狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い 作:Luly
いや嬉しいんだけど…!嬉しいんだけどなんか怖いしすごく申し訳ない…!皆さんありがとうございます……!
「ギル!」
「戻ったか、マスター!」
クーの手をとって、私はギル達の元に戻ってきていた。
「ごめん、状況を教えて…!」
「すぐに教えよう…と言いたいところではあるのだが……すまぬ、我にも分からぬ。分かるとすれば
それを聞いて
「…“自壊プログラム”」
「自壊……?」
「えぇ…機構の基礎は私が用意し、香月さんがそれを応用して組み上げた自壊前提の危険なプログラムです。」
「え…!」
「…まぁ、彼女達からすれば簡単に耐えられるものでしょうが…」
「……耐えられると分かっていても、実際に使おうと思いませんよ。できることなら使わないでいたいのが本音です。」
「あれは…今のお姉ちゃんは、かなり危険な運用をしています。」
「…どういう、こと…ですか?」
「…リッカさんは、“フルドライブ”と“オーバードライブ”というものをご存じですよね?」
理紅さんの言葉に頷く。
「フルドライブは完全稼働…オーバードライブは過剰稼働…で、いいですよね?」
「えぇ、まぁ…合っているんですが。ざっくりと言えば通常の稼働に対して何らかの力をかけて通常以上の稼働を行わせるものになります。」
そう言って理紅さんは緑色の宝石のある杖を見つめる。
「私達が作り出したフルドライブシステム、及びオーバードライブシステムはいくつかの段階に分かれています。フルドライブシステムは6段階。オーバードライブシステムは600段階。…そうやって、段階的に圧力をかけるように作られていて……オーバードライブシステムでも足りない場合は、そのさらに先のシステム…
「足りない場合……」
「えぇ…そして、それでもまだ足りない場合は“重ねがけ”を用います。…基礎と応用。それが、私達の戦い方の基本なんです。そして…それで十分なのが普通なんです。」
そう呟いてから理紅さんは未だに音が鳴っている方を見た。
「……ただ……」
「ただ?」
「……今回に限って言えば、相手が相当悪いんです。」
「……というと?」
理紅さんは少し考えてから口を開いた。
「お姉ちゃんが今戦っている相手。アレは、私達が赴いた世界において、こう呼ばれています───“死にながら生きる伝説”、と。」
「伝説……」
「世界の歴史において───最も強く、最も長く。…最も悪い者。…“伝説の悪魔女”、“ルシャ・ネクリス・ラプラーシア”。…“ラプラーシア”というのは、約3000年ほど前に存在したといわれる死霊術研究を目的としていた1つの王族の家名です。」
死霊術……
「ふん、死霊術か。存在“した”、ということは滅んだのであろうな。言ってしまえば死者を冒涜するような術だろう、滅びたのも因果応報と言えるだろうよ。」
「それをサーヴァントであるあなたが言いますか……言いたいことは分からなくもないですけど。死霊術といってもその世界での死霊術は基本的に術者と死霊とで合意の元に成立するものです。そのあたりはこの世界の英霊召喚と似通ってるのではないでしょうか?」
「む……言われてみれば確かにそうか……令呪での強制以外はな。すまぬ、なにも聞かぬうちに決めつけてしまった。」
「……いえ、別に良いのですけど……」
「……しかし、それならば滅んだ理由が分からぬな。」
確かに……死霊を言葉通り“利用”するような術式系だったなら、反逆された可能性もなくはない。…でも、理紅さんの言葉を信じるなら合意の下に……つまりはちゃんとした相互契約の下の死霊術式。反逆される可能性は限りなく低い……はずだけど。
「昔……とある世界において、死霊術を研究、開発、運用、教導……それらをしていた王族がありました。その王族の名はラプラーシア家。今から3000年ほど前にラプラーシア家に一体何が起こったのか。」
香月さんの方を見ながら理紅さんが呟く。
「“ラプラーシア家で生まれる死霊術師に優秀でない者はいない”。そう世界中から言われるほど、ラプラーシア家とは優秀な死霊術師達の家系でありました。ラプラーシア家の者は皆優しく、民からも慕われる善き王でありました。未来永劫、ラプラーシア家とそのラプラーシア嶺の者達の安寧は続くものであると、誰もが確信していました───」
「……」
「───ですが。転機が訪れたのです。滅亡する20年程前のその日、ラプラーシア家に1人の幼子が生まれました。当時の第一王妃、ルシル・ラプラーシアが当時の王、ネクエス・ラプラーシアとの間に成し、出産した第一子。高い魔力を持ち、高い死霊との親和性を感じられる娘。周りの者は奇跡の子だ、ラプラーシアの今後の安泰が約束されたなどと盛り上がりました。」
それは……そうだと思う。奇跡、っていうレベルかは分からないけど適性が家系にぴったり合致するのは安泰を約束されたも同然……だと思うんだけど。
「しかし───娘を産んだルシルとその夫であるネクエスは浮かない顔をしていました。何故ならルシルが身籠るよりも前、二人に予言がなされていたからです。その予言とは───“お主らの間に産まれる第一子は即座に殺すべきだよ。それはラプラーシアを滅亡に導く悪魔。何千年にも及ぶラプラーシアの歴史に終止符を打つ呪いさね”。…にわかには信じがたいですが、その予言をした者は世界一有名な予言者。そんなでまかせを言うな、などと言って一蹴するにはどうしても予言への信頼に対する否定の根拠が足りなかったのです。」
世界一有名な予言者……っていうと……ノストラダムス?
