狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い 作:Luly
大丈夫?
裁「私は大丈夫……」
「さてと…少しの間休憩なんだっけ。…ん~。ダ・ヴィンチさん、例の話お願いしても…?」
「その言葉を待っていたよ、リッカちゃん!!」
私が声をかけるとダ・ヴィンチさんが看板を背負い、壷を持って飛び出てきた。…うん、だから───
「More Deban看板…」
「おっと。」
ていうか、いつも微妙にデザイン変わってるんだよね…もしかして。
「…その看板、毎回作り直してるの…?」
「
…ルナセリアさん以来だなぁ、それ聞いたの…
「いやぁ、君達の状態のモニターとかはちゃんとしてるんだけどさ。何せ六花がほとんどやるもんだから暇なんだ。だから、毎度出る度に所々変えて楽しませようと思ってたのさ。出番が少ないのは事実だし。」
お兄ちゃん……
「ま、それはさておきだ。…例のものはコレさ。この壷。」
「壷……」
………なんで“吸魂水”入れてた壷と同じデザインなんだろ?ていうかそんなのどこから……
「物を入れておけば摩訶不思議。いつの間にやら別のものに変化する。彼らが用いる錬金術───“マカ錬金”。いやぁ、かなり劣化してるけど再現自体はできたよ、っと。」
マカ錬金……
「ただ、大本の錬金術の神秘が強すぎるのか、今回のは劣化しすぎててさ?護石や装飾品を錬金できるレベルにまでは至らなかった。実際ルーナも“これはマカ錬金とは違う”と言っていたし、“マカ麹”っていうのを使ってないからもうマカ錬金じゃなくてただの劣化錬金術なのさ。まぁ、それでも少しは助けになると思うけどさ……」
「マカ麹っていうのは使えないの?」
「そもそもマカ麹自体がない。竜人であるヒノエ・ミノト姉妹も製法を知らなかったし手詰まりかなぁ…」
「ジュリィさんとかミラちゃんとか知らないかな?」
「ジュリィとミラかぁ………あの二人なら知ってるかもしれないな。」
二人とも結構物知りだし…知ってそう。
「ともかく、“マカ錬金”にはならないとしても錬金術なのには変わりない。この壺はあげるから特異点攻略の時にでも使ってみてくれたまえ!」
「魔力なしとかでも使えるの?」
「マカ麹がない代わりに壷自体に魔術がかけてあるからね。モンスターの鱗とか、内臓器官とか、それから魔力を込めた宝石とか入れておけばしばらくすれば錬金されてるさ。大体……30分くらいかな?」
あれ、結構かかる?
「ハンターたちの世界には“マカ漬けの壷”って言うのがあったらしいんだけどさ。あっちと違って錬金までに時間がかかるんだよねぇ、今は…」
「マカ漬け…かぁ。………う~ん、私の“創造”で作れないかなってちょっと思ったけど。サンプルとなる
そういえば…
「ダ・ヴィンチさん。マカ麴ってルーパスちゃんとか持ってたりしないかな?」
「えぇ…?…どうだろう?」
「“狩猟スタイル”っていうのがあって、その中にいろいろなものを錬金しながら戦う“レンキンスタイル”っていうのがある……って、以前ルーパスちゃんから聞いたことがあるの。その錬金とマカ錬金のって同じ仕様なんじゃないかな…?」
「…………ふーむ。」
どうなんだろう…?
「…なるほど、ルーパス達に聞くのを忘れてたね。…これは一回全員に話を聞くべきかな?」
多分その方がいいと思うなぁ…とか思ってたら管制室の扉を叩く音。
「失礼します…リッカさん、まだいますか?」
「あれ?ジュリィさん。」
さっきソフィさん連れていったと思ってたんだけど…
「ソフィさんが“情報整理したい”とのことで、少し席を外させていただきました。…それと」
?ジュリィさんがアイテムボックスを開いて……二振りの太刀を出した?
「これ、リッカさんと七海さんに。新たな武器として。」
「はぇ?」
「え?」
私と…ナーちゃんに…?
「あたしも…なの?」
「えぇ、アメリカの特異点にいた時から時間をかけて構想を練り、情報を集め、設計したものです。お二人専用に。」
「私達専用…」
漆黒の太刀と、純白の太刀。…どちらがどちらの、とは言わなかった。
「……これは、あたし達で選ぶの?」
「あ、はい。」
「……リッカさん。先に、どうぞ?」
「…私は……」
白と…黒、か…
「……」
無意識に、純白の太刀に手が伸びた。それを、ナーちゃんもジュリィさんも何も言わない。
「…リッカさんはそちらね。なら、あたしはこっち。」
「え…?」
「ですね。…予想通りの結果ですが。」
え、ちょっと待って予想通りって…?
