狩人達と魔術師達の運命、それからあらゆる奇跡の出会い 作:Luly
裁「うん?」
私、“R18系が割と苦手”みたいなこと言ったんだけどさ…私って別に嫌いなわけじゃないからね?
裁「え、そうなの?」
嫌いじゃないんだよ…なんて言ったらいいかなぁ……“耐性がない”?かな?見てると恥ずかしくなっちゃうんだよね…R18だけじゃなくて恋愛描写全般そうだけど……
それ未だに信用できない私がいる……そこまで私ピュア要素ある?
裁「
知らん…
「融合獣魔部位部分具現。龍腕顕現、龍翼展開。……融合獣魔能力稼働。龍紋励起、龍赤炎纏。」
ミラちゃんの詠唱に反応して腕がロンドンで見せてくれた白い龍の腕になって、ミラちゃんの背中から白い龍の翼が生えた。さらにミラちゃんの横顔に赤い龍の顔が模様として現れ、ミラちゃんの身体を赤い炎が包んだ。
「この龍腕も龍翼も……そして龍紋も龍炎も、全部ロードの力。獣魔融合者はまず第一に融合した獣魔の力を扱えるようにならなくてはならない……そうでなくては危険だから。“人間”ではなく“獣魔”である以上、変に獣魔の力を暴走させて制御できなくなったらどうしようもないからね。」
そう言った後小さくため息をつくミラちゃん。
「…前々から私が言われている“古の龍の王妃”。これを言った人はただただムフェト・ジーヴァと共にいる者とかを指していたんだろうけど、この話を聞くとまた違った印象も抱くとは思う。即ち───お伽噺にのみ名を残す王妃たる
そう言った後ミラちゃんが自分の姿を元に戻した。
「あとは特に変わったことはないかな。あらゆる獣魔と出会い、契約を交わし、あらゆる獣魔の影と単身で戦ってロストサマナーになって……そして、謎の歪みからこの世界に辿り着いた。その先はリッカさんが話してくれたのと大体一緒。」
【………】
すごく…長い、話だった気がする。そして…結構、重い話だった。こんな小さな身体で、私と同い年で……重いものを、ミラちゃんは背負っていた。…あとミラちゃん、謎の歪みから別の世界に辿り着くって十分“変わったこと”だからね?
「真実は…これでいい?」
【……よい。汝の真実、しかと受け止めた。】
その言葉のあと、空気の質が変わる。緊張状態から、普通の状態に近くなる。…鐘と鈴は鳴り響いたまま、緊張感だけが霧散する。
『───我は冬の祝福を司るもの。四季祝福が具現の一端、“離別”と“寒冷”の祝福を司る、忌まれし祝福龍が問う。』
念話として静かに聞こえたその声。声の方向にはポワズラビエがいた。
『汝らは人類に仇なす龍である。人類と人類の文明を滅ぼす破滅の化身である。───汝らは人類が滅ぼす悪であり、人類が人類自身の手によって滅ぼさなければならぬ災厄である。』
その言葉は、静かだけど重くて。確かな重圧を感じる言葉だった。
『滅ぼされるべき災厄でありながら人類を守護せんとするその決意。如何なるものか、冬龍祝鈴に示せ。』
滅ぼされるべき災厄でありながら人類を守護せんとする決意……か。
「私は……未来を取り戻すために戦います。皆が生きるはずだった未来を、リナリア達が生きたかったはずの未来を奪った魔術王ソロモン…ううん、ゲーティアを許さない。私が人類が引き起こした厄災かどうかなんて関係ない、私がそうしたいからそうするだけ。私が未来を取り戻したいからそうするだけです。…誰かに感謝されるかなんて、特に考えてない…」
『───漆黒の王よ、それは汝自身の意思か。』
「勿論。私は私のために絶望を砕きます。絶望を砕き、破滅を避け、“先”を取り戻す───それが、私の望み。」
そこで一度息を吐き、ポワズラビエを見据える。
「私は藤丸リッカ。遥か永き眠りより醒めた預言書に選ばれ、今の世界の破滅を知り、次の世界を創る乙女。今の世界が破滅することを知ったからといって、今の世界の未来を諦めるつもりなんてありません。預言書の先代の主のように、世界の寿命を延ばす術を模索します。…直感に従えば、ゲーティアを倒せば幾分か延びるでしょう。」
『……』
私の言葉を聞いて目を閉じるポワズラビエ。数秒ほどそうしていたかと思うと、今度はミラちゃんの方を向いた。
