狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い 作:Luly
星見の観測者「ほう?」
なんだかねぇ…純愛系、もしくは片方が嫌がってるとかじゃないなら少しは大丈夫なんだけど。正直知り合いからR-18系ゲームの実況頼まれてるから慣れないとなんだろうけど…
星見の観測者「…一応聞くが、そのゲームの名は?」
“School Days”…だったはず。
星見の観測者「……君も苦労しているな。よりにもよって君の苦手傾向じゃないか?」
「……」
恐らく1日が経過した。…私の感覚で、ではあるけど。ナーちゃんが周囲の黒い塊を魔力馴らしのついでに一掃しに行っている間に、私は篝火を見ていた。
「……ソウル、か。私にソウルがあるか……ううん、多分ある。」
前回私が吸収した黒い塊。あれは多分、怨霊だ。あれを吸収したということは…多分、ある。それと……
「…あの霊基」
ナーちゃんが焼いたあのエリックさんの霊基。あれが消えたあと、何かを“得た”感覚がした。“嫉妬”の概念とは別に、何か。
「…あれが、もしボスを倒したときに得られる固有のソウルなのだとしたら…」
「…マスター、終わったわ。」
その声に振り向くと、ちょうど杖から氷の剣を消したナーちゃんがいた。
「お疲れ様。ありがと、ナーちゃん。…どう、だった?」
「…やっぱり、魔力が上がった影響で
「五行……」
五行思想。木火土金水…5つの元素によって万物が構成され、互いに影響を与え合い、その生滅盛衰によって天地万物が変化し、循環するという古代中国発祥の考え方。五芒星はこれの関係を表し、円を以て
「でも、この場所にいる間に、なんとしてでも使いこなしてみせるわ。そうじゃないと、マスターを守れないもの。」
「…ありがと。でも、無理はしないでね?」
「休息も鍛練のうち、でしょう?分かっているわ。…マスターは、何か分かったかしら?」
その言葉に私は篝火に眼を向けた。…篝火といっても、まだ点灯していない…つまり、不死を癒す場として成立していないけれど。ひとまず、さっきの予測をナーちゃんにも話す。
「砕けた霊基の欠片がソウル…なるほど。確かに、霊基も霊体よ。だから、ソウルと言ってもおかしくないわ。…問題は、そのソウルで篝火が使えるか……篝火が使えれば、人間性を……あっ。」
ナーちゃんが何かを思い出したような声を上げて、自分のポーチを探った。あれ、アイテムポーチだ…こっちに来るときにジュリィさんとかが持たせてくれたのかな。
「……これ、拾ったの。人間性よね、これ。」
そう言って見せられたのは───間違いなく、人間性。篝火に捧げ、生者に戻るために必要なアイテム。ちなみにナーちゃんと…あとありすさんもダークソウルプレイ済みだから人間性を捧げるとか普通に言う。ナーちゃんがやってるときに私が“これって可愛い女の子がやるゲームかなぁ”って言ったら“それ、マスターが言うの?”って返されました。…私って可愛いのかなぁ…よくわかんない。
閑話休題。
「…人間性、だね。拾ったって…なんであるの?」
「分からないわ。…注ぎ火、できるかしら。」
「エスト瓶があるわけでもないからなんとも……とりあえず、やってみようか。」
そう言って篝火に触れる───火が、点った。
「BONFIRE LIT……ね。」
「…点くんだ。私、不死でもないのに。」
「…ね、篝火で何ができるか分かるかしら。」
その言葉に、篝火の前に座ってからもう一度触れる。…情報が流れ込んでくる。
「……だめだ。」
「…?」
「ナーちゃん、触ってみて。」
「え?え、えぇ。」
私は立ち上がって場所を空ける。その場所にナーちゃんが座る。
「……なるほど。そういう、事ね。」
ナーちゃんも理解したのか、ため息をついて立ち上がった。
「おや、目覚めていたか!地獄にも時はあるからな───って、なんだこれは……」
人間性の姿をしているアヴェンジャーさんがこの場所を見て言葉を失っていた。それもそのはず、今この場はお話の中にあるような草原になっているのだから。
