狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い 作:Luly
裁「毎回毎回悩んでるもんね……」
ほとんど世界の成り行きに任せているけどサーヴァント召喚に関してはこっちで結構調整しないとなんだよー!!
「入ります」
管制室───いつもの始まり。私が管制室に入ると、既にみんな揃ってい……うん?
「………?」
なんか……人数が多い。あと、何故かお兄ちゃんがいない。
「おはよう、リッカちゃん。よく眠れたかい?」
「うん、一応は。」
一応、とは言ったけど───さっきまでリカさんのところにいて、意識そのものは動いていたのにいつもより調子がいい。
「さて───今回の目的地を確認しよう。今回舞台となるのは13世紀のエルサレム。“聖地”として知られているあの場所だ。」
「13世紀のエルサレムっていうと…ちょうどアサシンさん…ハサンさん達の…?」
「あぁ、ちょうどそのあたりになるかな?正確に言えば1273年、第九回十字軍が終了し、エルサレム王国が地上から姿を消した直後の時期だ。」
…う、うーん。戦争直後………っぽいところに毎回飛ばされるなぁ…
「十字軍遠征の終了───西洋諸国がエルサレムから撤退したことは現代にまで続く人類史に多大な影響を与えているわ。特異点として選ばれるのに十分相応しい場所といえるでしょう。…ただし。師匠?」
「実際のところ、第六特異点の予測はアメリカの特異点よりも先にできていたのさ。…ただ、シバから帰ってくる観測結果があまりにも安定しなかった。時代証明が一致しない、時には観測そのものが出来ない時さえあったんだ。あの赤い大地が帰ってくるんじゃなくて、観測の光そのものが消えてしまう状態。…これがどういうことか分かるかい?」
「…第六特異点がカルデアスの表面に存在しない───その部分だけすっぽりと空洞になりつつある、ということでしょうか?」
マシュは詳しいなぁ…
「そう、第六特異点は人理の流れから外れようとしているのさ。今までは“その時代”を乱そうとするソロモンの聖杯との戦いだったけど、今回は特異点そのものが“あってはならない”歴史になりつつあるんだ。…で、その原因はというと。」
ダ・ヴィンチさんが視線を向けた裸の人…確か、“オジマンディアス”さん。
「特異点の変質!エルサレムはとうに滅び、余の太陽の神殿に聖杯はある!…して、余の太陽の神殿と対するは聖都の騎士共!!」
「“獅子王”と名乗る王とそれに仕える円卓の騎士たちが守る“聖都キャメロット”。主に対立しているのはこの二つの勢力だそうです。」
「円卓の騎士…って、確かモードレッド?」
ルーパスちゃんがそう聞く。
「モードレッドは確かに円卓の騎士の一員ですが、円卓の騎士は彼女だけではありませんよ。ルーパスとリューネがフランスで倒したサー・ランスロットもそうです。…あれは狂ってましたが。」
そのアルトリアさんの言葉にルーパスちゃんとリューネちゃんが微妙な表情をした。
「……あんなのが大群でいるってことか……」
「あれを相手にするとなると私弓使えないじゃん…私の本領、弓なのに…」
ランスロットさんの宝具のせい、かぁ…
「…対峙する可能性がある……ううん、対峙するんだよね、確実に。」
「えぇ、間違いなく円卓の騎士達とは対峙することになるわ。…マシュ、貴女の心意を確かめます。」
マリーの言った“しんい”、字が違ったような…?
「貴女は戦えますか?円卓の騎士は確かに強敵。しかしそれでも、リッカを守護する盾として前線に立ち続けられますか?───例えどんな感情を持とうと、砕け得ぬ城壁として立ち続けられますか?」
「先輩を………」
見つめてくるマシュに小さな頷きで返す。それだけで伝わったのか、少し目を瞑ってからマリーの方を向いた。
「───“護ります”。先輩を、皆さんを、未来を───私がこの手で、護ってみせます。…それが、私の戦いですから。」
「…貴女ならそう言うと思っていました、マシュ。」
そう言ったと同時にどこからか現れた黒子さんから1枚の紙を渡されたマリー。………ん?…ま、いっか。何も反応してないから害はなさそうだし。
「それでは───マシュ、貴女に宿った英霊の真名を伝えます。」
「え…?」
「自ら見つけるべき───かつてはそう思いましたが、真名を他から聞いたところで貴女の決意は変わらない。そうよね、マシュ?」
「……はい、もちろん。教えてください、所長。私を…私や先輩達を助けてくれた英霊の名前を。」
「……リッカ達を護ったのは紛れもない貴女自身だということは忘れてはいけないわ。その上で聞きなさい。」
マシュの頷きに対し、マリーが一呼吸置いてから口を開く。
「その盾は盾でありながら盾ではなく、あらゆる英霊を招く“
「彼の者は円卓において最も清き騎士。その在り方にて災厄の席に立ち、呪いを跳ね退けた聖なる騎士───」
それって……
「───真名“ギャラハッド”。その英霊こそが識別ID“svt-00000002_tst”───カルデア英霊召喚例第二号。“ソロモン”と“レオナルド・ダ・ヴィンチ”の召喚の間に召喚された英霊よ。」
「ギャラ、ハッド……」
「……っとと」
倒れかけたマシュを支える。怪我はないから…精神的なものかな?
