狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い 作:Luly
裁「と、突然…?」
裁「原因は…分かっているんですか?」
裁「今度は…何が使われたんですか?」
「……ぁ」
意識が醒める。どのくらい、気を失っていたのだろう。
「……ったた」
痛みは走るけど、力は入る。傷は…それなりには負っているものの動く分には問題ないみたい。腕に力をいれてそのまま立ち上がる。
「……っつぅ」
再度痛みが走る。エミヤさんやアルみたいに解析できるわけじゃないけど、流石に完全に無事っていうわけじゃないみたい。手先の感覚、足先の感覚なんかはあるから四肢欠損は起こってない…と思う。そんなことを思いながら目を開ける。
「……うわぁ」
視界に飛び込んできたのは砂が剥げた大地。マリーの固有結界、第二層…流石に世界を砕くまではいかなかったけど、砂を消し飛ばして本来の地表を露出させるには十分の威力だったみたい。…というか、マリーの固有結界第二層って地表の上に砂が積もったものだったんだね。
「……!」
そんな時に、見えたもの。砂に埋もれていた地表、その地表から確かに見えた小さな“若芽色”。すぐに砂嵐で見えなくなったけど、あれは───
「───
新芽。つまり…この、砂の大地で───植物が、芽吹き始めてた。これが、何を意味するのかは…今の私には、分からない。とりあえず……
「……」
「はぁ……はぁ……」
今は、彼女の方が優先。
「……流石、サーヴァント……私の全力でもびくともしないなんて…」
「……嘘よ。貴女はまだ、全力を出していない……違う?」
「……」
“スペルカード”として見れば、隕石“ブラステッドノヴァ”は私の全力。でも、その他を含めれば……
「出し惜しむならそれで良いわよ。…その出し惜しんだ事を後悔しながら死んでいくが良いわ。」
そう言って、彼女は私に向かって踏み込む。
「……出し惜しみ、か。」
変異泥を再度纏いながら考える。手の内は明かさない方がいい。…だけど。
【ふー……“
深く深呼吸してから、片足を半歩引く。
【“
両腕を引き、真っ直ぐと彼女を見つめる。
【“
私の拳と彼女の拳が激突した瞬間───バキッ、と。嫌な音がした。───両肩、破壊。
「───!はぁぁ!!」
【──!】
肩が砕けたのも気にせずに固め技───即座に抜けて次の技を用意する。
【
「ぜりゃぁぁぁ!!」
彼女の蹴り上げに対し、私は足を少しだけ上に上げる。
【“
私が足を彼女の蹴りの足にぶつけると、パキパキッ、という人体からしてはいけないような音がした。───両脚、粉砕。
「……っ!負けられる、ものですか……!」
【
髪を狙わないでほしいとのクーからの依頼。私だって分かる、だってニキからよく言われてたし。…それでも、頭を狙うということは髪を狙うに近い───ううん、今はどうでもいい。
【“
浸透勁の要領で脳そのものに対して衝撃を徹す。徹した後さらにもう一度徹して先の衝撃に追加で起爆するかのようにさらに大きい衝撃にする。───脳震盪、発生。
「……!」
足も肩も砕け、頭を揺らされてなお動く───まだ全部は出しきれてないけど、既に半分は過ぎてる。言葉通り全部を出さないとこの人は倒せない───!
