狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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裁「そういえば星乃さん。」

星乃「んー?何、リカさん。」

裁「あなたの宝具……あなたの絶技で香月さん達の砲撃って殺せなかったんですか?」

星乃「あぁ、あれ?無理無理!アレ、生命力が強すぎるの!私でも到達前に殺しきれない!」

裁「生命力……」

星乃「“(つき)の一族”の系譜は空間を操りやすいことと生命力が馬鹿みたいに強いことが特徴でね。単純な不死殺しや死の呪いとかじゃ殺しきれないんだよー。…それは私の絶技、“あらゆる生命を司る瞳”でも同じ。」

裁「……」

星乃「絶対の殺戮者、なんて言われるけどねー。生命力が強すぎると殺害するにも時間がかかるんだよ。…それに、荒いと言ってもあれは集束砲。細かい破片を集めているわけだから、その細かい破片を全部殺さないと完全には止まらない。流石にそこまでの分割思考能力はないよ、私には。」

裁「星乃さんには…ですか。」

星乃「七虹が管制人格として持つ人格統括能力を活用できればいけるかもだけど、私の絶技は私の絶技であって、七虹の宝具じゃないからね。劣化術式である“夜明けまでに死を与える瞳(デッド・バイ・デイライト)”ならまだ扱えるかもだけど……あの術式は速効性がないから。」

裁「あれ…そうでしたっけ?」

星乃「ないよ?動きの停止は速攻効くけど、死に至らせるまでには3時間くらいかかるんだよー。」

裁「さ、3時間……」

星乃「私の絶技なら速くて0.001秒で死に至らせられるからね。加速してればもっと上がる───まぁ、それでも香月さん達のは殺しきれないんだけどねー。」


第295話 変化をもたらした奇跡に祝福を

「聞け、皆の者!」

 

いつものように。今回もギルの声が周囲に響いた。

 

「既に脅威は去り、この特異点での事件は終わりとなる!特異点での各々の活躍、大義であった!集合写真も撮り終えた、故に───杯は持ったか有象無象共!!」

 

「「「「「おぉー!」」」」」

 

「よろしい、ならば───乾杯!!」

 

「「「「「乾杯!!」」」」」

 

流石に未成年はお酒じゃないけど。お兄ちゃんが結界術で用意してくれた花畑で、私達は一時の宴会を開いていた。

 

「……もう、リッカさん?せっかくのお祭り騒ぎなのに、飲んだり食べたりしなくていいの?」

 

…そんな中で、私はナーちゃんに膝枕をしてもらってる。

 

「いいの。…私の今の癒しは、食べることじゃなくてナーちゃんに甘えることだし。」

 

「………ありがとう、そう言ってくれて。…今回、あまり役に立たなかったけれど。」

 

「得意不得意は誰にだってあるから。私としては心の拠り所になってくれるだけでありがたいよ。」

 

「…もう。…私にしか聞こえないように言ってる辺り器用よね、ホント…」

 

「あ、バレた?」

 

「バレないわけないでしょう?」

 

流石ナーちゃん、と思って遠くを見る。ユナさん、だっけ。あの人と香月さん、理紅さん、ミクさんがリューネちゃんの演奏に合わせて“乾杯”を歌ってるのが見える……あの曲って1980年の曲だっけ。別の方向では特異点のエリザベートさんとネロさんの歌に対してミラちゃんとルーパスちゃんが音の相殺をしてるのが見える。ジュリィさんは本に何か書いてるから編纂とかしてるのかな?