「大丈夫、マシュ?」
「はい…大丈夫です、先輩。」
そう言って私の支えから普通に立つ。
「………ギャラハッド。それが、私達の恩人の名前なのですね。…今、本人にお礼を伝えることはできませんが……私達を助けてくれたことに、多大なる感謝を。」
「……いつの日か、彼と出会えたときにその感謝は伝えてあげてください、マシュ。」
「…はい、アルトリアさん。」
その言葉に満足そうに頷いてから真剣な目付きで私達を見るアルトリアさん。
「───相手となるは狂い果てた円卓の騎士。これより貴女達は、私と共に狂った騎士達を天へと還す戦いに出る───力を貸してくれますか、マスター。そして聖なる騎士の意志を受け継いだ者よ。…絶望に染まった白亜の城を叩き壊し、喪われかけた生命の未来を護るために。」
その問いに───答えはもう、決まってる。
「もちろん───是は絶望を否定する戦いである。」
「是は未来を取り戻す戦いである───相手が円卓の騎士であっても、未来を取り戻す邪魔をするなら叩き潰します。」
「……ありがとう。」
「…リッカ殿達に頼むのはいいが、僕達の事も忘れないでくれよ?」
リューネちゃんの言葉にアルトリアさんがリューネちゃん達の方を向く。
「…あぁ、ハンターの皆さんも手伝ってくれるんですか?」
「とーぜん。別世界とはいえ、未来が喪われようとしてるなんて黙ってられないし。」
「…そもそも、私達は世界の安定を担う者。それは恐らくハンターであってもサマナーであっても変わらない。」
「遠慮にゃく頼っていいにゃ、人の助けににゃるのは嫌いじゃにゃいにゃー。」
「ワフッ!」
「……ということで、全面的な協力をするにゃ。…なんか嫌~な予感もするしにゃ…」
「……ありがとう。本当に…」
…スピリスさんの言う嫌な予感ってなんだろう?
「…マシュの決意が確認できたのはいいんだけど、1つ問題が。狂い果てた円卓───彼の騎士達はどうやら特殊な力を手にしているらしいんだ。」
『それについては本体から情報提供があります。その名は“
ギフト……?
「
「えぇ、その通りです。獅子王より贈られし祝福。同時に永続の誓いとなるもの───聖杯より授かった特殊な力です。」
『情報開示───こちらが判明しているギフトの一覧です。』
「“不夜”───在るとき夜に成らず。“暴走”───常に暴れ狂う。“反転”───在り方を逆転させる。“凄烈”───自らの弱みを薄くする。……これ、確かに強敵そうだね。」
「できることなら戦闘は避けた方がいいわ。…だけど」
「そうも行かないだろうねー……戦いは避けられないと思う。」
「…“騎士”、だもんね。自らが護ると誓った主ならば、自らの主のためならば自らの命すら省みぬ。…
「えぇ、その通りです。…騎士の心、よく分かっているようで。」
そのアルトリアさんの言葉に苦笑いする。
「私はただの獣だけどね。」
「それは違うな、マスター。貴様は新たな神だ、そうだろう?」
「今はまだ神様の器じゃないもん。」
それに…恐らく神様になるには。リカさんが敗北したあの黒い龍を越えなくちゃいけないから。
「ふ、貴様のような神ならば我も不満なく仕えるというものよ。」
「やめて?…ギルはギルのままでいてほしい。今のまま、ギルが思うように、思うままに動けるように。…私の規定なんかで縛られてほしくない。」
「……む…」
不満そうな表情だけどそれが私の本心。
「…まぁ、よい。マスターが神であることは置いておく事にして、ギフトのことだ。…これに関しては既に手を打っている。そうだな?」
「えぇ。…彼等の祝福は私が絶ちます。彼の円卓の騎士と相対したならば、必ず討ち果たして見せましょう。」
「……お願いします、アルトリアさん───いいえ、騎士王様。」
「……はい、お任せください。」
多少驚いた表情だったけど、すぐに戻った。
「話は纏まったようだ。ならば!お前達、レイシフトとやらを為したならば、まずは余と出会い、“在り得ざる矛と盾”の話をするといい!それのみで盟約はなるだろう!」
「在り得ざる……」
「矛と、盾?」
それって……?
