狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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月「お母さんの眠りの深さ……ですか?」

裁「はい…最近は2時間ほどしか眠れてないって聞いて…」

月「あー…まぁ、確かに……」

………

月「……今も気絶してますからね、お母さん…ギルガメッシュさん、申し訳ないのですが起こしてもらってもいいですか?」

弓「それは構わんが……こやつ、日に日に弱っておらんか?」

(るな)「精神面は大丈夫なはずですよ。肉体面は分かりませんけど。」


第304話 電子英霊(エレクト・サーヴァント)

「戻ったわよ、アミィ。」

 

物質世界のカルデアの正門に位置する場所───電脳世界のカルデアの正門も同じ位置に。等しくフィニス・カルデアと同じ構造のエレクトロ・カルデア、そのフロントゲートを出た電子の海。ギルガメッシュと共にやってきたありすはそこに立つ少女に声をかけた。

 

「………」

 

「アミィ?」

 

「…あ。おかえりなさい、ありすおねえちゃん…」

 

「寝てたのね…ごめんなさい、起こしてしまって…」

 

「ううん…?だいじょうぶ……」

 

「…ありす、この娘は?」

 

「この子はアドミニストレータよ。こう見えて、ね。自己紹介なさい、アミィ。」

 

寝ぼけ眼のような状態でアミィと呼ばれた少女はギルガメッシュと対面した。

 

「ぁい……ユニット識別ID:2-L、管理者型個体(アドミニストレーション・ユニット)二号機……個体名称“Administrator Zwei”です……みんなからは“アミィ”とよばれています…」

 

「……ふむ?(ツヴァイ)…とな?確かアドミスめは(アインス)であったな…」

 

先行機(ねーさま)……アインスおねえちゃんがおせわになってます……」

 

「ほう、アドミスの妹か。…いや待てよ、確かあやつの妹はフォータであったな…」

 

「アドミスさんとフォータさんは年齢差がない双子。アドミスさんとアミィは年齢差のある姉妹になるのよ。」

 

「ほう…喋り方が幼いのはそのためか。」

 

「別に意図的なものではないらしいけれども……それはそうとアミィ、彼女達の様子は?あとちゃんと目覚めなさい。」

 

ありすの問いにアミィはコクリと頷き、1枚のホロウィンドウを開く。

 

「…コンピュータウイルス、ネットワークウイルス…それからカルデアへの敵意、悪意などは検出されませんでした…正真正銘白です……」

 

「そう。」

 

「……ありすよ。ずっと気になっていたがこの箱はなんだ。」

 

ギルガメッシュがカルデアのフロントゲートの電子の海を挟んだ対面に位置する白い箱を見てそう呟く。

 

「それ?牢獄よ、簡単に言えば。」

 

「牢獄…だと?」

 

「正式名称“相互通信回路接続妨害ボックス”……外からの通信は受け入れますが内からの通信は妨害…というか遮断するボックスです…電子生命にとって通信を妨害されるのは監禁されてるのと同じですので……」

 

「………作成者は誰だ?」

 

「とーさまが作りました……」

 

「……あやつのできないことってなんだ?」

 

「一応マスターにはなれないわよ?」

 

「そうであったな……」

 

ギルガメッシュがため息をつくと同時に、アミィがホロウィンドウを操作する。

 

「……ボックスのロック……アンロックします…」

 

その言葉と同時にボックスから空気の抜けるような音がした。

 

「アンロックしました……内側からはありすお姉ちゃんの存在鍵(ユニットキー)……及び存在認証文字列(ユニットパス)で開けられますので……」

 

「分かったわ。行きましょう?」

 

「う、うむ…」

 

ありすの後ろからギルガメッシュがついていく形でボックスの前に立つ。そうして扉が開かれたボックス内は暗かったが、ありすが足を踏み入れた途端に明るくなった。

 

「人感センサーか。」

 

「“電脳体”に対して“人感”もおかしいんじゃないかしら?」

 

そんな雑談をしながら移動していると、開けた場所に出た。そこに、座り込む存在が2つ。

 

