狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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えぇ……

裁「どうしたの?」

これ……

裁「……あぁ」


第219話 秘匿召喚

そうして、今日の召喚は終わった───

 

「召喚は終わった───と思っていたのか?」

 

───え?

 

「ふ───割増しよ!召喚サークルを起動するぞ、マスター!」

 

えぇぇぇ!?

 

「そんな、突然……どうしたの?」

 

「…いやなに、今回の召喚を経ても未だカルデアに足りぬ者がいるからな。此度はそれを喚びたいのだが…まぁ、出るまで引くのは味気ない。5、6騎くらいでよかろう。」

 

「…なら、私も1騎…ううん、2騎。いいかな」

 

ミラちゃんがそう言った。珍しい、というか。

 

「ふーむ…まぁ、よかろう。よし、回すぞ」

 

ギルが指を鳴らすと、サークルが展開して回り始める。

 

「さて、我が望む者は出るか?」

 

どう、なんだろう…触媒もなさそうだし…触媒あっても出るかどうかは分からないし……そう思ったら英霊が現れる気配があった。

 

「……で、なんで俺が喚ばれるんだ。俺なんて必要ないだろう?」

 

「よし、来たな童話作家。何、我は貴様の人格はともかくその腕と観察眼は信用しているゆえな。我等が叙事詩を書き上げよ、“ハンス・クリスチャン・アンデルセン”。」

 

「はぁ…仕事か。というか俺以外も作家はいるだろうが。何故俺を選んだ?」

 

「シェイクスピアでは面倒そうであったからな。それに、貴様も欲を言うなら気の知れた者に挿絵などは頼みたいであろう?」

 

「…欲を言えば、だがな。やれやれ、その話をするということは俺を喚んだのもそういう理由か…まぁ、気が向いたら書いてやる。」

 

そう言ってアンデルセンさんは管制室を去っていった。

 

「さて、次だ!」

 

「失礼します…ギル」

 

「…む?」

 

管制室にマリーが来た。

 

「マシュの寿命の方、50年まで回復しました。短期間でここまで回復するのは、やはり…」

 

「ふむ。星乃めの力、か。命の管理者…その名は伊達ではないか。敵に回れば恐ろしいことこの上ないがな。」

 

「…不死でも殺す“命”を管理する力。本当に恐ろしい、ですね。」

 

「“バロールの魔眼”……それとは似て非なる物。そう言っておったな、星乃。」

 

「…そうだよ。“直死の魔眼”と似て非なる物。不死であろうが生物ではなかろうが、既に死んでいようが関係ない。私が見るだけで生かすか殺すかを決定できる“絶技”。それが、“あらゆる生命を司る瞳”だよ。…まぁ、あまり使わないけどね。」

 

そう言ったのはアル…じゃないみたいだけど。眼の文字は“五”。ていうか…星乃?

 

「また会ったでしょ?リッカさん。」

 

「…あっ!あのときの…」

 

「改めて、“魂込 星乃”。さっき言った通り命を管理する者。ま、あまり命を管理する力は振るわないから失礼とか気にしないで接してほしいな。」

 

そう言われても怖いけど…

 

「ははははは!」

 

「む」

 

「顕現したぞ───私だ!ニコラ・テスラだ!」

 

ロンドン空中で私達と戦ったサーヴァント。ニコラ・テスラさんが顕現した………みたいなんだけど。

 

「……誰だお前は」

 

「だから!ニコラ・テスラである!」

 

「「「「……??」」」」

 

「何故首をかしげる!?」

 

いや、だって…どう見ても女性っぽい気が…

 

「……なんかやったのかなぁ」

 

アル…じゃなくて星乃さんが遠い目で呟いた。

 

「まぁいいや、一応その人はテスラさんで間違いないよ。」

 

「おぉ!少女は分かってくれるか!」

 

「まぁ、一応は…」

 

「…?まぁいい、では失礼しよう!」

 

そう言ってテスラさんは出ていった。

 

「……#コンパスの姿で出るってどういうこと……」

 

「コンパス?」

 

「なんでもない、こっちの話。」

 

