狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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裁「…」

何?

裁「マスターって…クラスとかあるの?」

……知ってるでしょ?

裁「……そう、だったね」


第211話 覚醒の時

「ミラちゃん!アル!しっかりして!!」

 

「我の声が聞こえるか、ミルド!無銘!聞こえているならば返事をせよ!!」

 

動かなくなった二人をどうにかできないか、私とギルでできる限りの手を尽くす。その間にも、対象を焼くという魔神達の凝視は無数に私達に襲いかかる。

 

「………!」

 

それらはすべて、マシュが受けきってくれている。高度な治癒術式が使えるミラちゃんが動けず、私とギルもミラちゃんとアルにかかりきりな中で。ハンターのみんなの支援を受けて、総ての凝視を受けきってくれている。

 

「有象無象め……!我が守護すると誓った財に一体何をした!!」

 

ギルがソロモンに向けて声を荒げる。……返事はない。

 

「定期メンテナンスチェック、開始します」

 

ふと、アルからそんな声がした。

 

「魂保護機構───粉砕。第一人格魂反応───反応無し。……再確認。第一人格魂反応───反応無し。緊急事態発生。第一人格“無銘”の魂の不在を確認しました。繰り返します、第一人格“無銘”の魂の不在を確認しました。」

 

魂の……不在?

 

「緊急事態につき、第二人格から第七人格の強制起動プログラムを実行します。」

 

そんな言葉と共に、アルの身体が独りでに浮き上がる。

 

〈……!?おい、ギル!ミラから離れろ!〉

 

「何だと!?」

 

〈いいから離れろ、ミラの魔力の質が変わった!この質───黒龍ミラボレアスの比じゃねぇ!!〉

 

「何…!?」

 

〈その場所は危険だ───って、なんだこりゃぁ!?〉

 

お兄ちゃんが驚愕の声をあげた。

 

〈失礼するよ、リッカちゃん!そこにいるのは本当に無銘ちゃんかい!?〉

 

「え…うん」

 

〈じゃあ…なんだ、これ……!?その場に突如として()()()()!!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!〉

 

アルに…上書き、するように……?

 

〈とりあえずギル、嫌な予感がするからリッカ達を護ってくれねぇか!その場にいてもいいが、何が起こるか分からねぇってことは覚えておけ!〉

 

お兄ちゃんがそう言った直後───ミラちゃんを、紅い光が包んだ。

 

「───この気配」

 

ルーパスちゃんがミラちゃんの方を見て表情を強張らせていた。次第にその紅い光が形を変え、龍の形を作り出す───

 

 

{戦闘BGM:心火の紅炎}

 

 

「───ギャフィァァァ!!!」

 

 

〈〈「「あれって───憤怒の神罰“ミララース”!?」」〉〉

 

ルーパスちゃん、リューネちゃん、ルーナさん、蒼空さんが同時に同じ言葉を発した。

 

「ルーパスちゃん、ミララースって何!?」

 

「ミララース───紅龍ミラバルカン特殊個体!黒龍ミラボレアスが怒った紅龍ミラバルカンがさらに怒って覚醒を遂げた“憤怒の神罰”と呼ばれる禁忌とされるモンスターが一角!なんで、今ここに……!?」

 

「ミララース。古文書によれば…この赤き伝説が永い眠りより目覚めし時、運命は解き放たれ、世界に真なる終焉が到来するといいます…!」

 

真なる終焉が……?それより、あの龍が現れた直後、環境が変化した。溶岩が垂れ流されているような、火山のような…そんな場所。

 

「起動プログラム、正常終了───人格を第一人格から第三人格へと切り替え、再起動します。」

 

そんな声がしたと思うと、アルが空中から静かに降りてきた。───直感する。あれは、アルの姿であってもアルじゃない。虹架さんとも違う、別の誰か。だけど───何故だろう。警戒心は浮かばない。

 

『我等が王の宿()()に狼藉を働いた不届き者めが……!王の意向により今は殺さぬとしよう!だが───我等が総意として、貴様にこの場での判決を言い渡す!我が心火の紅炎に焼かれるがいい、不届き者!』

 

宿()()……?

