狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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ん~……観測が安定してないなぁ……

裁「たまに不鮮明になるよね。」

そうなんだよねぇ……


第260話 状況把握

閃光が収まって視界を取り戻した時、私達は町の中にいた。

 

〈なぁ…っ!?いつの間に転移した!?魔力反応は感じられなかったぞ!!…いや、まさか……!〉

 

お兄ちゃんの言おうとしてることは何となく分かる。魔力ではないものが術式に使われているなら、それはカルデアで感知できるか分からない。

 

〈それと───さっきの巨大な魔力反応がまた君達の方に向かってきている!気をつけて───〉

 

「───警戒する必要はないですよ」

 

ドクターの言葉が終わるより前に、頭上から声がした。その声に私が空を見上げると───

 

「お兄ちゃん!空から女の子が!!」

 

〈ネタ発言してる場合か───マジじゃねぇか!?〉

 

〈どういう状況よ!?〉

 

「そんなの私が聞きたいよ、マリー!」

 

なんでアニメみたいな───ってそれどころじゃないよね!?

 

「ミラちゃん!」

 

「フェナンッ!」

 

ミラちゃんの声にフェナンさんが飛んでくれる。私は空を見上げながら女の子が落ちてくる場所に合わせる。

 

「リッカさん、これを使って!」

「先輩、私も協力します!」

 

ナーちゃんが毛布を出してくれて、マシュがそれを開く。私はマシュの反対側を持って待つ。

 

「……はぁ」

 

月さんがため息をついた?それはともかく、女の子はそのまま落ちてきて───

 

「よいしょっと」

 

「「「「───え?」」」」

 

「……」

 

彼女は布団に触れる前に、その場で浮いた。

 

〈空中浮遊……?待て、魔力が感じられねぇ…!ってことはこれは月と同質の……!?〉

 

「………能力“飛来”。制御面倒くさいのは分かりますけど、自由落下は他人を驚かせますからやめた方がいいですよ、多分。」

 

「……みたいですね。…分かってたんですけど、やっぱり制御面倒なので…それだったら、自由落下の方が楽ですから…」

 

「……え?」

 

女の子が苦笑いしながら月さんと話してる…?

 

「…それで、あなた達がジェロニモさんの探していた人達ですか?」

 

その言葉に顔を見合わせる。

 

「あぁ、彼らが私の探していた者達だ。…彼らは?」

 

「まだ生きています。…ごめんなさい、本来なら私でも治療できるはずなんですが…」

 

「いや……構わない。案内して───」

 

「待たれよ!」

 

その場に響く大声。上空をみると、ギルが落ちてきて───ううん、降りてきている、が正しいんだと思う。

 

「ふっ、間に合ったか。」

 

「ギル?サーヴァント達の確保はできたの?」

 

「案ずるな、既に終わっている。時間が余った故に様子を見にきたのだ。」

 

早いなぁ…

 

「…む?………ほう?貴様、生身だな?」

 

「……え?」

 

女の子が…生身?

 

「……」

 

「やれやれ、不思議なものだな。此度のマスターは生身の存在を召喚することが多い。…で?貴様のクラスはなんだ?」

 

「…セイバー、です」

 

セイバー…か。剣は…見当たらないけど。

 

「……行きましょう、ドクター。こうしている間にも…」

 

「うん、そうだね。ええっと…セイバーさん。負傷している方の元へ案内してくれますか?」

 

「……分かりました。ご案内します。」

 

そう言って女の子───セイバーさんは町の中に向けて歩いていく。私達もフェナンさんから降りて後を追う。

 

『……月さん』

 

『…どうしました?』

 

『あの子……お知り合いですか?』

 

『……えぇ、まぁ。』

 

だからか……さっき、少し親しそうだったの。

 

「アカ!無事だったか!」

 

「私は大丈夫です。…それより」

 

「あぁ…サーヴァントの生命力は凄まじいな。無事とは言い難いが、まだ2人とも生命活動は続いている。…というか、いくらサーヴァントとはいえあの状態で生きているのは……」

 

「……どのみち、急いだ方がいいかもしれませんね。」

 

