狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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UA43,000ありがとうございます

弓「結構長く続いておるな。」


第222話 現状把握、創り出された道

「……」

 

英雄王さんが来るまで、私はマスターの状態を調べていた。

 

「早く!こっちよ、王様、お兄様!」

 

「急かすな!常日頃から余裕を持てと───っ」

 

「なんだ───これ、邪気か?」

 

ナーサリーさんに連れられて英雄王さんと六花さんが顔を出す。それと同時に、部屋に充満する邪気に顔をしかめた。

 

「……この邪気…発生源は貴様か、無銘。」

 

「……」

 

頷く。正確には美雪さんの力を借りて発生させているものだけど。…私から放つ邪気を抑える。

 

「「───っ!?」」

 

その瞬間、周囲を包む濃厚な邪気。私のとは違う、別の。これは、マスターが放っているものだ。

 

「…分かった、分かった故邪気を戻せ。このままではナーサリーが辛かろう。」

 

そう言われて邪気を元の強さに戻す。邪気に邪気をぶつけて相殺する。それが、私のやっていること。ジャンヌ・オルタさんとマリーさんには月さんに邪気避けの結界を張ってもらったから大丈夫なはず。

 

「ジャンヌ・オルタ。貴様一体何を食わせた?メシマズ系ヒロインではないとは思っていたのだが…」

 

「ジャンヌは全くの無関係よ、王様!」

 

「…そうか。」

 

英雄王さんがマスターを見つめ、ついで私に視線を投げた。

 

「……状況はどうだ、星乃」

 

『……だめ。肉体から魂が抜けている状態だね。こうなったら今の私だとどうにもできない。私が管理するのは“命”であって“魂”じゃないから。寿命を管理するのが私の力みたいなものだし。』

 

「…そうか。」

 

「…擬似的な暴走状態か。なるほどな、邪気が出ててもおかしくねぇ。…つーか、これ…」

 

「邪視、だね。」

 

ドクターが遅れて顔を出す。……?ドクター?

 

「簡単に言えば視線で相手を呪う魔術さ。恐らくロンドンでかけられたのかな。」

 

「…ロマニ、ということは…」

 

「…グランドキャスターが…偽りのソロモンがやったもの、ってことか。」

 

グランドキャスターが偽りのソロモンであることは何日か前から英雄王さんからの話で全員に伝わっている。

 

『……ゲーティア』

 

『お母さん…』

 

『…特定できた。星海、ちょっと手伝って。』

 

『分かった、何をすればいいの?』

 

お母さん達も動いてる…私も、何かできればいいのだけど。

 

「…うわぁぁぁぁ、どうしよう!?いくらリッカちゃんでも魂だけなんて無茶だ!魂なんて本当に脆いものなのに!放っておくなんて正気の沙汰じゃない!くそっ、なんでソロモン王は指輪を1個以外そのままにしたんだ!せめて5個あればまだ状況は変わったかもしれないのに!!」

 

「落ち着きなさい!こういうとき、貴方や私が慌てるのが一番危ないわよ!ただでさえ貴方は今のカルデアにおいてNo.3の立場でしょう!?上の人間が慌てれば下の人間にも伝播するわ!ギルのようにどっしり構えておきなさい!」

 

「は、はい!」

 

「よろしい!…で、何よその格好…それにその声……」

 

あ、やっと突っ込んだ…なんで髪を下ろして女装してるんだろ…声もいつもより高いし、目線が低い気がするし、胸の辺り膨らみがあるような……って。軽く閲覧したらこれ女装とかじゃなくて…

 

「朝起きたら女性化してたんだよ…六花に頼んで女性用の服を持ってきてもらったけど……なんでボクのサイズあるのさ。身長の変化とか教えてないよね?」

 

「あ?んなもん連絡してきたときに俺がした質問で大体予測つく。まぁ、俺の試作魔術が問題かもしれんからなんとも言えんが…とりあえずしばらくしたら戻るだろ。服は伸縮性のある素材だから身長戻っても問題ないだろうしな。せっかくだから可愛くなるようなコーデとメイクにしたが…嫌か?」

 

「…どう反応していいか分かんないや。」

 

「……まぁ、いいとしましょう。」

 

六花さんって結構器用なんだなぁ…

 

「どうなのかしら…王様。治るのかしら?」

 

