狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い 作:Luly
弓「猟虫にも設定あるのか?」
正弓「えぇ、まぁ。というわけで───こちら」
“一閃のサクナ”と呼ばれる彼女の奥義。特殊な猟虫を使用することで武器の属性を暴走させ、各属性のレーザーとでも言うようなものを放つ。出力や放出のタイミングを変えることで全く別の攻撃にも見えたりはするが、彼女の奥義はこれのみなので間違いなくこれである。横打ちも可能だが、上空から地上に放った方が後に降竜に繋げられる……が、そうなると属性の柱───つまり火柱や氷柱といったものに自ら飛び込むことになるので高い属性耐性を持たなくては危険な諸刃の剣。なお、低所から高所に向けて放出すると、属性の柱が天へと昇っていくような見た目になるため、降竜と比較して“昇竜”と呼ばれることがある。
プラズスタッガ
吸収・共闘型の切断猟虫。吸収型とはエキスの他に属性を吸収することができ、猟虫の吸収した属性と武器の属性が同じならばそれを武器に回すことで属性値を強化することが可能な特殊な猟虫のことを指す。特殊すぎる猟虫故に他の猟虫のように武器の属性が猟虫の属性になる、ということが出来ず、猟虫ごとに纏う属性と吸収可能な属性が違う。この猟虫が吸収可能な属性は雷。なお、かなり取扱いが危険な猟虫とされているため、一部のハンターにしか使用は許可されていない。
正弓「…とまぁ、所々性能がおかしい奥義と猟虫のお話でした。」
「では、改めて自己紹介などさせていただきますね。」
マスター達と立ち寄った茶屋の中で、中にいた人達と向かい合っていた。
「私は“源頼光”。クラスはセイバー…ではなくバーサーカーです。こちらは金時。」
「“坂田金時”だ。オレっちもバーサーカー、よろしく頼むぜ。」
「“玉藻の前”、と申します。クラスはキャスター。先程はお恥ずかしい処をお見せいたしました。」
「“雪華 朔那”です。…えっと。先輩と同じくハンターです。」
既にジュリィさんの持っていた翻訳帳の写本で朔那と名乗る人の言語はこちらに合わせることが出来ている。写本なせいか少しだけ性能は落ちるようなものの、大きな問題は無さそうだ。
「以後、お見知りおきを…」
「…ふん。極東の神秘殺しが、マスターの魂に惹かれて姿を現したか?」
〈ていうか……女性だったんかい。〉
〈歴史屋も適当ですね……私達もアカシックレコードに接続するとは言えど、クラス以外の情報を得ているわけではありませんし…〉
「あっと……解らねぇ奴もいそうだからざっと説明すっとだな…日ノ本を守護していた頼光四天王、その元締め…簡単に言えば番長に値する人物が頼光の大将だ。」
「番長……」
「……金時」
「大将?」
「番長、だなんて……私をそのように……?」
〈“女番長”をそのまま示すなら“スケバン”が正しいかね。〉
「確かに。確かに───私は数多の怪異を斬り伏せ、貴方達を率い、最強のサムライとも呼ばれるような存在ともなりましたとも。ですが───それを私の本質と取られるのは…少し、悲しいです。」
「…金時さん。謝った方がいいんじゃないかな……」
そのマスターの声に。少し、寒気を感じた。怒ってる、とは違う。…というか。そういえば、これまでマスターが怒ってるのを見たことがないような……?虹架さんが魂の崩壊の危険を冒してでも止めたあの暴走も、“怒り”ではなかった気がする。
「…っ」
「…なんでか、分からないけれど。強くそう感じるの。」
“分からない”。何故だろう───この言葉が放たれた一瞬。マスターの、闇に包まれた部分を見たような気がした。…気のせい、だろうか。
「あ、あぁ…すまねぇ、大将。大将は愛が深いお方だった。忘れていたわけではないんだが…すまん、説明が足りなかった。」
「えぇ!それで、いいのです!」
その言葉を聞いて、マスターの雰囲気が元に戻った。
「よかった…ねぇ、金時さん」
「……?」
「親っていうのは、いつまでも一緒に在るわけじゃない。親の心も、いつまでも子に在るわけじゃないと思うんだ。…どう間違っても“使えない役立たず”、“期待しなければよかった”、なんて言われないように…」
使え…ない?