【───
クエイクイマージュ、地震の起こる原因を元にして私が作った技。───腹部、破裂。
「が、はっ…まだ、まだよ…」
【
「……っ!」
私の手を掴もうとしたところをあらかじめ準備しておいたガンドで止める。───霊基、麻痺。
【
そう叫びながら思い返すのは3日前のこと。
「
「…ほぇ?私に…ですか?」
クーとスカサハさんとの模擬戦が終わった後、私は
「…私が何か力になれるか分かりませんけど、とりあえず聞きましょう。」
「……教えてください」
「…?」
「貴女の剣を…貴女の使う流派、“昼夜天文流”を。私に、教えてください。」
私がそう告げると、
「……お願いします。」
「……」
頭を下げた私に
「ごめんなさい、できません。」
「……そう、ですか。」
その言葉を聞いて、私は車椅子を反転させる。ただのダメもとだったから断られたことに不満はない。そのまま車椅子を進める───
「───お待ちください、リッカさん」
───それなのに、
「…今、私は確かに流派を教えるのを拒みました。…ですが、私の使っている流派を学ぶなとは言っていませんよ。」
「……え?」
その言葉に
「……ちょっと、移動しましょうか。車椅子は私が押しますよ。」
「へ?あ、はい……」
私が車輪から手を離すと、
「……あなたは」
「…?」
「あなたは…私が車椅子ごと突き落としたり、目的地でもなんでもない場所に連れていったりするかもとは考えないんですね」
「え?だって、
私がそう言うと
「……どうしてそう思うんですか?」
「……勘?」
「……嬉しく思っていいのか悪いのか。分かりませんね。」
そう言って車椅子を静かに押してくれた。
「……私は…」
「…?」
「彼女達にとって、最低の親ですよ…本当に。」
「え…?」
その言葉に
「……どうして、そう思うんですか?」
「……少し、長くなりますが……いいですか?」
私が頷くと
「……ざっくりですが、こんな感じです。世界の状態を管理・維持するシステムに様々なものを追加し、彼女達を戦わせ続けているのは私です。恨まれこそすれ、感謝される理由なんて。」
「……1つ、聞いてもいいですか?」
「なんでしょう?」
「“既に何の力も持っていない”、って…どういうことですか?だって、
あり得ない、何も力を持ってないなんて。
「……あぁ…その話はしたことありませんでしたね。私は…“
「…!」
「世界の最高管理者である“
「……」
「そして…力を何も持っていないのは彼女の方。とはいえ、彼女も元々私と同じ力を持っていました。その彼女が力を失った原因は…“
「創造……」
確か、アル達が持ってる……“あらゆるものを想像通りに作り出す神の力”。
「単に“創造”と言ってもいくつかの種類があります。いくつかの例を挙げますと…人間や獣人などを創り出す“存在創造”───ユニット・クリエイション。武器、防具などの道具系統を創り出す“物質創造”───オブジェクト・クリエイション。世界そのものを創り出す“世界創造”───ワールド・クリエイション。また、新たな理を構築する“理論創造”───ロジック・クリエイション。これら創造能力の中で、彼女が力を失う原因となったのは私達創造師の中で基本にして最も重要な創造能力。“存在創造”です。」
「…存在」
「彼女の存在創造は……いいえ、私の存在創造もですか。私と彼女の存在創造は、異質だったんです。思えば、その異質さはお母さんに似たのかもしれませんけど。」
「…どんな…創造だったんですか?」
…なんとなく、聞くのは怖かったけど。震えそうな声を抑えながら、聞いてみる。
「───“カッティング・クリエイション”」
……カット?
「裁断創造……ですか?」
「確かに言葉的には似てますが…違います。…“分割創造”、です」
分割……?
「どんな…創造なんですか?その…話したくなければいいんですけども…」
「…分割創造は、代償が必要なんです。」
「代償…」
「えぇ…分割創造は創造を行う際───
「………えっ?」
自らの魂を……引き裂く?
「具体的に言えば、自分を構成する一部を代償に創造を行わないといけないのです。自らの魂を引き裂き、その魂の形を整え、目的のものを創り出す。そんな創造です。」
「……」
「“世界を護るために共に戦う仲間を”。その一心で使い続けた彼女は…
「じゃあ…ここにいるあなたは…?」
「今までの話を聞いていればなんとなく気がついているかもしれませんが…私は世界の外側から管理していた方の“
そう告げたと同時に、
「……」
ウインドウを開き、操作する。
「……“グンツ GA9”?」
「…詳しいんですね。そうですよ、グンツ GA9。…まぁ、ちょっと改造してますが。」
そう言って
「ピギィッ!!」
「…!?」
銃口の、先。何もいなかったはずなのに、断末魔。それに…今、銃声が一切しなかった。いくら高性能なサイレンサーでも、この距離なら音が聞こえるはずなのに…!
