狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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(るな)「……やりすぎませんよね?」

裁「どうしました?」

(るな)「いや……香月さん達の最高火力って乖離剣を相殺どころか上回れたような記憶があるもので…」

裁「……なるほど」

香月「いや、流石に最高火力なんて出しませんよ?どれだけ私に負荷かかると思ってるんですか……」

(るな)「いたんですね……そもそも全リミッター解除してる時点で負荷なんてあってないようなものでしょうに。」

香月「……まぁ、それはそうですけども……」

(るな)「…流石に加減しましたか。」

香月「仲間割れが目的じゃないですし。…加減してもかなり過剰だったらしいですが。」

裁「あぁ…あの時のあれはそういう……」


第294話 禁じ手と殲滅

「し、死霊全滅……!?」

 

流石の私でも、これには驚愕した。ルシャによってこの特異点に召喚された死霊達が、1体残らず全滅───正確には、浄化・還元されていった。ルシャがいなくなったから、というのもあるけど復活する様子がない……どころか。さっきの死霊達に()()()()()()()()()()()()()。ルシャの器になってた彼女に私がやったようなことを、特異点全域の死霊総てに対して行ったんだ、あの笛使いの女の人は。

 

「凄い……一応禁じ手を使って消滅までは持っていくつもりだったけど、まさか“完全消滅”まで持っていくなんて……」

 

私達の場合“絆”、“記憶”といった代償を払って完全消滅させるしかないから、ルシャが召喚した他の死霊達を完全消滅させることはできなかった。苦しみは聞こえるのに、楽にさせてあげられなくてずっと辛かった。

 

「お姉ちゃん───!」

 

「───理紅」

 

理紅が私のいる空中にまで飛んでくる。…そういえば、理紅も見方によれば死霊だ。私が元いた世界では既に故人だから。それが完全消滅されてないってことは、何かしら条件がありそうだけど。

 

「あとは魔神だけ───でも、どんどん増殖してる!死霊達がいなくなって出来た余剰魔力リソースを消費して増え続けてるんだと思う!」

 

「宝具…なんだっけ。大本は。それ以前に、七十二柱の魔神そのものが私達と似た性質を持つ…だっけね。」

 

自分で口にして思うけど、面倒だと思う。いや、“魔力が存在する限り”っていう定義があっちなのだとしたら“欠片が存在する限り”っていう定義の私達の方が幾分か面倒なのだけど。

 

「……やろっか、理紅。まずは、魔力の供給を止める。」

 

「禁じ手───だね。」

 

対象は特異点全域。いつもの世界なら、私だけでも禁じ手を使える。…けれど、この世界じゃ無理だ。

 

「たとえ、1人で足りなくても───」

 

私が伸ばした手に、理紅が手を重ねる。

 

「それが、もしも2人でなら!」

 

指を絡ませ、魔力を絡ませ。1つの魔力を放つ媒体となる───“接合同化”。1人で足りないとき、力を合わせる方法。この感じ───いける。

 

「いくよ、理紅!!」

 

「うん!私達の禁じ手、対術式に特化したスペルカード───!!!」

 

その名は───

 

 

「「禁術“スペルクラック”!!!!」」

 

 

術式(スペル)の───破壊(クラッキング)。同じ破壊にスペルブレイク、というのもあるけど今回のは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という一手。範囲内に存在するあらゆる術式を支配下に。それこそ、魔術や妖術だけでなく、神術すらも。当然、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。だからこそ、これは“禁じ手”なんだ。何も対策しなければ、味方の術も支配下に置ける───即ち、味方が術を使えなくなってしまうから。

 

「魔力供給機構停止、無限増殖機構停止、無限蘇生機構停止───全行動停止。」

 

(るな)さんに、“あまりやりすぎないでください”と言われてるから。“破棄”ではなく、“停止”で止めておく。これで、あの魔神達はもう動けない。あとは───

 

 

 

side 無銘

 

 

 

「あだだだだだ!!髪の毛を抜こうとするのはやめてくれ、キャスパリーグ!!ハゲる!ハゲるーーーー!」

 

『テメェ禿げなんて関係無いだろが!!!さっさと消え失せろボケナス!!』

 

「罵倒が酷いっ!!くそう、ミラ姫とナナコ姫に抱かれて丸くなったと思ったらこれさ!かの世界の飛竜すら一撃で倒せそうなほどにパワーアップしてるんだから余計たちが悪い!!」