「何って、お茶会後よ?少し片付けたけれど、よかったら紅茶でもいかが?」
「───シャトー・ディフで童話のようなお茶会を開く猛者はお前達くらいだろうよ…さすが魔術師のサーヴァント、というところか…」
確かにこれはナーちゃんの力だから…うん。ほんと、ナーちゃんがいてくれてよかった…
「……それで。そこにある火はなんだ?昨日はなかったはずだが。」
「篝火。…本来、人間性を捧げることで生者へと戻ることのできる不死達の癒しの場。」
「…ほう。これがそうか。なら───」
「…でも、今は使えない。」
「……何?」
篝火の前に座る。脳内にいくつかの項目が開かれる。…そこに、“人間性”が関わる項目はない。
「多分、いくつかの情報が喪われてる。篝火を直さないと、人間性を捧げることができない。」
「……そうか。」
その声を聞いて立ち上がる。それと同時に草原は消え、本来の牢屋の姿に戻る。
「行こう、ナーちゃん。」
「ええ。」
「こっちだ、ついてこい。」
未だ人間性の姿であるアヴェンジャーさんについていく。私とナーちゃんが、カルデアに帰るために。
「誰か……」
「…?」
黒い塊を倒しながら廊下を歩いている最中。不意に、声が聞こえた。
「アヴェンジャーさん、ここって私以外に誰か…?」
「ふむ。招かれたのは確かにマスターただ一人。この監獄塔には悪性が集う…が。その例外がいるのは…まぁ、いいとするか。」
そう言ってアヴェンジャーさんはナーちゃんの方を見た───ように見えた。…姿を隠す人間性のせいで、視線とかが分かりにくい。
「どうするの?マスター。」
「……助けて、いいかな。ナーちゃん。」
「あたしはマスターの決めたことに従うわ。これは令呪も契約も関係ない、あたし自身の意思よ。」
「……ありがとう。じゃあ…助けよう!」
「ふん。…気を付けろよ。死ぬかもしれないからな。」
そうアヴェンジャーさんが言った途端、黒い塊が湧いてきた。それを見てナーちゃんが炎の剣を構える。
「出てきたわ…次から次へと!」
「ごめん、ナーちゃん!切り開いて───ううん、飛び越えられる!?」
「任せて!しっかり捕まってちょうだいね、マスター!」
その言葉に私よりも少し小さい背中にしっかりと捕まる。やっぱり、ナーちゃんもサーヴァントだからなのか───私と、武器。自分よりも遥かに重いはずの荷物を背負ってなお、軽々と跳躍した。
「…やっぱり、筋力も上がってるわ。吠えよ、炎剣フランベルジュ───灼き払いなさい!!」
そう叫んで空中から炎の剣を振るう。すると、炎が黒い塊達に広がり、塊達を燃やす。…それと同時に、何かを得る感覚。私達が床に足をつけた頃には、その場の黒い塊は全て消滅していた。
「…今、ソウルを得たわね。」
「…うん。」
ナーちゃんも感じたみたい。恐らく得たのは“名もなき怨霊のソウル”…というところかな。
「見事だ。…さて。」
「……あなたは?私は、藤丸リッカです。怨霊、悪霊の類いではありません。こっちにいるのはナーちゃんとアヴェンジャーさんです。明確にしましょう、私達は敵ではありません。」
「……敵では、ないんですか…?」
その声の主…赤い軍服の女性はそう私に問いかけた。
「敵ではなく、味方でもなく…ただ、中立の立場のようだがな。」
「……できることなら、味方になりたいです。…どう、ですか?私達と一緒に、行動しませんか?」
「……私は…一人は、嫌です……ここは暗くて……得体の知れない何かに呑まれそうで……」
何かに呑まれそう、か……
「……マスター…」
「……一緒に、行きましょう。ここでいるよりも、その方が良いと思います。」
「良いのですか……?」
その問いに頷く。
「改めて。私は藤丸リッカです。あなたは…?」
「私…私は…………すみません、思い出せません……」
「……名のなき女か。この監獄塔にいるには頼りないな。何故紛れ込んだのやら。…まぁいい。」
アヴェンジャーさんがため息をついてから体を揺らした。
「女。“メルセデス”と名乗れ。」
メルセデス……?
