狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い   作:Luly

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裁「ふぁ…」

あら、眠い?

裁「ん……」


第322話 記憶整理・聖剣の罪

隠れ村───そこの人達のお陰で、拠点となる場所が出来て、一旦一息つける。霊脈ターミナルも設置してあるからCOMPでの英霊召喚も可能になった。

 

「先輩?あの……」

 

「……」

 

「………あの、先輩?せんぱーい…」

 

「………」

 

「…先輩!起きてください!!」

 

「……はっ」

 

マシュの声で気がつく。…また、私はマシュの髪を梳いていたみたい。

 

「ご、ごめん…」

 

「いえ、いいのですけど……以前も思いましたが、私の髪で満足ですか?もっと長い方が……」

 

「んー……確かに長い方が梳き甲斐はあるんだけどね。なんかマシュの髪って安心するんだよね……」

 

「……そ、そうですか……私もありすさん達のように髪を伸ばしてみましょうか…?」

 

真剣に悩み始めるマシュの頭を優しく撫でる。

 

「私はマシュのなりたいようになってほしいな。私の好きなマシュになるとかじゃなくて、マシュがなりたい自分になれること。それが私の望みだから。」

 

「先輩……」

 

「どんな風に変わってもマシュはマシュ。私の大切な後輩に変わりはないんだよ。」

 

「……はい。ありがとうございます。」

 

マシュも落ち着いたみたいだし……っと。

 

「…マシュ。しばらくの間私のカラダ、お願いしてもいい?」

 

「はい……………はい?あの、どういう……?」

 

「うん?そのままの意味だよ?しばらく完全に無防備になるから護ってて、ってこと。」

 

「あぁ、そういう……」

 

他に何かあるっけ?…まぁいいや。いつもの呪文…っと。

 

「.........Deep sleep. Diving memory space: Mode replay memory.」

 

自己暗示の呪文。自発的に完全に無防備になるほど意識を落とし、記憶を再生・整理整頓する───そんな自己暗示。明晰夢を操る…に近いかもしれない。呪文を唱えたとたん、私の意識は沈む。深く、深く───沈んでいく。

 

 

 

「マスター、マシュ。少しよろしいですか?」

 

アルトリアさんがオジマンディアス王の部屋を出た私達に話しかけてくる。

 

「いいですけど…何かありました?」

 

「…その。彼を、正式に紹介したくてですね。」

 

「彼……あぁ、なるほど…」

 

私達は納得してアルトリアさんについていく。お兄ちゃんはバイクの準備をしてくれるみたい。

 

「───入りますよ、ベディヴィエール。」

 

案内されたのは部屋の1つ。アルトリアさんが使ってる部屋だっけ、ここ…

 

「調子はどうですか、ベディヴィエール。」

 

「…王。先程までよりは、大分。」

 

アルトリアさんを見たあと、私達の存在に気がついてベッドから身体を起こそうとするベディヴィエールさんを慌てて止める。

 

「あっ、身体起こさないで、楽にしててください!」

 

「は、はい……その、このような姿で大変申し訳ありません……」

 

ベディヴィエールさんが寝ているベッドはギルが持ってた治療カプセルの改造品。全身麻酔をかけて密閉する集中治療モードじゃないとマシュが使ってるようなカプセルには劣るんだけど、話をするときはこっちじゃないといけない難点がある。…ギルが情報を提供して、お兄ちゃんが理論を理解・組立して、私が創造で構築して出来上がったもの。大部分慣れてきたけど1日に5個くらいしか創造できないから創ったの少し前だけど…

 

「……彼こそが、私の自慢となる騎士。隻腕ながら我が円卓に名を連ねた騎士、“ベディヴィエール”です。」

 

「恐縮です……私は円卓の中でも地味なのですが…」

 

「地味……だっけ?」

 

〈円卓の騎士“ベディヴィエール”。隻腕ながら円卓に名を連ね、常人の三倍もの力を持つ忠誠の騎士だね。…他の騎士と比べたら知名度的には地味なのかな?でも、“アーサー王伝説”には欠かせない存在として描かれている。何せ聖剣返還という超重要な役割を担っていたんだ、当然といえば当然だと思うよ。王を終焉に導いた最後の鍵な訳だし。〉