「予想通り?どういうことだい?」
「リッカさんが白、七海さんが黒を選ぶのは予想してました。…なんとなく、ですけどね。」
「えぇぇ…?」
予想…できるものなの?
「とりあえずその武器たちの情報を教えておきますね。リッカさんのその白い太刀は銘を“闇裂キ導ノ星光”。鋭利は170、属性は龍属性27…精密10の最大痛撃色白です。」
はい!?
「属性値高くない!?ていうか龍属性!?」
「え、これでも未完成ですよ。素材足りなくて最終強化できなかったので。」
えぇ…?
「次に七海さんの黒い太刀ですが、銘を“光呑ム癒ノ夜闇”といいます。こちらが鋭利が210、属性は龍属性23…精密が10の最大痛撃色白となります。」
「物理が高くて属性が低い…対照的なのね、この武器。」
“闇を裂く”と“光を呑む”、か…
「…なおさら私が黒い方選んだ方がよかった気がしてきた」
「そうでもないと思うけれど?」
「そうかな…?だって…」
…私は闇そのもの。“人類悪”であるわけだし。
「リッカさんが人類悪と呼ばれる存在なのは私も知ってますが……“悪”だからといって、光にいてはいけない理由なんてないと思いますよ?」
「え……」
「その本質が悪だとして、その悪が世界を救ってはいけませんか?その悪が、どのような理由で世界を救ったとしても。人々はその悪を光だと認識するのではないでしょうか?」
……
「ロンドンでのモードレッドさんを思い出してください、リッカさん。彼女は“自分以外にブリテンを壊させない”という信念のもと、ロンドンを救う側に立ちました。それはすなわち、世界を救う側へと。…まぁ、彼女の属性は中庸なのですが。それはともかく、かつてブリテンを破壊した彼女は、見方によっては悪と捉えられるのでは?」
それは……
「リッカさん。自分が悪で、光にであってはいけないと思うのは勝手なのですが……そもそも、正義か悪か…善か悪かを決めるのは貴女自身ではなく後世での第三者です。…この世界に来てからというもの、モンスター達の別の一面を見て私は思い知りました。モンスターは全てが悪ではないのです。後世において悪だとされているのは、その時の記録で悪とされているだけ。…本来なら、モンスター達も悪ではないただその世に生きるだけの存在。それを害したから、縄張りを侵したからこそこちらに牙を剥く。…ただ、それだけです。」
小さくため息をついて、例外はいますけど、と呟いてから私をまっすぐと見つめる。
「ともかくです。自分を悪だと、世界を壊す闇だというのなら。“自分以外の悪に世界を壊させない”という信念のもと戦ってください。」
「自分以外の…悪に。」
「そうして、最終的に世界を護ったのならば───きっと人々は、貴女を善だと認識するでしょう。世界を守った、光だと。」
そういうもの…なのかな。
「…長く話してて疲れてしまいました。そろそろ戻りましょうか…ソフィさんも落ち着いてることでしょう。」
「ん…あ、待って!」
いきなりすぎて完全に忘れてたけど、そういえば…!
「?」
「ジュリィさんって“マカ麹”の製法とか知ってたりする…?」
「マカ麹……って、確か物を発酵させると別の物に変化させる細菌の一種ですよね?マカ漬けの壷でも使うんですか?…一応、一部だけなら知ってますけど。」
知ってた…!?
「知っているのかい!?」
「少し遠いですがロックラックには時々行ってましたので。」
ん~…と?
「あぁ…“砂塵の大都市ロックラック”には調合屋というものがありまして。そこに置いてあったんですよ、マカ漬けの壷。昔、興味を持って色々教えていただきました。」
「ちょ、ちょっと色々聞かせてくれるかい!?」
「え、わぁぁぁ!?」
あ、連れ去られていった…
裁「ジュリィさんって情報関連でかなり鍵になるからまず聞くならジュリィさんがいいんだよね…」
あ、そうなの?
裁「ゲーム上で、っていうことじゃないけど。少なくとも私が生前会ってるジュリィさんは本当に色々なことを知ってるから…」
逆にゲーム上でも知ってそうだけどね、あの人の行動力とかからすると…
裁「……否定できない気がするなぁ…」
だよね…
裁「……ていうかあの人普通にすごいからね?」
知ってる。ルーパスさん達みたいにいろいろできるのにメインクラスが“キャスター”で顕現してるのって多分“霊基の核”となったものが“前に立って戦う”じゃなくて“後ろに立って多種多様な補助”だったからだろうから。
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