「…魂の尾は切れておらん。問題はあるまい。魂が飛ばされた場所は…」

 

『特定できています。…が、道を創るのにもう少々時間が必要です。』

 

「そうか。いやしかし、特定できているのは良いことよ。」

 

その言葉を聞きながら考える。

 

『……お母さん。私やミラさんみたいに、無理矢理引っ張りあげることって…』

 

『無理、かなぁ……魂の情報がどうなっているかとかの問題じゃなくて、肉体の内部から干渉するか外部から干渉するかの違いになっちゃうから…私達の場合は肉体の内部…つまりはかなり近い場所から干渉できたから壁を楽に突破できたけど…七虹とリッカさんの場合は肉体外部からの干渉になるから壁が厚いの。眠っている状態とかならまだしも、魂がない状態だと1度入ったら最後出られなくなる可能性が高いし…』

 

成り代わりが発生する…ということか。それはさすがに、不味い。

 

『キミにできることはないかもしれないね…まぁ、祈っておくことくらいはいいんじゃないか?一応、対処はできるみたいだし。…まぁ、マスターのこともきがかりだけど…ボクはこっちも気になる』

 

いつの間にか私の傍にいたフォウがそう呟いた。その視線の先は…

 

『…ドクター?ドクターがどうかしたの?』

 

『いや、ちょっとね。あの野郎が干渉してくるんじゃないかと思ってさ。悪いんだけどナナコ、ロマニ・アーキマンが女になっている間、その周辺で何か変な干渉の動きがないか見張っててくれない?マスターのことのついででいいから。ボクも見張るし。』

 

『え?あ、うん…』

 

フォウは私の事を“ナナコ”と呼ぶ。それは、私がお母さんからもらった名前を教えたからでもあるけど。

 

『ありがと。ごめんね、突然。』

 

「…娘は」

 

私の邪気の中に新しい邪気。その邪気を感じて即座に相殺邪気を放ち、警戒態勢を取る。

 

「娘は…リッカさんは無事なのですか?」

 

源頼光さん。その目に光はなく、暴走一歩手前といったような感じ。

 

「大切な娘を掠めとるだなんて…一体どうしてやりましょう。指を落とし、目を潰し、臓物を壊し、骨を砕き、血を抜いても収まるとは思いません…あぁ、そうだ。首を断ってカルデアの飾りにしませんか?敵の首級を取った証ですもの、きっと金時も喜んで───」

 

『───馬鹿ですか?』

 

「───はい?」

 

『ちょっ、月!?』

 

月さんの声と慌てるような陽詩さんの声。

 

『貴女の生きた時代ならともかく、ここは現代。普通の現代人が捕ったばかりの首が飾られている場所を好むと思います?』

 

「……」

 

『まぁ、彼女は受け入れそうですけどね。それでも、他の人が嫌そうにしていたら彼女も嫌がると思いますよ。』

 

「…そう、ですか…」

 

『…それと。無銘さんを引き戻しに行った私達が言えることじゃないですけど親というものは基本的に子供の帰りを待つものです。今は無銘さんやミラさんの時みたいなかなり危険な状態ではないですし、娘さんの帰りを待ってみては如何でしょう。』

 

「え…危険じゃ、ないのかい?」

 

『えぇ、観測できていますから。多少の干渉、妨害ならばこちらからも。ただ…レイシフトを含めた転移は少し難しいかもです。それがあるから今色々調整をしているのですけど…』

 

「……分かりました。帰りを待つのも親としての勤め…静かにリッカさんの帰りを待つとしましょう。」

 

そう言って頼光さんは邪気を納めた。

 

「そうとなれば…何をすれば良いのでしょう。」

 

「食卓の準備でもしておくがいい。マスターめが帰ってきた時、家族団欒の時でも設けるがいいであろうよ。」

 

「…はい。」

 

『……七虹、変わってもらえる?』

 

『え?はい。』

 

月さんに肉体の使用権を渡す。恐らく、眼の文字は三になっているはず。

 

「───さて。」

 

月さんに変わった直後、月さんの手元に金色のチケットのようなものが現れた。…創造?

