狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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正弓「戦闘回は何気に時間がかかるそうです。」

裁「そういえば前も言ってた気がする。」


第206話 雷鳴

「……」

 

「リューネちゃん?」

 

地上を目指して移動している最中。先程からリューネは何度も上を見上げていた。彼女の耳にはどうやら地上の音も届いているようだ。

 

「……何かあった?」

 

「…いや。先程の音……地上の方で戦闘が起こっているようだ。数は5、1つは先の星の開拓者……ニコラ殿といったか。その者だろうが…」

 

〈それ以外にもいるってことか。〉

 

「…まぁ、それはそうなんだが。…なんだろうな。母でも父でも、ルーパスでもない知り合いの戦闘音が聞こえる気がするんだ。」

 

「リューネの…知り合い?私でもないの?」

 

「あぁ…まぁ、知り合いというか後輩というか……カムラの里のハンターという意味では先輩にあたるのだが。…まぁ、気のせいだろう……そうだと思いたい。」

 

「……ふん。だが、感じたことのある気配がするのは事実だな。」

 

『無銘。ミラ。外、気をつけてね……雷飛び交ってるから。どこぞの武士共が衝突するとこうなるんだなぁ…』

 

「「……???」」

 

 

 

所変わってロンドン地上。

 

「ライトニンッ!!」

 

ニコラ・テスラが雷を放ち───

 

「───ハッ!」

 

それを頼光が叩き斬る。

 

(いやなにやってんすかあの女!?普通に雷斬るとかあり得ないですよねぇ!?ていうか弓矢でも対応できるとかどんだけですかあの女武士は!?)

 

「ははははは!この雷電こそ私がアーチャーとされた所以!それを叩き斬るとは面白い英霊もいたことだ!天の英霊といえど、油断するつもりもなかったが面白い!だが───」

 

ニコラ・テスラが左手を不意に上げると、その場所に朔那が攻撃を放っていた。

 

くっ

 

防がれたと見るや、手元から飛び出した虫に捕まり、後ろに跳ぶ。それを見たニコラ・テスラが雷を放つと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

……まずい、かも。“トリプルアップ”切れた…

 

「ははははは!可憐なるレディ、君もまた面白い!見たところ君の戦い方はその腕にいる虫が関係しているようだが、違いないかね?」

 

……ご明察、です。

 

雪華 朔那───操虫棍をメインとするカムラの里のハンター。カムラの里のハンターとして認められたのはリューネよりも前であるが、リューネが今まで培ってきた技術には勝てず、完膚なきまでに敗北した1人の少女である。なお、完膚なきまでの敗北を経験した後はというと、リューネがカムラの里にいるとき限定だが共にクエストに行くことが多いのだとか。

 

「ふっ…人の英霊、とはいったがその肉体は紛れもなく人間そのもの!しかし人でありながら雷電に触れることを恐れないとは!ははは───いや、恐ろしいな!」

 

(恐ろしいな、じゃねーですよ!!アレ見たところ魔術なんて一切使ってませんよ!?なんで虫を雷に当てると()()()()()()()()()()んですかねぇ!?異常です、異常!この玉藻、意味がわかりませんっ!!)

 

狐耳のキャスター───玉藻が感じたその異常は真実だ。そもそも、人間が雷に触れるということ自体が異常なのだ。頼光の場合は完全にサーヴァント───つまり、霊体であるわけだが…朔那の場合はルーパス達と同様、()()()()()()なのである。耐久力が馬鹿げているハンターであるから、と言われてしまえば何も言えなくなるかもしれないが、そもそもハンターというのは死者も出る職だ。“モンスターハンター”シリーズの設定世界観上の話だけではなく、ルーパス達のいた世界でも実際に半端な鍛え方では死に至る。そんな中、ルーパス達が即死技として存在するエクリプスメテオや王の雫、拘束である捕食行動。さらには撃龍槍の直撃や破龍砲の直撃を食らっても生存していられるのは、防具に存在する“防護”と狩人の鍛えた自らの“肉体”、そして武器に存在する“特性”が理由なのである。

 

はぁっ!!