 

「待ってください。貴方だけにやらせません。」

 

『………』

 

「私達からも少し、報復…ってわけでもないでしょうけれど。大切なものを傷つけられたのは私達も貴方達も同じでしょう?」

 

『……我等が王の意向により我が戦いに参ずることを認める。好きにやるがいい。』

 

「ありがとうございます、ミララースさん。…さて」

 

アルの姿をした誰かがソロモンを見つめると同時に、彼女から冷ややかな気配がした。気を抜くと不意に刺されるような、そんな感覚。

 

「よくもやってくれたね。私達の大事な娘に手を出すなんて。私達がかけておいた保護術式“星の娘の護り”も砕くとか、どれだけ執着心が強いんだか。確かに凍結されて眠っていたとはいえ、外から観測はできたし何も起こらなければこのまま手を出すつもりはなかった。…だけど、気が変わった」

 

「……!」

 

ソロモンが手を上げると同時に現れる───総勢72の魔神柱。

 

〈な───!〉

 

〈総力戦、ってとこか……!?〉

 

〈いや、その前に───あのソロモン、無銘ちゃん相手にここまでやるのか!?〉

 

〈いや───既にあいつらは本来のサーヴァントの枠から外れてる。ギルが話した冠位、それと同等───もしくはそれ以上か……!!〉

 

〈“果てから見つめる天文台(アニマ・フィニス・カルデアス)”───間に合いました!…って、変わらないわね!?〉

 

マリーの固有結界が起動した。それによって私の令呪が増える。…けれど、その風景は変わらない。

 

〈恐らく原因はあの龍の固有結界なんだろうな。優先度があの龍より低いせいで、マリーの固有結界が掻き消されているような状態だ…多分〉

 

「溶岩島が固有結界かぁ…」

 

ルーパスちゃんがそう呟いた。令呪は…6画。マリーの固有結界は今所持している令呪の画数に関わらず3画追加する。だから───

 

「ミラちゃん!アル!令呪3画ずつ、2人に!」

 

私の手から6画総てが消え失せる。その声に、アルの姿をした彼女とミララースが一度私の方を見る。

 

『……ふん。あれが、我等が宿主のマスターか。…良い顔をしている。我等が王、そして我等が宿主が気に入るわけだ。』

 

「…彼女なら、私達の娘も任せられるかな。」

 

『任せられぬようならば我等が王に既に焼かれていよう。』

 

え…?

 

「───歪め」

 

ミシッ、っていう音が聞こえた気がした。

 

「歪め───歪め!」

 

〈なんだこれ……!?()()()()()()()()!?〉

 

「───歪めぇぇぇぇぇ!!」

 

彼女の声に呼応して目に見えて歪む空間。それはソロモンの周囲にいる魔神柱を空間の歪みに捕らえ、引きちぎる。

 

〈うわわわわっ!?グロいグロい!!〉

 

〈それどころじゃねぇぞ───まだ力を隠してやがる!〉

 

彼女が指を鳴らすと、彼女の背後に16本の剣が現れた。魔力も何も感じなかったのに。

 

「投影───いや、違うな。あれは───()()か!!」

 

ギルがそう言った直後、剣が射出される。射出されたそばからまた新しい剣が現れ、また射出される。こっちからは表情は見えないけど、魔神達の悲鳴に何も感じていないのか淡々と剣を放つ。

 

「───煩い」

 

そう小さく呟き、指を鳴らしたかと思うと、魔神達の悲鳴が消えた。

 

「ミュートさせてもらった。悲鳴の連続はマスター達の耳にも悪い。───自分の悲鳴の反響で滅びろ、魔神」

 

そう言って指を鳴らすと、ミララースが翼を折り畳んだ。途端、周囲が橙色に変わる。そこから翼をはためかせ、空間がさらに歪んでいるようにも見える。彼女は何も感じていないようだが、魔神達は悲鳴を上げている───ように見える。

 

「“大熱波”…!」

 

「───エンハンス・アーマメント!」

 