 

『それを耐えてるテメェもテメェだろうが!つーかテメェ、ナナコの真名どこで知りやがった!?』

 

「ちょっ、誰か止めてくれぇぇ!」

 

「……なんだ、これは。」

 

『あ、お帰りなさいです。ギルガメッシュさん。』

 

「今戻ったぞ、無銘……で、これは一体なんだ?」

 

……なんだ、と問われても。一応の状況説明だとフォウの気合の入った蹴りで気絶した人が起きて今に至るんだけど………

 

『……なんでしょう。』

 

『フォォォォォアチャァァァァァ!!』

 

「ごはぁっ!!」

 

あ、飛び蹴りでもう一度気絶したみたい。

 

『よし!悪は滅びた!』

 

「こやつのことだ、滅びてはないだろう。…しかし、何故今になって出てきたのやら。」

 

「……誰?英雄王。」

 

あ、ミラさんも戻ってきた。とりあえず、(るな)さんと交代してもらって……フォウの叫びで何となく分かっちゃった気がするけどとりあえず。

 

「……ええっと…フォウ、この人は?」

 

『……コイツは“マーリン”。人間と夢魔の混血のクズさ。無断で他人の夢に入り込んでは精気を吸い、かつて1人の少女を破滅にまで追いやった真性のクズだ。何より───ボクを楽園から叩き落とした!お陰でボクは地獄を見たぞ!何てことをしてくれたんだ、クズ・オブ・クズ!!あぁ、無銘に頼んでロマニ・アーキマン周辺を警戒してもらったのもコイツが原因さ!!コイツは度々ロマニ・アーキマンを狙っているからね!』

 

「そんな言い方はないだろうキャスパリーグ!?そんな言い方されてはボクがホモみたいじゃないか!」

 

『復活早ぇよ、ってか事実だろうがクズ野郎!!ボクは知ってるんだからな、リッカちゃん達が来る前にロマニの事襲おうとしてたこと!!恨んではないけど怒りは無量大数!リッカちゃんの虚無に飲み込まれて破滅しろ!!』

 

「人間個人に興味はなく、人々の織り成す物語を好く…こやつのたちの悪いところは気紛れでそれに介入することよ。…此度の我も同じことを言われそうではあるがな。こやつは嬉々として介入するゆえ、我よりもたちが悪い。」

 

それを聞いたマーリンさんは次第に青ざめていく。…というか復活早くない?

 

「やめてくれ!?人は初対面の印象が2、3年続くんだろう!?姫達に嫌われちゃうのは嫌だ!!悪いことは奥に隠して良いことだけ表面に出してれば人間関係は上手くいくものなのに!!」

 

「監獄塔にマスターが行ったとき、フォウの言ってた“あの野郎”ってこの人の事だったんだ?」

 

『まぁね。ついでに、物凄く嫌だけどもコイツがボクの主人でもある。…ね、ギル。ルールブレイカーの原典とかない?マスター権限をナナコかミラに移したいんだけど?2人とも優しくボクを使役(つか)ってくれそうだし。』

 

「待っておけ、確か何処かに……」

 

「探さないでくれ!!っていうかそこまで嫌かい!?それはそれとしてミラ姫とナナコ姫の夢にプロテクトかけて更には夢に干渉してきたボクに対してリッカちゃんの虚無の力流すのはズルいぞ!!」

 

『うわぁ……』

 

虚無の力………って。それを流すにしても一度フォウを経由してるよね?それでフォウに影響、ないの?

 

『プライバシーの意味調べてこい、マジで。ナナコとミラに鍛え上げられたドラゴンリング・フォウのフルパワー、お前で試してやろうか?』

 

七色の魔力が竜の顔を形作る。それを見たマーリンさんが怯えたように肩を震わせる。

 

「ふむ……夢魔とは許可なく人の夢に入り込み、精気を喰らう悪魔だ。夢の中では無敵に近いが、夢の持ち主が夢魔を認識すると途端に無力になる。認識したならば無名の母やミルドの龍が即座に滅するだろうよ。」

 

『そもそも私が夢魔みたいな能力持ってますからなんとも言えませんけどねー。』

 

……え?璃々さん?