「私は……たとえここが私とは関係ない異世界だとしても、未来を人類が生きれるように戦う。私自身としても、召喚術師としても未来を奪いかねない存在は放っておくことはできないから。」
『───純白の妃よ、それは汝自身の意思か。』
「これは
そこまで言ってからミラちゃんは一息つく。
「私はミラボレアス。龍を護り、人を護り、世界が破滅に向かわぬよう総てを観つめ調律を為す守護者。人が破滅に向かおうとするのなら殺してでも止めよう。人が私と立ち会うのならば私は人を見定めよう。人が、人以外の手で破滅するのなら───私は破滅の元凶を打ち倒そう。総ては人の未来を護るために。我ら禁忌の龍、世界と人類を護る守護者であり、人類に試練を与える遥か高き壁なれば。」
『………』
ポワズラビエが黙る……というか、さすがミラちゃん。竜人語をすらすらと、長文で言えるの凄い……
『───解在りと見る。汝らの真実と決意、我が祝福の鈴は確かに見届けたと告げよう。』
そう言って、ポワズラビエは身体を震わせる。…いつの間にか、鐘の音と鈴の音は消えていた。
【漆黒の王藤丸リッカ。そして純白の妃ミラ・ルーティア・シュレイド。晩鐘と龍鈴は汝らの生を認めたようだ。】
その声はどこか満足そうに聞こえた。
【よもや丸腰で、言葉のみにて晩鐘と龍鈴を屈させるとは。流石の我であれ、予想外の出来事である。この霊廟より、命を落とさずして帰還できるものが現れようとは。】
そこまで言ってから遠くを見つめるハサンさん。
【…そも。…かの者が認めている故、見定める必要もなかったか。】
「「“かの者”……?」」
私とミラちゃんが同時に聞くとハサンさんは小さく笑みを漏らした。
【今、我らが話さずともいずれ汝らはかの者と出会い、真実に辿り着くであろう。この世界の、総ての真実がそこにある。】
「総ての……真実。」
『気高き魂を持つ者達よ。絶望に屈せず、希望を求める勇気を持つ者よ。天上に輝く青き星を導に進め。総ては青き星に帰結する。』
青い星……かぁ。
「“導きの青い星”……五匹の竜の話に存在するあの星が、この世界にも存在するの?」
『獣の炎によって隠れはしたが確かに存在する。この世の何処かに、収束の王は必ず顕れている。』
漆黒の王じゃなくて収束の王…?私には分からなかったけど、ミラちゃんは心当たりがあるみたいで頷いた。
「冥灯龍“ゼノ・ジーヴァ”か、赤龍“ムフェト・ジーヴァ”か……どちらにせよ、警戒はしておいた方がいいね。」
ミラちゃんがそう呟いたあと、ポワズラビエがハサンさんと顔を見合わせてから私達の顔を見た。
『ミラ・ルーティア・シュレイド。純白の妃の最後の娘よ。藤丸リッカ。その身に漆黒の王を宿す娘よ。汝らの行く先に、暗殺者の力は必要か。』
「……えっ?」
「……えっ?」
『汝らの求めし結末に、その助力の一端として。そこにいる暗殺者の王の剣と我が冬の祝福───否、我が死の呪詛は必要かと聞いている。』
今度は私達が顔を見合わせる番だった。
「……いいの、ですか?」
【必要であるならば力になるまで。我らを力とするか否かは汝ら次第だ。】
力とするかどうかは私達が決めろ、か……だったら。
「───よろしくお願いします。ハサン老父、冬祝の龍妃。」
「私からもお願いします。暗殺王、忌告龍妃。」
【───】
『───』
………あれ、なんか間違えたかな?
『忌告龍、と呼ばれたことはあるが龍妃と呼ばれたのは流石に初めてだ。…だが、よい。汝らの力となること、冬の祝福は確かに請け負った。』
ポワズラビエがミラちゃんに翼腕(だっけ?)を向けると、ミラちゃんの手元に小さく輝く石が生成された。
「これって…“
『汝ならば問題ないであろう。───これにて我が契りは成立した。あとは汝だ、暗殺者の王。』
【……うむ。】
さっきから思ってたけど老父、竜人語理解してる…?というか…
「……えっと。老父、って呼んでしまってよろしかったですか?」
【よい。我は無銘。呼ばれなければならぬ名もなければ呼ばれる名の形もない。好きなように呼ぶが良い。】
「そ、そうですか……」
なら、大丈夫なのかな…?
