狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い 作:Luly
香月〈大丈夫?〉
多分……
買う……というか予約購入済ませた……
「それで、話とはなんだ?…ありすよ。」
ルーパス・フェルトがハモンのもとを訪れ、藤丸リッカが藤丸六花に呼び出されている頃。ギルガメッシュは自身のマイルームに来たありすを迎えていた。
「色々と申し訳ないわ、準備させてしまって…」
「貴様は客人、我は部屋主だ。こちらが準備するが当然であろう。それが例え唐突であってもな。」
「…そう。それにしても、随分と地味なマイルームにしているのね?」
ありすが周囲を見渡してそう呟く。確かに、ギルガメッシュのマイルーム内装は地味なもの…というか落ち着いたものであった。
「あなたなら、全部黄金とかやっていそうなのだけれど。」
「ふん、長い間同じ光景ばかりであると流石に飽きるのよな。気分を変えるのに日本の和室などはちょうどいいのだが、物を置くのが面倒でな。このような粗雑な内装になっているだけにすぎん。」
その言葉に、ありすが疑問そうな表情をする。
「あなた、コンソールのマイルーム設定から“オブジェクトセット”使ってないの?」
「……なんだ、それは?」
「使ってないどころか知らないのね、その反応は…」
呆れたように溜め息をつき、先に用意されていた和菓子を食べる。
「あ、美味しいわね。…今度から洋菓子以外にも用意してもらおうかしら…」
「ジャンヌや贋作者には劣るが、美味であろう?…そら、粗茶だが。」
「……どうしてお茶を点てられるのかしら、この王様…」
「知識を求めるは存外に楽しいのでな。茶道も菓子作りもその流れにすぎん。あぁ、作法など要らん、好きに飲め。」
「……本来のあなたなら、絶対にそんなこと言わないわね…」
「当然よ。…もしくは、類稀なるレアクラス故に我といえど浮かれているのかもしれんがな。」
「そうかもしれないわね……あ、美味しいわ」
お茶を飲み、ポロリと出たようなその言葉に満足そうに頷くギルガメッシュ。しかし、その表情は一瞬でもとに戻った。
「…それで。話とはなんだ?…ありすよ。よもやいたずらに来たわけではあるまい?」
「……」
その問いに、表情を真剣なものにして湯呑みを下ろすありす。
「…
「うむ、知っているが…」
「
話を聞いていることを目で確認してからまた口を開く。
「───一昨日のことよ。電脳空間に、英霊……“電子化英霊”とでもいうべき存在が現れたの。」
「…なんだと?」
険しい表情になるギルガメッシュに対して、お茶を一口飲んで溜め息をつく。
「幸いなことだけど、黒化英霊みたいに話が通じないわけじゃなかったわ。その点は安心なさい。」
「……では、相手の目的はなんだというのだ。」
「…電子英霊としてカルデアへの所属、だそうよ。」
「カルデアへの所属…だと?カルデアの破壊ではなく、か?」
怪訝そうな顔をするギルガメッシュに表情を変えずに言葉を繋ぐ。
「知っているでしょうけれど、カルデアの電脳空間防壁はかなり強固よ。それこそ並どころか結構高位のハッカー程度では越えられないほどに。
「しかし、それが破られたのだろう?」
「え?いいえ、破られていないわよ?」
「は?」
キョトンとした表情で告げるありすに、ギルガメッシュが気の抜けた返事を返す。
「
「…待て、相手は電脳空間に現れたのだろう?」
「えぇ。カルデアの電脳空間───エレクトロ・カルデアの外に。相手方はまだ門の前にいる状態よ。」
「……紛らわしい。」
「ごめんなさい、
疲れた表情をするギルガメッシュにありすが謝る。
「…で、相手はこちらへの所属を希望しているとの事だったな?相手に敵意は?」
「無さそうだったわ。ただ、1つ…相手方からの希望が1つ。」
「ほう?その希望とは?」
「───“カルデアにいる金色の王、ギルガメッシュへ謁見させてほしい”」
「…ほう?」
