狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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クラス決まらないんだけど。

裁「唐突だね…」

事実だし。


第255話 レジスタンス

「すまないな、ここまで来てもらったというのに。」

 

アメリカ軍の城の前。私達はカルナさんに見送られていて、頭を下げられた。

 

「カルナさんが謝ることじゃないです。…私も、少し言葉がキツかったかな、って思いましたし。」

 

「…そうか。」

 

時間は数分前に遡る───

 

 

「不可。共闘はできません。」

 

バッサリと告げた。私のその言葉にエジソンさんは意外、というような顔をした。

 

「私達が救うべきなのは“アメリカ”だけではありません。焼き払われた世界総て、それが私達が救うものです。」

 

「不利と分かりながらも、目的が同じ世界を救うだとしても私達とは手を組まぬ、と?」

 

「行き先が“破綻”しかないレールにわざわざ乗りはしませんよ。私が救いたいと思うのは“焼き払われ既に滅びを確約されているこの世界総て”で、貴方が救いたいと思っているのは“アメリカ”だけ。預言書の出現によってこの世界の滅びが確約されているのだとしても、私はこの世界を救いたい。集団の頂点に立つ者2名が共闘したとして、その2名の考え方が違えばそれは集団を破綻に導く引き金となる。」

 

だからこそ。私は現時点でこの人と組むつもりはない。

 

「…意外といえば、意外な答えだ。裏で何かを考えていようと、承諾するものだと思っていたが。」

 

「薄氷の上を渡るかのような危険があることが分かりながらも様子を窺う関係を続けるのは嫌いなので。親密になるのなら徹底的に深いところまで、そうでないなら距離を置いて親密になれる機会を窺う。それが私の信念ですから。」

 

「…ふ。」

 

ギルが笑った?

 

「……その誠実さ、真摯さ。トーマス・アルバ・エジソンとして許すべきなのだろう。」

 

「……」

 

「しかし…残念だ、大統王としての私はおまえ達をここで断罪せねばならん。」

 

その言葉に合わせて機械化兵士が現れる。私は身構えることもなくそれを見つめておく。

 

「…はっ!待て、エジソン!」

 

「……何故、止める───やれ!」

 

放たれる銃撃。マシュ達が動こうとするのを片手で制止する。

 

「───“紙の太刀・絶閃”」

 

そう呟くと、放たれた銃撃が総て斬られた。

 

魔術礼装変換(コーデチェンジ)、“魔術礼装・白の陰姫”。主人技能稼働(マスタースキルアクティベート)、“紙の太刀・昏閃”。」

 

私が告げると同時に機械化兵士達はその場に倒れた。

 

「…カルナさん。これは正当防衛ということでよろしいですか?」

 

「…っ……すまない。オレの注意が至らず、エジソンに君たちを攻撃させてしまった。君の先の行動は正当防衛と認めよう。…本当に、申し訳ない。」

 

カルナさんが私に深く頭を下げる。

 

「二度目はありません。いいですね。」

 

「あぁ───エジソン。お前にも聞こえるように言ったはずだな、オレは。双方の戦闘行為は許さんと。対話が終わればそれまでだ。」

 

「カルナくん…」

 

「早計は身を滅ぼすぞ。今でさえ、彼女は攻撃を叩き斬り、差し向けられたエジソンの兵を昏倒させるだけで留めているのだ。相手が戦局を容易にひっくり返すだけの力を持っていることを忘れるな。」

 

その言霊が、エジソンさんの内に在る何かを貫く。

 

「オレ達がここで手を出し、それが決定的な破綻となれば、それはアメリカの決定的な敗北、破滅となるだろう。」

 

「……あぁ……すまない。」

 

エジソンさんも落ち着いたところで集中を解く。

 

「ふん、つくづくよい拾い物をしたものだな、雑種。」

 

「おう。施しの英雄サマにそこまで買われるとは嬉しいね。…ま、リッカの制止がなけりゃここでその心臓貰い受けてたがな。」

 

「マスターに感謝するがいい。お前達を見逃したはマスターの采配があってこそだ。」

 

