狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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(るな)「…短めではありますが話の続きといきましょうか。…その第一に創られた世界は、長くは続きませんでした。」

裁「続かなかったんですか…?」

(るな)「えぇ…骨組みの弱さ、とでも言いましょうか。それ故に第一の世界は長く続かず、早い段階で崩壊の道を辿ったのです。」

裁「……崩壊…」

(るな)「その後、作られたのは第二の世界。時期は……その人間が齢13の頃ですか。材料に使われたのは、“自身の欠片”。」

裁「欠片?」

(るな)「自分そのものではなく、自分の一部を埋め込んだのですよ。…それが、第二の世界の始まりでした。」


第281話 異変

ドォォォン!

 

 

爆音と、閃光。それは、遠く離れているはずの私達の場所まで届いていた。それに対する反応はまさしく異口同音。

 

「あの場所は……マスター…!」

「マスター…!」

「リッカ殿…!」

「リッカさん!」

「…!嘘でしょ…リッカ!」

 

あの場所は、リッカさんの戦っていた場所。その場所で爆発が起こったということは───

 

『……ユナさん』

 

……違う。まずやらないといけないのはリッカさんが無事かどうかの確認。それを伝えるためにユナさんに思念を送る。

 

『今調べてるわ。…いた!五体満足で生きてるわよ!』

 

その言葉にその場にいた全員が安堵でため息をつく。

 

「とはいえ、何が起こったか分からんな。…いち早く回収したいところではあるが……」

 

「なら、あたしが───」

 

七海さんがそういった直後、私の索敵に反応があった。

 

「魔力反応出現───ちょっと待って、数が多い…!?」

 

「今、()()()()()()()よお姉ちゃん!」

 

理紅が言ったいきなり現れた魔力反応。その言葉にその場にいた全員の表情が強張る。

 

「普通に考えてこんなにいるはずない!100万の魔力反応が唐突に現れるなんて───」

 

あり得ない。…そう、言おうとしたけど。

 

「……」

 

心当たりがあった。いくつかあるけど……この増殖速度は…

 

「……理紅」

 

「お姉ちゃん?」

 

「禁じ手の発動準備、少しだけ任せてもいい?」

 

私の言葉に彼女は頷いてくれた。それを見て、私は立ち上がってウインドウを開く。オブジェクト化したのは───2本のダガー。

 

「…“サリー”さん。貴女の力、少しお借りします」

 

魔力反応は今も増え続けている。呟いたあと、私は壁に空いている大穴から───そのまま、身を投げる。

 

「香月!?」

 

ルーパスさんの声が聞こえる。当然だけど、自殺するつもりなんかじゃない。地面に近づくごとに私の視界に映る世界は速度を落としていく───

 

「───“超加速”!!」

 

思考加速状態からサリーさんのスキルである“超加速”を発動させる。敏捷値(AGI)1.5倍のこのスキルは私の行動速度、思考速度を1.5倍にする。接地する直前に自らの能力である“飛来”を用いて現れていた魔力反応の首元に一閃。

 

「──!」

 

崩れたのを確認して次の目標に襲いかかる。今度はダガーを交差させて敵の首元に近づけ、引き裂くかのように切り落とす。

 

「この感じ───」

 

敵を斬ったときのこの手応え。…この、魔力。覚えがある。その手応えは一度置いていくとして、超加速が切れるまで周囲の敵を斬り倒す───その数、1,200。それくらい斬って、やっと超加速が終わる。

 

 

ドドドドドドッ

 

 

それと同時に大量の武器が敵を潰していく。恐らくはギルガメッシュさんのだ。とりあえず、状況は理解できたので理紅達のところに戻ることにする。

 

「戻りました」

 

「やれやれ、戻ったか。…ぬ?」

 

ギルガメッシュさんが疑問気な声をあげる。…それはそうだ、だって───

 

「なんだ、これは───減るどころか増えているだと!?」

 

武器の大量放出、私の超加速狩り……それを使っても減るどころか増えている魔力反応。

 

「……お姉ちゃん。“死霊魔術(ネクロマンシー)”、だよね?」

 

「正解。……」

 

理紅の言葉に頷いてから遠くを見つめる。

 

「……いるんでしょう。“ルシャ・ネクリス・ラプラーシア”」

 

そう呟いたとき、私の眼が藍色のフーデッドケープを着た小柄な人型を捉えた。そしてそれと同時に、見えている口許がニヤリと笑ったのが見えた。…間違いない、あれがルシャだ。姿が変わっても明確に分かる。私自身、死霊魔術は嫌いじゃないけど……でも、コイツの死霊魔術だけは嫌い。

 

「概念的な死であればどんなものですら利用する外道死霊術師(バッドネクロマンサー)。利用するためなら例えそれが自分のものだろうと躊躇なく殺す。利用すると決めたなら潰れるまで使い潰す───」

 

魔力反応。増えているのは間違いない。だけど、そのうちのいくつかは今さっき私とギルガメッシュさんが倒したものを復活させたもの。

 