 

「むぅっ!」

 

飛円斬りを放ち、即座に跳躍、空中回避で離脱する───さて、彼女の装備を見てみよう。武器は“神源ノ雷翔リ”。雷神龍派生の操虫棍、上位最終強化。猟虫は…見たことがないが、一部行動で一緒に動いていることから共闘型猟虫だろう。防具は…ゲームとは少々デザインが異なるが、“なるかみ”一式───つまりは全身雷神龍装備だ。その雷耐性値は、何の強化もせずに27まで達する。最大強化しているために、その防御は480に達するが……“風雷の合一”がほぼほぼ役に立っていなさそうなのは仕方ないことなのだろうか。なお、護石で雷耐性Lv.3が発動しているため、総防御力は491、雷属性耐性は47とかなり高い防御性能を誇っている。

 

「ははは、雷を吸い、雷を扱うか!面白いとは思わないか?Mr.ゴールデン!!」

 

「大将のやることに今更突っ込んでらんねぇよ…そこの嬢ちゃんもなんで大将と同じこと出来るかはマジで謎だけどな!?見た感じまだ若ぇ、20年生きてねぇよな!?」

 

今年で18ですが何か!?

 

「何言ってるか全くわかんねぇ…!」

 

(金時さんも金時さんで苦戦していらっしゃいますね…というかこの中で普通なの金時さんと私だけじゃないです?あの人間のお方…サクナさん、でしたっけ。彼女も名前からして日本の方なのでしょうけれど……言葉が全くわかりませんねぇ。名前らしきものしかわかりませんでした。日本由来のサーヴァントが4騎揃うだけで魔境と化すとかどんだけですか日本……って。私も出来る限りは援護した方がいいですね。あの女武士とあの女の子には必要無さそうな気がしますけれど……うう、尻尾がパリパリします…)

 

そう思考した玉藻はどこからか符を取り出した。

 

「金時さん、ちょいと退いてくださいまし!」

 

「お、おうっ!?」

 

「密よ───唸れ!“呪相・密天”!」

 

符を放つと共に風がテスラへと放たれる。

 

「───ふっ!」

 

「───」

 

「やぁっ!」

 

金時が眼をそらす。

 

「浮気爆裂───またの名を、一夫多妻去勢拳!!」

 

「───ぉぉぉ……」

 

それにテスラが悶絶する。

 

「おいおい…アレはねぇよフォックス。」

 

「……あぁ、男性なのでしたね。しまった、すっかり失念しておりました。あの自分の愛のためなら外野なんて知ったコトじゃない系女に大量に叩き込んだ記憶が鮮明に甦りまして……えぇ。もはや癖のようなものになっているのです。…てか、ぶっちゃけアレ私の主力みたいなものですし。」

 

「マジかよ……フォックスって確かキャスターだよな…?」

 

「ふ、ふふ……流石は、レディ……」

 

「……って。あれで倒れませんか。どうしますかねぇ…」

 

「あらあら。倒す必要はありませんでしょう?」

 

「は?」

 

「ふふふ………金時、合わせなさいな。」

 

「お、おう……」

 

「なんかちょっとやベー気がするんですけど!?雷放たないでくれます!?尻尾がパリパリします───!!」

 

「そこの貴女!貴女も一緒に合わせてもらっても?」

 

頼光の言葉に朔那が頷き、操虫棍を構えて眼を閉じた。

 

()()───いくよ、“プラズスタッガ”。属性、暴走

 

そう呟いたとたん、操虫棍が電気を帯び始めた。

 

「ぎゃーっ!?全員雷扱うとかどんだけですか!!マジでやめてください尻尾すっげぇパリパリするぅ───!!?味方も感電させんのやめてくださいませんかこのバーサーカー共───!!」

 

「まぁ、すみません…ですが、貴女様は天照の分御霊。私どもの攻撃など容易く───」

 

「限度ってもんがあんでしょ──が───!!そもそも私はスケールダウンしてるんで容易くないんです───!!貴女だけならまだしも3人はやべぇですって───!!!理解してんのかこの牛女───!!!」

 

「では死ぬ気で耐えましょう♪」

 

「───ふざけるなぁっ!!あっ、金時さん、金時さんからも何か言ってください!!」

 

「こうなった大将は止まらねぇんだ……すまねぇ、フォックス…」

 

「この役立たず───!!もう最後の希望です、サクナさん、貴女からも───」

 

属性圧縮───虫が飲み込みし属性は我が力となりて空間を穿つ一閃とならん。

 

「ってこっちの方が無理だった───!!!言葉がまず通じねぇ───!!!」

 

竜人語はこの世界に実在していない言語。理解できないのは仕方がないことだ。

 

「───ふっ!」

「食らえ、必殺───“黄金衝撃(ゴールデンスパーク)”!!」

 

「なんと!活性魔霧にさらに魔力を叩き込むか!いずれは許容を突破し、オーバーロードを果たし、消滅する───が!ははははは!少し足りないようだ───」

 

───雷神一閃

 

「───何っ!?上だと!?」

 

テスラが見上げた上空、そこにいたのは強い電気を放つ棍を構えた朔那。

 

奥義“操虫棍が戦いで迸らせる(ビートルブースト)───

 

「何を───」

 

───圧縮属性の一点放出(カンパージ・フォーカス)”!!