「うむ!片や世界の総てを砕かんとする矛!総ての存在を否定する最強の剣!片や世界の総てを護らんとする盾!総ての存在を肯定する最強の盾!1対として召喚されたそれは確かにこのファラオに価値を示した!そしてそれはその矛と盾だけではなく、“青緑の聖剣”と“紅蓮の妖刀”、“六花の大盾”と“泡沫の麗華”をも!」
「待ちなさい、青緑の聖剣?紅蓮の妖刀??それに六花の大盾に泡沫の麗華ですって!?」
ミラちゃん?
「まさか…!?」
「真偽は自らの眼で確かめるといい。さぁ、行け!貴様らの価値を、存在を───“魔術王”を騙る肉塊に示すのだ!!」
その言葉に全員が頷く。
「さてと、いつも通りレイシフトの準備に入るんだけど───」
ドクターがそう言ったときに通信が入る。
「はい、こちら管制室。」
〈こちら藤丸六花───ブリーディングは終わったか?〉
「あぁ、今終わったところだよ。」
〈うし、予測通り───んじゃ、レイシフトメンバーは第一シミュレーションルームに来てほしい。以上。〉
それで通信が切れる。
「……と、いうわけで。すまないが、第一シミュレーションルームに行ってくれるかい?六花がなにか用意したらしくてね。僕はここから見てるから。」
「う、うん……」
ということで、第一シミュレーションルームに移動することに。
「…先輩、一体なんでしょうね…」
「……さぁ。お兄ちゃんのことだから突拍子もないことやってそうだけど。」
「……ですね。六花さんはそういう方です。」
そんな話をしていると、第一シミュレーションルーム前についた。
「お兄ちゃんー?来たよー。」
「……ん?おう、来たか。」
そこに確かにお兄ちゃんはいた。…バイク二台を前にして。
「とりあえず……ほれ」
「わっ、と、と……ヘルメット?」
私に投げ渡されたのはヘルメット。……絶対これ私にサイズぴったりだ…勘でわかる…
「リッカはそれ着けろ。…んで、ギルとミラ以外の英霊達はここに入れ。」
そうして指差したのはバイクの後ろ部分…テールランプのあたり。
「………入れるわけなくない?」
「常識的に考えて入れないな。」
「規格外のお前らが常識語るのかよ……まぁいい、ぶっちゃけるとここに結界が作ってあってな。20人くらいなら入れるようになってんだ。」
えーと……分かりやすく?通訳すると、簡易的なシェルターみたいなのを結界で再現してその扉を小さくしてるみたい。触れるだけで人間でも入れるから問題は特にない…とか。
「一体どうやってるの…?」
「気にすんなー…で、ヘルメット着けたらミラはギルの後ろ、リッカは俺の後ろに乗れ。」
「………うん?」
“俺の後ろ”……?
「……え、待って!?お兄ちゃんも行くの!?」
「ん?おう。」
おう、って……
「目的地は砂漠だぜ?足は必要だろうが。…ま、それはアメリカでもそうだったんだが如何せん間に合わんくてな。」
「で、でも危険だよ!?」
「そんなん承知の上だっつの。それを承知せずに行くわけあるか。っと、全員入ったな」
マシュ達が全員入ったのを確認して結界の入り口を閉めるお兄ちゃん……本気で行く気だ、これ……
「…こういう時くらい頼れよな、ったく。…俺はお前に特に何か出来たわけでもねぇんだし。」
「…それとこれとは話が…」
「違うかもしれねぇが見てるだけなのはもう我慢ならん。少し位手伝わせろ。」
「いや十分手伝ってもらってるよ!?」
「足りるかバカ。…ほら、乗れよ。」
~~~~~~~!この、お兄ちゃんは……!
「俺を護ることなんて考えなくたっていい。…ただの俺の我儘だ、気にすんな。…それじゃ、ダメか?」
「…………………わかった。でも、1つだけ約束して───」
お兄ちゃんの目を真っ直ぐ見据えて言葉を紡ぐ。
「───絶対に死なない、絶対に私の前からいなくならないって!!!」
「───あぁ、約束する。」
「───はぁ。」
ため息をついてから私はバイクに乗る。…後ろに、って言ってたから運転席じゃない。その私の前にお兄ちゃんが乗った。
「…うし、んじゃ行くか。ロマン、管制は頼んだぞ。」
〈あ、あぁ…本当に大丈夫なのかい?〉
「問題ない。理論はレイシフトと同じだからな。…ギル、そっちは大丈夫か?」
「ふ、問題なしだ。」
「おk───んじゃ、行くぜ!!」
キーを回してエンジンスタート。それと同時に周囲に大量のホログラムモニターが浮かんだ。
「全システムオールグリーン───リッカ、しっかり掴まっとけよ!」
「え───」
反応する間もなく、バイクが動き出す。あわててお兄ちゃんの腰に手を回すけど、振り落とされそう───というか、この動きって。
「タイヤを、暖めてる…?」
しばらく直線を走ってから曲がるを繰り返す───手荒だけど多分そうだ。それを何度か繰り返して、不意にお兄ちゃんが停止した。
「ざっとこんなもんか……うし!」
呟いたかと思うと、急加速。Gが強い……けど、何となく軽減されてる感覚。…って!!!