 

「…リッカさん?」

 

「んー?」

 

「今回も味方側に犠牲者がなくてよかったわね?」

 

「……犠牲者……いないわけじゃないよ。」

 

「…?」

 

私の否定に対して疑問そうにするナーちゃんに向き合う。

 

「精神的な面で犠牲になった人は何人かいるから。…香月さんとか、ルーパスちゃんとか。」

 

「…あぁ。そう、ね…」

 

「……我儘、だけどさ。精神的な面を犠牲する人も、出したくなかったよね…」

 

「……そうね。それが、一番いいもの。」

 

……みんなが幸せに、って。難しい。

 

「……?リッカさん、フローレンスがこっちに来るわ?」

 

「ナイチンゲールさんが?」

 

今更だけど、私とナーちゃんは宴会の中心から少し離れたところにいる。中心付近で寝転がってても邪魔なだけだし。

 

「お休み中失礼します、ドクター・リッカ。」

 

「ん…どうしたの?」

 

ナイチンゲールさんが来る前に座り直し、ナイチンゲールさんと正面から向き合えるようにする。

 

「…楽にしていただいたままでよかったですのに」

 

「話をするんだからそうもいかないよ。…それで、どうしたの?」

 

「はい…このような宴席で申し訳ありませんが、私はここで失礼したいと思います。」

 

「……」

 

「次なる怪我人が、病人がいますので。誠に勝手ですが───」

 

「いいよ」

 

言葉を全部聞く前に答える。…本当はダメなんだと思うけど、なんとなく言いたいことは分かったから。

 

「───良いのですか?」

 

「本当は一緒に楽しみたいけど…待ってる人達がいるんでしょ?…なら、行ってあげないと。…私は、一緒に行けないと思うけど…」

 

「当然です。あなたたちの施術はこの先も続きます。その施術を、看護師である私が妨げるわけにはいきません。」

 

レスポンスが速いなぁ…

 

「…うん、それでこそ、ですね。では───フローレンス・ナイチンゲール。」

 

「はい。」

 

「かつて戦場の天使、クリミアの天使と呼ばれたあなたに、私からお願いがあります。」

 

「……」

 

そう言ったあとに懐からコンパクトを取り出して開く。…うん

 

「ナイチンゲール。あなたはこの先、数えきれないほどの怪我人と病人に出会うでしょう。その怪我人達を、病人達を───でき得る限りで構いません、救ってあげてください。」

 

「……」

 

「その手から溢れ落ちてしまう命もあるでしょう。あなたが知らない病や怪我もあるでしょう。例えそうだとしても、あなたには全力で立ち向かって欲しいんです。あなたがあなたらしくいるために。…私からのお願いは以上です。」

 

「…………それが」

 

少し長い沈黙のあと、ナイチンゲールさんが口を開いた。

 

「それが───ドクターの、指示(オーダー)であるのなら。私はそれに従いましょう。…ところで」

 

「?」

 

「あなたは………………いえ、なんでもありません。」

 

……なんとなく、言いたいことは分かった気がするけど。それを指摘する代わりに、ナイチンゲールさんの両手を握った。

 

「!」

 

「…フローレンス・ナイチンゲール。クリミアの天使。あなたがこの場所において、私の助手になってくれてよかった。…ありがとう。」

 

「……いえ、こちらこそ。あなたがたがドクターでよかったです。」

 

私が手を離すと、ナイチンゲールさんは一礼をして消滅していった。

 

「……いずれまた交わる日まで。どうか、お元気で。…ね、ナーちゃん。」

 

「えぇ、そうね。…患者だけじゃなくて、看護師も医者も元気でないと。治せるものも治せないもの。」

 

そんな話をしていると、今度は香月さんが私に近づいてくるのが見えた。

 

「…すみません、ここいいですか?」

 

「どうぞ…」

 

「ありがとうございます。…百合の間に挟まるつもりはないんですけど。百合の間に挟まる男は大罪人ですから。」

 

「あら、あなただって女の子じゃない?元々男の子でも、今女の子なら別にいいんじゃないかしら?」

 

「……そう、でしょうか。」

 

不安そうな香月さんにクスリとナーちゃんが笑う。

 

「妹さん……理紅さんに聞いたわ?あなた、元々男の子だけれどこっちにいるときは完全に思考が女の子なのよね?なら…っ!」

 

「きゃぁっ!」

 

ナーちゃんが水をかけると同時に私が後ろから抱きしめ、ナーちゃんが前から抱きつく。それに驚いた香月さんが悲鳴を上げる───うん。

 

「「完全に悲鳴が女の子……」」

 

「うぅ……あ、あの、服を着替えたいので離れてもらっても…?」

 

「……ピンクだったわね」

 

「ピンクだったよね」

 

「は、恥ずかしいから言わないでくださいっ!」

 

何の色かって想像にお任せします。…っと、暗くなる結界使って着替えたみたい。制服…って言うかセーラー服?それも何処かで見たことのあるような……

 

「それ……“私立烏森学園高等部”の?」

 

「…よく分かりましたね、七海さん。」

 

「…なんか懐かしい名前出てきたなぁ…」

 

というかなんで持ってるんだろう…?それに()()()()()()()()()()()()()()んだけど……?