「あぁ…感謝する、藤丸リッカ。」

 

「……みんなが止まってくれただけだから、私は特になにもしてないよ。」

 

「……そうか。…藤丸リッカ。互いの勢力の看過、不干渉という折衷案を提案する。やむを得ず戦闘をせねばならぬ場合を除き、互いの存在に危害を加えぬ、というのはどうだろうか?」

 

〈不可侵条約か。いいんじゃないかな。後ろから刺される心配はなさそうだし。〉

 

その言葉に少し悩む。

 

「……じゃあ、もう1つだけ頼みがある。」

 

「なんだ。こちらは先に動いてしまった身だ、聞き入れるしかないだろう。」

 

「情報がほしい。現時点で判明しているだけでいいから、この特異点に召喚されているサーヴァント達の真名を。」

 

「……分かった。その資料は纏めてある。後で渡すことにしよう。…他はないか?」

 

私が頷くと、カルナさんは小さく笑みを浮かべた。

 

「───心から感謝する。お前のような人間が人類最後のマスターであったこと、喜ばしく思う。…さて。ここに両陣営の採決は下された。我が名に懸けて互いの戦闘は認めない。来客たる彼らはプレジデントハウスより無事に送り届け、お前達は我等の戦力を害することを認めない。」

 

カルナさんが厳かに告げる。

 

「命運を懸けた対談はここに終わりを迎えた。───外まで送ろう、カルデアの勇者達よ。それより先はお前達の救世の道を拓くといい。」

 

「……うん、ありがとう。カルナさん。」

 

≪…マスター≫

 

ありすさんの声?

 

≪エジソンに言いたいことがあるの。そちらに呼んでもらってもいいかしら?多分、貴女も伝えたいことがあるだろうから、その後でいいわ。≫

 

『…ん、分かった。』

 

そう伝えて私はカルナさんを見る。

 

「…カルナさん。二言ほど、いいかな。」

 

「……あぁ、かまわない」

 

許可も出たから、エジソンさんに向き合う。

 

「ミスター・エジソン。」

 

「…何かな、フレイムスピリットガール。」

 

フレイム…?そういえば、星乃さんが“貴女の魂はまるで静かに、でも確かに燃え盛る炎みたいだね。みんなが集まる憩いの篝火、って感じかな?”って言ってたっけ。

 

「……行ってきます。1%の閃き(世界を救う一手)を探すために。99%の努力(九十九の欠片)を無駄にしないために。……焼却された世界(たった1つのパズル)を、取り戻す(完成に導く)ために。」

 

「……その、言葉は…」

 

「それと───来て、“ありす”!」

 

私の言葉に召喚が成される。そのカタチを成したのは───青いドレスの幼女、“ありす”さん。サーヴァントとしての真名は、“ストーリーズ・ライブラリ”。あらゆる物語を詰め込んだ書庫。簡単に言えばインデックスさんみたいな感じ。

 

「こんにちは。」

 

「君は……?」

 

「あたしはありす(あたし)。ねぇ、おじさま。おじさまってエジソンなの?」

 

「う、うむ。」

 

「ふーん……」

 

なんだろう。いつもより話し方が幼い気がする。ありすさんはエジソンさんをじっと観察する。

 

「……」

 

「な、何かね?」

 

「……カッコ悪い

 

「…む?」

 

エジソンさんの聞き返しにありすさんが叫ぶ。

 

ありすが読んでた本に出てきたエジソンと違ってすっごくカッコ悪い!

 

ガァァァァ!?

 

「……うわぁ」

 

あれって男の人には致命傷じゃない?女の子に、それも“エジソン”に憧れる年頃の姿をした子にそう言われるのは相当キツいと思うんだけど。

 

「……致命傷か。」

 

「風邪薬とかにもなるような一言だと思うよ、あれ。元々言おうとは思ってたけど、とりあえず1件言ったあとはありすさんに任せようと思ってて、私が思ってるのじゃなかったのなら改めて言おうと思ってたんだけど……必要なさそう。」

 

ありすさんの表情を見ると、すごくスッキリしたような表情をしていた。……あぁ、ありすさんもだけど英霊本体の“ストーリーズ・ライブラリ”の方も我慢できなかったんだね。