「車、かしら…」
「違う。かつてシャトー・ディフに叩き込まれた男にまつわる女の名だ。」
…シャトー・ディフ。メルセデス。ファリア神父…モンテ・クリスト伯。通称“巌窟王”……恐らくアヴェンジャーさんが言ってる男というのは、その巌窟王の事だと思う。そして、それはもしかしたら───
「どうした、マスター。呆けている暇はないぞ。」
「…うん、ごめん。」
そうだった。今はとりあえず、前に進まないと。
そうしてしばらく進んで、またあの広間に出た。
「さて、マスターよ。この裁きの間にて問おう───劣情を抱いたコトはあるか?」
え…?
「劣…情?」
「一箇の人格として成立する他者に対し、その肉体に触れたいと願った経験は?理性と知性を己の外に置き、獣の如き衝動に猛り狂った経験は?」
「……」
その問いに考える。他人の身体に触れたいと思ったことは───確かに、ある。でもそれを、本能のままに実行しようとしたことはない。そして、思ったことはあっても───そこに、相手を求めるような感情はない。あったのは全て、“手当て”に当たるものだったはず。それに…胸の辺りを触るとしても、それは服の上からだったし。その胸の辺りを触るのも、“絵に描いたとき心を表現する場所”以外の意味はなかった。
「…っ」
まただ。気分が悪くなる。視界が歪む。脳裏に浮かぶは───様々なものを混ぜたような存在。歪みすぎて、嫉妬の時みたいに鮮明じゃない。
───落とす!あたしが絶対に落としてやる!あんたが応援してくれれば、できる気がするの!
───わたし…彼のコト、恋人にしたいの。…応援して、くれる?
───ふざけんな!なんなのあの女、アイツのために服を新調したですって!ああもうむかつく……ねぇ、あの服引き裂いてきてくれない?
「…う」
───お前と付き合ってやるよ。お前が一番顔良いし、楽そうだからな。
───ヤらせろ。あぁ、勿論生な。責任?そんなもん取らねぇよ。中学生にそんなんできるか。…つーか
───お前、生娘だよな?使用済みじゃないよな?
頭痛がする。腹痛がする。吐き気がする。音も遠く聞こえ、意識を保てているのが精一杯───
「マスター、しっかり!」
その、ナーちゃんの声が闇を引き裂き、私の意識を引き戻す。
「どうした、垣間見たか?」
「…大丈夫。」
ふとナーちゃんを見ると、ナーちゃんが首から下げている水色の石が淡く発光していた。…まさか、ね。
「…して、どうだ?お前が他者の肉体を求めたコトはあるか?」
「……それは…あんま───」
「無論あるとも!」
騒音。いきなりの声に少し体勢を崩しそうになる。
「そら、来たぞ!今宵お前の相手となるもの!お前が向き合うべき、お前を踏みにじらんとするモノだ!」
現れたのは───
「天井天地大回転!それこそが世の常、無論ありまくるに決まっている!」
「……タケシさん?」
「タケシさん…よね。カントー地方、ニビシティジムリーダーの…」
あの剣…剣?がイワークだったら普通にタケシさんだと思う。
「獣欲一つ抱かずして如何な勇士か、英雄か!俺の在り方が罪だと言うのなら、いいとも!俺はここに大罪人として立とう!」
声が大きい。この場が───揺れる。
「俺は!この“フェルグス・マック・ロイ”は!」
フェルグス・マック・ロイ───?それって確か…アルスターの…
「主に女が大好きだ!!」
「「主に?」」
ナーちゃんと同時に呟く。同性でも大丈夫…ってことかな?
「……っ、マスター、あれ…!」
ナーちゃんが何かに気がついた。指差す方向を見ると───白い何かと、赤い何か。赤い方は何かヌルヌルしてるような感じで、白い方はツルツルしてる感じ。…というか
「“触手”……それに、“フルフル”?」
「───ホァァァァァァ!!」
甲高く、人に叫び声にも聞こえる咆哮。間違いない、あれは奇怪竜“フルフル”だ!
「ナーちゃん、厳重警戒!フルフルは痺れさせてくる、恐らく触手だと思われるあれは掴まったら多分女性にとって色々な意味で厄介!」
「フルフルにも月さんが言ってた“ギィギ”にも気を付けるわ!でも、3対2はちょっと辛いかしら…!」
ギィギ?あれの…名前?