武装完全支配術の強化式句。歪んでいるように見えるほどの熱量の中にさらに大きな火柱が上がる。

 

「ぜぇっ、ぜぇ……ってあっづ!?何ですかこの熱量!?」

 

背後から声がしてそちらを向くと、玉藻さんが汗をかいてそこにいた。

 

「何故ここに貴様がいる、狐!」

 

「私だって来たくなかったですー!ですが、私の宝具が突如としてこちらに飛んでいってしまったんですー!」

 

「何…?」

 

「───出雲に神在り。審美確かに、(たま)に息吹を、山河水天(さんがすいてん)天照(あまてらす)。是自在にして禊ぎの証、名を玉藻鎮石(たまものしずいし)神宝宇迦之鏡(しんぽううかのかがみ)───」

 

「───は?」

 

「真は太陽を呼び戻せし神器の一角。我が神名“天照大御神”において───第四人格第五宝具、具現。“八咫鏡”」

 

その声が聞こえた直後、周囲の風景が一変した。なんというか───洞窟、というか…祭事場、というか。

 

「───天岩戸」

 

「玉藻さん?」

 

「なん、で───あるんですか!?つーか、あの、剣───」

 

剣?と思って見てみると、確かに彼女の手には剣が握られていた。

 

「真名解放───“八咫鏡(やたのかがみ)”、“八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)”、“天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)”。」

 

その名前は───三種の神器

 

「さて───どこまで耐えられる?私の娘を犯した貴方達に、日本三神の神器を。…まぁ、耐えられなくともどうでもいい。所詮貴方達は端末だ。後悔しながら死に絶えなさい───“三種の神器(みぐさのじんぎ)”」

 

鏡が道を創り、勾玉が巨大な弓となり、剣が矢となる───人では引けないように見えるその弓は、確かに彼女の手によって引かれ、ソロモン達に向かって放出された。

 

『やれやれ───』

 

そしてその矢は、洞窟を割り、火山を割り───マリーの基礎結界と荒地の心情すらも引き裂いて。その場に、花畑が顕現した。

 

『分かったか、魔神共。お前達は怒らせてはいけないものを怒らせた。“子を護る母”というこの世で一番強く、一番恐ろしいものを怒らせたんだ。…まぁ、聞こえていないだろうけどな。』

 

そこに魔神柱はもういなくて。残っていたのは、ソロモンと名乗った者だけだった。

 

「まだ残ってたんだ。まぁ、いっか。これに懲りたら、私の娘に手を出そうとなんてしないことね。」

 

「───」

 

「でも…そうね。もしも、次同じことをしようとしたら───」

 

彼女はソロモンに剣を向けた。

 

「運命とか、規定事項とか関係ない。私達は私達の全力をもってお前達をこの世界から抹消(デリート)する。覚悟しなさい。」

 

「───その、霊基では…我等には」

 

「勝てないって?…何を勘違いしてるんだか。娘はともかく、私達は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。貴方が私達に勝てる要因なんてない。まぁ、リミッターが自動的にかかるからなんとも言えないけどさ。」

 

溜め息をついて剣を消した。

 

「精々待ってなよ、偽りの冠位。マスターは必ず7つの聖杯を回収して貴方達のもとに赴くでしょう。怯えながら待ってるといいよ。」

 

そう言ったと同時に空間が歪み、ソロモンと名乗った存在はその場から消えた。こちらを向いたアルの眼は、右眼だけが赤く染まり───“二”の文字が眼に刻まれていた。




眼に文字が刻まれるっていうのはREBORN!の六道眼みたいなものと思ってください。

裁「餓鬼道……?」

うん、それ思いっきり骸さんの六道眼なんだよね。別物だからね?ちょっと調べたらなんでか同じカラーリングのオッドアイだけど!(無銘も現時点から右が赤、左が青のオッドアイですが完全に偶然です)

ロンドン修正後に召喚するサーヴァントは?

  • 魔術師、弓兵、暗殺者
  • 魔術師、魔術師、魔術師
  • 剣士、弓兵、狂戦士
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