狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い 作:Luly
裁「寝てきたらー?」
そうする……
裁「おやすみなさーい………ん?」
第312話 夢の邂逅
「……ん………くしゅっ」
変な寒さで目が覚めた。……黒い床?カルデアじゃ…ない?
「よっ……と……って、あ。」
「あ………」
黒い壁にあったこれまた黒い扉の奥から、毛布を持った人が現れた。その人は、私もよく知る人で───
「目覚めたみたいだね。よかった。」
「……お久しぶりです、リカさん。」
───未来の私。黒い龍に敗北して、自らの世界を護れなかった───私。
「風邪とかひかないように毛布持ってきたけど、使う?」
「…いいんですか?」
「別にいいよ………って、許可とるようなことでもないでしょうに。」
そうかな……?
「ここに来たってことは起きたら特異点攻略なんだから。ちゃんと風邪引かないようにしなさいな。」
「特異点………これは夢なんですか?」
私の問いに彼女が少し考えて頷く。
「正確には、今の貴女にとっての夢で、今の私にとっての現実になる。夢といっても今貴女はここで存在していて……うまく説明できないけれど、夢を介して別の世界に接続してる感じ?」
「…秘封倶楽部のメリーさんみたいな感じってことですかね。」
「そそ。…飲み物はあったかい緑茶でいい?貴女にとって夢でも実際にこの世界に“
……妙に現実味が凄い、気がする。夢なのに。
「リッカさん?」
「え……あぁ、緑茶で大丈夫です。」
「そっか。じゃあ今淹れちゃうね。あと軽く何か作っちゃうねー。」
……不思議な感覚がする。私が料理しているのを私が見てるなんて。ドッペルゲンガーじゃないからか直感も警告も反応しないし。
「そういえばリカさん、マスターさんは…?」
「マスター?別の部屋で寝てるよー。…マスターではあるけど、あの人魔力があるわけじゃないんだよねー…」
「え、そうなんですか!?」
「…あ、ごめん。厳密にはないわけじゃないのか…私も含めてサーヴァント維持できてるもんね。……なんか言ってたような気がするんだけどなー…」
うーん、と悩みながら料理を進めていくリカさん。……私もあんな風に料理できるようになるのかなぁ…
「…あ、そうだ。確か、“自分の能力に常に全術力を注ぎ込んでいるから術式が使えない”って言ってたねー。外部魔力を取り込んで術式を使うとかもできないらしい…」
「……というと?」
「んーとね。どこにあったかな……多分ここに…」
近くにあった食器棚を開けて赤黒い石を取り出した。
「…“濃厚な死血【5】”?」
「じゃ、ないよ?というかなんで死血なの?同じBloodborneでも“真っ赤なブローチ”とかあるでしょ?」
「血晶石ではないかなと思って……」
「せめて血晶石であってよ……じゃ、なくて。これは“魔石”ね。」
「魔石?バハムートでも召喚するんですか?」
「それはファイナルファンタジー。……というかなんで高威力なの…」
あ、なんか疲れてる……なんかごめんなさい…
「これ、さっき言った外部魔力を得るためのものね。砕くと周囲に魔力を散布するの。それを取り込む……というかそれを利用して魔法を扱うことが本来ならできるの。…それがマスターにはできない。」
「それは…私みたいに魔術回路が詰まっているとかではなく?」
「
そう告げたあと、台所のコンロやシンク、冷蔵庫を見た。
「この世界……一応この場所は私の部屋なんだけど。魔法というものが存在するのに、やけに機械的・物質的だと思わない?貴女がいる世界みたいに魔法…じゃない、魔術が隠匿されているわけじゃないのに。」
「……言われてみれば」
ファンタジー系の物語だとよくあるのだけど、魔法があれば科学は衰退…もしくは科学が対立・訣別しているのが基本だ。それが完全に共存しているのは妙に違和感がある。…この場所だけ、かもしれないが。
「
「制御……できなくなった?」
「そ。厳密にはほんの少しだけ制御はできるらしいけど、自分の意思で使うことができないらしいよ。…まぁ、力が封印されてる私が言えることでもないけどさ…」
「封印………それは」
「自分を縛ったわけじゃないよ。…サーヴァント化の弊害かな?多分。特に不便はしてないけど…ん、できたよ」
その言葉のあと私の前に置かれるご飯と料理。これは…
「……肉じゃが…ですか?」
「お兄ちゃんやエミヤさんと比べたら大分見た目悪いけどね。食べれない味付けにはしてないよ。」
「…ポイズンクッキングのような?」
「そうそう。…“自分”と話すっていうのは結構新鮮だけど、それなりに面白いね。並行世界の自分だとしても知識が似てるから話題に困りにくい気がする。」
「そう…ですか?」
「少なくとも私にとってはね。…さ、冷めないうちに食べちゃって?」
「……あの、リカさんの分は…」
そう聞くとリカさんは少し困ったような表情をして笑った。
「私、リッカさんが来る少し前に食べちゃったから。遠慮なくどーぞ。」
「…では、いただきます。」
用意されたお箸を使って肉じゃがをとる。それをそのまま口に入れる───
「───っ!?」
───甘すぎず、塩辛すぎず。この味付け、完璧に私好みだ。驚いてリカさんを見ると、柔らかく笑った。
「好きでしょ?その味付け。…だって“私”だもん。」
「……あぁ、そっか」
幾度となく言っているけれど、リカさんは未来の私。そういう好みは似通っている、どころか全く同一なはず……
「…………あ。」
「ん?どうしたの?」
「…リカさんは…私の未来なんですよね?」
「…うん、そうだけど……一応。」
なら……
「…1つだけ、聞かせてください。ミラちゃんが自分の中にいる龍のお話をしたとき…いつも、胸の奥が痛むんです。…何故でしょうか。」
「あー…………それかぁ」
納得したように頷くリカさん。そのあと、少し悩んで口を開いた。
「ごめん、それは答えられないかな。いずれ必ず分かることだと思うから。…とりあえず、病気ではないから安心して?」
「…そう、ですか。」
未来のことについて答えてくれないだろうと言うことはなんとなく分かっていた。ともかく、病気ではないのが分かっただけでもいい。
「…ごちそうさまでした。」
「おそまつさまでした。…っと、目覚めるみたいだね」
リカさんの言葉に自分の身体を見ると、白い光を放出し始めていた。
「第六特異点……頑張ってね、リッカさん。」
「はい、ありがとうございます。」
リカさんが手を振っているのを見た直後、視界がホワイトアウトして───
ピピピピピ……
「………」
気がついた時にはカルデアのマイルームにいた。
「……よし、行こう。あとあの味付け絶対に作ろう。」
準備をしてマイルームを出る。…特異点の全修復まで、あと少し。
おはよ……
裁「おはよー。」
………?なんか上機嫌じゃない?
裁「そんなことなくない?」
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