 

隻腕……かぁ。…最後の鍵、っていうところでベディヴィエールさんの表情が一瞬曇ったのが何となく気になるけど……とりあえず。

 

「……ドクター、ベディヴィエールさんの様子は?」

 

〈まだ、良い状態とは言えないね。肉体がそもそもボロボロになっているんだから当然とは言えるけども…そもそも、これはマシュみたいに集中治療を続けても正常に戻せるか曖昧なところだぞ…〉

 

「…ベディヴィエールさん……大分、無理をなさってきていたんですね……“貴公は責任感が強い故に大きな無理をしかねないと常々思っていた”、と私の中のギャラハッドさんが訴えています。」

 

「……失礼、無礼を承知でお聞きしますが…貴女は“マシュ・キリエライト”と名乗ったはず。ですが“私の中のギャラハッド”とは一体…」

 

あー……うーんと。

 

「…ちゃんと話した方がいいと思う、マシュ。多分そうじゃないと信用されない。ベディヴィエールさん、実際私達…というか、マシュのこと信用してないでしょ?」

 

「っ……はい、大変失礼ながら。今も敵か味方か、判断しかねています。」

 

「だから、話した方がいいとは思う。…あと、ベディヴィエールさんが隠してること教えてもらうから。」

 

「…!?」

 

あ、バレてるって思ってなかったみたい。

 

〈あぁ、それはボクからもお願いしたい。キミの身体はボロボロすぎる。というか、そもそも。…キミ、一体何年生きてるんだい?…まぁ、原因はその銀の腕だろうけどね。〉

 

「銀の腕…改造されたエクスカリバーのことだよね。」

 

「っ…何故、それを……昨日、私が人間であると看破したことといい、アガートラムと隠蔽されているはずのエクスカリバーといい…貴女は何故、分かるのです…?」

 

「…あぁ、それの種明かししないとだよね。…気分悪いもんね、分からないままだと。」

 

そう言って私は左目からコンタクトレンズを外して全員に見せる。…このコンタクトレンズは普通のコンタクトレンズじゃない。

 

「これ、“破魔の瞳”っていうの。魔術、霊術、妖術、神術…魔法は試してないから分からないけど、基本的な隠蔽は総て看破する特殊なレンズなの。」

 

〈“シルフスコープ”をコンタクトレンズ状にした、ってことかしら?リッカ。〉

 

「マリーの解釈であってるよ。昨日ベディヴィエールさんと会った時、アルトリアさんの言葉に違和感を覚えて創造したの。ベディヴィエールさんの身体がボロボロなのを見抜いたのもこのレンズだよ。」

 

〈…本当に色々できるのね。〉

 

無制限には使えないけど…特にアメリカでやったみたいに宝具を創ったりすると創造可能オブジェクト数…って呼んでるけど、あれを全消費しちゃうし。ベディヴィエールさんが寝てるベッドも全消費で創ったものの1つ。

 

「……ロマン殿は…」

 

〈んー…キミの情報、ずっとモザイクがかかってるんだよねー。特にそのヌァザの神腕(アガートラム)……じゃないことはリッカちゃんに見破られちゃったけど、そういう人でなしみたいな改造するのはマーリンくらいだろうし。ホント、使う度に魂全焼するようにするとか何考えてるんだかねー…〉

 

「……隠し事は総て、あなた方には通じないようですね。ただ、私の話よりもまずは…」

 

ベディヴィエールさんの視線がマシュに向く。

 

「…私の名前は、“マシュ・キリエライト”といいます。ですが、私は“デミ・サーヴァント”という存在で…私と融合したギャラハッドさんの力を借りてこの姿、この戦いに挑んでいます。…彼がいなければ、私はもちろん先輩も……」

 

「…呪いの席に座り、精神の在り方を示したかの清廉なる騎士が選び、力を託した最新にして最後の円卓の騎士───それがマシュ・キリエライト(彼女)です、ベディヴィエール。かの騎士は彼女とそれを支える少女を認め、自らの総てを託し消滅したのです。」

 

「……そうですか。」

 

そういってベディヴィエールさんは息を吐いて身体を起こす。…本当は起こさせない方がいいんだけど。

 

「……これまでの無礼、深く謝させていただきたい。もう迷いなどありません、レディ・マシュ。」

 

「レ、レディ…ですか?」

 

困惑するマシュに頭を下げた状態でベディヴィエールさんが言葉を続ける。

 

「はい。その無礼への返礼、というわけでもありませんが貴女に敬意と感謝を。…レディ・リッカ、貴女にも。」

 

「はぇ?…私、何かした?」

 

ベディヴィエールさんの聖剣見破ったとかしか覚えないんだけど……?