 

「ほう?どういうことだ?」

 

『だって私の能力、ざっくり言えば“夢と現を繋げる力”ですし。これを利用して“空想(ファンタジー)”と“現実(リアル)”を繋げるのが私の力ですからー…』

 

「…ふむ。」

 

『ついでに言うと星海さんが七虹の夢の中に放った夢魔が他の夢魔から守護してくれてますから~。』

 

「お、お母さん!?」

 

ちょっと、初耳なんだけど!?

 

『あぁ、擬似的な夢魔だね。私が夢魔をざっくり再現したやつ。そこら辺の夢魔くらいなら軽く撃退できるよ。』

 

「道理でナナコ姫の夢への妨害が異常に硬かったわけだ……!!キャスパリーグのプロテクトだけじゃなくて他の夢魔が妨害してたんだね!?っていうか、運良くキャスパリーグのプロテクト回避できたと思ったらなんか変な男に追いかけ回されて追い出されたのって……!!」

 

『多分星海さんが放った夢魔だねー。』

 

「……ちなみにその夢魔って?」

 

『これ。』

 

星海さんがそう言って画像を表示した。それをフォウ達と一緒に見る───

 

『“フレディ・クルーガー”じゃねぇか!!!なんでだよっ!!!』

 

……ええと?

 

「「誰?」」

 

『…知らないかぁ……カルデアに戻ったら“エルム街の悪夢”で調べてみるといいよ。』

 

『実際私達もdead by daylightでのフレディさんくらいしか知らないですけどね。』

 

『おい……』

 

少し低い声で唸るフォウだけど、お母さんはそれを気にせずに言葉を続ける。

 

『“夢に現れる存在”で思い浮かんだのが彼だっただけです。』

 

『……ちなみにキラー最高ランクは?』

 

『いやそもそも私……というか、お母さんがdead by daylight始めたのランクシステム廃止後ですし。』

 

『え?マジで?ランクシステム消えたの?』

 

『お母さん、よく“デモゴン帰ってきてぇ…”ってボヤいてた…』

 

『マジで!!?デモゴルゴン消えたんか!?』

 

『あ、伝わるんだ……』

 

……お母さんとフォウの会話がよく分からない…

 

「…そのあたりまでにせよ。無銘とミルドが困惑している。」

 

『……ごめん。ボクとしたことが熱くなった。今の問題は……コイツだな。おい、逃げんな。』

 

「ギクッ…くっ、一度退散して仕切り直しできるかと思ったのに……」

 

『逃げたら璃々に頼んでフレディをこっちに呼び出してもらってノーパークノーアドオンで発電機5台分と他生存者全員の儀式脱出までチェイスしてもらうからな。』

 

「それは勘弁してくれ!!っていうかそんなことできるのかい!?」

 

『そもそも原作からしてフレディは現実に呼び出す方法があるからな。ま、チェイスに関してはランク17キラーくらいになら通用するんじゃね?知らんけど。』

 

「くっそう……第一印象で気に入られたかったのに……」

 

『諦めろ。ボクがいる時点でそれは不可能だと思う。』

 

この人が、フォウをカルデアに導いた人…かぁ。

 

「ごご、誤解を解かせてくれミラ姫、ナナコ姫。ボクは凄いよ?NP配布できるし無敵貼れるし、通常時最大火力となり得るバスターの火力上げられるしクリティカル威力だって上げられるんだ!高難易度攻略、高難易度耐久にはもってこいだよ!」

 

『でもお前、女の方に周回評価負けてんじゃん。女のお前、周回評価Aに対してお前Bだぞ。ちなみに宝具5だと高難易度耐久も負けてんな。ソースは神ゲー攻略だがざっと他のサイト見たときもそんな感じだったぞ。』

 

「ごはぁ───!?」

 

「ふむ、素殴り性能は貴様に軍配が上がるか。それでも総合的に見れば貴様の方が劣化と化している可能性が高いか?」

 

『あと、お母さんはあなたを上手く使えたことがないそうです。元々効率なんて全く考えない人ですからそれも原因な気はしますけど。』

 

「が………が………」

 

「え、えっと……」

 

「や、やめてくれナナコ姫……君の罵倒は心を砕きかねない!少し、少し時間をくれ……」

 

「言ってやれ、無銘。こやつにそんな遠慮はいらん。」

 

「酷すぎる!この人でなし!悪魔!悪属性!」

 

『悪魔はどっちかと言うとテメェだろ。』

 

