狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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あぁ、実際のところ。罪名の後に書かれている二文字はその相手がどんな存在かを示していたりする。

弓「急にどうしたのだ…」

ん。言わないといけないと思って。

月「今回の言葉は“脳死”…」

…そこから連想させられる言葉、分かる?

月「脳死から連想?…脳死……脳死…狩人…物資…希少……あっ!」

…気づいた?

月「───“()()()()”!?」


第233話 第陸ノ罪科、其強欲罪也・脳死

天草さんは喉も貫かれていたのもあって、声も出さずに消滅した。

 

「……さて、次は貴様だな。狩人」

 

「……」

 

…やっぱり、おかしい。他の人達もおかしいと言えるんだろうけど……ルーパスちゃんの変化は何というか…他の人達よりも…異常、に見える。

 

「抵抗しないのなら…戦う気がないのならこの場から消えてくれないかしら。あたしも知り合いと同じ顔の人を進んで傷つける趣味はないもの。」

 

「……」

 

答えない。…いつものルーパスちゃんなら、ちゃんと答えるはずだ───と、小さくルーパスちゃんの口が開いた。

 

「……獣狩り開始」

 

瞬間───私の前にナーちゃんがいた。ナーちゃんが防いでいるのは……ルーパスちゃんの持つ、矢。

 

「……っ!」

 

苦し紛れ、とも言うように矢を弾く。

 

「ストリア!」

 

《OK. 》

 

「申し訳ないけれど───搦め手を使わせてもらうわ!」

 

Madness Mode.(狂気モード)

 

狂気…?そんなことを思っていると、ストリアさんの形が変わって……待って、待って、あれって……

 

「───“ほおずき”」

 

ほおずき。通称“発狂脳みそ”。あれに見られると血の槍が身体から飛び出すっていう…さらに見られ続けていると発狂して大ダメージ……その効果がちゃんとあるのか、ルーパスちゃんの身体からも血の槍が飛び出してきてる。

 

『……リッカさん。どうか、あたしを嫌いにならないでね。』

 

『え……?』

 

ナーちゃんの言葉に聞き返す前に、ルーパスちゃんが動きを見せた。

 

「…攻撃への防御が不可能と判断。脅威度を変更、脅威なサーヴァントから交戦開始───」

 

「ふふっ。…あわれで可愛いトミーサム、いろいろここまでご苦労さま。でも、ぼうけんはおしまいよ?」

 

「…?」

 

「だってもうじき夢の中。夜のとばりは落ちきった。アナタの首も、ポトンと落ちる!」

 

ナーちゃんは歌うかのようにそこまで言った後くるりと回ってほおずきの形をした杖の先をルーパスちゃんに向けた。

 

「さぁ───嘘みたいに殺してあげる!ページを閉じて、さよならよ!」

 

Madness maximum.(狂気最大)

 

ストリアさんがそう言った瞬間、ルーパスちゃんの身体から飛び出す血の槍が増えた。ということは、恐らく───スリップダメージ増加。同時にナーちゃんが駆ける。

 

Craziness.(発狂)

 

「っ、あはっ───あははははっ!!」

 

「ナー…ちゃん?」

 

ずっと見てきたナーちゃんとはまるで別人。ルーパスちゃんの攻撃を嘲笑うかにように跳躍、蹴りを見舞うそのナーちゃんの表情は…狂気に飲まれた…バーサーカーとも言えるような表情。

 

「分析開始、対策組立───」

 

「させないわよ?させるわけないじゃない!」

 

「がっ───!」

 

横から蹴りを入れられ、吹き飛ばされるルーパスちゃん。杖はずっと持っているため、ルーパスちゃんの身体からは血の槍が飛び出し続けている。

 

「……あの、アヴェンジャーさん。」

 

「……なんだ。」

 

「……あれって、本当にルーパスちゃんなの?」

 

私にはあれがルーパスちゃんには思えなかった。

 

「ふん。いい加減覚えることだな。…まぁ、いいか。暴食の時と同じだ。あれは強欲の具現。ルーパス・フェルトとは関係がない…わけでもないか。まぁ、姿形を真似ただけの別物だ。」

 

「……別物。」

 

「あぁ。───あれこそは、強欲の具現。現在の物資では飽きたらず、より良いものを求めるために大量の獲物を屠り、無駄を省き、一度の戦闘時間を短くすることだけを突き詰める者達の集合体。そら、お前も心当たりがあるだろう?」

 

そのアヴェンジャーさんの言葉に頷く。…そうだ、あれは───

 

「………“()()()。」

 

そう言葉に出してから、首を横に振る。

 

「………違う、正確に言うのなら。“効率厨”、並びに“周回者”だ。」

 

効率厨。周回にかかる時間を短くするために効率のいい方法を編み出そうとする人達のこと。もっとも、その時間を短くすること自体は罪ではないだろう。TA(タイムアタック)というのもあるのだし。…なら、何が問題なのかというと。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

あぁ、確かに罪だろう。特に乱獲に関しては、もしもそのゲームの中の世界が現実であったとして、かなりの速度でかなりの量の獲物が狩られ続ければ絶滅すらあり得るだろう。(プレイヤー)(プレイヤー)の格差についてはそれだけで対人関係が悪くなることもあるだろう。求めるものが出なければそのゲームをやりたくなくなってしまうだろう。高効率を押し付けられれば、その高効率を作れない人は一体どうすればいい?