「…あぁ、やっときたのだわ。」

 

「貴様は……“エレシュキガル”か?」

 

存在の片方、金髪の少女への問いに少女が少し考えてから頷く。

 

「少し難しいけれど大体はあっているのだわ。私は冥界の女主人、エレシュキガル。…だけれど、私は“英霊(サーヴァント)”ではないのだわ。」

 

「なんだと?」

 

「そこにいる人と同じなのよ。姿と人格を複製した“人工知能(アーティフィシャル・インテリジェント)”。…とはいえ、劣化だけど宝具は扱えるの。だから、“劣化英霊(ダウンスケール・サーヴァント)”と言ってもいいのかも。」

 

「………ふむ。」

 

ギルガメッシュの視線がもう1つの存在に向く。

 

「…なんだ?」

 

「貴様は確か……“ラーヴァ/ティアマト”だったな?」

 

「…まぁ。ただし、大元よりも大分改変が加えられているのか、本来の私とは違う感覚に陥るが。」

 

「……ふむ?なるほど、貴様はそもそもがティアマトではないな。“ラーヴァ/ティアマト”という枠組を与えられただけの紛い物。大方、エレシュキガルと違って獣の権能はおろか宝具も使えぬであろう?」

 

その言葉に顔をしかめてから溜め息をつくティアマト擬き。

 

「…そうだな。所属席の代理取得のような使い方をされたのが私だ。ネガ・ジェネシスも毅き仔よ、創世の理に抗え(ナンム・ドゥルアンキ)も…他のスキルすらもないただの入れ物だ。」

 

「まさしく劣化、というべきか……なるほど、貴様がそこまで弱まっているは“単独顕現”スキルが貴様の内に存在しないからか。」

 

単独顕現。単体で現世に現れるのに加え、“既にどの時空にも存在する”在り方を示しているため、時間旅行を用いたタイムパラドクス等の時間操作系の攻撃を無効にするばかりか、あらゆる即死系攻撃をキャンセルするスキルだ。人類悪───(ビースト)が所持するスキルであり、回帰の獣(ビーストⅡ)であるティアマトが持っていないのはおかしい、はずなのだ。

 

「劣化していることなどどうでもいい。私は私の役割を果たせれば十分だ。」

 

「…ふむ。」

 

「近いうちに(ティアマト)が姿を現すだろう。そうなれば私の役割は終わりだ。…さて、どうする黄金の王ギルガメッシュ?私達を信じこの場所に置くか、信じずそのまま消去(デリート)するか。決定権はお前にある。」

 

「……」

 

ギルガメッシュが頭を押さえた時、ポコン、という音がした。

 

「む?……ありす、なんだこれは?」

 

「通知音ね。恐らくはメッセージ…でも、あなたにメッセージを送れるのなんて……」

 

「…ふむ。六花からか。」

 

「…ちょっと。警戒なしにメッセージを開くのは危険よ?特に今のあなたは電脳体。コンピュータウイルスでもいたら簡単に汚染されるわよ?…私も知らないけれど、コンピュータウイルスに汚染された状態で物質化(デコード)したら霊基も汚染されるかもしれないわ。」

 

「む……すまない、注意するとしよう。」

 

「汚染されても大丈夫なようにフォーマッタがいるのでしょうけど、注意するに越したことはないわ。」

 

幼女に怒られる金色の王とはやはりシュールである。…とはいえ、ありすの電脳体歴はかなり長い。電脳世界で考えればありすの方が権限は上……なのかもしれない。

 

「さて、エレシュキガル、ならびにラーヴァ/ティアマトよ。貴様達がカルデアに所属することを許可する。」

 

「え………」

 

「………いいのか?」

 

エレシュキガルが驚き、ラーヴァ/ティアマトが懐疑的な視線を向ける。

 

「構わん。叛逆するというのならしてみるがいい。が、それにはそれ相応の対応があると思え。…それだけだ。」

 

「…そうか」

 

「他に用がなければ我はこれで去るが。」

 

「私はないな。」

 