「アッハイ……ソーデシタ、ワタシガ悪魔デシタ……」

 

……なんだかなぁ。

 

「えと……マーリンさん?」

 

「ハイ……」

 

「夢関係はとりあえず置いておくとして。…ややこしくなりそうなので置いておくとして。」

 

「ハイ……」

 

「…ありがとう、華の魔術師マーリン。」

 

「ハ………イ?」

『ふぁ?』

「む……」

 

「あ、私からも感謝しておくね。…だって、ね?」

 

ミラさんと視線を交わして頷きあう。

 

「「私がフォウと出会えたのは、貴方がフォウをカルデアに導いたお陰だから。」」

 

「…………へぁ?」

 

惚けたような表情になるマーリンさんをフォウが揺すって起こそうとする。

 

『…ダメだ、返事がない。ただの屍のようだ。…いいのかい、罵倒とかしなくて?』

 

「罵倒とか思い付かないっていうのもあるんだけどね。今ここにいる“フォウ”っていう友達はマーリンさんが楽園から叩き落としてくれないと出会えなかったわけだから。」

 

「私も似たようなもの……人類の敵となり得る私の、いい相談相手になってくれるフォウは彼が叩き落としたのが起点だから。…まぁ、導き方は他にも色々あったと思うんだけども。」

 

『ナナコは純粋に…ミラは古龍として、かぁ……』

 

「それに───あ、起きた」

 

ミラさんの言う通り、マーリンさんが復活していた。

 

「…マーリン?あなた……私達をずっと、()()()()よね?」

 

「…っ!?な、なんのことかな!?」

 

「隠さなくていいよ、気がついてたから。…ずっと、私達の旅路を見守ってくれてありがとう。」

 

「…へ?」

 

「この世界にとってイレギュラーなのだろう私達を見守ってくれて、ありがとう。華の魔術師。」

 

「……あぁ。キャスパリーグ。キミは、本当に美しいものを見つけたようだね。」

 

『…うるさい。』

 

照れ隠しのようにしか聞こえなかったその罵倒。その罵倒に私達は微笑んだ。

 

「完敗さ、ホント───っ!?」

 

突然。マーリンさんの表情が強ばった。

 

『……?おい、マーリン?』

 

「────」

 

『おい。おい、起きろ!返事しろ!!』

 

返事は、ない。強ばった状態で、止まっている。

 

『クソッ、なんだコレ!』

 

『……まさか!香月さんと理紅さんの“禁じ手”が発動して……!!』

 

禁じ手……!?それだったら…!

 

「この鈴をつければ…!?」

 

『ボクがやる!貸してくれ!』

 

フォウに鈴を渡すと、フォウはそれをマーリンさんの手首に巻き付けた。

 

「───ぁはっ!?な、なんだったんだ今の…!?」

 

戻った…!

 

「一体何事だったのだ…!」

 

『禁術“スペルクラック”───範囲内の総ての術式を術者の支配下に置く禁じ手です。それに対抗する手段は術者が用意した支配除去具のみ。…今回はこの鈴がそれだったようですね。』

 

(るな)さん、マーリンさんが硬直した理由って…」

 

『“サーヴァント”とは術式の…魔力の塊です。動くための魔力を支配されて身体の自由を奪われたんでしょう。』

 

なるほど……これは確かに禁じ手だ。この一手の前だと、サーヴァントは相手に利用されて終わる。

 

「ふむ───なるほど。なるほど!今こそ終わりの時か!既に聖杯は手にし、動かぬ人形となった魔神は用済み!イレギュラーたる死霊共も駆逐し、残るは宴のみ!で、あれば───早急に準備に入らなければな!」

 

「やれやれ。僕の出番はなしか。本当に顔見せだけになるとはね。」

 

『オマエができそうなこと、香月ちゃん達に取られてるもんな。』

 

「否定はしない。あーあ、少しは姫達に良いところ見せたかったんだけどね。……ま、少しの補助くらいはできるか。」

 

そう呟いて、杖を軽く振る。

 

「この辺り、いじった方がいいんじゃないか?」

 

「フォーウ!」

 

「ブフォウッ!」

 

あ、フォウに蹴られてる…

 

「く……星の内海、物見の台。楽園の端から君に聞かせよう……君たちの物語は祝福に満ちていると。罪無き者のみ通るがいい───」

 

『お、おい!?』

 