「あぁ…いつ命の灯火が消えるかも分からない。我々全ての命の恩人だ、どうか…」

 

「……こちらへ」

 

セイバーさんの案内についていくと、簡易的な病室…のような場所にたどり着いた。

 

「…随分整備されていますね。」

 

「できる限り清潔な状況を作れるように努力しましたので。…できるだけ少人数でお願いします」

 

その言葉にナーちゃん達には外に出ててもらう。…月さんは頑なに譲らなかったからこっちが折れることになったけど。どこから調達したのか分からないカーテン。閉まっているカーテンの1つから呻き声がする。

 

「……調子は如何ですか?」

 

セイバーさんがカーテンを開けて声をかける。その奥にいた、赤い髪の男の子がこちらを向いた。

 

「あぁ……アカか。結果など、分かっているだろう……」

 

「失礼しました。……」

 

セイバーさんが小さく何かを呟く。それと同時に傷が修復されていく───

 

「ぐっ……!」

 

「…ごめんなさい、痛いでしょうけど、今の私にはこれくらいしか……」

 

「いや……すまぬ、余も大人げなかった……な゛あ゛っ!!」

 

「ご、ごめんなさい!大丈夫でしたか!?」

 

「よ、よい……気にするな。」

 

「……この人の治療を、お願いします。」

 

セイバーさんはそう言って彼から離れた。

 

「…こんな、無様な姿で申し訳ない、が…お初にお目にかかる…英雄王ギルガメッシュ。余はコサラの王、“ラーマ”……以後、よろしく頼む…」

 

「ふむ…なるほど、戦力としては申し分ないな。ナイチンゲール、診断はできているか。」

 

「既に。…ですが、申し訳ありません。私では治すことが……あなたは治すための器具をお持ちですか?」

 

「さて、どうだかな…」

 

「……ふ……余よりも重症なのはそこな垂幕の奥にいる娘だ。彼女に比べれば、余など……ぐっ。」

 

「無理して喋らないこと。あぁ、もう…傷が開いています。」

 

ラーマ…確か、インドの二大叙事詩の片割れ、“ラーアーヤナ”の主人公…だっけ。

 

「ふむ、ならば時間はないな。手早く終わらせるべきであろう。…ミラは別の治療に行ったことであるしな。」

 

「あぁ…!かの英雄王ギルガメッシュとアルスターのクー・フーリンが協力してくれるとなればなにも憂いはない…!いや、クー・フーリンがいると知ったときは肝が冷えたが、味方であれば心強い…あれの恐ろしさは余と彼女がよく分かっているからな……」

 

「……底の抜けたバケツ、程ではないにしろ油断は許されません。先程の彼女の術式が常に効いているのか、大分進行は遅いですが気を抜けば心臓の崩壊が始まります。」

 

「…ドクター。セリアさん。」

 

〈あぁ、こっちでも観測できている。ボクの言い方に腹が立っても何も言わずに聞いてくれよ?〉

 

そう言って一呼吸おいてからドクターが口を開く。

 

〈単刀直入に言って、彼───ラーマは既に死んでいなければおかしい状態だ。クー・フーリンのゲイ・ボルクは因果逆転の呪槍、エミヤ君曰く“心臓に中ったという結果が在ってから投げる槍”とのコトだからね。聖杯で狂ったクー・フーリンならまた色々変わってそうだけど……〉

 

「……続けてください」

 

〈お、おおう……で、彼はそれを無理矢理逆転させている。どんな形でかは分からないけど、その気合いだけで因果を再逆転させるのは並大抵の気合いじゃないはずだ。〉

 

「当然…だ…!余は、死ぬわけにはいかん…!彼女と…我が妻“シータ”と会うまでは……!!」

 

その言葉が放たれたとき、この町にいた傷ついた獣魔───水蛇竜“ガララアジャラ亜種”の治癒をしてたミラちゃんが不意にこっちを振り向いた。

 

〈ギルガメッシュさん。彼の余命の推測ができました。〉

 

「告げよ。」

 

〈恐らく4時間。呪詛を取り除かなければ治療しつづけたとしてもその辺りが限界です。〉

 

「4時間…それだけあれば間に合うな。ルーパスとリューネも戻ってくるであろうよ。」

 

…ん?