 

「今しがた、リッカさんのいる場所への道が確立されました。」

 

「「「……!」」」

 

「この券はその場所へ通じる道を通るための証のようなもの。この券が1枚ということは行けるのは1人だけです。…すみません、私の力不足で1人分しか確保できませんでした。」

 

「……いえ、道が出来ただけでもいいと思うわ。でも、誰が行くか…よね。」

 

「なら、わた───」

 

「……それなんですが、問題が。」

 

「……何よ。」

 

「……()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

「────は?」

 

その月さんの言葉にジャンヌ・オルタさんも止まった。

 

「どういうことよ。」

 

「情報関係に近い言葉で言えば情報転送限度、というところですか。情報転送ができる量に限りがあるんです。具体的にはS!メール……MMSとSMSの違い…って言って伝わればいいんですけど。要は70文字まで送れるか数KB単位でも送れるかっていうことです。」

 

「…ごめんなさい、良く分からないから結論を言ってちょうだい」

 

「あれ…伝わりませんか」

 

「S!メールなぁ…いやまぁ、無くはないがガラパゴス携帯はそろそろ衰退してくぞ、アレ。嫌いじゃないがな。」

 

「はぇ?……あっ。」

 

『ていうか2021年に生きてたんだから覚えておこうよ月…』

 

『いや待って!?S!メールってまだあるよね!?』

 

『あると思うけどiモードは姿を消すよ。』

 

『……』

 

あ、凹んでる

 

「……こほん。ええと…つまりは送れる英霊に限りがあります。具体的には私達のような神性持ち、ジャンヌさんのようなエクストラクラス…そして狂化A以上所有者。それから単純に英霊としての知名度が高い者や顕現が容易ではないもの等。」

 

『うーん…星5サーヴァントはダメってことかな、多分。』

 

『星5…?』

 

『こっちの話。気にしないで。』

 

フォウの言葉がいまいち分からなかったけど…

 

「ならば、誰が行くか全サーヴァントの中から選出するべきか。召集を───」

 

「───あたしが、行くわ。」

 

ナーサリーさんがそう告げた。月さんの持つチケットに触れて。

 

「……いいえ、行かせて。」

 

「……ナーサリー。」

 

「…お願い。マスターの元に…あたしを。」

 

「良いのか?行先は恐らく地獄だぞ。」

 

「ええ。マスターのことが好きなみんなには、ごめんなさいだけど…でも、行きたいの。あたしは…最初、マスターを傷つけてしまったけれど。マスターはあたし(アリス)の中にいたあたし(ありす)の思いを叶えてくれた。あたし(アリス)あたし(ありす)をもう一度会わせてくれた。その恩返しをしたいの。」

 

「……」

 

「……それから。もう一度謝りたいの。マスターは、前にも“いいよ”って言ってくれたけれど。ずっと、引っ掛かっているの…本が、そんなことを言うのもおかしいかもだけれど。」

 

「……ふむ。」

 

「───その決意。固いの、あたし(アリス)?」

 

その声に入り口の方を見ると、水色の服のナーサリーさん…ありすさんがいた。ありすさんはそのままナーサリーさんに近づいた。

 

「ありす……えぇ。」

 

「……そうなの。…王様、あたし(ありす)からもお願い。あたし(アリス)の思い、聞き届けてほしいの。」

 

「……貴様は良いのか、ありす。」

 

「…うん。もう、あたし(ありす)あたし(アリス)のマスターじゃないから。あたし(ありす)あたし(アリス)を縛るのはおかしいわ。…ねぇ、アリス。」

 

ありすさんがナーサリーさんの顔に触れる。

 

「あたしもあなたも同じ“物語”。実在した人間や神様じゃない、誰かの英雄だけれど。誰かを好きになってはいけないということはないと思わない?」

 

「え……」

 

「本が誰かを好きになる…そんなお話があっても、いいと思わない?……あなたもあたしも、自由に生きていいと思うの。それがただの夢だったとしても…夢の中でも、“物語”という枠組みに囚われていたらもったいないと思うわ。」

 

「ありす…」

 

「…あたしの言ってること、分からないかもしれないけれど。あなたが思うままに、あなたがやりたいことをするといいわ。」

 

「あたしの……やりたいこと…」

 

そう呟いたのを聞いて、ありすさんはナーサリーさんから離れた。

 

「……王様。お願い。…あたしを、マスターの元に行かせて。」

 

「…」

 

「あたしはキャスターのサーヴァントだもの、無茶だっていうことは分かってる。…だけど行きたい。そこが例え地獄だったとしても、そこにマスターがいるのならどこにだって行ってみせる!」

