狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い 作:Luly
裁「クーかぁ…」
アメリカ東部。ワシントンD.C───
「……俺が寝ている間に、ずいぶんとヤバイ状況じゃねぇか。なんで起こさなかった、メイヴ。」
「起こしたわよ!なんども起こした!」
「ディルムッド、マックールだけならずベオウルフまでやられ…さらに各地のはぐれどもはあっちに吸収されるとはな。考えうる限り最悪の状況だろが、くそったれ。」
「伝えてきた兵士の話ではベオウルフのいた所に“赤い彗星”が落ちた、って話よ。」
「赤い彗星…おい、アルジュナ。」
「えぇ。…恐らくは、私が撃ち落としたあの彗星でしょう。なるほど、確かにアルカトラズの方へ落ちたのは見えましたが…」
その後、赤い彗星がどうなったかは誰も確認していなかった。
「ちっ、確認しておくべきだったか。」
「まぁ、大丈夫でしょう。それよりもクーちゃん!」
「あ?」
メイヴが告げる、次の行動は───
「パレードをしましょう!」
「…」
クー・フーリンの表情がさらに不機嫌そうになった。
side 月
「おーおー、やってらぁ。」
「暢気に、というわけでもないんでしょうね…恐らくは士気を挙げるための策。それでいて、自らが楽しめればいい、という感じでしょうか。」
「まぁ、メイヴだからなぁ。」
私の能力である移送能力を使った空中からの観測。そこには、パレードを行う女王メイヴさんと虚ろな目のクー・フーリンさんがいた。
「つーか便利だな、コレ。どういった理論で動いてんだか。」
「さぁ…私も理論そのものはよく理解できてませんからね。恐らくは私達の肉体を量子レベルまで可逆圧縮して、空間と空間の小さな隙間、原子と原子の隙間を通れるようにしてるんでしょうけど…」
「わっかんね。」
「ですよねー…」
分かっていたことではあるけれど、私達の術式、能力、その他諸々理論が他人にとって理解不能なものが多すぎる。理論を説明できない状態で使っているのもどうかとは思うけれど、こればかりは感覚なんだよね…
「じゃあ、行きましょうか。」
「おう。コンラ、ロイグ、スカサハ。足元に気を付けろよ。」
「は、はい…」
「誰に言っているのだ、誰に。」
その通りだから何とも言えないんだけど…と思いながらレバーから手を離す。
「拡大!」
クー・フーリンさん達の姿が消える。けど、私にはどうなっているか把握できている。
「展開!」
風。外界の空気に曝されながら、私達は空中から降下する。
「二十四時間奉仕できることを光栄に思いなさい!二十四時間隷属することを歓喜に思いなさい!」
声が聞こえる───背負う剣に魔力を通す。
「正義も名誉も栄光も、全て私達のもとへ!そして高らかに称えなさい!メイヴちゃん、サイコー!」
「「「「「メイヴちゃん、サイ───」」」」」
「───リリース・リコレクション。お願い───」
声が、終わる前に───剣の記憶を解放する。
「───“血涙ノ雨傘”」
「───!?」
途端にその場に降り注ぐ血の雨。その血の雨は、周りにいた兵士達に降り注ぐ。
「よう、メイヴ。相変わらず派手にやってんな。…そっちの俺も、ご苦労なこった。」
「───う、そ」
先に降り立った私の隣にクー・フーリンさんが降り立つ。
「…陽のクー・フーリン…ちっ、道理であいつらが簡単に逝くわけだな。…そして、聖杯か。」
「おう。気持ちのいい願いをしてくれた嬢ちゃんがいてよ。んだもんで、今の状態に至ってるわけだ。ヘラクレスも言ってたがこの“ハンター”のクラスは異常だな、おい。」
リッカさんの願いに応え、自由な戦士となったクー・フーリンさん。そして、メイヴさんの願いに応え、残酷な狂王となったクー・フーリンさん。…その在り方は真逆、か…
「「「「「女王の道を阻む無礼者め!」」」」」
そんな声が聞こえて私達の方に襲いかかる影。
「おーおー、元気なことだ。戦いに来た訳じゃねぇのによ……いや、無理な話か。テメェの子だ、テメェ以外の指示なんざ聞くわけねぇか。」
「ダメ、子供達───!」
「───任せるわ、月。」
「はい」
