狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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……

裁「どうしたの?」

召喚の方に大量に行ったから…うん。璃々に今色々頼んでおいた。

裁「……あぁ」


第217話 召喚大渋滞

「…っつーわけで。無銘の中にいる人格の協力で並行世界、及び異世界の観測が安定した。ハンター達の世界は何故か安定しないらしいんだが…とりあえず、原因の特定は急いでる。…んで。そのこことは別の世界からの召喚で、その第一例が───」

 

「私、というわけです。いやぁ、変な魔法陣みたいなのが現れたと思ったら、見たことのない場所にいて驚きましたよ。」

 

管制室。お兄ちゃんと殺せんせーが細かい事情を説明してくれた。

 

「…そっか。もしかして昨日のあれって…」

 

「……暗殺者だと思い、逃げた先が…その。」

 

「あれってなんだ?」

 

お兄ちゃんの問いに“何でもない”と答え、ギルの方を向く。

 

「ギル、大浴場なんだけど…女湯、男湯、混浴、露天、個室、多目…全種類もう1つずつ増やすことってできるかな?」

 

「うむ…我もそれを考えていた。こことは別の世界───英霊の座とは別の場所からも招かれるとなれば、大浴場の増築もいずれ必要であろうよ。やれやれ、良い職場環境を作るのはこんなにも大変か。…まぁ、我が守護すべき財共のためだ、散財や手間は惜しまんがな。」

 

「…無理はしないでよ?」

 

「分かっている。過労で倒れるなど我も嫌だからな。…まぁ、特異点における戦闘はルーパス達のお陰でそれなりに休息はできているゆえ、カルデアでくらい働かせるがいい。」

 

そう言ってギルは私の頭に手を置いたあと、お兄ちゃんの方を見た。

 

「六花。そやつらのコードは決まっているのか?」

 

「ん…悪い、今考えてるんだ。コード形態が決まらない限り、このカルデアのスタッフ…もとい、協力者として登録することができない。当然、色々な端末や権限も使えねぇから…しばらくは部屋無しだな、殺せんせー。」

 

「にゅやっ!?部屋無し…というと、まさか野宿ですか!?」

 

「んなわけあるか。ひとまず俺の部屋を貸してやるよ。俺も使うからルームシェアだな。男二人だしちょっと暑苦しかったりするかもだが…ま、早めに部屋を使えるような設定はするから少しの間耐えてくれ。」

 

「……仕方ありませんね。」

 

殺せんせーがため息をつく。…そういえば

 

「お兄ちゃん、地図渡した方がいいんじゃない?」

 

「地図…ですか?」

 

「…んぁ、そうだな。カルデアもだが、俺の部屋とリッカの部屋はちょっとした迷宮っぽくなってる。慣れてねぇと動き回るのが大変だし、後で地図渡してやるよ。」

 

「部屋が迷宮って…ギリシャ神話のミノタウロスですか?」

 

「…おれ、が…どうか、した、か?」

 

背後から声。振り向くと、そこにアステリオスさんがいた。

 

「おう、アステリオス。どうだった、調整された斧剣の様子は。」

 

「…まだ、だめ…だ。あいつらに、とどか…ない。」

 

「マジか~…どうしろってんだ?使えそうな手は打ったんだがなぁ…」

 

アステリオスさんの言う“あいつら”っていうのはさっき私も苦戦してた下位の大型モンスター達のこと。お兄ちゃん達が色々な手を打ってサーヴァントの皆の攻撃がモンスター達に少しでも通るようにしてる、らしいんだけど…それでもまだまだ届かないみたい。

 

「……リッカさん、彼は?」

 

『アステリオスさん…ギリシャ神話のミノタウロスさん本人。ミノタウロスって呼ばれるのは好きじゃないみたいなのでアステリオスって呼んであげてくれますか。』

 

「……マジですか。六花さんやギルガメッシュさんから聞いてましたが…いやはや、こうして実際に目にすると本当に驚きますね…歴史上や神話上の存在を召喚・使役する…ですか。」

 

殺せんせーが乾いた笑い声を出す。…っていうか、変に近くで声が聞こえると思ったら触手が私の耳元に……

 

