狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い 作:Luly
んーん……今のところ大丈夫…
神殿に着いた次の日、私はオジマンディアス王に呼び出されていた。…私だけじゃないか。私とマシュと、ギルとアル。あとお兄ちゃんも。
「来たか!しかと眠ることはできたか?」
「眠ることは…はい。…あの、どうして私達を呼んだのですか?」
「……ふむ。まずは腰掛けよ、長話をするのに立ったままでは辛かろう?よい、特に赦す。」
「……では、お言葉に甘えて。」
オジマンディアス王の前にあった椅子に腰かける。それはマシュ達も同様。…お兄ちゃんとギルは気にしてなかったけどマシュは結構緊張してるなぁ…
「……さて、どこから話したものか。…まずは、既にこの地にはいない“在り得ざる矛”の話をするとしよう。」
「在り得ざる、矛…」
「しかり。英霊ではなく、人間であるもの。あらゆる武器を用い、あらゆる敵を翻弄し、あらゆる敵を滅し続けた最強の剣。」
最強の……剣?
「円卓の騎士の
あぁ……
「いくら質が高くとも数に対して対処しきれなかった、ということですね。」
「しかり。───その者は、余らが聖都の騎士と戦っているときに突然顕れた。」
懐かしむかのように言葉を繋ぐ。
「誰かに召喚されたわけでもなく、余が十字軍より勝ち取った聖杯が喚んだわけでもなく。その娘は突如、その場に身一つで顕現した。レイシフト、といったか。それに少し似ていたか?」
「つーことは単独顕現…人類悪の可能性があるか?」
「答えは否だな。その娘は後に“デダー”と名乗った。自らは“借者”のクラスだと。」
「顕現してすぐにその娘が行ったのは祈りだ。余と聖都の騎士───あぁ、円卓の…ランスロットもいたな───を空中で見下ろし、祈りを捧げたのだ。」
「祈り……」
「うむ、娘が祈ると同時に───余が瞬いたその一瞬。それで、
え?
「比喩などではないぞ?言葉通り総てが終わっていたのだ。余の兵は何も傷つかず、聖都の騎士は残らず殲滅され───
「「……!?」」
円卓の騎士を……!?
「“過程を吹き飛ばし結果だけが残る”───まさにそのような状態よ。瞬きのほんの一瞬、ただそれだけで総てが終わったのだ。」
「“キング・クリムゾン”かね…」
「スタンド…じゃないと思いたい……」
でも正直そうとしか思えない気がするけど……うーん。
「それを見て、余であろうと恐怖したものよ。いつそれが余に牙を向くかも分からぬ。…だが、在り得ざる矛は余にその牙を向けなかった。続く聖都の増援も、円卓の騎士も、果ては獅子王の聖槍をも。悉く一切を意に介せず、蹴散らしたのだ。」
「聖槍……宝具であろうに、どうやって防いだというのか?」
「無論、在り得ざる矛の宝具によって防がれた。あぁ、そなたの乖離剣に酷似していたな?」
「…ふむ?」
「“在り得ざる矛”、というのはそういう意味でもある。乖離剣などそなた以外に考えられぬ。で、あるというのに乖離剣と思われる剣を使った。そら、在り得ぬであろう?」
確かに……?
「“在り得ざる盾”が顕れたのはその次の日よ。その後は余や難民達を護る双璧として存在していた。…在り得ざる矛が命を落とすまでは。」
そう言ってオジマンディアス王は立ち上がり、部屋の燭台から緑色の剣を持ち上げた。それを見たアル───じゃない、眼の数字が“三”だから
「その剣は……」
「在り得ざる矛が瀕死となり、この地より消滅した際にその場に落としていったものだ。遺品、といっても間違いはないだろう。」
「…拝見しても?」
「よい、赦す。」
「…道理で、この神殿に遺る“風の痕跡”に覚えがあると思ったら。貴女が来ていたのね。」
「知り合いか、
「えぇ、まぁ。…私と同じ、“創詠”に連なる者です。」
創詠に連なる者……
「現創詠家基本序列第一位。現在の創詠家の中で“創詠家最強”の名を冠し、最も“月が支配する夜の世界最強”に近い少女───“
「構わん。余はもちろん、他の者に扱うことはできぬであろうからな。」
「では、引きとらせていただきます。…“ニュートラル”」
「ふむ。やはり、その剣は貴様達の声には応えるのか。」
「…というと?」
「“在り得ざる矛”と“在り得ざる盾”の言葉にその剣は反応を示し、余の言葉に反応は示さなかった。創詠、といったか。その者達でなければその剣は反応しないのではないか?」
その問いに対して首を傾げたあと、静かに首を横に振る
「違いますよ。手順さえ守れば誰だってこの剣を本当の意味で扱うことはできます。」
「ふむ……まぁよい。遺品は遺族が持っていた方が良いだろう。」
「死んだわけじゃないでしょうけどね…元の世界に戻されただけというか。」
結構複雑なのかなぁ……
「…余は貴様に赦しを請おう。」
「はい?」
「貴様の家族たる“在り得ざる矛”を護りきれなんだこと。多方面より攻撃されていたとはいえ、在り得ざる矛単身で戦線を任せたこと。赦せ、“在り得ざる矛”の家族よ。」
頭を下げるオジマンディアス王に困惑の表情を浮かべる
「……赦すも何も。怒ってなどいませんから何も言えませんよ。恐らく貴方の言う“在り得ざる盾”も私の知り合いでしょうけど…その方も怒っていなかったでしょう?」
「だとしてもだ。赦しを得なければファラオの気が収まらぬ。赦せ、“在り得ざる矛”の家族よ。」
「…あぁ、はい……わかりましたから顔を上げてください。」
あ、
「太陽王。少しばかりよろしいか。」
「む、“煙酔のハサン”か。よい、赦す!入るがいい!」
「失礼つかまつる───む?」
煙酔のハサン、と呼ばれた人が私達の方を見て疑問そうな声をあげた。
「失礼した、客人がいたか。」
「用件はなんだ、煙酔のハサンよ!」
「うむ、近く聖都にて“聖抜の儀”が行われるとのこと。それを伝えに来たのだ。」
聖抜……?
「ふむ……ふむ!良い情報だ、感謝するぞ煙酔のハサンよ!他に用件がなければ難民達の誘導に戻るがいい!」
「忝ない───それでは、失礼いたす。」
……早々にその人は撤退していった。
「聞いたな!今、貴様達の道は示された!貴様達はこれより、聖都へと向かえ!この特異点を乱し、現状とした元凶、獅子王が座す白亜の巨塔───聖都キャメロットへと!!」
「聖都……」
「キャメロット…!」
「うむ───この神殿より東、エジプト領たる砂漠を抜けた先に絶望の聖都はある!そして、聖抜とやらが行われるとき、“在り得ざる盾”もまた姿を現すだろう!!そして山の民、ハサン共の協力を真に取り付けるのだ!奴らの暗殺術は侮れん、ニトクリスが連れ去られたようにな!!」
「在り得ざる盾……一体、どんな人なのでしょうか。シールダーとして、個人的に興味があります。」
───方針は定まった。聖都へ赴き、聖抜の儀を知ること。それが、今の目的だ。
裁「そういえばマスター、今回の特異点の“運命の選択”ってどうするの?色々なところを調整できそうだけど。」
そこだよねー……一応候補は2つ。…どちらか片方は選択なしで見るしかないかなぁ。
裁「
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