「二人は深く悩んだ末───その第一子たる娘を次の子供が産まれるまでは普通に生かしておくことにしました。…その子供こそ、“ルシャ・ネクリス・ラプラーシア”です。」
「滅亡に導く……悪魔。」
本当に……何が起こったのだろう?
「……ルシャが産まれてから、数週間。───彼女の侍女の一人が、亡くなりました。」
「え…?」
「死因は“毒”。“
「「「「当時“は”?」」」」
あ、ルーパスちゃん、リューネちゃん、ミラちゃんが私と一緒に反応した……
「今は解明されてますからね。」
「そも、聞かせよ。何故貴様…いや、貴様らはそれを知っている?滅亡した王家の情報はともかくとして、闇に葬られた真相すらも。お伽噺で伝えられてるわけでもあるまいに。」
「あぁ……」
ギルの問いに納得したように頷く理紅さん。
「時間遡行…とも少し違うんですが。“その大地に刻み込まれている歴史を読む術”、というものがあるのです。それは無銘さんがよく分かっているかと?」
「アルが?」
『虹翔の奇術…五十四の式“地読歴”、ですね。術を放った場所に刻み込まれた歴史を読む術です。』
そのアルの答えに頷く理紅さん。
「その術と同じようなものを使って滅亡前に何があったのかを調べただけですね。…さて、脱線してましたけど戻りましょうか。」
う…確かに脱線してた……
「ルシャが産まれて5ヶ月が経った頃。…第二王妃、“リリス・ラプラーシア”───旧姓“リリス・リパル”が亡くなりました。ちなみにルシル王妃の旧姓は“ルシル・ネア”ですね。」
「あ、旧姓って概念ちゃんとあるんだ…」
「えぇ。お二人とも庶民産まれですね。ラプラーシア家は貴族間婚姻とか気にしない方々でしたので。」
「え、そうなの?」
「“主が気に入った者を王家に迎えよ”。それがラプラーシア家ですので。もちろん相手方は断ることも可能で、本当に普通の…現代の恋愛ゲームのような関係から夫婦になるのですよ。」
「でも一夫多妻とか認められてるなら正室と側室で喧嘩になったりしない?」
「まぁ……それはそれということで。」
あ、やっぱり仲悪いんだ……
「話を戻しますよ。リリス王妃の死因は包丁。つまりは刺殺です。第一発見者は侍女で、まず真っ先に疑われましたが侍女には動機がなく、包丁を持ち出した記録もありません。そもそも、その侍女は料理の腕が壊滅的なので台所に入れてもらえません…」
……うわぁ
「疑わしいものの、決定打がない。そんな状況ですので、処刑することも出来ませんでした。」
「……疑わしきは罰せず、それを徹底していたのだな。その王族は。」
「えぇ……まぁ、全部話すと長くなってしまうので省略しますが……ルシャが産まれて15年の月日が経つ頃。累計ではルシャが産まれた当時の領民のほぼ半数、約15万人が何者かによって殺されていました。」
「じゅっ……!?」
〈15万……だと…っ!?〉
「ちょっ…いくらなんでも多すぎる!!それで誰も気がつかないの!?」
ミラちゃんが信じられない、という風に声をあげる。その声に、理紅さんは頷く。
「犯行時刻は主に夜。寝静まった時間帯に家屋、あるいは部屋へ侵入しての犯行ですから、無理もありません。当時、時間を遡る術も存在しませんでしたから。」
「そ、それでも……何か手がかりとか…!」
「───1つだけ。3日前に惨殺された第三王妃“アリス・ラプラーシア”……旧姓“アリス・ララー”の日記より、犯行時刻付近にルシャが部屋にいた可能性が示唆されています。」
〈アリス……ってあたし?〉
「ありすさんじゃないとおもう……」
「……似てますからなんとも。アリス王妃も背が低く、童顔…というか、お若く見える方でしたから。」
〈なんだ、その国の王とはロリコンだったか?〉
「ネクエス王の手記より“子供のよう、は子供ではない。”という一文が見つかっていますが……第一王妃ルシルさんから第四王妃フローラさんまで子供のような容姿の方であったのは事実ですね。」
……うーん…?
