狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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裁「……まぁ、敵に慈悲はないけど。」

けど?

裁「……なんでもない。後でどうせ分かるから。」


第321話 拠点確保

「正直助かった。俺一人じゃ全員は護れないと思ってたからな。心から、感謝する。」

 

「……こちらこそ、ありがとうございます。全員を護るためにいたとはいえ、あの時貴方がいなかったら……」

 

「…そうか。」

 

とりあえず、私はさっきの盾の男の人と話を交わしてる。

 

「えっと……オジマンディアス王が言ってた“在り得ざる盾”っていうのは貴方で合っているんですか?」

 

「───あぁ。どうやら、この世界の…この特異点の英霊達からはそう呼ばれているらしい。」

 

この世界…ということは、別世界の人なんだ。

 

「……それで、貴方はなぜここに?香もですけど。」

 

(るな)さんが問う。

 

「人理を守護する者達を手伝いに来た───じゃ、ダメか?…()()()

 

「…………うん?」

 

母さん……?

 

「その呼び方やめなさいよ……いつもみたいに名前で呼んで。」

 

「へーい。」

 

「……あの、(るな)さん。この人とは一体どういう関係で…?」

 

私がそう聞くと、(るな)さんは小さくため息をついた。

 

「彼は“創詠(つくよみ) 飾莉(かざり)”。女性家系の創詠家で、数少ない男性で───私の、息子に当たります。」

 

「どーも。適当に飾莉って呼んでくれ。」

 

息子……!?

 

「たとえ神でさえその防御を容易に崩すことは叶わぬ───“防御”という一点においては私達の世界の中でも貴方は最適かもね。」

 

「やめてくれ。…俺の防御なんざ、大したものでも無ぇ。」

 

「……こういう子なので許してあげてくださいな。」

 

呆れたように(るな)さんが告げる。なんというか…

 

「お兄ちゃんみたい……」

 

「あんたの兄…っていうと、あそこの男か。」

 

頷いてお兄ちゃんの方を見る。…自己評価低いところとか、口調とか、何となくお兄ちゃんに似てる。

 

「あの男…さっき、真・女神転生Vのトリスアギオン使ってた気がするが。」

 

「私…というか陽詩が教えたの。この世界における現代───リッカさん達が来た時空よりも未来の情報。“理論・知識さえあれば大まかに再現できる”って言ってたから。」

 

「なるほどな。そのCOMPもそれ由来か。納得はしたが───ま、にしても色々おかしいがな。」

 

「おかしい…ですか?」

 

「おう。…世界が全く違うってのに、その世界の術式を正常に扱えるなんざおかしい以外にあるか?」

 

それは……

 

「まぁ、おかしいといえばあんたもか。…さっきの龍とかな。」

 

「さっきの…」

 

腐敗するブレスを吐いた龍のことだと思う。

 

「………そんなことはどうでもいいか。別にあんたから嫌な感じはしないしな。」

 

「…そうなんですか?」

 

「おう。」

 

私は人類悪であるのに?

 

「…ま、信用できねぇのも無理ねぇな。会ってから間もねぇんだから信用しろっていう方が難しい。……ところで、これは一体どこに向かってるんだ?」

 

「えーっと………」

 

今、私達の乗る幌馬車───馬車に接続されてる車のこと───を率いているのはミラちゃんの召喚したリオレウス。導蟲を追っているみたいだけどどこに向かっているかはちょっと分からない。

 

「……ちなみに私もどこに向かってるか分からないからね?導蟲はさっきの人達を追跡してるらしいけど。」

 

…そんな私の思考をトレースしたかのようにミラちゃんが告げた。

 

「一応行動痕跡は消しながら来てるから追跡される不安はないかな。一応姿も隠してるから…相手が導蟲持ってたら流石にだけど。」

 

「それは流石に無いんじゃないかな…だって導蟲ってミラちゃんやルーパスちゃん達の世界の生き物でしょ?」

 

「うーん、そうなんだけど…」

 

「“導きの蝶”みたいなのがいたらバレる可能性はあるかもな。」

 

飾莉さんの言った導きの蝶って……ゼルダの伝説?というかゼルダ無双?…あー。

 

「なるほどな。…とりあえず、警戒はしておいた方がいいな。リッカ、お前の直感で何か感じ取れることはあるか?」

 

「えーっと…」

 

直感、というか……

 

「……さっきから、鐘の音というか、鈴の音というか……そんな音が向かってる方向からするんだよね。」

 

「鐘ぇ?」

 

「あ、リッカさんも聞こえるんだ。」

 

あれ、ミラちゃんにも聞こえるの?