「……残骸が狙ってたみたいです」
「今、音…しませんでした、よね…?」
「…えぇ。特製のサイレンサーを使ってるので完全無音で撃てるんですよ。」
そう言いながら
「…行きましょうか。」
そう言って
「なんか……変ですね。…うまく言えませんが、別の場所にいきなり放り込まれたような……」
「……分かるんですね。…いや、魔力持ちなら分かって当然なのかな」
その言葉に
「結界が張ってある時点で気がついていましたが、模擬戦をしてるようですね。」
「…あぁ、これ結界なんだっけ…」
そうだったと思いながら先を見る。…テントの中とは思えないほど広い。…これ、もしかして空間を広げてるのかな。ハリー・ポッターに出てくる魔法のテントみたいに。…出来るのかな、
「…こっちですね」
「きゃぁぁぁ!!」
悲鳴と同時に、こちらに赤い髪の少女───理紅さんが吹き飛ばされてきていた。
「あ、危な───」
「───もうっ!爆発強すぎ、吹き飛ばし過ぎだよお姉ちゃん!」
空中で完全静止し、吹き飛ばされてきた方向に飛ぶ彼女。その光景に、私は開いた口がふさがらなかった。
「…理紅さん達って、人間なんですか?」
「人間ですよ。異能者である以外は、普通の人間と変わりません。」
「…」
剣戟の音が響く…というか、こちらに近づいてきている。
「…近いですね。少しすればこちらまで来るでしょう。」
「「っ!!」」
緑色の髪の少女───香月さんだ。香月さんは上段からシミターを振り下ろし、理紅さんはそれを片手剣で受ける。
「“スネーク”」
香月さんがそう呟いたと同時にシミターの刀身が蛇のようにしなる。…鞭、というよりは蛇だった。その蛇は、意志を持つかのように理紅さんに巻き付いて───
「───捕まえた」
いつの間にか理紅さんの背後に回り、理紅さんの首元に短剣を添えていた香月さんがいた。
「…うぅ、降参。」
「…ええと、これで戦績どれくらいだっけ?」
「ん…どうだっけ、これでまた互角になったんじゃないかな?」
「そっか…やっぱり互角なんだよね…」
先程までの戦闘が嘘のように、武器を消して普通に話している二人。その二人の会話は、異常のようにもただの姉妹のようにも見えた。
「…香月さん、いいですか?」
「…?あれ、
「香月さん。…彼女に、昼夜天文流を教えていただけませんか?」
「「え…?」」
月さんの言葉に私も驚いた。だって私は先程断られた身。資格がないとして、断られたのだろうと思っていた。
「私では、役不足ですから。…お願いできますか?」
「教える…の、私苦手ですけど……リッカさん。」
香月さんが私の方を向いた。
「…どうして、昼夜天文流を?」
「…それは」
それは…
「…中途半端が、嫌なんです。彼女と戦うのなら、中途半端なんて駄目だと思うので。…できることは、全部。彼女と戦うのに、不安要素は出来るだけ潰して───悔いが残らないように、したいんです。」
「……そうですか」
そう言って香月さんは少し悩んだ。
「猶予は?」
「え…あと、2日くらいですか…?」
「…なるほど」
そう呟いてから香月さんは
「わかりました。引き受けましょう、鍛錬の件。」
「ありがとうございます、香月さん。」
「…あの、
私が声をかけると
「…?」
「どうして、
「…あぁ」
なるほど、というように頷いてから
「さっきも香月さんに言った通り、私では役不足だからですよ。」
「それは…私が
「…いえ。そうじゃなくて───」
「───私などではなく、
泥で構成した刀に魔力を回し、イメージを思い描く。操るは昼夜天文流が1つ。第二式、夜の技。
【昼夜天文流 夜式】
闇を含み、一撃のもとに。その太刀筋は、魔力によって光を屈折され、不可視なる。
『いいですか、リッカさん。あまり時間が無いので数技しか教えられませんが…昼夜天文流において一番大切なのはイメージです。イメージ…心意こそが昼夜天文流を成立させている重要な要素の1つ。魔力を回し、属性に変え、イメージによって本来人体が行えることを越える。それが、昼夜天文流の本質です。』