【して。汝らの力となること、この無銘の暗殺剣は確かに請け負った。汝と縁を結び、汝らの助力となることを誓わん。】
そう言われて差し出された剣の柄に触れる。少しの沈黙のあと、老父が頷いた。
【───うむ。これにて縁は結ばれた。……どうした?我の面に何かついているか。】
剣の柄を離した後じっと見つめていたらそう言われてしまって、あわてて首を横に振る。その後、目を閉じ手を重ねて集中、イメージを固定───手の中で具現化する。
「……あの、老父。これを…」
【…?】
私が創造したのは紫色の珠。透き通ってはいるが中に靄が見える、強く“闇”を感じさせそうな珠。
【これは?】
「一種の…契約です。……老父。私から2つ、お願いがあります。」
一呼吸おいてから口を開く。
「1つ。いつの日か、私が“人”でなくなって。大切な人まで忘れて暴れてしまっているようなら。……どうか、私を止める足掛かりとなってください。」
【……】
「2つ。もしも私が道を間違えてしまったのなら。どうか、私の息の根を止めてください。…私は人間で、間違えないという自信はないから。」
冠位である老父なら、“死”そのものである老父ならば。例え私が不死性を得ていたとしても、私に死を与えられるだろうから。もしも老父1人で足りなくとも、命を管理する星乃さんと一緒なら。
「───たとえ。たとえ英霊の座の力が及ばぬ地、及ばぬ時代───この世界の原始にすら及ばぬほどの神秘を持つ地に在ったとしても。この宝珠は紫の輝きと共に目的の地へと導くでしょう。全ての概念を突破し、貴方を証明する楔となる。」
【………請け負った。その珠は受け取ろう。……願うならば、そのような時が来ないことを祈るばかりだが。】
その言葉に苦笑する。…直感に従えば、2つ目はともかく1つ目は
「……なら、私も。ポワズラビエ。」
『む?』
「もしも私が人でなくなって、人の敵となったのなら。私の首を落とす……古龍の命を絶つ手助けをしてあげて欲しい。」
『助け……と?』
「そう。今は…7名、私のクエストに設定してるから。8名目に、どうか。暴走した
『……ふむ』
そういえばミラちゃんって少し前に何かジュリィさんと話してたっけ?
『………請け負おう。だが優しき娘達よ、1つ忘れるべからず。』
「「?」」
“達”、ってことは私も?
『怒り、決意を抱くはよし。だが、慈悲を忘れるべからず。其はこの世の人間の礎を焼尽せし者も同様なり。』
「慈悲……」
『忘るるな。これは我が論に過ぎぬが
………えっ?
『心に刻め。たとえ人類が滅ぼす悪、“人類悪”という名であろうと其は絶対の悪などではない。』
その言葉に思わずミラちゃんと顔を見合わせる。ミラちゃんも理解が追い付いていないみたいで、首を傾げてた。
【さて、気高き龍達よ。我らが招いた手前、何も持たず帰すでは礼に欠くであろう。故に───これを持っていけ。】
そう言われて老父から渡されたのは黒い外套と白い…ケープ??それぞれ黒い外套が私、白いケープがミラちゃんに手渡された。白いケープを手に取ったミラちゃんが何かに気がついた。
「これ……冷たい。まるで雪みたいな冷たさがある……もしかして、これってポワズラビエの……?」
その言葉にポワズラビエが頷いた。
『我が鱗、我が被膜で作られし衣は纏う者を冷やし、雪降り積もる地にて纏う者の身を隠し通す。この砂塵の地には不向きであろうが、隠蔽の力は少なからず発揮する───上手く使うといい。』
「……そっか。ありがとうね、ポワズラビエ。」
そう言ってそのケープを羽織るミラちゃん。首を傾げた後その場でクルリと一回転して私達の方を見る。
「…んー……ね、似合う?」
『良き。可憐なり、純白の王妃。』
「可愛い……なんというか、冬をイメージしたお姫様みたい。いや、そもそもミラちゃんはお姫様なんだけど……」
【可憐なる娘をみるのはやはり良い。して…ほう。新雪の内に紛れ込めばこの我でも気づかぬか?】
「……ありがと。」
ミラちゃんの頬が赤くなる。……ミラちゃんが照れてるのって珍しい気がする?
