狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い 作:Luly
手紙「創り手さんと香月さんにドッキリのようなものを仕掛けたいんです。ご協力願えますか? L.M」
星見の観測者「……やれやれ。」
『暗っ!』
本堂に入って、陽詩さんの第一声がそれだった。
『暗い、というよりは薄暗いかな?とりあえず、“夜眼”を使っておいた方がいいかな…』
夜眼というのは別名“猫眼の術”、もしくは“暗視眼の術”。
『朝・光属性である陽詩はこういう暗闇系に弱いもんね。』
『うっ……ほんとごめん……6倍弱点なんだよ…』
ちなみに
「あぁ……かわいそうに……かわいそうに……」
「神は年端も行かぬ子にも試練を与えるのか……」
…これは……一体?祈りを捧げている人…恐らく信徒と思われる人達が天幕前に揃っているけども。
『………』
フォウは何も言わない。…ざっと探知をしてみたところ、天幕の向こう側に小さな生命反応がある。…けれど、ここにいる誰よりも反応が弱い。フォウが何も言わないのなら、私達の好きにすればいい…はず。多分。
「…お邪魔します」
信徒達の前を通って天幕の前に。……足音は立てなかったけども、そもそも私達に気がついていないような。そんな気はしたけども、とりあえず天幕を潜る。
「……?女の子?」
恐らく……10歳、もしくはそれ以下。そんな子が、布団の中で寝込んでいた。
『この衰弱状態……昔の私に似てる。だけど、私みたいに呪いみたいな衰弱とは多分違う。』
「…どちら様…でしょう?」
詳しく状態を診るために触れようとしたとき、寝込んでいた少女から声をかけられた。
「っ…え、えと……」
「……」
どう答えればいいだろう。ええと………とりあえず落ち着いて。
「……薬師。医療の知識は多少ありますが……薬師、です。」
「薬師…様?」
…嘘は言っていない……というわけでもない。実際、創造師は薬師…もとい調合師よりも錬金術師に近い。違いといえば何もないところから生み出すか、触媒を元に何かを生み出すか。とはいえ、魔術に何も噛んでいないような人には薬師が一番分かりやすいと思う。
「……あの方達は?」
天幕の方を見ながら言ったために彼女も理解したようで、表情を消しながら呟く。
「彼らは…私を救わない。…人は、人を救わない…」
…………なるほど。病に侵されながら、それを治癒しようとしない信徒達。それで、この世界に絶望した……という感じだろうか。
「少し、診させてくださいね……目を閉じていてください」
「………」
訝しみながらも目を閉じてくれる彼女の額に手を当てる。……免疫低下による風邪。免疫低下に関しては不治性のものではなく、治癒可能。ただし低年齢なため抗生物質の分量は十分に注意…
「あの……?」
「目を開けても大丈夫ですよ。…ええと」
指を鳴らして木製の薬箱を出現させる。いきなり現れた薬箱に驚愕している彼女の前で薬箱を開き、薬の調合を始める。
「薬草とアオキノコと……アルビノエキスは絶対に要らないね…」
『そうだね、アルビノエキスは滋養効果を強力にするものだから小さな子の身体には逆効果だと思うよ。』
「ハチミツ……もだめかな」
『あー……どうだろう。私達の世界のものは置いておいてこの世界のって考えると……』
…ミラさんがいてくれて正直助かったと思ってたり。ハンターさん達から調合は習ってるものの未だ分からない部分は多い。
「…これで完成かな」
『げどく草とアオキノコ…それにウチケシの実と太陽草で“解除薬”。コレって結構子供にはキツイ薬だったような気もするんだけど……アルビノエキスや滋養エキス、それに加えてにが虫とグリーンハーブとかやらないだけまだマシなのよね……』
……“グリーンハーブ”はバイオハザードではなかっただろうか。という疑問はひとまず置いておくことにして。
「これを、ゆっくり飲んでください。…すこし、いやかなり苦いと思いますけども……」
「は、はぁ……」
困惑しながらも飲んでくれる彼女。…わ、すごく苦そうな顔してる……
「…あ。身体が…軽く」