 

「……あぁ、うん。これはどんなゲームにおいても高確率で発生する問題。その希少なもの───“レアアイテム”を求める心は確かに“強欲”なんだろうね。」

 

乱獲が引き起こす問題、“絶滅”に関しては似たような状態がゲームでも起こり得る。リソース不足…殲滅速度の速さによる湧出遅延───“敵が枯れる”と言われる状態。特にリリース初期、アップデート直後なんかは起こりやすいはずだ。ついでに言うと、リリース初期やアップデート直後はサーバーが弱くて多くのプレイヤーが入れない、入れても処理が重すぎるなどという現象も起きるだろう。そうなってしまえば入れた者と入れなかった者の差が出来る。

 

 

閑話休題。

 

 

効率厨、並びにTA勢は何度も同じ相手と戦い、分析し、動きを最適化する。だけど、ナーちゃんは恐らく他の“ナーサリー・ライム”とは違う。情報がない、未知の存在は戦いにくいはず…!

 

 

ガインッ!

 

 

大きな音がしてナーちゃんを見ると、ナーちゃんの蹴りがルーパスちゃんの交差した双剣に阻まれていた。…ところで結構激しく動いてるけど大丈夫…なんだよね?多分。

 

「ストリア!」

 

《Gear 2nd.》

 

一度後ろに跳んでからもう一度ルーパスちゃんに接近する。

 

「…!速度上昇確n───」

 

防ぐために双剣を構えるより速く、ナーちゃんの蹴りがルーパスちゃんに炸裂する。…意外とナーちゃんって蹴り技使うよね。…と、吹き飛んだ先で発狂したのか、ルーパスちゃんが身体中から血を吹き出す。

 

「…発狂耐性低い?」

 

そういえば、何度も発狂している気がする。…啓蒙が高いのかな?そういえば、ナーちゃんも自分から発狂しているはず。恐らく性質は違うのだろうけど。そう思ってナーちゃんの表情を見る───

 

「……!」

 

発狂している。その表情は狂気に満ちている。この場所自体が恐らく狂気に満ちているようなもの。ナーちゃんとストリアさんが管理しているのか、私とアヴェンジャーさんには効果はないみたいだけど、発狂している時点でナーちゃんには効果があるはず。なのに───ナーちゃんは、その狂気を声と表情以外に見せない。狂気に触れながら、正気を保っているんだ。

 

「ナーちゃん、あなたは───」

 

一体、どれだけの狂気耐性をその身体に持っているというの……?

 

Dance Style.(ダンススタイル)

 

そうストリアさんが言ったかと思うと、ナーちゃんの動きが変わった。

 

「…あ、ダンサースタイル…?」

 

なんかそんな感じの動きに変わった。

 

「さて。マスター、理解を得る時だ。この強欲を見てお前は何を思う?」

 

「…私は…」

 

私が、望むもの。私が、欲するもの……私が、成したいもの。

 

「…人理修復」

 

それが、私のやるべきこと。なら、望むことは…

 

「……あぁ。そっか。」

 

分かった。

 

「私が欲しいものは───“世界”だ。もっというなら───”未来”。在るべきセカイが、続くべきミライが───そして、私が作るべき新たな世界が、先に紡がれる未来が。私が望むものだ。」

 

「…ほう。」

 

「───定義。私の望むものは“世界”である。」

 

そう告げた途端───童子切、天文台太刀、弓矢、ペンダント、ヘアアクセの5つが光を放った。

 

「さぁ、これで終わりよ!」

 

ナーちゃんが杖を振り上げ、ほおずきの眼に当たる部分がルーパスちゃんに見えるようにする。

 

「ストリア!」

 

Maximum madness level.(発狂レベル最大)

 

ストリアさんがそう言った途端、ルーパスちゃんが大量の血を噴き出して倒れた。

 

「宝玉…尻尾……足り…な…」

 

そんな言葉を最後に、ルーパスちゃん…ではなく正確には強欲の具現、プレイヤー達の“レアアイテムを求める心”の集合体は消滅した。

 

「…ふう。…これで、終わりね。」

 

表情も元に戻り、ストリアさんも元の石の状態に戻った。

 

「お疲れさま、ナーちゃん。」

 

「……」

 

「?」

 

ナーちゃんがボーっとしたような表情で私を見ている。

 

「どうしたの?」

 

「…嫌いに、ならないの?」

 

「え?」

 

どういう、ことだろう。

 

「だ、だって───あんな姿を見せたのだもの!嫌われるにきまっているわ!」

 

…あぁ、そういうことか。

 

「大丈夫。…私は、ナーちゃんを嫌いにはならないから。」

 

「本当…?」

 

「うん。…心配しなくても、大丈夫だよ。」

 

そう言ってナーちゃんを抱きしめてあげると、ナーちゃんの小さい震えが収まっていった。




さてと…最近“待て!しかして希望せよ!”を言ってない気がしますね。

裁「そうだね…」
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