「心を覗け。目を逸らすな。それは誰もが抱くゆえに誰ひとり逃れられない。他者を求め、震え、浅ましき涙を導くもの───色欲の罪。」
「色…欲。」
色欲。この裁きの間が色欲の裁きであるならば───なるほど、ならば先程見えたのは恐らく…“アスモデウス”。
「…」
人を思うことが罪?……違う。人は思うからこそ…人が生まれる。そもそも性欲というのは人間の三大欲求として挙げられる1つ。それを罪とする……
「……?」
待った。私は何かを見落としている気がする。相手を見る。フルフル。触手。フェルグス・マック・ロイ。フルフルと触手はR18系で良く使われると聞いた。フェルグス・マック・ロイは確か妻フリディッシュがいない間は7人の女性を求めるという強い精力を持つ者───
「……あぁ、そっか。」
ほとんどに共通するのは相互の愛がない性欲。自らの欲を満たすためだけにぶつけるもの。それを満たすなら、相手が傷つこうと構わない───あぁ、ならばそれは。罪としても成立するだろう。…愛がわからない私が愛を語るのもおかしい話だけど。
「何が浅ましきか!抱きたい時に抱く!食いたいときに食う!それこそが生の醍醐味、生を実感するというものだろう!」
「それは違うわ!自らを律し、己を制御するからこそ人は人なのよ!そうでなければただの獣なのよ!理性が必要ないというのなら、獣に成り果てればいいわ!」
「ハハハ、手厳しい!しかしそれを人ならざるものが言うか!まぁいい、今がその時であることは変わらない!そこの女よ、お前は尊敬に値し、組み敷くに困難な女だ!俺には分かるぞ!」
その言葉が向けられている先は───メルセデスさん。
「具体的に言えば魅力的だ!特に良く突き出た胸が良い!」
「わ、私…ですか」
「しみったれた監獄において一人酒かと思ったが…うむ。重畳、重畳。俺は!今宵!お前を戴く!」
……
「そして、そこにいる小娘共と見慣れぬサーヴァントは…あれだ。いらん。」
「……は?」
ナーちゃんの声が、一段階下がった。
「もう一度、言ってくれるかしら…今、なんと言ったの?」
「お前達はいらん。魅力など感じない。邪魔だ、殺───」
言い終わるより早く、ナーちゃんがフェルグスさんと一瞬で距離を詰め───一凪ぎで吹き飛ばした。
「…ごめんなさいね、あまりにも聞くに堪えなかったものだから。マスターに魅力がない?いいえ、それは違うわ。マスターは強い魅力を持つ人よ。あなたはそれに気がついていないだけ。」
「……ぐっ」
「というか…思ったより出るわね、この身体…ほんと、振り回されてるわ…」
あ、本当はもう少し軽い予定だったのかな…
「そもそもだけれど。あたしもマスターも、理性のない獣なんてお断りよ。理性のある獣?そうだったなら、一考の余地はあるでしょう。だけど、あなたのその在り方は当てはまらないわ。」
そう静かに告げながら、ナーちゃんは剣を構え直す。
「マスター。こっちはあたしがしばらくやるわ。その間に、マスターとアヴェンジャーさんはフルフルとギィギをお願いしてもいいかしら?」
「……分かった。お願いできますか、アヴェンジャーさん。」
「勝手にしろ。」
それを聞いたまま、私はお兄ちゃん達が鍛えてくれた達を抜刀する。
「お前達は俺の女を攫おうと言うのだ───させん!俺から女を奪う等!」
「…なんか、変な感じがするわ。」
「ほう。お前達はトゥヌクルダスの幻視を知らぬと見える。あれはフェルグスではない。そしてそこにいる竜もそこにいる怪物もまた、本来のものではない。かつての中世、この世ならざる異界に堕ち、恐怖を識った騎士トゥヌクルダスが見たモノ───煉獄の悪魔だ!!」
「その女、寄越せぇぇぇ!!」
「ホァァァァァァ!!」
「マスターの魅力がわからないなんて───損しちゃうわよ!」
「戦闘開始───力を貸して、ルーナさん!」