「……ん?六花さん、1つよいですか?」

 

「あ?」

 

「色々な端末や権限が使えない、とおっしゃいましたが…具体的には何が使えませんか?」

 

「シミュレーション利用、浴場利用、食堂利用、情報利用、転移利用…この辺か?」

 

「しょ、食堂…」

 

「気にすんな、俺が作ってやる。俺が不満ならリッカに作ってもらえ。」

 

「私!?私お兄ちゃんよりも料理上手じゃないよ!?」

 

「俺がやると変な状態のときに殺せんせーにポイズンクッキング盛りそうだからよ…」

 

そういえばそんな感じのも作れるんだっけ、お兄ちゃん…というか、変な状態だって分かってるなら休んでよ…

 

「ま、誰に頼むかは殺せんせーに任せるわ。…マリーとマシュも最近料理始めたことだしな。」

 

「…分かりました。どのみちしばらくは帰れないですし、少しの間の辛抱だと考えましょう。」

 

話を聞いてみると、未登録だとカルデアと別世界の自由な行き来ができないみたい。アルの人格の一人である星海さんっていう人の力を使って数多の別世界と接続してるから、ビーコンみたいな発信器がないと個人を特定してゲートを開くのが大変みたいで。幸い、アルの人格の一人である陽詩さんっていう人の力で世界、肉体共に時間を停止させることもできるから殺せんせーでも永遠レベルでここにいることができるんじゃないかって。…うん、ちょっと待って?アルってもしかしてルーパスちゃん達以上に規格外?

 

「さて、話は大体まとまったし…英霊召喚の続きといくか。」

 

その言葉で管制室に来た目的を思い出す。…童子切背負ってたのになんで忘れてるのか、って言う話でもあるけど。

 

「英霊召喚…興味深いですねぇ。見学しても?」

 

「別に構わんが…アドミス」

 

〈システムは良好ですよ。ただ…少し不安ですね。なんというか…AIの勘?なのかは分かりませんが。〉

 

「ふむ…何か異常起こったらすぐに言えよ。」

 

〈ありがとうございます、お父さん。〉

 

「お父さんっていうのはやめろや…知ってるやつならいいが初対面とかの前じゃやめろ……」

 

〈あ、はい…それではリッカさん、呼符をお願いします。〉

 

アドミスさんの言葉に頷き、呼符を召喚サークルに置く。

 

〈サークル展開、サモンプロセス起動───オールクリア、霊基検索開始───っ!?〉

 

「アドミスさん?」

「アドミス?」

 

〈なんです、これ───処理が、追い付かない……!!霊基顕現反応───5!?うそ、まって、低出力の私一人じゃ───きゃぁぁぁぁ!!!〉

 

アドミスさんの悲鳴と共に召喚サークルに英霊が召喚される───

 

「アドミス、しっかりしろ!応答できるか!」

 

〈──ザザ─応答、可能、です───電子的、な、雷撃───高負荷による、負傷確認───負傷率、78%と推測───ごめん、なさ、い───今日は、これ以上は───〉

 

「分かったからシステムを離れろ!マスター権限で第二刻針に移行させる!」

 

〈ありがとう、ございます───〉

 

お兄ちゃんがコンソールを叩くとすぐにアドミスさんの姿が現れる。結構大きめの火傷してる…お兄ちゃんの指示で殺せんせーがアドミスさんを抱えてどこかに連れていった。恐らく医務室だけど…

 

「……ええと。何か、私がしてしまったようですが……大丈夫ですか?」

 

その声に振り向くと、5人、召喚サークルの前にいた。

 

「……お母さん」

 

「えぇ、あなたの母です、リッカさん。」

 

「オレっちもいるんだが…まぁいいや。頭領、とりあえず謝った方がいいと思うぜ…」

 

「……そう、ですね。申し訳ありません。」

 

「…謝るならアドミスに言え。回復したらでもいいからよ。」

 

お兄ちゃんはお母さんの方を見ずにそう告げた。…間違いない。あの人はお母さんだ。ロンドンにいた人とは違うけど、間違いなく。…そう、直感が告げている。

 

「ふん…座の本体そのものに娘───マスターめのことを刻んだか。」

 