「私もないのだわ。…こんなにあっさり行くとは思っていなかったけれども。」

 

「…行くぞ、ありす。貴様でなければ扉は開かないのだろう」

 

「え、えぇ…」

 

思考が追い付いていないというように困惑しながらもギルガメッシュの前を歩くありす。しかし、数歩歩いただけで思い出したように足を止める。

 

「…あ、そうそう。あなた達は少しそこでお待ちなさいな。許可は出たといえどもIDもない現状、ボックスから出ることはできないわ。管理者に発行をお願いしておくからおとなしく待ってなさい。」

 

「わ、わかったのだわ…」

 

「……でも、発行に数日かかるかしらね…あの子達も忙しいもの。」

 

そう言い残して、ギルガメッシュとありすはボックスから出た。

 

「…む?」

 

「あ…お疲れ様です」

 

「…貴様は?」

 

ボックスから出た時、アミィと何か話をしている見覚えのない人物がいた。その人物は静かにお辞儀をして、口を開いた。

 

「ユニット識別ID:2-R、消去者型個体(フォーマット・ユニット)二号機……個体名称“Formatter Zwei”です。他の皆からは“フーマ”と。アミィの妹になります。」

 

「ほう、貴様が第二のフォーマッタか。」

 

「はい、まぁ…」

 

「…ふむ。…ちょうどいい、ここで発表するとするか。」

 

「「「??」」」

 

ギルガメッシュの言葉に三名が首を傾げる。それを気にせず、ギルガメッシュは手を振ってウインドウを表示させる。

 

「……AI三人娘か…」

 

「…あたし(ありす)、AIじゃないけれど…?」

 

「聞こえていたか…まぁいい。」

 

小さく息を吐いてから開いたウインドウに目を落とし、口を開く。

 

「───人理継続保証機関フィニス・カルデア所長“オルガマリー・アーミスレイト・アニムスフィア”、人理継続保証機関フィニス・カルデア機器系統技術長“藤丸 六花”…並びに人理継続保証機関フィニス・カルデア所属管理者型人工知能長“アドミニストレータ・アインス”、人理継続保証機関フィニス・カルデア所属消去者型人工知能長“フォーマッタ・アインス”。それに加え、英雄王“ギルガメッシュ”の五名の連名により、人理継続保証機関群ギルド・カルデア(仮称)所属サーヴァント“ストーリーズ・ライブラリ”こと固有名“ありす”を人理継続保証電脳機関エレクトロ・カルデアの所長に任命する。」

 

「…………………?」

 

ありすがフリーズした。

 

「なお、人理継続保証電脳機関エレクトロ・カルデア所属管理者型人工知能長“アドミニストレータ・ツヴァイ”と人理継続保証電脳機関エレクトロ・カルデア所属消去者型人工知能長“フォーマッタ・ツヴァイ”の了承は既に得ていることをここに明示する。」

 

「あ、あたし(ありす)が……所長?あたし(ありす)…が?」

 

復帰したありすが信じられない、というようにアミィとフーマの方を見るとアミィとフーマは揃って頷いた。

 

あたし(ありす)に…できるかしら。」

 

「完璧にできずともよい。所長であろうと、周囲を頼れ。…貴様のできることを為せばよい。」

 

「……分かったわ。」

 

「わたしも手伝う…ありすお姉ちゃん……」

 

「一緒に頑張りましょう、ありす姉様。」

 

「…頼りないだろうけれど、よろしくね。アミィ、フーマ。」

 

ありすの言葉に、アミィとフーマが深く頷いた。




月「とりあえず、お母さんの基本的な睡眠時間は5時間から7時間くらいですね。」

裁「それって……ほとんど睡眠足りてないってことじゃ…」

月「まぁ、そうでしょうね…その代償みたいなものなのか、休日に半日分…12時間寝るとかがあったそうで。」

裁「……えぇ」

月「最近は解消されつつあるみたいなのでなんとも言えませんが…」

………夜だと作業中とかに意識飛ぶのはもうほぼほぼ慣れた……

月「あ、お母さん」

裁「それって大丈夫なの…?」


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