 

『……昔の…ムーンセルにアリスといた頃の口調なんて久しぶりに使ったわ。』

 

『あ、だから…』

 

『…ちょっと恥ずかしいわね、これ…さ、あたしの要件はこれで終わり。あとはお願いね?』

 

私は頷いてありすさんをカルデアに送還した。

 

「行きましょう、カルナさん。」

 

「あぁ…的確な処方、感謝する。正門まで案内しよう。」

 

「みんなも、行くよ?」

 

「はい、ドクター。的確な処置、お見事です。」

 

ナイチンゲールの言葉に小さく笑ってから私達はカルナさんについていった。

 

 

 

───それで、現在に至る。

 

「驚いたのはナイチンゲールが動かなかったことだ。エジソンが愛国者であると知ったとき、動くものだとは思っていたのだが。」

 

「…ドクターに迷惑はかけられません。それに、何故かは分かりませんが……不思議と冷静でいられたのです。」

 

「…そうか。」

 

「カルナ様」

 

機械化兵士の一人がカルナさんのもとにきた。

 

「こちら、依頼されたものになります。」

 

「あぁ、すまない。下がっていい。」

 

「イエッサー。」

 

そう言って機械化兵士は城に戻っていく。

 

「…さて、藤丸リッカ。これが今把握しているサーヴァント達の資料だ。先の契約に基づき、これをお前に渡そう。」

 

資料を受けとり、ざっと目を通す。

 

「……なるほど。ありがとうございます。」

 

「何。此方の非礼の詫びだ。文句は言わん。というか、言わせん。」

 

「ふっ、真面目なことよな。」

 

「……お前も、随分と穏やかになったものだ。」

 

「気になるものは見つけたのでな。」

 

「…そうか。」

 

ふと思い出したように私の方を見た。

 

「もう1つ、これは個人的にだが…指針のようなものを送ろう。その資料を見てもらっても分かるだろうが、この大陸には、オレ達アメリカとあちらのケルトの二勢力に与さず、反抗する“レジスタンス”がある。もしかしたらお前達の力になるかもしれない。」

 

「……分かりました。」

 

「……では失礼する。」

 

そう言ってカルナさんは去っていった。

 

「さて、どうするかね、リッカ。」

 

「……とりあえずレジスタンスを探すしかないかな?」

 

「うむ、構わん───どうした、リューネ?」

 

リューネちゃんが空を見上げている。釣られて私も空を見上げる───あ。

 

「……あの光帯ここにもあるんだっけ。」

 

そういえばそうだった。リューネちゃんが気にしてたのってこれ?

 

「あぁ、いや…翼の音が聞こえたのでね。…気のせいか。」

 

翼の音、か……それはそれとして。

 

「……そこにいる人は誰ですか?」

 

周辺の草むらに声をかける。

 

「…すまない、もうしばらく移動してもらえると助かる。現時点で敵となっている軍勢の目の前で姿を現すのはただの愚行なのでね。」

 

…それも、そうか。ということは……この人はレジスタンスかな。

 

「場所が場所だ、姿は見せられないが名乗ろう。…“ジェロニモ”。そう呼んでくれ。」

 

……ジェロニモ……対白人抵抗戦である“アパッチ戦争”に身を投じた戦士、か───




紙の太刀・絶閃

自らの周囲に不可視かつ非殺傷の斬撃を作り出す術式の一種。無生物には斬撃の傷となるが、有生物には打撃の傷となる。


紙の太刀・昏閃

自らの周囲に不可視かつ非殺傷の斬撃を作り出す術式の一種。あらゆる防御を貫通し、意識を昏倒(スタン)させる。簡単に言えば相手全体スタン攻撃。


裁「月さんの術だっけ、これ。」

月「……私の術ってわけでもないですよ、これ。私が教えただけです。」

イ・プルーリバス・ウナム修正後に召喚するサーヴァントは?

  • 槍兵、魔術師、剣士
  • 剣士、剣士、魔術師
  • 魔術師、槍兵、槍兵
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