 

「……スカートめくっていいかしら?」

 

「ダメですっ!」

 

「ナーちゃん、おじさん化してきてない?」

 

「ただの冗談よ、冗談。だから───ふぁ…?」

 

最後に気が抜けたのは私がいきなりナーちゃんの唇を奪ったから。

 

「…ナーちゃんっていきなりされるのに弱いよね。」

 

「…う……バレてたのね………あ、ダメ…腰立たないわ…」

 

「…私も分かっちゃうのがなぁ……いきなりキスされると頭の中ふわふわしちゃうんですよね……恋人限定ですが……」

 

「「わかる……」」

 

分かっちゃうのがなんか悔しいのもなんとなく分かる……どこかからキス魔Aって聞こえた気がするけどとりあえず無視。

 

「……すみません、本題に入っても?」

 

「あ…はい。」

 

本題……何か話があったのかな。

 

「私達が帰る前にリッカさんに…これらを、渡しておこうと思いまして。」

 

「これら、って……」

 

そう言って香月さんが差し出してきたのは───

 

「“タネ”と……“カギ”?」

 

「それに…“タマゴ”?」

 

小さな種と、古びた鍵と、大きな白い卵。大きな、といっても飛竜の卵とかよりは小さい。

 

「…種は芽吹けば何か分かります。鍵は…いずれ、必要になるでしょう。卵は……割れてからのお楽しみということで。」

 

芽吹けば何か分かる───それって、ザ・シードを渡したときの言葉と同じ…?それと…

 

「この鍵が…いずれ必要になる?」

 

「えぇ。…いつか、必ず。」

 

「………」

 

その言葉に感じる強い説得力。改めて鍵を見る───古びているけど、確かに何か重要そうな気配を感じる。力を喪った、って感じなのかな?

 

「…香月さん。香月さん達のいた世界って、どんな世界なんですか?」

 

「私達のいた世界……ですか?」

 

キョトンとした表情で首を傾げる香月さん。その数瞬後、少し悩んでから口を開いた。

 

「普通の世界……とは、少しだけ違いますかね。世界そのものに表と裏があって、資格がある者のみ裏に干渉できるような世界です。」

 

「表と…裏。それに……資格。」

 

「えぇ…単純にいえば、“並行世界に渡る権利”。私や理紅のように、様々な世界に旅立てる権利です。…この世界に来たのは偶然…事故のようなものですけど。」

 

「……その権利を持っているのは、香月さん達以外にも…?」

 

「えぇ、いますよ。私がさっき殺した友達とか…まぁ、彼女達は並行世界での記憶と共にその権利を喪ったわけですが。」

 

「…っ!」

 

それって……ブレインバーストアンインストールの時と…!

 

「気にしないでください、慣れ……はしませんがそれでも私達は前に進まないといけないんです。」

 

「……哀しいわね」

 

ナーちゃんがそう呟く。慣れなくとも、辛くともそれでも前に進まないといけない……か。

 

「………すみません、いい加減そこで見てないで出てきたらどうです?」

 

「え?」

 

何を、って言いかけたその時。空間に亀裂が入った。

 

「あら…バレてたわね。」

 

「バレないと思ってたんです?…紫さん」

 

「や……“八雲(やくも) (ゆかり)”さん…!?」

 

東方projectに出てくる幻想郷の賢者………!?全然気づかなかった…!

 

「探すのに手間取ってようやく見つけたと思ったら話し込んでるのだもの。これでも静かに待っていたのよ?」

 

「…それは失礼しました。…それで、“準備”の方は…?」

 

準備……?