効いた……らしい。この薬に即効性はない、と聞いていたのだけども。
『苦いけど本当に一時的…一時的な即効作用は現れるんだよね。』
『というと?』
『大体飲んでから10分後に飲む前の状態に戻る。でも、薬そのものは効いてるから5時間後には普通に動けるようになる。』
即効と遅効の二段構え……ということは。
『今動かさない方がいい感じですかね?』
『そうだね。もっと強い解除薬である“即効解除薬”だと動かしてもいいんだけど。…ちなみに私が昔使ってたのは“即効解除免疫剤”っていう超劇薬ね…逆にそれじゃないと効かなかったんだけど。』
ミラさんがそのあたり詳しいのは昔の経験もあったりするのだろうか。
「ん……」
「あ、身体は起こさずに。…数分後にまた元の状態に戻っちゃうので、そのさらに数時間後に体調が良くなるのを待ってください。」
「は…はぁ……」
改めて彼女を診る。…現在異常無し。徐々に免疫力が上がっているのも確認……もしかして。
『…ミラさん。もしかしてなんですけど、この“解除薬”って抗体を作るための薬だったりしませんか?抗体を作り、その抗体で相手となる病原体と戦えるかを試験するために即効性で病気を消してから再発、その後再発した病気を抗体で消す…みたいな。』
『……そう、なのかな?私専門じゃないし分からないけど…』
まるでワクチンのような性質をしているような、と思った私は多分間違っていないと思う。
「……では、私はこれで……」
安静にするのに
『待って、ナナコ。』
「…?」
天幕の方へ向いたとき、フォウに呼び止められる。
「ぁ……」
『何か言いたげだ。…聞いてやれば?』
「お待ち……ください、ま……うっ……」
掠れるような声と辛そうな声。その声に、思わず振り向く。布団から這い出るような彼女の姿がそこにあった。
「……わた、くしは───殺生院……」
その辛そうな声に彼女に近づき、身体を布団の中に戻す。
「あ、ありがとうございます……改めて、私は……殺生院、祈荒。薬師様……どうか、もう少し……一緒に、いてはいただけませんか……?」
『……もう少しいてやれるかい、ナナコ。』
フォウが言うのなら……
「……私などでよければ。ともかく、状態がよくなるまでは安静にしてください。」
「…はい……ありがとう、ございま…す……」
そう言って彼女は眠りについた。…彼女が目覚めるまで、静かに待つとしよう。
裁「そういえばマスター」
んー?
裁「生前アルにも聞いたんだけど、マスター達の夜属性とかって一体何なの?」
あー…それか……
裁「陽詩さんに夜・闇属性が6倍弱点っていうのは聞いてるけど…」
んーとね……どう話すのがいいのか……
裁「全貌理解してないの?」
地味に複雑だから説明面倒なんだよねー…ええと。
とりあえず、時刻属性…朝、昼、夕、
基本形として二弱二強二対で、
残りの強弱はそれぞれ
“さらに強い”っていうのは3倍弱点…与ダメージ3倍になる属性。逆に“さらに弱い”っていうのは1/3耐性…与ダメージが1/3になる属性。
……一応記憶してるのはこのあたりかな。こんど正式な相関図作っておく…
裁「相関図作ってなかったの!?」
説明すると思ってなかったからね。とりあえずあの子達の時刻属性と基本属性は下みたいな感じよ。
| 氏名 | 時刻属性 | 基本 |
|---|---|---|
| 無銘 | 虹 | 虹 |
| 魂込 星海 | 夜 | 水 |
| 創詠 月 | 夜 | 闇 |
| 雨照 陽詩 | 朝 | 光 |
| 魂込 星乃 | 明 | 星 |
| 亡月 美雪 | 昏 | 火 |
| 夢月 璃々 | 夜 | 夢 |
| 不明 | 不明 | 不明 |
裁「わ、夜に近い属性ばっかり……!?」
陽詩が朝属性なのは太陽神の巫女としての側面もあるからだし。実際私も夜属性だからね。
裁「え、そうなの?」
ん。夜・星属性だよ。基本属性に関してはホントに量が多くて面倒になるからまたいつか。
お知らせ↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=289109&uid=316165