 

「………そ、そういえば、貴女は酷く特徴的な魔術を使うのですね。“創造”…といいましたか。もしや凄まじい力を持つ魔術師、もしくは魔法使いであったり…?」

 

「んと……私、人類悪なの。」

 

「……………はっ?」

 

あー……フリーズするよねー。

 

「出てきて、預言書」

 

「Ja.」

 

ずっと大きな本の状態で持ち歩かなくても手帳みたいに小さくしておけるのを知った預言書。それを手に持った状態で言葉を紡ぐ。

 

「この本は“預言書”って言って…世界を砕き、世界を創る鍵なの。…今あるこの世界は、一度滅びる。そこから新たな世界が生まれる───その世界を創る担い手として、私は選ばれた。預言書の特性として、そのマスターとなった者に総てを譲渡するっていうのがあるんだけど、人類悪だった預言書の総てが私に譲渡されたことで私は人類悪となった。“創造”はこの本の持っていた獣の権能の1つで、それを私は限定的だけど使ってるだけ。」

 

「は、はぁ……」

 

「もう1つの獣の権能である“破壊”は実はまだ私には使えない。…超限定状況下だったら使えるみたいだけど。」

 

そもそも───“破壊”が使えれば多分、特異点のこととか、ゲーティアのこととか考えないで済むんだと思う。それができないってことは、何かしら制限がかかっているか……単に、私の権限が足りないのか。

 

「…まぁ、そもそもの話預言書がいなくても私は人類悪だったみたいだけど。地獄で腐り果てた人類悪の幼体みたいなの倒して、それの力も使えるから…多分。」

 

「…………」

 

あー……フリーズしてる。あっ、再起動した。

 

「…貴女の力がなんであれ、私は貴女に呼び止められた。さらに間違った道を歩もうとした私を呼び止め、こうして間違いつつも正常な道に戻してくださいました。その貴女の強かなる魂を信じます。…人類悪を担いながら、人類を護るために駆ける貴女に敬意を。」

 

「……うーん…」

 

敬意……受けたことほぼないから対応に困る……

 

「…マシュ、リッカ。改めて私から問わせてください。」

 

アルトリアさん?

 

「相手となるのは円卓の騎士。狂い果てたとしてもそれは変わりません。…獅子王の円卓はどれも正しくなければ打ち破ることは叶わぬでしょう。狂い果てた円卓に否を突きつけ、糺す覚悟がありますか?」

 

その言葉にマシュと顔を見合わせてから同時に頷く。

 

「言ったはずだよ。是は絶望を否定する戦いである───狂い果てた円卓……めんどくさいな、“狂乱円卓”を否定することに迷いなんてない。」

 

「ふふっ…狂乱円卓とは言い得て妙ですね。…マシュはどうでしょう?」

 

「是は未来を取り戻す戦いである───相手が円卓の騎士であっても、未来を取り戻す邪魔をするなら叩き潰します。それがかつての同胞たる騎士達への不義であろうと、不貞であろうと。…かつて、(ランスロット)が起こした罪であろうと、人理を護る誓いと共に。…そもそも───」

 

マシュが苦笑いする。

 

「───人理を護るために人類史を否定している時点で今更なのですが。」

 

「〈〈〈それはそう。〉〉〉」

 

そう、よくよく考えたらそうなんだよね。だってマリーがグランドオーダーの最初に言ってたもん。“私達が戦うのは先も言ったように人類史、つまり今までの歴史そのもの”、“それは挑戦であると同時に、過去に弓を引く冒涜”───それから、“私達は人類を守るために、人類史に立ち向かわなくてはなりません”って。

 

「ですから、迷いなどありません。狂ったのならば正すだけです。」

 

そう宣言した途端、マシュの前に剣が現れる。…私の創造じゃない。ということは───

 