え?それ───

 

「“永久に閉ざされた理想郷(ガーデン・オブ・アヴァロン)”!」

 

『やりやがった!宝具撃ちやがったコイツ!!』

 

「いいじゃないか、こうなればヤケクソだ!!」

 

『ダメだコイツ早くなんとかしないと……!!』

 

「もうダメだ……おしまいだ…!」

 

『あぁ、もう終わってるわコイツ……』

 

「見捨てるの早すぎないかい!?ナナコ姫もネタで返してどうするんだ!!収拾つかなくなるぞ!!」

 

「ふはははははは!愉快、愉快よな!───さて!」

 

全員に念話が送られる。魔神達は一点に集合する。

 

「───裁定の時だ。インドの英霊共よ、異世界の英雄共よ。」

 

 

 

side 三人称

 

 

 

「承知した、英雄王。───喜劇を以て衆生を救わん。」

 

「やる気だな、アルジュナ───始まり(プレミア)の王の慈悲を知れ。」

 

「この一撃を未来へ───シータへと捧げる!!」

 

インドの英雄達が、猛り。

 

「お姉ちゃん!」

 

「うん。…私達もやろっか。……やりすぎると、色々不味いから少し加減しなきゃだけど。」

 

「お姉ちゃんの場合はかなりだけどね。リミッター全解除に加えて各強化、更には自壊プログラムまで動いてるし……」

 

「そうでもしないとルシャは倒せないって分かってたし…」

 

異世界の少女達が頷きあい、手を掲げる。

 

「「チャーマリア・アサルトエクセ!!」」

 

《《Excellion mode.》》

 

緑の球体が槍になる。それは、レイジングハートのエクセリオンモードと全く同一の形状。

 

「炎熱放出。“フレイムリリース”」

 

「風翔放出。“ウィンドリリース”」

 

それぞれの得意属性が放出、その放出された属性が連環魔法陣へと集束する。

 

Set convergence rate upper limit to 10%(収束率上限を10%に設定)

 

Get execution mode(死刑執行モード取得)

 

《《Guess the attribute dissipation rate (属性圧縮臨界時の)when attribute compression is critical (属性放散率を推測します)》》

 

槍が言葉を発し、魔法陣が更に展開される。

 

「神性領域拡大。空間固定。神罰執行期限設定───全承認。シヴァの後光を以て、汝らに崩壊の運命を与える。」

太陽神(スーリヤ)よ、ご照覧あれ。もはや戦場に呵責なし───未来への鍵はこの一刺し。扉を塞ぐ一切を焼け───!!!」

「些か過剰に見えるが…そなたを信じるぞ、英雄王!───月輪の剣、不滅の矢。羅刹王すらも屈した刃を受けてみよ!!」

 

Breathing wind(息吹け風)

 

Raging flame(猛れ炎)

 

《《Diffusion rate of 31%...I can do it, Master(放散率31%…いけます、マスター)》》

 

「…!虚なる強者に導きの風を。風よ集え、万物を飛翔させる翼となれ!───風刃飛翔!」

「…!虚なる神霊に癒しの炎を。炎よ集え、永久に燃え盛る決意となれ!───永久燃焼!」

 

それぞれの宝具が、技が───準備を、整えた。そして───

 

 

「“破壊神の手翳(パーシュパタ)”!!」

「“日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・シャクティ)”!!」

「“羅刹を穿つ不滅(ブラフマーストラ)”!!」

「“その処刑者、刃状の風を携え(ウィンドエッジ・エグゼキューター)”!!」

「“その処刑者、永久の炎を携え(パーマネントフレイム・エグゼキューター)”!!」

 

 

《Wind edge Executer》

《Permanent Flame Executer》

 

明らかに過剰なそれが、ただ一点に向けて放たれた。邪悪を、魔神を、世界を滅ぼさんと───未来へ至るための、この特異点最後の試練として。

 

 

 

side 無銘

 

 

「……あの、あれ明らかに過剰じゃありません?」

 

私は香月さん達の技を見て思ったことを呟いた。

 

『やりすぎるなって言ったのに……』

 

『エグゼキューターはやりすぎだよねー。ただ、集束うまくいってなかったみたいだけど……』

 

『…集束しきれなさそうだから放散率高めでも使えるエグゼキューターを選んだ、とかですかね…主』

 