「…あぁ、そういえば…これは歴史を深くまで読んでやっと分かったことなのですが。殺された当時アリス王妃は妊娠していたのです。…まだアリス王妃も気がついていませんでしたが。」
……え
「ところで───齢15ということは、その世界のその時代では結婚適齢期になります。当然、ルシャはその当時、ラプラーシア家の後継となる者でしたから、領内外問わず縁談の話は来ていました。」
「縁談があるんだ…」
「まぁ。それで成立する夫婦もありますし。…数十人の男性の中からルシャが婿に選んだのはたった1人だけ。それが───聖騎士“シリス・ディア・モルファー”。」
「騎士……?」
ルーパスちゃんが首を傾げる。
「聖騎士とは───死霊魔術師の魔術に対抗できる光の騎士。シリスの出身であるモルファー家は聖騎士の一家でした。」
そこで一息ついてから理紅さんが香月さんの方を凝視する。
「……まだもちそうですか。とはいえ、短くした方がいいでしょう。…ルシャが齢25の頃、子供を───第五子である女の子を出産しました。その頃にはネクエス王も予言の事は勘違いだったと思っていました。………翌日。ネクエス王が部位欠損死体として見つかりました。」
翌日……!?
「当然大騒ぎになったのですが───問題は、この後です。……シリスが、見たのです。」
「……何を?」
「それは………」
理紅さんが言い淀む。……嫌な、予感がする。
「早く言わんか。」
ギルに急かされて理紅さんが口を開く───でも。聞かなきゃ、よかった。
「───ルシャが、自分の娘を殺しているその現場を。」
「「「「────!」」」」
声にならない悲鳴。私と、ナーちゃんと、ルーナさんと蒼空さん。それくらい、衝撃的だった。
「それを見てシリスはルシャを問い詰めました。そうすると、ルシャは穏やかに微笑み───シリスに高濃度の屍毒を打ちました。それを見てシリスは理解したのです。…総て。」
…えっ?もしかして───
「ラプラーシア領でここ25年に渡り起きていた総ての謎の死亡原因。それらは総て妻に───ルシャにあると。……総て、この女が殺していたのだと。」
なんの……ために
「シリスは高濃度の毒を打ち込まれたことで既に瀕死。残った力を振り絞り、死霊魔術師特攻の術“ネクロクロス”を放ったのです。それを食らったルシャは当然、爆散し───シリスも少し安堵したのです。…が。」
「まだ何かあるの……?」
「……シリスが力尽きる寸前。ルシャが実体を取り戻し起き上がったのです。シリスが最後に聞いた言葉は、“ありがとう、アナタ。…私のために、死んで。”…だったそうです。」
「どういうこと……?」
「リッカさんは気づいていそうですけどね。……言ってしまえば、すごく簡単なことです。」
………まさか
「ルシャは───
────!
「そうして、ラプラーシア家───ひいてはラプラーシア領は滅びました。ルシャ・ネクリス・ラプラーシアという1人の魔女の手によって。…すみません、長くなりました。」
そんなことが……
「それで伝説、というわけか。恐らくは反英雄か?」
「英雄ではないでしょう。恐らくは空想上の英雄、幻霊になるかと。自らの兵を作り出すためだけに一領地を───いえ、一国を潰した不死姫。ほんと───」
言葉を続けようとした理紅さんの言葉を遮るかのように爆発音。恐らく爆風によってだろう、香月さんがこちらまで吹き飛ばされてきた。
「───最悪、ですよ。お姉ちゃんが相手でもかすり傷程度だなんて。」
理紅さんが険しい顔でそう呟く。遠くて見えにくいけど、恐らくその魔女ルシャはその場に平然と立っていた。
「ひとまず私はお姉ちゃんの治療に全力を尽くします。その間、ルシャとその死霊達の足止めをお願いできますか。」
「足止め、って言っても───」
何も、と言いかけたところで魔女が手元の杖を掲げたのが見えた。
「……?」
「……死霊術、来ます」
理紅さんの言葉通り、何かが召喚されようとしていた。その数───9。そして、その姿を見た途端。
ブチッ
聞きなれない音が、妙に大きく───辺りに響いた。
ほんと最近書けない……というか、観測上手く効かないのよ……
…かもしれない。限界…とまではいかないにしても、かなり不味い状態に陥ってるかもね……
イ・プルーリバス・ウナム修正後に召喚するサーヴァントは?
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槍兵、魔術師、剣士
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剣士、剣士、魔術師
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魔術師、槍兵、槍兵