「お、お、お、お兄ちゃん!?速度出しすぎじゃない!?」
「あぁ!?143マイルなんぞまだまだだぞ、こんなん!!」
「いや、約230km/hは出しすぎでしょっ!!!」
ていうかいつの間にそこまで加速したの!?
「んなことよりちゃんと掴まってるな!?」
「掴まってるっていうか抱きつくレベルだけど…!背中の感触でわかるでしょ!!」
「そりゃそうか───!!!」
そう叫んだと同時にお兄ちゃんが何かボタンを押したのが見えた。…“TIME LEEP”?
「衝撃に備えろよ!!」
え、と声を出す前に───周囲に強烈な光が発生する。光、というか火花というか───
〈速度条件クリア。レイシフト、および時間跳躍を開始します───〉
そんなアナウンスと共に。私達は暗いトンネルの中に入った───
「……!?」
───違う、これ
「これって……!?」
速度は既に450km/hを軽く越えてる。…シミュレーションルームってそこまで広くなかった気がするけど、恐らく空間を広げたり色々したんだと思う。……問題は、これが
「抜けるぞ!!」
「え、うん!」
さらにお兄ちゃんがボタンを押す───“TURBO BOOST”?待って、どこかで聞いたような……と思ってたら。車体が、
「………!?」
比喩じゃなくてホントに。車体が跳んで、暗い道を抜けたと思うと───上空。眼下に砂漠───え゛。
「き、きゃぁぁ!お、落ちてる!落ちてる!!」
「想定済みだ!」
〈低速落下、およびデザートタイヤを起動します。〉
そんなアナウンスと共に落下感覚は緩やかになって───私達は、砂の上に着陸(で、いいのかな?)した。一緒にバイクを降りるけど、砂嵐がすごい…
「───うし、1273年のエルサレム。こっちはレイシフト成功だな…っと、ギル達も来たな」
お兄ちゃんの言葉に空を見ると、確かにギルとミラちゃんも空から落ちてきていた。
「きゃぁぁぁぁ!!」
「フハハハハハ!!!その悲鳴だけでもレイシフト先を上空に設定した甲斐があるというものよ!」
「普通に地上に設定してよ、この大馬鹿王!!!」
……あの二人って何となく仲いいよね。やっぱり。
「……っと、カルデアと回線が繋がったぞ。」
〈大丈夫かい、リッカちゃん!?怪我とかない!?〉
「だ、大丈夫…お兄ちゃん、他のみんなは?」
「問題ない……が、少し酔ってるっぽいな。無銘とかが。」
〈う……すみません……〉
カルデアへの通信とは別に違うウインドウが開く。…アルの姿が映されてるし、多分さっきの結界の中なんだと思う。
「んで、正確な時代測定頼めるか?こっちじゃ簡易的な測定しか出来ないからな。」
〈もうしてるわ。1273年のエルサレム…と、言いたいところだけどそこは紀元前1300年頃のエジプトね……これに関してはオジマンディアス王が言っていた通りだと思うわ。本来のエルサレムの地にオジマンディアス王───ラムセス2世の統治していた第19王朝のエジプト領そのものが召喚されている状態よ。西の方に行けば聖都、北の方に行けば本来のエルサレムかしら。〉
「それだけ分かれば十分だな。…うし、エジプト領の方まで行くか。乗れよ、リッカ」
通信を切ってバイクに乗るお兄ちゃんに
「……お願いだから安全運転してよ」
「時間跳躍くらいしかあんな荒い運転しねぇよ。」
「……今思い出したけどBACK TO THE FUTUREじゃん…」
「今更かよ…」
そうだよ、時間を越える乗り物ってよくよく考えたらBACK TO THE FUTUREなんだよ……!なんでそんなの再現してるわけ!?
「追加で“ナイトライダー”もいるしさ……」
「そっちも今更かよ…」
お兄ちゃんに出来ないことって本気で何…?…はぁ
そういえばイヴェルカーナさん来るそうですねー……
裁「冰気錬成……」
クラッチクローなくてうまく戦えるのかなー……
お知らせ↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=289109&uid=316165