あぁ、確かにその通りだろう。要はアンダーワールドでのソードスキル、BBでの心意技と原理は同じなんだ。現実に顕すために魔力という別リソースを使って無理矢理誤認させているようなもの。
【零の型】
魔力が歪む。空間が歪む。太刀が鈍く輝きその本領を発揮し始める───
【“新月”】
彼女のその背を。その太刀は斬りつけ、
「ぐっ…!?う、動け…」
【最後───止め!!受けてみて、私の全力───!!】
泥で短剣二本を作成し、ジャックちゃんのように逆手で持つ。構えは交差、引き戻せば傷を付けられる状態。
【
狙うは、動力源。即ち───霊核。私が使う“
【───“
射程範囲になったと同時に交差した腕を正常にするように振り抜く。それと同時に、首元から切断された彼女の頭が飛ぶ。
「…ふ」
その頭の、その顔は。穏やかに、笑っているように見えた。
「───はぁ、はぁ」
そのまま、私も崩れ落ちる。鎧も解け、立ち上がろうとしても立ち上がれない。…病み上がりに、無茶をし過ぎたかな?
「…私の、負けね…」
そんな彼女の声が聞こえて顔を上げる。霊核を砕かれて、消滅寸前の彼女が、私を見つめていた。
「……ううん、違う。私の敗けだよ。」
「…?」
「だって、切り札を2つも切らされた。1つならまだしも、2つ…それも、2つめに至っては確殺を信条とする“短剣の術”を。…侮っていたわけじゃ、ないけど。あなたには、そうまでしないと勝てなかったって今なら分かる。」
派手さなど必要ない、ただ首を落とすためだけ。ただ静かに命を奪う───“暗殺”に特化した“短剣の術”。数ある私の切り札の中でも、最強クラスのカードだった。本来なら、これはゲーティアに取っておくつもりだった。…それを、引き出されたんだ。
「そう……ねぇ、一つ聞いていい?」
「…?」
「どうして、髪を狙わなかったの?」
既に消滅は始まっていて、恐らく話す時間はもう少ない。…なら、すぐに答えた方がいい。
「髪は……女性の生命、でしょ?クーからのお願いだったのと…それと、私自身もあまり狙いたくなかったから。」
「…ふふ」
私の言葉に、彼女は小さく笑った。それを見て私は彼女をまっすぐ見つめる。
「……さっきも言ったけれど、私はあなたに敗けた。…試合には勝ったけど、勝負には敗け。…だから」
少し動くようになった身体を動かし、彼女に近づく。
「また今度、リベンジさせてほしい。…今度は、試合にも勝負にも勝ってみせる。」
「……それは、こっちの台詞よ…私だって、今度は負けないわ。」
そう言って、彼女は一度口を閉じた。少し目をそらしてから、また口を開く。
「藤丸リッカ」
「…?」
「あなたも、強くなっていなさい。今度会うとき、今日と同じ程度だったら許さないわよ。」
「……」
それは…彼女なりの、応援だった。
「世界を救った後、また逢い見えるとしましょう。…だから、決着はその時に。いいわね?」
「……うん」
私が答えると、彼女は安心したように微笑んで───そのまま、消滅した。
「…私はさらに、強くなるよ。いつかあなたとまた会う日まで。全てに決着をつけられる、その日まで。」
そう告げた途端───優しい風が、一瞬だけ吹いた。
裁「あ…そう、なんだ…」
裁「そういうときはどんなカテゴリになるんですか?」
裁「そ、そうなんですね…」
裁「……」
裁「え?」
裁「ですが?」
裁「……?」
イ・プルーリバス・ウナム修正後に召喚するサーヴァントは?
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槍兵、魔術師、剣士
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剣士、剣士、魔術師
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魔術師、槍兵、槍兵