「…香月。聞かせよ、あれはなんだ。貴様は知っているのだろう?」

 

「……死霊魔術。とある知り合いの死霊魔術ですよ。…知り合いといっても、敵ですけどね」

 

そう吐き捨てるように告げてから理紅の方を見る。

 

「まだしばらくかかるよ、お姉ちゃん。」

 

「……そう。…皆さんに、お願いがあります」

 

そう言うと、その場にいた全員が私の方を向いた。

 

「時間を、稼いでほしいんです。…私達の禁じ手の発動準備が終わるまで。」

 

「…ふむ?“死霊共を一掃しろ”、ではないのか?」

 

「えぇ…この術式は無限に生き返る死霊の軍勢。“我等死の軍勢、悪夢の如し(ナイトメア・デスマーチ)”…それが、この術式の名です。この術式を止めるには、魔力の元を断つか魔力そのものを殺すしかありません。」

 

「…一掃するだけではダメか。」

 

「相手が自分の損害を考えない、使えなくなったらゴミのように捨てるような奴なので一掃するだけでは効果がありません。」

 

「……そうか。ならば破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)はどうだ?」

 

ルールブレイカー…か。

 

「無理ですね。あれは宝具クラス、ルールブレイカーで無効化できるようなものじゃありません。さらに言えば別の複数の場所から魔力を繋いで術式を構築してる上に奴の術式展開速度が早いので1度無効化しただけなら即座に張り直されます。」

 

「ふん、面倒だな。…分かった、時間は稼いでやろう。」

 

それを聞いて私はギルガメッシュさんにお辞儀をする。ふとルシャの方を向くと再度奴はニヤリと笑ってフードを取った。

 

「…!」

 

緑色の髪。小柄な少女。赤色の、眼───

 

 

ギリィッ…!

 

 

「…!?お、お姉ちゃん…?」

 

驚いたような理紅の声。

 

「い、今の歯軋り…お姉ちゃんの…?」

 

歯軋り?…あぁ。無意識にしてたみたい……

 

「……理紅、早めに組み上げるよ」

 

「う、うん…!」

 

『たす……けて……』

 

『うぅ……気持ち、悪い……』

 

聞き覚えのある、2つの声。……彼女達が使()()()()()()ことに、悲しくなると同時に怒りを覚える。

 

「……待ってて。絶対、助けるから。」

 

そう呟いてから私は高速組み立てに入った。戦いを表してなのか、周囲には“longing”が流れている───




ルシャ・ネクリス・ラプラーシア(Rusha Neclis Laplacia)

香月が毛嫌いしている外道死霊術師(バッドネクロマンサー)。現在は…何処かで見たような緑色の髪の小柄な少女の姿をしている。死霊大量召喚による軍勢戦を主に使い、死霊達を道具としてしか見ていない。その死霊がなんであろうと利用し、特に相手に関係する死霊は嬉々として用いる超の付くドS(というか鬼畜)。眠る霊達を無理矢理起こす彼女の死霊魔術を嫌うものは多く、香月はその最たる者。なぜなら通常の死霊魔術は術師が望み、霊が応えるものであるからだ。彼女の意思以外が介入しない利己的な死霊魔術を嫌うのも無理はないと思われる。


そして、香月が彼女を毛嫌いしている原因だが。“相手に関係する死霊を嬉々として使う”点にある。友人が傷つくことを、友人が自分の意思と関係なく利用されることを嫌う香月は彼女の性格と真っ向から反発する。“生物”を“物”として扱うことに抵抗がないどころか、嬉々として物のように扱う術者であるため、香月との性格の相性はすこぶる悪い。


その正体は怨霊に近い霊魂。死霊魔術師の力を持った魂。自らに合う“器”を見つけ、使い潰すことで悦楽を得る快楽主義者。幾度となく殺そうとも蘇る死霊術の不死魂(ネクロマンス・アンデッドソウル)。既に本来の肉体はなく、今回現した姿ですらただの“器”にすぎない。“ルシャ・ネクリス・ラプラーシア”とは魂の名にすぎず、今回の肉体は“死霊魔術師”という名の別個人でしかないのだ。器に罪はないが、魂が行ったことを器の罪だとされることがかなり多い。


(るな)「……あぁ、この人ですか」

裁「知ってる人ですか?」

(るな)「いえ…ですが、香月さんなら知ってるでしょう」

裁「…?」

(るな)「香月さんは()()()()()()()()()と友人でしたから。」

裁「器…?」

(るな)「えぇ…彼女、“死霊魔術師”さんと。」

裁「えっ…!?」

(るな)「……友人だったといっても、香月さんがいる世界線での話です。お母さんは知り合いでもなんでもありません。…深く話しすぎるとどこかから怒られそうですから、あまり言いませんが。」