……?よく分からなかったけど…

 

「…ふむ。オルガマリー」

 

「はい…?」

 

「主に貴様の助けとなるサーヴァントを喚ぶぞ。」

 

「私の…ですか?それでしたら、ジュリィさんに───」

 

「既にジュリィから了承は得ている。あとは貴様がどうするかだ。」

 

「私が……」

 

そう呟いてマリーが私を見た。

 

「いい、かしら…?」

 

「いいと思うよ…?」

 

「…分かったわ。その話、受けましょう。」

 

「よし。ならば…聖杯だな。貴様の聖杯を用い、呼符にキーワードを刻め。」

 

「…はい」

 

「キーワードは…そうだな。“新茶”、“魔弾の射手”、“蜘蛛”、“悪のカリスマ”…この辺りか」

 

「蜘蛛……」

 

あ、星乃さんが嫌そうな顔をした。

 

「なんだ、蜘蛛は嫌いか?」

 

「…蜘蛛、というか虫全般がダメ」

 

そう言っているうちにそれは現れる。

 

「やれやれ、私を召喚するとはまた奇特なマスターもいたものダネ。ちょっと真名は伏せさせて貰うケド。ウーン……ま!アーチャーとでも呼んでよ、ネ!」

 

マホロアさんみたいな話し方の人来た…

 

「オルガマリー、貴様はこやつから“悪”を学べ。」

 

「悪…ですか?」

 

「…時に、貴様はこのカルデアを善と見るか?悪と見るか?」

 

「善です。経歴はともかく、今現時点では。」

 

「即答か。…だが、善はかなり脆い。1つの悪で壊されかねん。それは、理解しているか?」

 

「……はい。」

 

「悪を学び、カルデアを護る力とせよ。…やれるか?」

 

「……はいっ!」

 

「あ、そだ。えーと…マリーさん、だっけ?ちょっとこっちに」

 

星乃さんがマリーを呼んだ。

 

「なんでしょう?」

 

「左手。」

 

「え?」

 

「左手。出して。」

 

その言葉にマリーが左手を出す。そこに何か術をかけていた───

 

「……!?」

 

突然浮かび上がる赤い紋様。杯、蝶、望遠鏡、星、鍵、龍の頭───そしてあれは……花?それらを組み合わせたような紋様が、マリーの左手に刻まれていた。

 

「これは───」

 

「ん?令呪。」

 

「え───」

 

「サーヴァントに対して使うこともできるけど…まぁ、とりあえず象徴として…ね?」

 

「象徴…ですか。」

 

「これはいったい、何をモチーフにしているのだ?」

 

ギルが星乃さんに聞くと、星乃さんはその場で手を振ってホロウインドウを呼び出した。ホロウインドウに描かれていたのは、杯、蝶、望遠鏡、星、鍵、龍の頭、花。

 

「これ、分解するとこうなるのね。杯は聖杯、蝶はアーチャー、望遠鏡は天文台。」

 

「アーチャーって…私かい?」

 

「ん。星はそのまま星、鍵は英雄王。龍の頭は狩人達と召喚術師を表し、花はマリーさんを表してるよ。」

 

そ、そうなんだ…

 

「雑な解説でごめんね。マスター適性に関しては大丈夫、私達で肩代わりしてるから。」

 

「そんなことが可能なのですか!?」

 

「うん。」

 

そんな、あっさり…

 

「ただそれだけ。無銘の中でまだ眠っている人格が私に預けてたマリーさん宛のものだから、お礼なら私じゃなくて最後の人格に言ってね。」

 

「は、はい…」

 

「よーし、それじゃ早速始めようか!心配ないさ、一流の悪ノ娘に仕立て上げて見せるからサ!」

 

「よ、よろしくお願いいたします…あと、悪ノ娘はボーカロイド楽曲です…」

 

「アラ?」

 

そう話しながらマリーとアーチャーさんは管制室を去っていった。

 

「…さて、次だ。…出ればいいが。」

 

「…誰を求めているのかは知らないけど…」

 

「む…そうだな。それは───」

 

召喚サークルが光を放つ。強い光を放っていく───

 