「ドクター?」

 

〈霊基の変質……いや、成長だ。マシュの意思と連動して、新たに力が解放されたみたいだ。〉

 

「ギャラハッドさん…」

 

より一層、ギャラハッドさんがマシュを認めたっていうことかな…多分。

 

〈ちなみにバックアップ班も全力でやるつもりだよ。それで十分かな?〉

 

「……えぇ。…本当に、頼もしい同胞を得ましたね。私は…」

 

「……もはや私に迷いなどありません。この命尽きるまで、あなた方についていく所存。どうかよろしくお願いします、レディ・マシュ、レディ・リッカ。」

 

「……うん、分かったからとりあえず横になろうか?」

 

流石にそろそろ言ってもいいよね?

 

「…は、はい。」

 

〈あはは、リッカちゃんの圧は結構怖いからねー。〉

 

「んー?ドクター?」

 

〈お願いですから圧をこっちに向けないでください死んでしまいます…〉

 

いやこれくらいじゃ死なないよ……

 

「で、では失礼して…横にならせていただきます…」

 

〈…リッカ。実はずっと怒っていたかしら?〉

 

「んー……いや、怒り(そこ)までは。ただ、いつ身体を横にしてくれるんだろうなー、とはずっと思ってた。」

 

ずっと思ってたんだけど、あのベッドってベッドの上に横になってないと効果70%位落ちるんだよ。ベディヴィエールさんの身体の状態上、そんなのじゃ絶対によくなると思えない。怒ってないけどずっと気にしてた。あとドクターもドクターで傷病人をずっと治癒に専念できない状態にさせておくつもりかと。

 

〈ヒッ……リッカちゃんから尋常じゃない圧力を感じる……!本当にごめんなさい反省してます!!!〉

 

「だから怒ってないんだってば……っと」

 

ベッドの上に横になり、私達の方に視線を向けているベディヴィエールさんを破魔の瞳も使って改めてみる。…改めて思うけど、本当に酷い状態。

 

「さてと……話してもらってもいいかな、ベディヴィエールさん。」

 

〈映像情報に関しては秘匿させてもらうわ。私とロマニ、師匠に六花…限られた人間にしか伝えないと約束します。〉

 

「…はい。お話ししましょう───私の罪、私がここにいる理由。…獅子王とは、一体どういう存在なのか。」

 

 

side out

 

 

私はベディヴィエール。アーサー王に参列した騎士が1人。

 

聖剣を持ちながらも聖槍をも持ち続けたアーサー王に仕えた騎士でした。

 

ifの世界であっても歴史の強制力というものは強力です。正史と同じようにブリテンは滅び、円卓は割れ、アーサー王もまた死に至る運命。それが内部からの破滅であろうと、外部からの破滅であろうと恐らく関係ないのでしょう。

 

 

………

 

 

申し訳ありません、騎士王。ですが、これは伝えなくては説明が難しい。

 

 

構いません。続けてください、ベディヴィエール。

 

 

はい。…死の淵に瀕したアーサー王を、私は森に運びました。そのアーサー王は、血濡れの聖剣を私に託し、告げました。

 

───“湖の乙女に、これを返却してほしい”。

 

 

それは…聖剣返還、だね?一度目、君は湖に駆けたわけだ。

 

 

ロマン殿の言う通りです。

 

アーサー王の命に従い、私は乙女のいる湖へと向かいました。

 

そして、いざ返還しようとしたとき───ふと、思ってしまったのです。

 

“アーサー王に生きていてほしい”、と。

 

聖剣を返還すればアーサー王はその命を繋ぎ留める楔を失い、この世から永遠に去ることになります。

 

 

聖剣(エクスカリバー)が、延命装置になっていたんだよね。

 

 

…はい。生きていてほしいと願ったが故に、私は聖剣を返還することが出来ず。聖剣を持ったまま、アーサー王の元へ戻りました。

 

“聖剣を返還した”と虚偽の報告する私に、アーサー王は言うのです。

 

───“そなたの嘘は下手すぎる。聖剣を湖の乙女に返却してほしい。”、と。

 

再び、私は湖まで馬を走らせました。

 

湖まで辿り着き、聖剣を返還しようとして───再び、躊躇ってしまったのです。

 

あの気高き姿を覚えているからこそ。

 

あの円卓を覚えているからこそ───

 

私は2度目も返還することができませんでした。

 

再び戻り、アーサー王に虚偽の報告をする私に、アーサー王は言いました。

 

“どうか私の願いを果たしてくれ。聖剣を、湖の乙女に返却してほしい。”

 

 

……それが、三度目だね?