裁「……その、どうして……知り合いだったんですか?」

(るな)「……香月さんはお母さんとよく似ています。…でも、決定的な違いがあります。」

裁「それは…?」

(るな)「行動力…自分の望みを叶える力。」

裁「行動力……」

(るな)「えぇ。それと同時に、彼女はお母さん以上に自分の望みを叶えるための環境に恵まれた。…だから、お母さんが未だに出来ていないことすら成せてしまっている。」

裁「環…境…」

(るな)「そして…それゆえに“器”となった彼女のような友人がいる。」

裁「……“器”……さっきも言ってましたけど…どういう?」

(るな)「姿は確かに彼女。…でも、その“中身”は違うんです。中身に居る者こそ、“ルシャ・ネクリス・ラプラーシア”。香月さんが毛嫌いする、“外道死霊魔術師(バッドネクロマンサー)”。香月さんはその性格上、友人の霊が望まないのに無理矢理動かされていることが嫌いなんです。」

裁「望まない…って…なんで分かるんですか?」

(るな)「…簡単なことです。香月さん自身も死霊魔術(ネクロマンシー)を使え、霊と対話することができるからです。…“自分の意思を以て協力している”のならまだしも、“自分の意思を押し込められて協力させられている”のは我慢ができないのでしょう。…“死霊は死霊であり、物ではない。1つの命を終え、安らかに眠る存在”。それを強制的に叩き起こし、物のように利用するルシャが嫌いなんです。」

裁「…でも、強制的に起こすのはルシャさん…でしたっけ、その人以外のも変わらないんじゃ…」

(るな)「それは……まぁ、そうですけども。要は起こしたあとの扱いの差ですよ。対話して協力してもらうか、なにも言わさずに協力させるか。それだけでも霊の忠誠だったり協力的かどうかの姿勢って変わってきます。外道死霊魔術師はルシャ以外にもいますが、その中でも一番性格が捻れてるのはルシャらしいです。」

裁「…他の外道死霊魔術師ってどんな…?」

(るな)「さぁ。ただ、外道とはいっても術者によって性格の悪さは違います。…と、いうか…正直香月さんも外道死霊魔術(バッドネクロマンシー)を使いますからね。…そもそも“外道死霊魔術(バッドネクロマンシー)”、“外道死霊魔術師(バッドネクロマンサー)”とは、香月さんも言っていた通りで、“概念的な死であればどんなものですら利用”できる死霊魔術のことを“外道死霊魔術”といいます。意味としては“本来の死霊魔術の領域を越えて機能する死霊魔術”、というところですか。」

裁「じゃあ、外道死霊魔術師(バッドネクロマンサー)=悪ってわけじゃないんですね?」

(るな)「そうなりますね。悪人の場合は“混沌死霊魔術師(カオスネクロマンサー)”…でしたかね。忘れましたけど。それと、ルシャの場合、“器”を利用するので器が持っていた能力だと思われることが多いです。…今回の“器”は“死霊魔術師”さんですからね。…でも実態は違う、ルシャが使うのは器の能力じゃなくて自分の能力がほとんどです。…これも、香月さんが嫌いな点なのでしょうね。“器に罪を被せようとする”、というところですか。」

裁「……」



※香月からの補足

通常の死霊魔術師(ネクロマンサー)は本道、つまり“死霊”のみを扱うため区別としては“本道死霊魔術師(グッドネクロマンサー)”と呼ばれます。
対して説明にもあったような外道死霊魔術を扱う術者は“外道死霊魔術師(バッドネクロマンサー)”と呼ばれます。実は民間からは外道死霊魔術師の方が呼ばれる割合が多いんです。死霊魔術の応用みたいなもので、残留思念での探索なんかができるからですね。
それで、(るな)さんが言った“混沌死霊魔術師(カオスネクロマンサー)”なんですが…これ、外道死霊魔術と本道死霊魔術のどちらもを極めた人のことを言います。該当者は私と理紅、それから姿を現していない10人…それと、あまり認めたくはないですがルシャも該当します。
では、犯罪者…もとい、ルシャみたいな“悪”派の死霊魔術師はなんと言われるかというと…“反性死霊魔術師(アンチネクロマンサー)”、または“犯罪派死霊魔術師(フェロニーネクロマンサー)”なんですね。別に犯罪を犯したとかではなく、犯罪者、もしくは犯罪者予備軍を纏めてそう言います。死霊魔術師としての明確な法律があるわけじゃないんですけど…まぁ、普通に殺人とかしたらそれは普通に犯罪なわけで。ただまぁ、基本的に“ただの悪”だったり“犯罪者予備軍”は“反性死霊魔術師”の方で呼ばれます。“犯罪派死霊魔術師”の方はほんとに重犯罪者向けって感じですか。悪だから、予備軍だからって差別するのは禁じられてたりしますけど。禁じてもそういう差別がなくならないのは何処の世界でも同じなのでしょうね。

イ・プルーリバス・ウナム修正後に召喚するサーヴァントは?

  • 槍兵、魔術師、剣士
  • 剣士、剣士、魔術師
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