狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い 作:Luly
ズキッ…
「……」
ずっと、お腹が痛い。警告の激痛と名付けたそれなのは分かる。…地下には、聖杯しかないはずなのに。これは……おかしい、と思う。
「大丈夫ですか?先輩。」
「……うん。大丈夫」
マシュに答えて、地下へ歩を進める。
「……マスター。冠位の話は覚えているな?」
「え?うん…」
冠位。預言書……霊基を譲渡された私みたいな“人類悪”を倒すために召喚される最強の7騎。もっとも、預言書は現時点では倒してはいけないみたいなんだけど。それを言ったら、ギルは満足した感じで頷いた。
「そうだ。なんの因果か───その冠位が我が財の前に出ると、我が眼が見抜いた。」
冠位が………現れる?
〈で、でも…冠位が現れる理由って人類悪を倒すためなんだろう!?まさか、リッカちゃんを倒すために……!?〉
「ふん、心配せずとも我が財どもには指一本触れさせるつもりはない。…だが、この我も全てを護れるとは限らん。普通のサーヴァントならばいざ知らず、相手はグランドだ。…まぁ、それが真にグランドであるのならば、勝敗が決したようなこの場に姿を現すようなことはしないとは思うが…さて。」
ギルの視線が私達を貫く。
「問おう。既にこの地での貴様らの勝負は決している。このままこの場に残り、冠位との邂逅に居合わせるか?それともアパルトメントに戻り、我が帰還するを待つか?どのように答えようと首を落とすようなことはせぬ。ここにいるのは我と預言書、そこの白き獣にアイルー、ガルク以外生身の人間だ。さらに、我がマスターに至っては次なる世界を創るという大役を担っているのだ。ここで喪うのはあらゆる総ての終焉に他ならん…そうであろう、精霊。」
その言葉にレンポ君達が頷いた。それと同時にギルが立ち止まる。つられて私達も立ち止まる。場所はちょうど、聖杯のあった場所から見えるか見えないかの境界。
「本来なら危険にさらすなどもっての他。だが───ここで決めるがいい。この、相手の眼から見えぬ場所で。貴様ら自身の手で、決断せよ。先に進むか、後ろに戻るか。」
先に進むか……後ろに戻るか。それなら、私は───
「進むよ、ギル。」
「……ほう。」
「預言書の主に選ばれた、っていうのもあるけれど。ギルと一緒にいると私が見定めるべきものが何かもわかるかもしれないし…何より。私はもう、逃げるつもりはないし。」
「…ふ。」
「私も先輩と同じです。私の使命は世界を救うマスターとカルデアを治める王───いいえ、カルデアに関わり、味方となってくれる方々を…私が護りたいと思った人を守護することですから。力及ばずとも、私の運命は皆さんに捧げる覚悟です。」
「私も。私も、残るよ。リッカがマスターだし、リッカとの別れが来るまではできる限り一緒にいるって決めてるから。」
「僕も残ろう。冠位、といったか。僕らの力は確かに及ばないだろうが…なに。いつだって難しい状況下から戦い抜いてきたのが僕らだ。今回もどうにかなるはずさ。」
「私も残るよ。総てを視る龍の王の側に侍る者として。」
ルーパスちゃんとリューネちゃん、ミラちゃんも残ってくれるみたい。…ミラちゃんの言ってることがよく分からなかったけど、本人もよく分かってなかった。無意識で言葉になったみたい。
「当然、私も残ります。相棒の…皆さんの進んだ道の総てを、遺すためにも。」
「「分かると思いますがにゃ…?」」
とりあえずアイルーの2名は一緒にいるつもり、ガルクのガルシアさんもいるつもりみたい。そして、ジュリィさんも残る…あとは、アルだ。
「……私も、残ります。大きな力にはなれないでしょうが、皆さんと共に。」
この場にいる全員が“残る”。そう意思を示すと、ギルは小さく笑った。
「やれやれ、聞くことでもなかったか。…よかろう、その心意気を認める。ならば我も貴様らを守護すると誓おう。───さぁ、最後の時だ。」
ギルの言葉に私達は前に進む。───誰もいないはずの空間に、それはいた。
「先に待ち構え、それでいて待ち伏せもなく、罠のひとつも仕掛けぬとは。余程、余裕なようだな?」
「……」
ギルの言葉にも動じず佇む人影───直感する。アレは───危険だ。そして同時に、私が見定め、選別するものであると。
〈嘘…だろ。あれは───あれは、“ソロモン”だ…!通常の霊基に当てはまるなら、キャスターのクラス!!〉