その興味を持ったような声に溜め息をつき、お茶を下ろすありす。
「電脳世界の所長がいるのならばそれでもいい、とは言われたのだけれどね。
「ふむ。…なるほど、電脳所長か。そういえば忘れていたな。」
「
「………何が違うというのだ、それは?」
「物理的に繋がっているか情報的に繋がっているかの違いよ。同じネットワーク……同一LANの中にいて相互通信しあっているの。同じ多重攻性防壁で護られてるから安全といえば安全ね……もう
「ふむ……」
「……それで、どうするの?電子英霊の件。嫌なら断っておくけれど。」
その問いかけに少し悩んでから口を開く。
「……いや、行くとしよう。第一手にわざわざ我を指定したのだ、どのような者か見定めてやろうではないか。」
「そう。すぐに行けるかしら?」
「む……待て、1つやることがある。」
「やることが終わったら声をかけてちょうだい。」
ありすの言葉に頷いた後、コンソールの前に座りホロキーボードを出現させるギルガメッシュ。何やら打ち込んだ後、キーボードを消して立ち上がる。
「これでいい。」
「…随分とはやいわね。まぁ、いいわ…それじゃあ、
「……」
「…説明されないと分からないあなたでもないはずよ?身体情報を
その言葉にギルガメッシュが溜め息をつく。
「…マスターであるならまだしも、ただの幼い娘に導かれる日が来ようとはな。」
「あら、そんなのただの外観だけよ。
そこで言葉を切り、表情を暗くする。
「…もっとも、
「…すまぬ、嫌なことを思い出させたか?」
「いいえ。
「…そうか」
「さ、行きましょう?」
「うむ。」
ありすの小さな手にギルガメッシュが大きな手を重ねる。
「───実数空間より電脳空間への接続を開始。霊基“ギルガメッシュ”、及び霊基“ストーリーズ・ライブラリ”の二進数変換を開始。魔術式エンコーダにより、十進数型物質性霊基情報を二進数型電子性霊基情報へ変換します……」
「…む」
「物質性霊基情報の分解を完了。電脳空間へダイブします」
途端───ギルガメッシュの周囲が近未来的な風景に切り替わった。
「ほう……」
「
「む?ここは既に電脳世界なのだろう?」
「そうだけれどここはただのゲートウェイよ。まだエレクトロ・カルデアの内部じゃないわ。ついでにこっちは職員専用の裏口。現実世界のカルデア内部から電脳世界に入るとこっちからになるのよね……さ、行きましょう。」
「う、うむ…」
幼女に手を引かれるままに歩くギルガメッシュとは中々にシュールである。1つの扉の前で立ち止まったありすはホロキーボードを叩いて扉を開けた。
「さ、開いたわよ。」
「む……この手はいつまで───」
「はやく入りなさい。異物認識されて抹消されても知らないわよ。」
「う、うむ…」
扉の奥にギルガメッシュが入ると、ありすは手を離した。
「
「……その説明、もっと早くせんか。」
溜め息をつき、周囲を見渡すギルガメッシュ。その風景は、カルデアと全く同じだった。
「……?カルデアに戻ってきた…わけではないのだろう?」
「構造が全く同じだもの、戸惑うのも無理はないわ。」
「構造が同じ…どころではないぞ。触る質感まで全く同じだ。」
「サーバー根幹……グラフィック投影は“メイン・ビジュアライザー”だもの。ホント、なんてもの作ってるのかしらね…さて、正門に行きましょう。件の相手はそこに待たせているの。」
そう告げ、ありすは歩き出した。その後ろを呆れながらギルガメッシュがついていく形になる。
………
香月〈んー……スー姉〉
………
香月〈スー姉?〉
………
香月〈器用か…って言ってる場合じゃない!〉
……はっ!?え、何!?
香月〈スー姉、気絶してたらしいよ?〉
…またかぁ……最近多い気がする。
香月〈大丈夫なの?〉
さぁ…?…あ、今日って7日か…
香月〈?そうだけど…〉
明日は買いに行かないとね…“魔法使いの夜”…
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