「……マスター。それは、貴様が言われた言葉か?」
「……どう、だろう。…中学生くらいまでの記憶、なんでか曖昧だから。」
その表情に…暗い色が見えた。
「…」
ふと頼光と名乗った人が立ち上がって、マスターに近づいた。
「…?わぷ」
「……」
「何、ですか…?」
「母と、呼んでいいのですよ。」
「…?」
何も分かっていないような表情をするマスターと抱きしめる頼光さん。
「あなたの輝き…私の元まで届いておりました。強く、ここまで走り抜いた女傑。あなたが親に愛されなかったのならば、私があなたの親となり、あなたを愛しましょう。どうか、私をあなたの親と受け入れてはもらえませんか…?」
「……あたた、かい…?」
「…ふ。思わぬところで親が手に入ったか?マスター。」
「……」
困惑したような表情でマスターは頼光さんを見つめた。
「ど、どうしましたか…?やはり、私では嫌ですか…?私に愛されるのは嫌でしょうか…」
「…い、いえ…よろしく、お願いします…えっと…お母さん…」
そう言ってからマスターは悩んだ表情になってから口を開いた。
「あの…お母さん。聞いてもいいですか?」
「えぇ、何なりと。私はあなたの母ですから。」
「…あの。
「「「「「──────────」」」」」
思わず、全員が無言になった。愛とは、何か…?その問いの答えは、無銘たる私にはわからなくて。そして、それは頼光さんにも予想外の質問だったようで。
「…今、なんと?」
「えっと…愛って…何ですか?愛されるって、どういうことですか…??…私は、何をすればいいんですか…???」
「───っ」
この、マスターは。まさか───
『これは───一体どういうことだ、六花…!』
≪…そこに、行き当たったか。≫
英雄王がカルデアに念話を繋いでいた。私以外にも、ルーパスさんたちにも聞こえてるみたい。
『兄である貴様が知らんはずがなかろう!答えよ、これは一体どういうことだ!!』
≪…手遅れ、だったのさ。≫
『…何?』
≪俺が異常に気が付いた時にはもう手遅れだった。あいつは親に愛情を注がれず、親に半ば捨てられたような状態で生きてきた。俺自身は手遅れになる前に家を出たことでその状態を回避したがな。…だが、俺よりも後に生まれたリッカはそうもいかんかった。≫
≪どういう、ことよ…?≫
≪嗤うなら嗤え。人でなしというなら人でなしと言えばいいさ。俺はもともと、無様な負け犬だ。≫
自虐するようにそう言った後、念話内で小さくため息が聞こえた。
≪あいつが小学1年の頃の話だ。俺は既にそのころほとんど家に帰っていない、俗に言う不良少年みたいなもんだった。それはまぁ、師匠に出会って魔術を習ってたのも原因の一つなんだが。そもそもの話、俺が家を出たのはあの親どもの子供を道具としか見ていないようなのが、俺は嫌だったんだ。だから、家を出た。幼かったリッカを残してな。あいつはもともと病弱だったし、幼い状態で連れ出すのは無理があった。だからまず俺は自分一人で出て、自らを鍛えることにしたんだ。何があっても、リッカを守れるように。≫
『───まて。マスターが、“病弱”…だと?』
≪あぁ。俺の記憶にある限りは、幼いころから何度も熱を出したりしてた。…その症状が、
『───』
≪…あぁ、そうさ。全ての元凶はこの俺だ。俺が逃げ出したから、リッカはああなった。俺が反発したからこそ、病弱なあいつは犠牲になった。俺が硬直してるところに、あの母親は言った。“貴方が何を言っても効果はない。あなたが反発すればするほどあなたが不利になるのよ。それをするだけの力が、私たちにはあるのだから。”…正直、反吐が出そうだった。権力者の職権乱用。それを、自分の産みの親で見るなんてな。俺はもうその場にはいられなかった。だから、そのまま家を飛び出してきたのさ。…リッカを連れて行くのを忘れたことに気が付いたのは、その数瞬後だ。だが、もう俺は行きたくなかった。…だから。もう一度でもあいつが体調を崩したのなら。その時は強制的にでも連れていく。あいつのためなら誘拐犯という名の犯罪者にでもなってやるさ。そして、あの親共が注がなかった愛情を、犠牲になる原因を作った俺じゃない、外道とされる魔術師でも俺が信用する師匠と紫姉が注いでやれれば…とは、思っていたんだ。…結果は、
その、吐き捨てるように話されたのは…六花さんの、心情。
≪あいつは愛を知らないままここまで来た。俺が…親族が注げる愛はもう存在しねぇ。そもそも俺も愛情の注ぎ方なんてわからないしな。俺の娘たちは、AIとはいえど俺なりに大切に育ててきたつもりだが…それでも愛情を注げているかは知らん。…大雑把になったが。これが、リッカが愛を知らない理由だろうよ。…愛を注がない親に育てられた俺も、当然愛がどんなものかは明確に分かっていない。俺が話せそうなのは、これだけだ。≫
『……1つ、答えよ。貴様が魔術を教わっていた理由はなんだ?』
≪無論、リッカを守るためだ。…それに打ち込みすぎて、こうなってたらなんも言えねぇんだけどな。≫
そこまで聞いてから、英雄王が息を吐いた。
「頼光とやら。次の召喚、必ず貴様を招くぞ。」
「……えぇ。必ず、応えさせていただきます。」
「……?」
「マスター、貴様が学ぶことが増えたぞ。…まずは何よりも、愛がなんたるかを識るがいい。」
「え…?うん……」
「…先輩」
〈…ロマニ。セリア。〉
〈…メンタルケア、徹底させてもらいます。カウンセリングの方も、もちろん。だよね、セリア?〉
〈はい。万全の状態で、行わせていただきます。〉
「無理をしているのではない。これが自然体、か…」
「…行こうか、みんな。」
そう言って頼光さんから離れたリッカさんを全員が見つめる。
「リッカさん…」
「……お母さん達が」
「?」
「…お母さん達が、霧を払ってくれたから。私達は、前に進めるから。世界を…未来を護りに、いってきます」
「…えぇ、お待ちしていますとも。」
「リッカさん。皆さんも、ですが…こちら、お持ちください。」
そう言って玉藻さんが出したのは少し小さめの包み。中には小さいおにぎりと数種類のおかずが入っていた。
「あまり時間はなさそうですのですぐに食べられるものをご用意いたしました。」
「ふん、さすがは良妻狐と自称するだけはあるな、キャスター。怪物視された妖狐とは言えど、料理はお手のものなのか?」
「…そう言うならあなたにはあげませんよ。」
「冗談だ。流石に腹が減ったんで何か胃に入れたい。」
「…まぁ、魔力回復もできるものですからそれなりに使えるはずです。」
「ありがとう、玉藻さん。…行こう、皆。」
私達は頷いて、茶屋の外に出た。
正弓「……再起動に時間かかってますね」
弓「そうか……」
正弓「あと1週間…かかるかどうか。」
ロンドン修正後に召喚するサーヴァントは?
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魔術師、弓兵、暗殺者
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魔術師、魔術師、魔術師
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剣士、弓兵、狂戦士