ソロモン───イスラエルの王。魔神柱を使役している黒幕とされている存在。
「誰に許可を得て龍の王妃を見ている。龍の王が我のようであれば既に消されても文句は言えんぞ?」
確かに、ソロモンの視線はミラちゃんとアルを行ったり来たりしてた。
「“不在”。───我が前に立つ劣化した人間共。時間軸より外れ、すべてを見通す我が眼ですら見ることは難しいカルデア。無様に、無残に、無益に───こうして生き延びているのがお前たちという存在だ。」
その言葉は───ただひたすらに、抑揚もなく。機械のように“告げられた”もの。感情をどこかにおいてきたような、そんな言葉。
〈マシュ!リッカのことを守りなさい!!〉
「はいっ!」
「あなたが───グランドキャスター?レフ・ライノールの言っていた“王”なの?」
私の問い。それに───慌てたような行動。
「やめろ…やめろ!そのような目で我等を見るな!そのようなものは見飽きた!うんざりだ!!故に我等はそのようなものを無価値と断じ、結論を出し終えた!!やめろ、そのような悲劇を、虚無を、深淵を見せるな!!醜い、昏い、そのようなものに我等を飲み込もうとするな!!」
「え…?」
深…淵……?
「ふん、マスターの奥底を覗き、発狂しかけているか。」
〈悲劇…か。あ~………マシュ、君が話しかけた方がいいと思う。多分ギルやリッカ君では無理だ。ハンターたちも…どうか分からない〉
「は、はい!あなたが、レフ・ライノールの言う王なのですか?」
「───知りえているはずだが、問われるならば答えよう。私はお前たちの目指す到達点。七十二柱の魔神を従え、玉座より人類を滅ぼさんとするもの。グランドキャスター、魔術王ソロモン。それが私だ。」
さっきの反応が嘘のように、落ち着いた話し方。
「貴方もサーヴァント…英霊なんですか?一度亡くなり、英霊として人理の焼却を始めたと?」
「違う。私は確かに英霊ではあるが、人間に召喚される事はない。私は死後、自らの力で蘇り、英霊に昇華したのだ。英霊でありながら生者である。それが私だ。」
自らの、力で…ていうか、ジュリィさんの問いにも同じ感じで話してたね。それにしても、英霊でありながら生者って…ルーパスちゃんたちと同じ…ううん、多分違うかな。それ自体は同じでも、その本質は多分…違う。
「聞きましょう。貴方が使役したといわれる七十二柱の魔神。貴方自身からも同じ気配がする。術式で構成され、主人がいなくては動くことのできない使い魔。それは、なぜ?」
そのミラちゃんの問いかけに、ソロモンの動きが止まる。
「…?」
「……対応可能な御柱、不在。対話、不要と判断する。」
「…はい?」
「邪視による監獄等への幽閉───」
「…っ!」
不意に、何かが侵蝕する気配。弾いた、気もするけど。
「貴様───」
「内部に在る魂、及び表層に現れし魂との対話を試みる」
その言葉が放たれた直後、バキンッ、っていう何かが砕けるような音がした。
「っ───」
「失敗───否。再度干渉を試みる」
「何、だと?」
今度は、音も何もしなかった。けど───
「「───」」
「無銘…?ミルド…?しっかりせよ!!」
「アル!!ミラちゃん!!」
ミラちゃんとアルの動きが停止していた。
『あの野郎共…!!』
不意に。そんな、少年みたいな声が聞こえた気がした。
『最悪だ…!いや、ボク自身に嫌気がさす!!これじゃあ英雄王の事なんて笑っていられるか!!慢心した結果、彼女たちが連れていかれるなんて…!』
どこから声がしているのかは分からない。けれど、それは念話に他ならない。
『どうか負けないで───あ、れ…?』
その声が、一瞬疑問を帯びたものに変わる。
『無銘の、右眼に…何か……』
アルの…右眼…?
『───!!!そういう、ことか!!すべて、分かった───!!!』
その言葉を最後に、声は聞こえなくなった。
Stella rebooting sequence...91%
ロンドン修正後に召喚するサーヴァントは?
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魔術師、弓兵、暗殺者
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魔術師、魔術師、魔術師
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剣士、弓兵、狂戦士