 

「…決意は、本当に固いようだな。」

 

「ええ!」

 

「…貴様はどう思う、月」

 

「…情報量はギリギリ納まります。転移は可能ですが…本当に、大丈夫なんですね?」

 

「ええ!お願いします、王様!」

 

頭を下げるナーサリーさん。ナーサリーさん以外の全員が英雄王に視線を向けた。判断は、全てこの人次第だから。

 

「…よかろう。そこまで言うのならばナーサリー・ライム、貴様に任せるとしようか。」

 

「……!」

 

「確認するぞ。貴様に下す指示はこれよ。囚われしマスターの魂のもとへ赴き、その魂を奪還せよ。貴様の総力を挙げ、貴様の決意の真意を示せ。失敗は許されん、失敗すれば人理の修復は絶望的だ。いつもはマスターだが、今は貴様の存在に人類の未来がかかっていると思え。」

 

「…ええ」

 

「どうした、怖気づいたか?マスターを救いに行くとはそういう意味だぞ?」

 

「……いいえ。やるわ、王様。あたしは…ナーサリー・ライムはただの童歌だけど。だけど、きっとやってみせる。」

 

直後、ナーサリーさんを濃い魔力が包む。

 

「マザーグースの最初の形。子供達に寄り添う英雄。故にあたしも子供達のように───ならば一時、その殻を破りましょう───全ては、一人の女の子を守るために!!」

 

魔力の奔流。ナーサリーさんを中心に渦巻くその流れに引き摺られないように耐える。

 

「だってあたしは───いいえ、私は“誰かの為の物語(ナーサリー・ライム)”!他ならない、“誰か”のために生きる英雄なのだから───!!」

 

奔流が消えると───そこに、黒のドレスを纏った女性がいた。銀髪で、紫色の眼で…ナーサリーさんを、そのまま成長させたかのような。

 

「───概念が、確固たるカタチを得たか。特殊な再臨をしたかのようだな。…ふ、面白い。ロマン!マリー!丁重に送ってやれ!我はマスターを預かろう!」

 

「私も手伝います。観測はお任せください。」

 

「じゃあ、召喚券…とでも言おうか。それを貸してくれ。レイシフトさせる座標は必要だからね。」

 

「…ナーサリー」

 

六花さんがナーサリーさんを呼んだ。

 

「なぁに?」

 

「…妹を…リッカを頼む。」

 

「……ええ!必ず、連れ戻してくるわ!」

 

 

そして───

 

 

「準備はいいですか、ナーサリーさん。」

 

〈ええ。…でも、少し緊張するわ。レイシフトって、こんな感じなのね。〉

 

「…怖く…ないですか?」

 

〈…本当のことを言えば、少し怖いけれど。あたしにとってマスターを喪うことの方が怖いわ。そして、その場にあたしがいなかったらって考えると…もっと怖い。だから行くの、あたし。…絶対に失敗しないわ。〉

 

「……ロマンさん。」

 

「あぁ、じゃあレイシフトを起動するよ。」

 

〈…ええ。〉

 

〈アンサモンプログラム スタート。霊子変換を開始します〉

 

いつも聞こえる声。…だけど、今回は私は管制室にいる。

 

〈レイシフト開始まで あと3、2、1…〉

 

〈ナーサリー・ライム───マスターを助けるために、今!〉

 

童話の少女がそう叫ぶ。…いつも、私達の声はこう聞こえているのか───

 

全行程 完了(クリア)。ラストマスター奪還作戦 実証 を 開始 します。

 

レイシフトが動き出す。観測上に、ナーサリーさんの存在が示される。…始まろうとしている。彼女(ナーサリー・ライム)に人類の未来を背負わせた戦いが。




ちなみにリッカさんの部屋にいたサーヴァント達の参加除外理由ですが…

ギルガメッシュ(プレミア)=☆5サーヴァント、神性B、エクストラクラス

源頼光=☆5サーヴァント、狂化EX、神性C

無銘=☆5サーヴァント相当、神性A、エクストラクラス

ジャンヌ・ダルク・オルタ=☆4サーヴァント相当、エクストラクラス

以上となっています

弓「無銘が☆5サーヴァント相当…まて、☆4サーヴァント相当がダメなのか?」

エクストラクラスも重なってるからね…
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