 

その言葉を紡いだ彼女は───言葉通り、()()となって地上へ落ち。そこに、追撃のように雷が落ちた。

 

「───は。ははははは!なんと!なんと───」

 

その、結果───霧は、晴れた。

 

「なんと見事な雷!なんと見事な一撃よ!その一撃を最後の一押しとして、周囲の霧を晴らすとは!!惜しむべきは先の雷によって彼女は生きていないであろうということか!あぁ、惜しい……実に惜しい!彼女こそ雷電を操る私の妻に相応しいであろうに!」

 

彼女が落ちたところには土煙が舞い、彼女の姿を隠している。この時代、ニコラ・テスラは32歳。彼女は17歳であるので───まぁ。少し年の差が大きいという問題はあるのだが。イギリスの結婚可能年齢は16歳以上であるようなため、結婚できなくはない。結婚できなくはない。親の承認が必要だが。

 

「障害がなくなったならばすすむべきだろう───が。せめて一目、雷電を操った彼女の亡骸を見た後、その魂が安らかに眠ってくれるように願うとしよう。」

 

そう言い、テスラは土煙が晴れるのを待った。だが、テスラはまだ知らない。奥義を得た天才たる彼女が。“モンスターなハンター”と呼ばれるハンター達が。如何に化け物染みた耐久性を持っているのか。“モンスターなハンター”と呼ばれる、その所以を。

 

「晴れてきたか…さて───む!?」

「はぁっ!?」

「おや…あらあら……?」

「マジかよ……」

 

けほっ、けほっ───誰が、“生きていない”…ですか?

 

土煙が晴れたそこには。多少煤けているとはいえど、自らの足で立っている朔那の姿があった。

 

……うぅ、ちょっとピリピリする…

 

───だが、奥義を使った彼女自身も完全に無事というわけではないようで、“強香の花結・三輪”を使い、回復を何度も使っている状況下とはいえど百竜ノ淵源ナルハタタヒメの“撃龍・霹靂神”を耐えることが可能な彼女の装備に存在する防護でも防ぎきることはできないようだ。…しかしそれは、逆をいえば百竜ノ淵源ナルハタタヒメの大技を越える威力を彼女の奥義は秘めている、ということになるが───

 

(な、なんちゅう耐久力してるんですかあの子!?恐らくあの武器が避雷針のような役割をしたのだとは思いますけど───その避雷針に触れてれば感電するでしょう!?なんで人間が雷に打たれて死んでないんですか!?ていうか彼女本当に人間なんですか!!?)

 

「は、はは…これはこれは、レディ。先の雷、無事だったのだな?」

 

……あの程度なら……一応。

 

言語が違うためにテスラに意味は伝わっていないものの、少し首を傾げてきょとんとした表情を見たテスラは思いっきり顔をひきつらせていた。自らの防護を貫きかけるほどの雷がほぼ直撃といった状態となってなお、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()少女に引いてしまうのは無理のないことではなかろうか。

 

「…さて。これで私の役割は終わりですね。ええと…サクナさん、でしたか。貴女はどうします?私と共に武器を納め、まだ見ぬ我が子を迎えに行きますか?」

 

頼光の言葉に朔那はさらに首を傾げるが、大体を理解したのか小さく頷いた。

 

奥義放って少し疲れたので休ませてほしいです…

 

「では、参りましょう。そこのお方、お気をつけて───」

 

「ちょ、ちょい待ち!何どこか行こうとしてんですか!?止めないんですか!?」

 

「…?はぁ…まぁ。それが何か、問題ありますか?」

 

「ありますよ!?ロンドン滅びかけてんですよ!?これ以上ないチャンスでしょうが!?」

 

玉藻の言うことはもっともである。だが───

 

「玉藻さん?そんなものよりも優先すべきことがあるでしょう?」

 

「“そんなもの”!?世界の終焉をそんなもの扱いですか!?……一応聞きますけど、その優先すべき事柄って…」

 