 

「……別に私聞こえないけど。」

 

「ふむ…僕は微かに聞こえるが……リッカ殿とミラ殿ははっきりと聞こえるのだろう?」

 

リューネちゃんの言葉に私とミラちゃんが頷く。

 

「であれば、この音は“本来聞こえてはいけないもの”───言い方を変えようか、“特定の者にしか聞こえない”ものだ。恐らくだが2人は何かに選ばれたのだろう。」

 

「選ばれたって幽霊とか怨霊みたいなものに?」

 

その例えにリューネちゃんがピクリと反応する。…あ、幽霊苦手だっけ。ごめん…

 

「怨霊に選ばれるのは流石に面倒だと思うがね…っと、そんなことを無銘殿の前で言うのもあまりよろしくないか。」

 

『…私はあまり気にしてませんから、大丈夫ですよ。』

 

美雪さんがそう言う───美雪さんは怨霊だもんね。

 

「───ん、導蟲が止まった。降りるよ」

 

「…いや、待て」

 

降りるように指示しようとしたミラちゃんを飾莉さんが止める。

 

「敵襲……ではないが、高い確率で襲ってきそうな奴がいる。数は…ざっと10か。」

 

〈うわっ、ホントだ…!?ごめん、索敵忘れてた…!付近にボーンワイバーンの反応を10確認!〉

 

「ボーンワイバーンとか懐かしい感じするねー。」

 

冬木とかフランスだと結構襲われた気がするけど。

 

「対空戦、及び空中戦に自信のある奴は?そこのリオレウス操ってる奴は除いて。」

 

「えーっと…はい。」

 

「…私も、行きます。」

 

ルーパスちゃんとアルが手を上げた。…音もなく目の文字が変わってるの地味にビックリするなぁ……

 

「俺も含めて3人か…ま、なんとかなるか。母さん達と俺は遊撃、そこの弓持った奴は俺らの叩き漏らしを頼む。」

 

「あ、うん…」

 

飾莉さんはそう言うと幌馬車から飛んだ。…なんて説明すればいいのか分からないんだけど、ふわりと浮くというか、平行移動するというか…アルと同じなんだけど、なんか質が違う?

 

「行きます───“七色八閃”」

 

幌馬車の縁を蹴ったかと思うと、アルはいつの間にかボーンワイバーンの背中にいた。

 

「“八の刀・無色───虚影(うろかげ)”」

 

そんな呟きが風に乗って聞こえたと思うと、ボーンワイバーンの首が綺麗に切断された。

 

〈今の……一体、何をしたのかしら…?〉

 

〈超高速の七閃……“神速”の異名奥義持ちである私だから肉眼で見えたけど、普通の人には見えないよあれ。〉

 

一瞬で七閃…!?

 

「無銘!俺の盾を足場にして再跳躍できるか!!お前それ慣れてないだろ!」

 

「っ、はい!」

 

飾莉さんから投げられる盾を足場に、アルが再跳躍。跳躍後、盾は飾莉さんの元に戻っていく……あの盾、“盾”というよりは“ブーメラン”に見えるんだけど……気のせいかなぁ…

 

「───っべ!一匹撃ち落とし漏らし…!」

 

「射抜くから大丈夫。」

 

ルーパスちゃんがそう呟いたかと思うと、ルーパスちゃんの矢………矢、というか杭?が着弾したボーンワイバーンが爆発した。

 

「───えっ?」

 

「お見事。僕も久し振りに見たな、“大タル爆弾バリスタ弾G”は。」

 

大タル爆弾……バリスタ弾…?