 

「既にできてるわ。霊夢、魔理沙、妖夢、咲夜、橙、チルノ、アリス、幽々子、フラン、大妖精…加えてあの子達も神社で待機しているわよ。お別れが済んだのなら早めに帰りたいのだけれど…」

 

「分かりました。…理紅ー!ユナさーん!紫さん迎えに来たから帰りますよー!」

 

「はーい!」

「分かったわー!」

 

香月さんが声をかけると、ユナさんと理紅さんが私達の方に来た。

 

「…それでは、私達はこれで。…また、どこかで会いましょう。」

 

「……香月さん!」

 

スキマに入った香月さんの名を呼ぶ。香月さんがスキマの中で振り返って首をかしげる。

 

「…?」

 

「あの……ラーマさんを守ってくれたこと!ありがとうございました!」

 

「……あぁ。お礼なんていりませんよ。結局、私は彼を守りきれなかったんですから。シータさんからの依頼を、遂行しきれなかったんです。…依頼請負人として、それだと失格ですので。」

 

そう言いきって、香月さん達はスキマの奥に消えていった。

 

「……完璧主義、なのかな。」

 

「そうかもしれないわね。…いつかまた、会えるといいわね?」

 

「ん……ん?」

 

ナーちゃんの方を向く、その直前。視界の中に見覚えのある何かが映った気がした。

 

「……気のせい?」

 

「どうしたの?」

 

「…どこかで、見覚えのあるようなものが映った気がしたんだけど……気のせい、だったのかな…」

 

あの、()()は……確かに、どこかで。

 

「……まぁ、いっか。…多分、いずれ分かるし。…はむっ……」

 

「う…んっ。」

 

今は、とりあえず。静かにイチャイチャしていたい。




裁「そういえばあの後香月さんってどうなったんですか?」

香月「あの後ですか?暴走しましたよ、普通に。」

裁「……えっ?」

香月「……教えてませんでしたっけね。リミッター全解除後、再びリミッターをかけると魔力の制御が効かずに暴走を引き起こすんですよね、私達って。紫さんが言った準備っていうのは封印の準備ですね。」

裁「封印……」

香月「暴走状態から通常の状態に戻すことを封印というのですよ……というか、術式的にそうなんです。ちなみにかなり痛いです」

裁「あ、痛いんだ…」

香月「痛いです。封印終わって一眠りした後恋人に癒してもらいましたし。好きな人の癒し術は最高の癒し。」

裁「あはは…だよね。」

香月「……それはそれとして。以前のマテリアル見てきたんですけど。リッカさんって当時七海さんへの恋心、自覚してますよね?それなのに“無意識”ってどういう…?」

裁「あぁ……それですか。…えぇ、確かに当時既に自覚してるんです。それなのに無意識と記されているのは、私には誰かを愛する資格がないと思って意識的に抑えつけてたからでしょうね。自覚しているものの、抑えている。そうだと知って、知らないと思い込んでいる───思い込み(心意)が、情報を歪ませているのでしょう。」

香月「……事象の上書き(オーバーライド)、ですか。」

裁「…多分。あ、そういえばなんですけど……」

香月「?」

裁「香月さんって見た目に反して割と…ありますよね。」

香月「……“女三人寄れば姦しい”とはこの事かな…ていうかやっぱりどさくさに紛れて触ってたんですね、あなたは……」

裁「ちょっと気になって。」

香月「……あの時って姿の調整間違えて少し大きくなってただけで普段は無いですよ。」

裁「あ、そうなんです?」

香月「無いです無いです。ね、スー姉」

いやなんでいきなりこっちに話振るのよ。みんなの大きさ確かに知ってるけどさ。

裁「逆にマスターはなんで知ってるんですか…というかそれって私のも…?」

リカのもだよ。知っている理由はシステム管理者だから。個人のあらゆるプロフィールが記録されるシステムの、ね。

裁「……あぁ、なるほど」

イ・プルーリバス・ウナム修正後に召喚するサーヴァントは?

  • 槍兵、魔術師、剣士
  • 剣士、剣士、魔術師
  • 魔術師、槍兵、槍兵
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