 

「あれ、ギル。ルーパスちゃんとリューネちゃん、一緒じゃないの?」

 

「“龍気のある場所を見に行く”と言っていたのでな。もしものために母を喚ぶ令呪を渡しておいたゆえ、問題なかろう。」

 

そういうものかな…?

 

「さて…これから施術に入る。席を外せ、ナイチンゲール。」

 

「分かりました。…英雄王」

 

「む?」

 

「…彼の“生きたい”という願いを無に還さないようにしてください。」

 

「分かっている。」

 

ギルの言葉を聞いたあと、ナイチンゲールは退室していった。

 

「さて……取りかかるとするか。」

 

「ありがたい…」

 

「……その前に、1つ問おう」

 

「…?」

 

ギル?

 

「貴様の求める妻、シータの位置は掴んでいる。」

 

「何…!本当か!?」

 

「アルカトラズ島───そう呼ばれている場所に囚われているようだ。空いた時間にて我が眼、リューネの耳で確かめたゆえ、間違いはないであろうさ。」

 

「あぁ……シータ……ようやく…」

 

「……逢うことが適わぬのは、貴様がよく分かっているだろう。その呪縛───生半可なものではないな?」

 

「……」

 

ラーマさんの呪縛……確か。

 

「“離別の呪い”……」

 

「…余とシータを引き裂く呪い。それがある限り、余とシータは決して巡り逢えぬ……それは、余が一番分かっている。」

 

離別の呪い。…ラーマーヤナによれば、猿同士の戦いに横槍を入れ、それで命を失った猿の妻がかけた呪い。…サーヴァントでも、それはあるんだ。

 

「ならば、貴様は何のために戦う?悲恋を謳う己に酔うためか。それとも世界を救う大義から逃避し、あわよくば巡り逢うためか。」

 

「……」

 

「その程度であればいらん。貴様を治す財があったとしても使う価値などない。」

 

「……」

 

呆然と天井を見つめるラーマさん。

 

「告げよ、望みを。」

 

「余は……余は……世界を救うため、民達を救うためにここにいる……」

 

「……」

 

「だが………本当は……のだ。」

 

「……なんだ?」

 

ギルが膝を折ってラーマさんと目線を合わせる。

 

「思うがままに告げるがいい。我が許す。」

 

「本当は……本当は、“僕”は……」

 

涙を浮かべながら言葉が紡がれる。

 

「………会い、たい…会いたいんだ…!会って僕は、できることならシータと共に生きていたい…!」

 

「……」

 

「ずっと、ずっと謝りたかった…!僕の過ちを!シータと離れるきっかけを作ってしまった僕をどうか許してほしい……!会って触れたい、抱き締めたい、話がしたい…!それだけが僕の望みで、僕の生きる理由なんだ…!今、この世界に…!この世界に、シータがいるのに…!また、巡り逢えないなんて…!そんなの───っ!」

 

激痛が走ったようで、ラーマさんの言葉が止まる。

 

「……もうよい。しばし体を休めておけ。」

 

「……はぁ……はぁ……」

 

「……さて。」

 

ギルが私の方を向いた。

 

「マスター。方法はあるか?解呪の方法は。」

 

「え……」

 

「こやつは望みを示した。ならば応えてやるべきだろう?」

 

そう言ってギルが笑う。

 

『傷……呪い……リッカ。あの男、コードスキャンしてみて。』

 

「……わかった」

 

ネアキちゃんの言葉に従ってラーマさんをコードスキャンする。

 

「……何、これ」

 

そのメンタルマップに、特殊コードが───4つ。“傷”、“呪縛”、“病”、“離別”。こんなの、どれから解除すれば───




うーん、無理矢理調整した感。

裁「あ、そうなんだ…」

運命の選択 ラーマの特殊コードの解除

  • ゲイ・ボルクに関係のあるコードのみ
  • 生前の呪い含めた全てのコード
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