クー・フーリンさんの声に合わせて加速倍率5,000倍まで加速。それからスローイングピックを3本ずつ投擲。
「───“チェーンバースト”」
最初に投げたピックが刺さったのを確認してから連鎖炸裂の式句を告げ、元の位置に戻って加速を終了する。ついでに敵意を向けなかった人達を除いて“血涙ノ雨傘”の力を2段階引き上げる───
「───!」
兵士達が順に爆発していき、それをみた女王の表情が驚愕に染まる。私達に襲いかからず、しかし敵意を向けていた兵士達はその場で倒れた。私は私で自らの状態を確認する───まだ、動ける。
「おいおい、すげぇ速度で動いてた割には周囲への影響ないじゃねぇか。どうやってんだ、まったく。」
「結界の応用ですよ。」
「……クー・フーリン、そして名も知らない小娘…あなたは……」
「三日後だ」
クー・フーリンさんはそう告げる。
「三日後に、テメェらの首を獲る。生き残りたけりゃ精々足掻け。…特に、そこの悪趣味なオレ」
クー・フーリンさんが狂王を指す。
「テメェはオレが殺る。性分に合わねぇ王の座なんぞ、オレがぶっ壊してやる。」
「……オレが、三日も待つと思うか?」
「んだよ、待てもできなくなったのか?心配すんな、コイツが嫌でも待たせてくれるからよ。」
そう言って私を指し示すクー・フーリンさん。
「…お前は?」
「…あなたに殺されかけた少女の、高祖母です。…肉体的なものではないですが。私の力が尽きようとも、貴方を3日、ここに縫い止めます。…それから」
「あぁ、私もやろう。」
現れる姿───影の国の女王“スカサハ”さん。そして、他のケルトサーヴァント達。
「……最悪だな」
「女王、メイヴ…!父の、仇…!」
「クーちゃんの息子まで……え、息子?え?」
「落ち着け、コンラ。…クー・フーリン。お前がそのようで、俺も悲しい。」
「…生憎と、これ以外王の在り方を知らん。」
「そのようだな。」
「……つーわけで。三日後に全力でぶつかろうや。力も策も何もかも全部、俺たちがぶち抜いてやるよ。」
「……わかったわ。三日後、それでいいのね。」
メイヴが折れた。ということは、交渉は終わりを迎える。
「おう。それまでに準備を整えておけ。」
そう言って女王に背を向ける。
「んじゃ、帰るぞ」
「うむ。」
「「はい。」」
「あい分かった…ケルト兵が皆動かんのだが。」
「呪詛の雨でしたからね。敵意を持っていた兵士には昏倒の効果にし、持っていなかった兵士には金縛りの効果です。」
そんな話をしながら帰路に着く───
「───待って」
「……あん?」
女王の声に振り向く。
「1つだけ、聞かせて。…あなたのマスターは、女性?」
「……おう。とびきりのいい女だぜ?先約がなけりゃ近い将来襲ってたんだがよ。」
「お主な…」
「あはは…」
私が乾いた笑いを出すと女王が動いた。
「そう…なら、これを渡してちょうだい!」
そう言って、投げつけられたもの。彼女の───手袋。
「“クー・フーリンの心を奪う”───私にもできなかったそれを成したその女に決闘を申し込む!私以外の女を選んだ、クーちゃんが間違っていたってこと、見せてあげるんだから!」
「……おう」
その泣き腫らした目に、何かを言う人はいなかった。
「……行くわよ、クーちゃん!帰って準備しなくちゃ!」
「…おう。」
私達はそれをしばらく見守っていた。
血涙ノ雨傘
血のように赤い刀身から付けられた銘。どこかの地蔵が大本になったとの噂がある。記憶を解放すれば“血の雨”の形で呪詛、もしくは斬撃、銃撃等が降り注ぐ。
あーもうほんと時間が…
裁「最近不調だね」
今日に関しては実質12:00まで寝てたようなものだから…
イ・プルーリバス・ウナム修正後に召喚するサーヴァントは?
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槍兵、魔術師、剣士
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剣士、剣士、魔術師
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魔術師、槍兵、槍兵