「待たせたわね!」

 

「───む」

 

「小さな縁を辿ってやっと見つけたわ!今こそ告げましょう、私こそ天の───」

 

「我が求めるは貴様ではないわ、戯け!疾くこの場より去れ、強制送還(クーリングオフ)!!」

 

「はぁぁぁぁ!?」

 

「え、えぇ…?」

 

ギルの大声で形を成し始めていたそれが消え去った。

 

「……今のは無かったことにする。断じて邪神など誰も見ておらん。いいな?」

 

その気迫に全員で頷く。

 

「…ふん。気を取り直して回すか。」

 

「……原初を語る───」

 

「ぬ?」

 

アル…じゃない。“二”は…誰だっけ?

 

「世界の理は預言書の主が生成し、理のもと元素は乱れ結合し、森羅万象あらゆる現象を生む。それは始まりの地獄たるもの。始まりに現れた理そのもの。星は天を巡り惑星(ほし)を作り、太陽は地が回ることで時を告げ、月は地の回りを回ることで水を引く───応えよ、その神秘。」

 

「───ふははははは!我を呼べるとはまた、面白い召喚式だ!」

 

聞いたことのあるような言葉遣い。というか───

 

「───ギル!?」

 

「そこの金色!我に貴様と争うつもりはない!しかし、我がそこに居ることは許せ!」

 

「何?」

 

「ふ───我とは違う我とは言え!ここまで丸くなるとはな!そこな娘よ、今こそ名乗ろう!我こそが最強の英霊!ウルクを治めた人類最古の王───」

 

強い光と共にその人は顕現した。

 

「第三位・アーチャー!“ギルガメッシュ”である!!」

 

「ふ───ふははははは!よもや、この我を呼び出そうとは!面白きマスターもいたものだ!」

 

「……???」

 

ちょっとよく分からないけど…ギル、みたい。

 

「…ふむ。しかしこのままでは混乱するだろう。我は先にここから去っておくぞ、我。」

 

召喚されたギルはさっさと管制室を出ていった。

 

「くっくっく……愉快なものを見た。さて。あとは貴様が回せ、ミルド。あの我が出たことで我は満足よ。」

 

「……分かった」

 

ミラちゃんが召喚サークルの上に立つ。

 

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。此処に在るは人理を望み、護りを(てき)とするアニムスフィアの天文台。」

 

それは…たしか、召喚の呪文。

 

「降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」

 

召喚サークルが輝き始める。

 

「――――告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。」

 

そこで、一瞬言いよどむ。

 

「…されど、汝は我が声に応え我が呪いを受け入れ侍るもの。汝、我が願いに誓いを重ねる者。我は人に害を成しかねぬ古の龍たる者───」

 

詠唱が───違う。

 

「汝三大の言霊を纏う七天。抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

サークルが輝き、そこにサーヴァントの姿が現れる。

 

───あぁ、やっと。やっと、来られました。

 

…遅くなって、ごめん。

 

いいのです、ミル姉様。

 

その人は、私の方を振り向いた。

 

“エスティナ・スティア・シュレイド”、ここに。微力ですが力になりましょう。よろしくお願いいたします。

 

よろしくお願いします、エスナさん

 

私の言葉に頷いたあと、エスナさんは管制室を去っていった。

 

「…さて、あと一騎か。」

 

「…」

 

ミラちゃんが召喚陣の前で座り込んでいる…?

 

「……顕現せよ」

 

一言。たった一言だけで───そこに、突如としてサーヴァントが召喚された。黒髪の、両眼緑眼の少女。

 

……ここ、は?

 

「「───!!」」

 

その少女の声に、ギルと一緒に息を飲む。その声は紛れもなく───

 

…貴女の、名前は?

 

私の名前…?…“ミルティ・スティア・シュレイド”…

 

確定した。彼女は───ミラちゃんの、過去だ。




正殺(真名:星乃)「お母さ~ん!」

ん~?どしたの、星乃

星乃「なんかあっち、テスラさんはテスラさんでも#コンパスのテスラさん出たんだけど…」

なんで……原因調べておくね

星乃「ん」
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