「えぇ、はい。娘を護るためならば、それくらい些細なことですから。」

 

「些細なこと…なの?」

 

「普通はそうではなかろうが…こやつの愛にとっては些細なことだったのだろうよ。」

 

愛……あ、そうだ

 

「これ…」

 

私は帯刀していた三振りの刀をお母さんに渡そうとする───と、手で制止された。

 

「いいのです、それらは貴女の護り刀。貴女が持っていてくだされば、母も喜びます。」

 

「……いいの?」

 

「えぇ、一度抜けば私と同じように戦えましょう。貴女の障害となる総てを討ち滅ぼしましょう。私と同じように雷すらも操れるでしょう。私の想いは、貴女の障害となるものを屠殺するでしょう。」

 

「……」

 

お母さんと同じように。…確かに、ドスバギィと戦ってたときもいつもの私より動けてた。あれは…そういうことだったのか。

 

「ですが…ごめんなさい、リッカさん。」

 

「はぇ…?」

 

「本来ならば、このような血塗れたものではなく。細やかなものを差し上げたかった。武力ではなく、料理や裁縫、洗濯…そういった、女性なりに家を護る術を。ですが、私は…そのような人生を送らなかったものですから。至らない私で───っ」

 

その続きを私はお母さんの口に人差し指を立てる形で制止した。

 

「───ありがとう、お母さん…私に、愛は分からないけれど…お母さんが優しいっていうことははっきりと分かる」

 

「……」

 

「私のお母さんになってくれて、ありがとう。」

 

「───あぁ…私は、幸せ者です。死してなお、このような娘に恵まれるとは───」

 

「ちょっ、頭領!?消えかかって───」

 

「───ハァァァァ!!!」

 

「なわぁっ!?」

 

突然、お母さんが叫んだかと思うと、黄金の刃が顕現した。

 

「金剛杵…帝釈天、インドラの刃だな。」

 

「リッカ。剣があるのならば、槍も。これの使い方はですね──」

 

「お待ちください、頼光様。それは流石にまずいでしょう。人間に扱えるものではありません。」

 

「止めないでください、綱!母と娘の絆に不可能などありません!」

 

「いや無理があるっての!!碓氷さんや卜部さんも頭領のこと止めてくれやしませんかねぇ!?」

 

綱…碓氷…卜部……この人達、まさか───“頼光四天王”!?

 

「やれやれ…無銘、いるか。」

 

「はい」

 

いつの間にかアルが管制室にいた。

 

「少しの間でいい、この頼光めに頭を冷やさせよ。…どのみち、召喚は少しの間出来なさそうであるしな…」

 

「分かりました…月さん、お願いします」

 

そういうと同時にアルの右眼の文字が“一”から“三”に変わった。

 

「……隔離すればいいんでしたっけ」

 

「うむ、頼んだぞ」

 

アル…じゃないんだと思うけど、アルが手をお母さんに向けると、お母さんの周囲が歪んで───黒い穴みたいなものが出来た。お母さん達はその穴に吸い込まれていったけど…大丈夫、なのかな。

 

「やれやれ…とんだ召喚になったものだ。む、そうだ、マスター。」

 

「…?」

 

「刀を貸せ。あやつが人理修復後もいられるようにしてやる。」

 

「あ、うん…ありが…と……」

 

不意に。召喚の気配を感じた。

 

「む?」

 

独りでにサークルは回り、それは顕現した。

 

「…召喚されたか。…ふむ、召喚されたからには世話になるぞ、マスター。我が名は“李書文”。槍も持たんただの老人だが…まぁ、ぬしの護衛くらいは出来るだろうて。」

 

「“グレゴリー・ラスプーチン”…の、疑似サーヴァントだ。何故私が召喚されるのかは分からんがね。」

 

李書文───八極拳の門派・李氏八極拳の創始者。

グレゴリー・ラスプーチン───帝政ロシア末期の祈祷僧。

 

何故か知らないけど、その2人が顕現した。




そういえば、本文の文字数が4444字みたいで…特に意識してなかったんですけどね。

弓「…ところで、医務室にAIを連れていって何か出来るのか?」

んと…一応。この作品での設定だけどね。
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