 

「これさー……高威力なんだけどバリスタ弾と大タル爆弾Gを調合…というか接続してるからバリスタでしか使えないのが難点なんだよねー。矢に出来ないかなー…」

 

「流石に矢にするのは無理がないか?バリスタだからこそ大タル爆弾Gを飛ばすだけの力を出せるようなものだろうし。ともかく、ジュリィ殿がバリスタを作れて助かった。流石は加工屋だ。」

 

「いえ、私は加工技術を知っているだけで加工屋ではないのですけど…相棒、こんなものまで作ってたんですか?」

 

「ダレン・モーランとかジエン・モーラン、あとラオシャンロンとか撃退するのに結構重宝したんだよー?…まぁ、取り扱いには十分注意が必要だけど。」

 

「間違えてバリスタ弾で大タル爆弾Gを起動させては大惨事では済みませんから当然だと思います、相棒。」

 

………

 

「お兄ちゃん、理解追い付いてないのって私だけ?」

 

「心配すんな、俺も追い付いてねぇ。」

 

だよねー…っと、幌馬車が降下を始めた。

 

「そろそろ姿隠し解除するよー。」

 

そうミラちゃんが言うと同時に、幌馬車を覆っていた薄い空気の膜みたいなのが解除された。……これ、“竜車”とかって呼んだ方がいいのかなぁ。

 

「あ!あの赤いドラゴンに乗ってるの、カメレオンのお姉ちゃんだ!!おっきな盾のお姉ちゃんとお兄ちゃんもいるよ!!」

 

「む……敵かと思ったが敵ではなかったか。いやはや、急に現れるなど心臓に悪いことよ。…してルシュドよ、あれはドラゴンではなくワイバーンだ。」

 

「えー?何か違うの?」

 

「うむ……説明が難しいものよ。」

 

声のした方にいたのはさっきの男の子と……呪腕さん?でもあれ、カルデアの呪腕さんじゃない…ということは、聖杯に呼ばれたってことかな?

 

「っとと…到着。ありがとね。」

 

「ギャァァ」

 

ミラちゃんの声に応じたあと、リオレウスは消滅した。

 

「ようこそお越しくださいました、旅の方々。難民の方々を全員無傷で円卓の騎士と聖罰から救ってくださったとか。ここに至るまでの総てをルシュドとサリア、煙酔のから聞いておりまする。」

 

呪腕さんのその言葉に全員が私の方を見る。

 

「……えっ、私?」

 

「貴様が代表で構わぬであろう。マスターは貴様だけであろう?」

 

うーん……誰かの前に立つって……まぁ苦手とは言いきれないけど。

 

「……ええと…私達はやりたいことをやっただけなのであまりお気になさらず……」

 

「ぼく、みんなに伝えたんだ!“真っ白な竜の魔女”、“変化自在の盾の戦士”、“紫色の盾の騎士”、“綺麗な指輪の魔法使い”……ええっと、あと、あと……」

 

「“本から飛び出たような女の子”、“静かな弓の担い手”、“心落ち着く音色の奏者”、“導きの探検家”、“黒くて明るい竜”、“蒼い騎士の王様”…でしたな。いやはや、子供の表現には感心させられますとも。…我等山の民、皆様を受け入れます。それが我等が同胞を救ってくれたことへのせめてもの御礼となれば。」

 

「…あ、ありがとうございます……?」

 

な、なんかあっさり拠点確保できちゃった……!?

 

「煙酔のから話は聞いております。霊脈への接続によるターミナルが必要なのでしたな?霊脈へとご案内いたしますぞ。」

 

「「………」」

 

「……どうかなさいましたかな、お二方?」

 

ミラちゃんと一緒に周囲を気にしていたのが気になったみたい。…なんでもない、と首を横に振ってから呪腕さんについていった。




真っ白な竜の魔女=ミラ・ルーティア・シュレイド
変化自在の盾の戦士=創詠 飾莉
紫色の盾の騎士=マシュ・キリエライト
綺麗な指輪の魔法使い=藤丸 六花
本から飛び出たような女の子=ありす・創花・フリアンクル・ティアーナ
静かな弓の担い手=ルーパス・フェルト
心落ち着く音色の奏者=リューネ・メリス
導きの探検家=ジュリィ・セルティアル・ソルドミネ
黒くて明るい竜=藤丸 リッカ
蒼い騎士の王様=アルトリア・ペンドラゴン


裁「ルシュド君の言ってたのってこんな感じになってたらしいよー。」

弓「……ふと思ったが、ありすの本名が長くないか?」

裁「あー。…そういえばいつも“ありす・ティアーナ”って名乗ってたかもねー。」


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