太刀使いのルーナさんが教えてくれたことをもとに、フルフルとギィギに斬りかかる───
───勝負は、一瞬でついた。
一瞬、というか一撃で。もう既に弱っていたのか、たった一凪ぎでその動きを止めた。止めたあと、フルフルとギィギはサーヴァントのように消滅した。
「…問題は」
ナーちゃんの方に目を向ける。未だ、剣戟を演じるナーちゃんと煉獄の悪魔を。
「…っ!」
「ぉぉぉぉぉ!!」
キャスターという本来筋力の低いクラスであるためか、女の子という素の筋力差ゆえか、その体格差ゆえか。なんとか捌いてはいるけれど、決定打を与えられてはいない。
「手数……増やすべきかしら…!一撃一撃は薄くなるけれ……ど!」
呟きながらも正確に攻撃を弾くナーちゃん。手数を増やせば一撃は軽くなる。でも確かに、一撃を軽くする───身軽にするのなら、攻撃が届く可能性はある。
「さて───どうだ?業を覗きみた感想は。人の原始の具現はどうだ?」
…人の原始。愛によって人は産まれる。私もまた、愛の…色欲が招いた結果。
「……人は皆罪人?…ううん。それは…違う、と思う。」
直感…なのかもしれない。だけど、そう思う。
───かつて見た、あの家族達が。今ここで見てる罪と同じとは思えない。
「……付き合い方を見失うな。付き合い方を見失い、快楽のみを求めることこそ色欲の罪の核。」
「……ふ。」
アヴェンジャーさんが笑い、私は童子切を抜く。
「……お母さん。お兄ちゃん。…お願い、力を貸して───」
二刀流。本来難しい、というか無理なレベルのそれが、今の私の構え方。
「……産んでくれたお母さんと、お父さん。この世界にいさせてくれて、ありがとう。」
軽く跳躍する───それだけで、私は煉獄の悪魔に肉薄した。
「む───」
「───はぁっ!!」
右、試作型天文台太刀IVを振り抜く。モンスター相手なら刃がろくに通らないこの太刀。でも、モンスターじゃなければ問題はない……!!
「ナーちゃん!アヴェンジャーさん!」
「───ええ、分かったわ!」
「女ァァァァ!!」
「───シッ!!」
左、童子切安綱で凪ぐ。それによって、武器を持っていた手が切断される。
「アァァァァアアァ!?」
「………一手音速」
両手の刀が通る道を交差させるように高速で切り上げる。
「二手浸透」
手を離し、下腹部の辺りに二撃。
「三手鈍撃───!!」
落ちてきた刀の柄を持ち、そのまま両手で───金的へと強撃。…あ、なんか潰れる感覚した。
「───」
“兇叉”の原理と同じ技が内部まで効いたのか。煉獄の悪魔は、その場で膝をついた。
「今!」
「…クハ、クハハハ!あぁ、介錯をしてやろうじゃないか!同じ性別として恐怖を抱きながらな!」
そう良い、アヴェンジャーさんが心臓を抉る。
「吠えなさい───氷炎剣ヴィルマフレア!高温と低温の狭間で後悔なさいな!」
その言葉と共に、巨大な火柱と巨大な氷塊がその場に顕れた。…やがて、何かを得る感覚がする。黒い塊とは比にならない量の、ソウル。
「……消えた、みたいね。VICTORY ACHIEVED…ってところかしら。」
「───あぁ、そうだ!お前達は第二の裁きを突破した!それはつまり、この先に進むことを許されたということだ!喜ぶがいい、お前の命はまた一日繋がった!」
アヴェンジャーさんが言うのならそうなのだろう。私は刀を納刀して、息を吐く。それと同時にナーちゃんが術を解除したのか、火柱と氷塊が跡形もなく消える。
「……うん?」
その、あった場所に何かが落ちている。近づき、拾ってみる。…これは───
「鐘、かしら?」
私の手元を覗き込んだナーちゃんがそう言った。鐘───そう、鐘だ。それも小さな。
「…なんだか…“共鳴する小さな鐘”のようにもみえない?」
「共鳴する…」