 

 

はい。

 

三度、私は湖まで馬を走らせました。

 

本来の歴史であれば、その三度目で聖剣の返還は成されます。

 

返還は成され、人としてのアーサー王は命を落とし、理想郷へと至ります。

 

…ですが、私は。その三度目すら躊躇い、聖剣を返還できなかったのです。

 

かつて見た王の笑みを知っていたから。

 

国を、総てを護るために戦い続けた1人の少女をそのまま喪いたくなかったがゆえに。

 

……三度目を躊躇い、アーサー王の元へ戻った私を待っていたのは、“結果”でした。

 

アーサー王は、聖槍と共に何処かへと消え去ってしまいました。

 

当然、死の淵にいたアーサー王ですから独力で動けるはずもなく。

 

人として死に至れず、人ならざるモノへと変化したという“結果”。

 

私の浅はかなる選択が、王を人ではなくしてしまったのです───

 

 

 

side リッカ

 

 

 

「これが、私の真相。私の罪───」

 

ベディヴィエールさんの右腕、アガートラムと化したエクスカリバーが緩く輝く。…あぁもう、無理しちゃダメだって言ってるのに…

 

「私の返還できなかった、エクスカリバーです。…このようなことに巻き込んでしまったこと。どうかお許しください、皆様。」

 

ベディヴィエールさんの話を聞き終わって、私は席を立つ。

 

「……レディ・リッカ…?」

 

「……貴方に非はないはずなのに。世界の強制力が原因でこんなことになったはずなのに───どうして、貴方が罪の責を背負わないといけないんだろう。」

 

部屋にある窓から外を見つめる。職場とかでよくあるらしい、上司が部下の間違いの責任を負うとかじゃない。例え歴史上から間違っていたとしても、その間違い(error)可能性(if)として認めていいものであったはずなのに。“アーサー王が人のまま生きる”という未来が存在してもよかったはずなのに。

 

「───儚く優しい 真実と嘘と」

 

「……?」

 

「裏切りと罪とその総て 受け止めて───」

 

…“誰ガ為ノ世界”の一フレーズ。ベディヴィエールさんに、似てる。……席に戻ってCOMPを開き、仲魔達の一覧を開く。

 

 

ジャアクフロスト Lv.74

ジャックフロスト Lv.70

ジャックランタン Lv.70

ピクシー Lv.66

デメテル Lv.79

エルフ Lv.52

ビャッコ Lv.88

スザク Lv.87

 

 

「……来て、“ピクシー”、“デメテル”、“エルフ”」

 

私の言葉に三体の悪魔が召喚される。このCOMP、ちゃんと女神転生世界仕様だから神であっても妖精であっても“悪魔”扱いなんだよねー…

 

「はーい、ご主人。…ちょっと、この二体とあたしを喚ぶって……」

 

「ピクシーは“ディア”、エルフは“ディアラマ”、デメテルは“ディアムリタ”をベディヴィエールさんにお願い。」

 

「…はーい。」

「お任せを。」

「わかりました。」

 

……うーん。地味に“パトラ”持ちがいないの辛いなぁ…あとピクシーの今の苦言は“自分はこいつらよりも弱いのに”ってことだろうなぁ……

 

「…リッカ。英雄王に聞いたのですが、確かこのベッドは……」

 

んー?……あー。

 

「うん、そうだよ?」

 

「…では」

 

アルトリアさんが約束された勝利の剣(エクスカリバー)の鞘───“全て遠き理想郷(アヴァロン)”をベッドの窪みに嵌め込む。…実はこれちょっとだけ特殊な仕様で、このベッドは約束された勝利の剣(エクスカリバー)の鞘である“全て遠き理想郷(アヴァロン)”を不自然に存在している窪みに嵌め込むことで最大の力を発揮する。───それ故に。このベッドについた名前は“遥か深き理想の眠り(アヴァロン・ディープスリーパー)”だったりする。…まぁ、原典の全て遠き理想郷(アヴァロン)嵌めてもマシュの使ってるカプセルには劣っちゃうんだけど。あれは超魔改造されてるからねー……主に投影品の全て遠き理想郷(アヴァロン)とか不死の霊薬とか賢者の石とかで……