「えぇ、もちろん───頑張った我が子を労うことです。」

 

「ですよねぇぇぇぇぇぇ!!マジこいつめんどくせぇ!!嫌ですけどぶっぱなします!?ホント嫌ですけど“太陽面に比類する女子力の発露(フレアスカート・バンカーバスター)”コイツにぶっぱなしてやりますかねぇ!?」

 

「さぁさぁ、貴女の陣地作成スキルで集落の1つや2つ、作ってくださいまし!サクナさんもお疲れの模様です、癒し空間を作るのも良妻の務めでしょう?」

 

「無茶言うでね──ですよ───!!!私の陣地作成スキルってCランクなんですからね!?あ、ちょっ、引っ張らないでください───!!」

 

連れていかれる玉藻、連れていく頼光。疲れた表情でついていく朔那に諦めたようについていく金時。

 

「ほら、玉藻さん?母の言うことは聞くものですよ?」

 

「私の母はナミです、最古の離婚夫婦です───!!!断じて貴女ではありません───!!」

 

「───は、ははははは!この雷電、過去を振り返ることなく進むとしよう!さらばだ、雷電に招かれた英霊達よ!」

 

テスラはそのまま階段を進んでいった。

 

 

その後。

 

「おしっ、やっと外に出たな───ん?なんか魔霧薄くね?」

 

「ふむ…確かにこれまでよりは薄い。何故だろうな。」

 

地下にいたリッカ達も外に出てきた。

 

「……」

 

「先輩?」

 

「あれ…なんだろう。」

 

リッカが示す先にあったもの。それは───

 

 

茶屋 美咲団子

 

 

「……うさ団子の…茶屋?」

 

リューネがそう呟く。

 

「リューネちゃん?」

 

「……いや、すまない。カムラの里の茶屋の看板に似ていたのでね。」

 

「ふむ…行ってみるか?うさ団子とやらが本当にあるのなら気にはなるからな。」

 

そうしてリッカ達は茶屋に入った。

 

「い、いらっしゃいませ~…巻き込まれただけの良妻、天照───」

 

「………?」

 

「────あ」

 

(なんっ……ですかこの魂……!?すっごい私好みのイケ魂じゃないですか!?なんか深いところで真っ黒でボロボロな気がしますけどそれを叩き上げて研ぎ続けて超業物に仕立て上げたような……!一体誰が関わったらこんな魂が出来上がるんですか…!?)

 

「あの……?」

 

玉藻が暴走しているのも気にせず、リッカが声をかける。

 

(な、なにこれぇ……ご主人様一筋のはずの私が声だけで溶かされる……!?というか飲み込まれる……!?その、その声やめてぇ……!?)

 

「む?狐ではないか。何をしているのだ、ここで。」

 

「───ハッ!?英雄王!?」

 

「…なんだ、キャスターか。何故ここにいる?」

 

「おやシロウ、お知り合いですか?」

 

「まぁ、小さな縁だ。…というか、君も見たことはあると思うのだが?」

 

「無銘さんまで───ていうか!貴方のせいで私はフラれてるんですよ!?どうしてくれるんですか!!」

 

「知らん。というか、私に言うな。私は知らん。」

 

「そんなこと言って───あ?」

 

玉藻の視線が無銘のアルターエゴとミラ・ルーティア・シュレイドに向く。

 

「「……??」」

 

(───なん、ですか……?この、まっさらな魂……理性が喰われる、というか……無垢。無垢の一言じゃないです……!?だめ、声をかけられたら多分、本能が抑えきれない…!)

 

そう思考し、一歩後ろに下がる玉藻。

 

「あらあら…貴女様が、藤丸リッカ……えぇ、そう…」

 

「…?あの……?」

 

「……この淀み。えぇ、あなた様なら……」

 

頼光は頼光でリッカに触れて何かを悩んでいた。

 

えっ……琉音先輩!?どうして、ここに…ベルナ村でどこかに消えたと聞きましたが…

 

……朔那殿。雷のような音を聞いた時からまさかとは思っていたが…やはりいたのか。

 

やはり、というかなんと言うか───リューネと朔那は知り合いだったようだ。




正弓「余談ですが、ご本人がオケアノスのキャスターさんのLv.100達成したようです。」

弓「ふむ……」

ロンドン修正後に召喚するサーヴァントは?

  • 魔術師、弓兵、暗殺者
  • 魔術師、魔術師、魔術師
  • 剣士、弓兵、狂戦士
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