共鳴する小さな鐘。それはBloodborneのアイテム。味方として助けに行くときに必要なアイテムだ。対となるは“狩人呼びの鐘”。敵として行くなら“共鳴する不吉な鐘”───まぁ、その辺りはいいか。とりあえずこれは…持っておくことにしよう。
「さぁ、第二の裁きは終わりだ!次の未来を迎えられるかはお前次第!」
アヴェンジャーさんがそう告げる。…ほんと、この人間性どうにかならないかな。
「“待て、しかして希望せよ”!これよりは一時の休息だ!第三の裁きを待つがいい、マスター!」
そう言ってアヴェンジャーさんは奥の闇に消えた。
「…戻ろっか、ナーちゃん。メルセデスさんも。」
「私も…いいのですか?」
「置いていきませんよ。」
「あぁ…ありがとうございます…優しい方…」
私達は元来た道を戻る。…一応、ソウルがどうなるかとか知りたいし。
…そして、戻ってきて。
「お帰りなさい、狩人様。」
「……」
Bloodborneでレベルアップとかをしてくれる人形ちゃんがいた。……なんで?篝火の近くに灯りがあるのもなんで??ていうか───
「狩人じゃないんだけど…なんでここに?」
「……?私は、気がついたらここに…」
あ、分かってないみたい。…私は一体どこで“啓蒙”を得たんだろう…って、さっきのアレか…そう言えばさっき、ソウルとは別の何かも得たような気が……
「……頭痛くなってきた。」
「大丈夫かしら?お茶会の方、用意するわ。」
「…ありがと。」
「……って、その前に休んだ方がいいわね。ええっと…」
そう呟いてナーちゃんはその場に座った。
「はい。」
「……?」
「…あたしの小さな場所で申し訳ないけれど。少しでも癒しになってくれればいいと思うの。」
……えっと。座った状態で、膝を叩かれるってことは…
「……膝枕?」
「……」
ナーちゃんが頷いた。…ナーちゃん強情だし、多分大丈夫って言っても聞かないだろうからなぁ…
「…じゃあ、お言葉に甘えて。」
ナーちゃんの膝に頭を乗せて、横になる。…すごく、落ち着く。理由は…童話だから?それとも……駄目だ、思考がうまく回らない。すごく落ち着いて…だんだん、ねむ、く───
「…おやすみなさい、マスター。ゆっくり、休んでちょうだいね。」
そんなナーちゃんの言葉を最後に、私の意識は途切れた。
……
月「お母さん!監獄塔…お母さん?」
……あぁ、月
月「酷い顔してるけど……大丈夫?」
観測事象をそのまま書き起こす…それが、私の作業。…だけど今回は……すごく逃げ出したい。
月「……あっ。そういえば“色欲”……」
本当の事を言うなら少し休みたいんだけど……何?
月「あ、えと…監獄塔に変質反応があったの。」
……監獄塔の変質。今回のもそれのうちかな…
月「え?」
これ。この触手…“ギィギ”だっけ?これって確か月が見つけたのだよね?
月「……ぁ」
月が見つけた種から生まれた謎の触手…か。基本的におとなしいから別にいいけど。…ただ、やっぱり…ねぇ。
月「う……ごめんなさい……」
いや怒ってないけど……それより、監獄塔がフロム色強い原因の方調べてくれる?なんか、少しだけ嫌な予感がする。
月「…わかった…っ」
……あぁ。程々にさせなね。
月「はは…でも、面倒は見きるよ…」
…そ。…正直私の■■■がこうなるとは…私も予測しないし。
月「ほとんど偶然なんだけどね……」
知ってる。
月「じゃあ、またあとで。」
ん……
弓「……マスター、今のは」
ん…あぁ、あれ?月の使い魔。ええと…別質の魔力が流れることによって変な感覚になるんだって。
弓「…?マスター、娘の心配はないのか?」
あの触手はR18方面のものじゃないから別に大丈夫だよ。似たような粘液出すけど…それはそれで魔法薬の素材になるとか。
弓「ふむ……」
魔法薬は分からないから月達に任せてるけどね。ちなみに私、月達とは感覚が繋がってるからR18関連じゃないってことは確定してるからね。
弓「…そうか。」