(るな)さん、星乃さん、美雪さんの言葉に少し首を傾げる。

 

「集束しきれない…とは?」

 

『魔力や属性が強すぎてすべてを一点に纏めきれない状態です。放散率───集束中にその集束を逃れ、放出される力の割合が高ければ高いほど集束砲というのは不安定になるんですよ。』

 

『でも、不安定だとしてもエグゼキューター……多少不安定になってもいいから殺傷力を高めたのがあの集束砲。流石の英雄王でも……』

 

「ふはははははは!越えるべき壁は高い方がいいだろう?ならば受けて立つとしよう。」

 

『……単体だとさすがに無茶だと思う』

 

星乃さんが最後の言葉は私にだけ聞こえるように言った。

 

『正直全力で撃たれなかっただけまだ……』

 

『あれ全力じゃないんですね……』

 

香月さん達は本当にどれだけ強いのだろう、と心底疑問に思った。

 

「応えよ、エア。原子は混ざり、固まり、万象織り成す星を生む───!!」

 

『こっちのデータにもあるし、ギルガメッシュさんの宝具を信用してないわけじゃないけど……あのままだと、負けるよ。』

 

え……!?

 

 

「───“天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)”!!!」

 

 

放たれるは乖離剣の一撃。世界を裂く、神々を滅ぼす───神代との決別の一撃。生命の原初の記憶、この星の最古の姿であって地獄の再現……らしいんだけど。

 

「…!?ぬうっ!?」

 

『……押されてるね、やっぱり』

 

停止した魔神達のちょうど中央。衝突した直後、ギルガメッシュさんの方が押され始めた。

 

『どうすれば…!』

 

『……彼にとっては屈辱かもしれないけど、魔力補助で強化するくらいしか方法なさそう。』

 

『ざっくり見た感じここのギルガメッシュさんは誰かに頼ることに抵抗はなさそうだけど…』

 

そんな話をしている内に───

 

「ぬっ!?ミルドなにを───」

 

「喋らないで。…そっちに集中して、お願いだから。」

 

ミラさんがギルガメッシュさんの背中に手を当てていた。

 

「……あなたが王というのなら。ただ一時といえど私はあなたの姫となりましょう。」

 

「───何?」

 

「私に反応しなくていい………私を介して流した“龍の魔力”を使って、英雄王!!」

 

「よいのか!?」

 

「全員の許諾は得た───早く!!時間がない!!」

 

「───恩に着る、ミルド…ぬっ!」

 

ギルガメッシュさんが驚いたのは、私も彼の背中に手を当てたから。

 

「私の───七色の魔力も使ってください!」

 

「しかし…!」

 

なかなか踏み切らないギルガメッシュさんに。

 

 

「「───早くして、“ギル”!!!!このままだと全員死ぬ!!!」」

 

 

「───!」

 

私とミラさんが、同時に同じ言葉を放った。

 

「───いいだろう、膨大な魔力負担を覚悟するんだな!!」

 

魔力外部出力パス接続───成功。

七色魔力調和状態───良好。

龍魔力調和状態───良好。

魔力調和処理続行───

 

『ファッ!?ギルの魔力がどんどん膨れ上がってる……!?ミルドの魔力とナナコの魔力が絡み合って、調和しあって───ていうか、ナナコが全体的な魔力の調和を、ミルドが宝具への魔力出力回路を担ってるとかただの魔力ブースターじゃないんだけど!?』

 

「ギル、魔神の殲滅に全力を注いで。私は世界の切断に全力を注ぐ。」

 

「私は総ての相殺に…!お願いします、ギル!!」

 

「ふはははははは!2人の姫に支えられる王か───悪くない!エアよ、貴様も恥ずかしいところは見せられぬな?」

 

私の虹色の魔力と、ミラさんの赤黒い龍の魔力が乖離剣に纏わりつき、乖離剣の音がより強くなる。───拒絶ではなく、促進。

 

『これ…共鳴!?七虹とミラの魂と乖離剣が共鳴しあってるの!?』

 

共鳴……よく分からないけど。

 

『超高速演算の分割処理、状態良好。』

 

『実数時間の維持、問題なし。』

 

『実数空間の維持、問題なし───七虹、細かい調整はこっちで請け負うから威力相殺に集中して』

 

(るな)さんの指示に頷き、乖離剣の向かう先、他の英雄の人達の宝具との衝突点に演算を集中する。

 