 

「これは……」

 

「……ベディヴィエール。私は人の心が分かりません。かつて、サー・トリスタンに言われたように。そして、貴方の仕えた王でもありませんから貴方の罪など知ったことではないです。それでも……」

 

エクスカリバーを見つめ、ベディヴィエールさんの銀の腕を見つめるアルトリアさん。

 

「私は貴方を助けたい。王としてではなく、“アルトリア・ペンドラゴン”一個人として。…まずはその身体と魂を癒しなさい。万全でなければ“最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)”によって神霊と化した私には届かないでしょう。」

 

「王……」

 

〈申し訳ないけど、今回の特異点にいる間にベディヴィエールがそのままの状態でカルデアに来ることは難しい。それほどまでにキミの身体はボロボロだ。だけど、今こうしてキミとの縁は繋がれた。今のカルデアの魔改造された召喚システムなら、キミのまま召喚できる可能性はある。…もしそうなったときは、カルデアで疲れを十分に癒すといい。〉

 

「そのベッドだけじゃ不完全だと思うからねー…マシュみたいにカルデアで癒した方がいいんだよ、ホントは。でも…時間、ないし。多分。」

 

〈……主婦の勘、かしら?〉

 

「そうs………っていや主婦じゃないよ!?」

 

〈マスター様が主婦でしたら若妻ですね~♪〉

 

〈シバ!?いたのかい!?いつから!?〉

 

〈マスター様が悪魔様方を召喚したときよりおりました♪〉

 

いたんだ………若妻…若妻、かぁ…

 

「……ベディヴィエールさん。貴方が聖剣を返還できなかったことを罪と思っているのなら。周囲から見て罪でなくとも自らで罪と思っているのなら。それは貴方にしか赦すことの出来ない罪。…自分自身で自分自身にかける罪科(呪詛)って、誰かに言われて解けるようなものじゃないから。」

 

だけど。と言葉を続ける。

 

「…だけど、私達は赦すことは出来ずとも罪科(呪詛)に対する赦し(解呪)に至る手助けをすることは出来る。…一緒に戦おう?一人きりで戦わずに、皆で。今度こそ、貴方の役目を果たそう。…私達も、獅子王には用があるわけだし。」

 

「……はい。ありがとう、ございます……」

 

……これで、ひとまず大丈夫かな。

 

「さてと……ドクター、お兄ちゃんの様子は?」

 

〈王様と一緒に何か作ってるよ。もう少し時間はかかるんじゃないかな?〉

 

今度は何を作ってるんだろ……

 

 

 

「………ん」

 

意識が浮上する。記憶の整理…というか、記憶の再生を完了。

 

「あ、先輩…目が覚めましたか。」

 

「うん。…何かあった?」

 

「後で会議をするそうなので集まってほしいそうです。…先程、英雄王がミラさんに殴り飛ばされて気絶しましたのでもうしばらく後になるかと……」

 

…ギル、一体何をしたの……?ミラちゃんが誰かを殴り飛ばすって相当じゃない…?

 

「……ま、いっか。私、会議まで少し寝るねー…」

 

「えっ…まだ寝るんですか!?」

 

「さっきの寝てないし…ずっと思考は動いてたから疲れちゃった……」

 

「は、はぁ…では、会議前には起こしますね。」

 

「うん、お願いー…」

 

そう言った途端、私の意識は切れた。




……リカー。これって結構危険な術じゃない?

裁「あれって別に記憶を削除できるわけじゃないよ?ただただ記憶を再生……反芻して思い出すとか、大きな記憶の塊として整理しておくとかそれくらいしかできないし。」

いや十分危険じゃない…?

裁「……あ、あとベディヴィエールさんと話している時のは視点が記憶の中の私…もとい、リッカさんになってるからね?」

あ、そう……それにしても

裁「ん?」

預言書によって人でなくなったリカと聖槍によって人でなくなった獅子王、か…


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