「……リッカさんの方は調べないでいいの?」
「…実はもう調べたの。でも、どうやって使っていいか悩んじゃって……」
調べたところ、これは老父が使っていたもの。強い隠蔽効果と威圧効果を発揮する。…それはいいのだけど、この外套に付与されているスキル“死界の葬炎”……これがちょっと引っ掛かる。この外套は老父が使っていたもので間違いはなくて、このスキルも老父の道が染み付いたものなんだと思うけど。……このスキルには、“相手を即死させる”だけじゃない“何か”がある。
「……いや、いっか。今は。…老父、合わせてみてもいいですか?」
【うむ。】
許可を取ってから変異泥を展開、服を形成する。実際私は戦闘時も鎧よりも服の方が好きだから多分こっちに合わせた方がいい。
「んと……」
実際……最近って基本の戦闘服はナーちゃんのものにちょっと近づけたものにしてたんだよね。具体的に言えば黒、白、水色、ピンク、藤色、橙色の順で生地が重なるエンパイアドレス。……いや本来エンパイアドレスってそういう服じゃないけども。あと当然ながら生地って重ねれば重ねるほど重くなるけど比較的薄めで生地を使うことで軽くかつ動きやすくもしてある。ちなみにナーちゃんは同じ生地色の重ね方をしたプリンセスドレス。ナーちゃんの姿の基盤となった“不思議の国のアリス”───その“不思議の国”の風景みたいな絵も描かれているのが特徴かな。設計とか仕立てはメディアさんと私で色々と。
閑話休題。
老父の外套の色は黒。私のドレスの一番上の生地色もまた黒。同色が合わないわけじゃないんだけど……うーん……とりあえずそのまま羽織ってみる。
「………なんか違う。」
上手く言語化できない……でも直感が“これは違う”って叫んでる。………
「老父。これ、改造……改変しちゃってもいいですか?」
【良い。好きに使え。】
許可もとって外套をコードスキャン、それからその外套に集中する。外套を変異泥で取り込んで細かい情報に分解、それを元に“外套”という概念を改変……
「……こんな感じかな」
出来上がったのは黒のストール。ヘアピンとかネックレス、アンクレットやブレスレットとかも概念候補としては思い付いたんだけどなんか最終的な形のイメージが湧かなかった。
「………どう、ですか?」
「【───】」
『───』
………あれ?みんなフリーズしてる?
「……老父?ミラちゃん?ポワズラビエさん?」
【───は。忝ない、汝の姿がこの霊廟の闇を裂く一筋の光に照らされ、あまりにも麗しくあったが故に。…我とあろうものが、一時なれど意識を手放すとは。】
「……え。」
「綺麗で、素敵………」
「え……」
『尊い。これ以上に言葉が必要であろうか。』
…………
「あ、リッカさんがフリーズした。」
『…ふむ。目醒めよ、と告げるべきではあるのではあろう…が。我は離別の祝福を司る龍。目醒めさせるというよりは永眠させる側か。』
「永眠させちゃダメだよ?…私の大切な人なんだから。」
『語弊を気にせよ、純白の王妃。…目醒めるか』
……綺麗・素敵、とまでは言われた経験が少なかったから思考がフリーズしてた……それから少し話したあと、老父とポワズラビエさんは霊廟の威圧感が消える場所まで送ってくれた。
『さて。渡すべきものは渡した。…別れの言葉は、必要ないか。』
ミラちゃんがキリゼさんを召喚したのを見届けたあと、ポワズラビエさんの方を向いてその言葉に同時に頷く。
『なれば最後に1つ指針を贈ろう。───砂塵の地、その砦の内に劇毒の如き毒を操る者がいる。汝らの助けとなるだろう。』
「劇毒……」
『汝らの進む先に、導きの青い星が輝かんことを。』
そうポワズラビエさんが告げたあと、私達の身体が冷たい、けれど優しい風でゆっくりと持ち上げられる。最終的にキリゼさんの背の上に乗せられた。
『王と王妃を頼む、霜の黒幻よ。』
キリゼさんは頷くとその場で高く跳躍した。
「───ありがとうございました、老父!ポワズラビエさん!」
キリゼさんに掴まったまま後ろを振り向き、私はそう叫んだ。ふと空を見上げると、そこには白く美しく輝く北斗七星と赫く妖しく輝く2つの星があった。
四季の祝福の具現化と言われる祝福龍、その中で“冬”を具現化したものだとされる水色が明滅する白い身体を持つ古龍。氷属性を操り、雪の塊や雹を用いて相手を阻害する。四季の祝福龍の中で唯一負の方向性の祝福を司るストッパー役を担う。この龍が放つ鈴の音のような咆哮は“
たった1つのお伽噺にしか出てこない幻、古代竜人ですら名を知らなかった幻の龍。ミラルーツに良く似た姿をしているが細部が微妙に違う。お伽噺によれば総ての
そういえば祝福龍の冬の他ってリカは何か聞いてる?
裁「春祝龍、夏祝龍、秋祝龍、虚祝龍…それから祝福龍のこと?」
……ん?あれ?祝福龍って…
裁「ミラちゃんの話だと6体いるんだよ、祝福龍って。春を司る“
わ、結構バラけてるんだねぇ…
裁「……でも、ミラロードさんの話だと確かもう1体いるんだよね……全ての属性を扱う……それこそ煌黒龍“アルバトリオン”のような龍が。』
…………嘘でしょ
裁「ちなみにポワズラビエの骨格はマガラ。」
運命の選択 聖都の正門と獅子王の裁き
-
どちらも原作通りにする
-
聖都の正門への対処のみ原作通り
-
獅子王の裁きへの対処のみ原作通り
-
どちらも原作通りにしない