「龍紋励起───龍翼、展開…!!」

「虹輪励起───虹翼、展開…!!」

 

似た言葉を呟くと同時に、私とミラさんに変化が起きる。ミラさんの横顔に赤い龍の顔の模様が現れ、背中から純白の翼が生える。私の頭上に虹色の輪っかが現れ、背中から虹色の翼が生える。恐らく───私もミラさんも、最大出力状態…の、前兆。

 

「───原初を語る。天地を裂くは空の名を持つ剣。」

 

「───世界を別つ剣よ、旧き者達の声に応えよ。」

 

「───起源を喚び、地獄を呼び、乖離せし理を叫べ。」

 

『───創るは星、壊すは虚。その力は真に表裏一体。』

 

………っ!?聞いたことない、声───!?

 

『虹は繋ぎ、龍は吼え、新しきは裁く。───姫巫女と王の言霊にて真に応えよ、創生の神秘』

 

「───喚べ、“アル”、“ミラ”!貴様らの声がこやつへの激となろう!」

 

───今。私を…“アル”、って呼んだ?とりあえず、聞いたことない声は後回し。…今は。

 

 

「「「───“天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)”!!!」」」

 

 

今は───相殺を。真名解放をし、“天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)”の情報を上書きする。

 

 

 

───そして、総てを消さんとする龍が、総てを護ろうとする虹が、総てを見定めんとする王の手によって放たれて。現れたのは────

 

 

 

「…ふ。真に、見事だ。龍宿す姫と虹宿す姫よ。」

 

 

 

───蠢いていた魔神の姿は1つとしてなく。砂嵐の吹く不毛の大地の痕跡もなく。ただ、青空の下で咲き乱れる花々の楽園が広がっていた。




ちなみにそんな発電機5台分と他生存者全員の儀式脱出までの長時間チェイスはキラーとしても気力が持ちません。というかだいたいチェイスが長引く前に見失うことが…

(るな)「それはお母さんが下手なだけじゃなくて?」

そんな長時間チェイスされるくらいなら上級者でも他の生存者探しに行くと思うけど……あと私現状サバイバー専みたいなプレイ方法してるからキラー超絶苦手なのよ……

裁「ちなみに各最高グレードは?」

サバイバーが銀II、キラーが灰II(執筆当時)かな…確か。あとホントにデモゴン復刻して……(なお、投稿時はサバイバー銀Iキラー銅IVになっている模様)

(るな)「これからどうなるか次第だよ、それ…」

ていうかなんで私達ここでこんなこと喋ってんの……

(るな)「まぁ…確かに。…というか、香月さん」

香月「あれでもチャーマリアと一緒にかなり加減したんですけど……それだけ自壊プログラムの補正は大きいってことで……」

(るな)「………まぁ、仕方ありませんか。…得意属性なのも原因ですかね。香月さんって苦手属性……」

香月「ないですね。」

(るな)「……そうでしたね」

弓「それだけの魔力があって足りぬ禁じ手とは一体…」

香月「あ、魔力が足りない訳じゃありませんよ。術者の処理能力が足りなかったんです。リソースは大量にあってもそれを活かすためのスペックが不足している状態だったんですね。理紅と繋がって単純にスペック2倍、それで動かせるような状態に陥ってましたから。」

弓「……そうか。…繋がる、という言い方が少し卑猥な気がするが…」

香月「そうですかね……そもそも“接合同化”って踊るような手の組み方をした上で力を重ねる“魂の共鳴”と似た技術なので“繋がる”で問題ない気がするんですけども。…この技術、誰とでもいいわけじゃなくて相手との共鳴率が高くないと成功しないんですよね…実際私も理紅と恋人以外で成功する確率は30%あるかどうかですし。ちなみにその2人は100%成功しますね。」

裁「え、じゃあアル達がやったのって…?」

香月「あれはただの“接続”だと思いますよ?スペック上昇とかなにもない、ただの魔力の供給装置化───天命譲渡の神聖術(トランスファー・デュラビリティ)の魔力版みたいなものです。」

弓「…ちなみに聞くが、あの時貴様の恋人が同化の相手だった場合どうなっていた?」

香月「………ミラさんと無銘さんの補助があっても多分…」

弓「……聞かなかったことにしよう」

イ・プルーリバス・ウナム修正後に召喚するサーヴァントは?

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