

〈こんな事態だと思ってなかったから準備できてねぇんだよ!!モードレッド、聞こえるか!!〉

 

「あぁ!?」

 

〈いいか、1()0()()()()()()()()!!その間リッカに傷つけることとお前が被弾することは許さねぇ!!〉

 

「はぁ!?テメ、何言って───」

 

モードレッドさんがそう言った直後、通信先からブチッ、という音が聞こえました。

 

 

〈元はと言えばテメェのせいだ!!いいか、リッカはマシュの疲労を見抜いてたんだよ!!だから魔術協会の方に連れていかなかったんだ!!疲労は溜め込むと重大な隙をさらす原因にもなる!!それを回避するために連れていかなかったんだ!!それをテメェはヘルタースケルターの殲滅に連れ出した!!リッカの予想通りマシュは戦闘中に一瞬動けなくなった!!それが隙だ!!その隙がリッカを暴走させるスイッチになったんだ!!何言ってんだ?ふざけんじゃねぇ!!リッカがマシュに休んでほしいと願った思いを踏みにじり、マシュだけならずリッカをも、ひいては世界の存続すらも危険に晒しているテメェに拒否権があると思うな!!テメェのやったことぐらいテメェで責任を取りやがれ!!!!!〉

 

 

バンッ!という大きい音を最後に立てて席から離れていった音がした。

 

〈……凄い、怒ってたよ。六花。いつも不機嫌そうな声だけどあそこまで声を荒げたのは初めて見たよ。〉

 

〈……私もよ。魔術協会にいた時にすらあんな六花は見たことがないわ…〉

 

〈……私もだ。ともかく、六花が戻ってくるまで待つ他ないか。〉

 

とりあえず、私達は六花さんが戻ってくるまで待つことになりました。




正弓「ちなみに曲名の時と咆哮の時のフォントカラーは“血紅”というそうな?カラーコードは#990000です。」

裁「狂暴走状態に合ってるかも…?」

ロンドン修正後に召喚するサーヴァントは?

  • 魔術師、弓兵、暗殺者
  • 魔術師、魔術師、魔術師
  • 剣士、弓兵、狂戦士
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